西川和久の不定期コラム

ユニットコム「Stl-15FH045-i7T-FE」

~ドッキングステーションにも対応した15.6型スタンダードノートPC

製品写真(ドッキング時)

 株式会社ユニットコムは3月15日、ドッキングステーションに対応した15.6型スタンダードノートPCの販売を開始した。Core i3/i5/i7搭載の3モデルある中、最上位モデルが編集部から送られてきたので試用レポートをお届けしたい。

豊富なインターフェイスと拡張性の高いドッキングステーション対応

 15.6型で2スピンドルのノートPCは巷に数多くあるものの、今回ご紹介する「Stl-15FH045-i7T-FE」は、それに加えて、色々なインターフェイスを装備もしくは対応している。

 まず一番はドッキングステーション対応だ。12型前後で対応したものはそれなりに見たことあるが、15.6型は珍しいのではないだろうか。当然フットプリントが広い分、かなり多くのポートも搭載している。後半に詳細を掲載したので参考にして欲しい。

 次に、ExpressCard/54スロット、接触型ICカードリーダの対応だ。前者は一頃よく見かけたが、最近はあまり見なくなった。後者は長年ノートPCのレビューをしているが、対応機種はほとんど見たことがない。いずれにしても、ある程度特殊な業務向けとなり、不要な人には関係ないが、欲しい人にとっては「待ってました!」と言える部分ではないだろうか。主な仕様は以下の通り。

ユニットコム「Stl-15FH045-i7T-FE」の仕様
プロセッサIntel Core i7-6700T(4コア、2.6GHz/3.6GHz、cache 8MB、TDP 35W)
メモリ8GB(4GB×2)/DDR3L-1600 SODIMM(2スロット)
ストレージ500GB HDD
光学ドライブDVDスーパーマルチドライブ
OSWindows 10 Home(64bit)
ディスプレイ非光沢15.6型フルHD(1,920×1,080ドット)液晶ディスプレイ、タッチ非対応
グラフィックスプロセッサ内蔵Intel HD Grapics 530、ミニD-Sub15ピン/HDMI出力
ネットワークGigabit Ethernet、IEEE 802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.2
インターフェイスUSB 3.0×3、USB 2.0、100万画素Webカメラ、ExpressCard/54スロット、接触型ICカードリーダ 、SD(HC/XC)対応カードリーダ、ヘッドフォン(光SPDIF兼用)出力、マイク入力、専用ドッキングステーション接続ポート
バッテリ駆動時間約4.0時間
サイズ/重量382×260×33mm(幅×奥行き×高さ)/約2.65kg
税別価格107,980円

 プロセッサはCore i7-6700T。4コア8スレッドで、クロックは2.6GHzから最大3.6GHz。キャッシュは8MBでTDPは35W。ノートPC用としては、ハイパワーの部類に入るSKUだ。

 メモリはDDR3L-1600 SODIMM/4GB×2の計8GB。最大で16GBまで対応する。ストレージは500GB HDDで、光学ドライブにDVDスーパーマルチドライブを搭載。OSは64bit版のWindows 10 Home。

 グラフィックスは、プロセッサ内蔵のIntel HD Grapics 530。外部出力端子として、ミニD-Sub15ピンとHDMI出力を備えている。ディスプレイは、15.6型非光沢のフルHD液晶。タッチには非対応だ。

 ネットワークは、有線LANがGigabit Ethernetで、無線LANがIEEE 802.11a/b/g/n/ac。Bluetooth 4.2にも対応している。

 そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×3、USB 2.0、100万画素Webカメラ、ExpressCard/54スロット、接触型ICカードリーダ、SD(HC/XC)/MMC対応カードリーダ、ヘッドフォン(光SPDIF兼用)出力、マイク入力、専用ドッキングステーション接続ポートを搭載。先に書いたように、ドッキングステーション対応、ExpressCard/54スロットと接触型ICカードリーダ搭載が本機のポイントとなる。

 サイズは382×260×33mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約2.65kg。バッテリ駆動時間は約4.0時間。

 税別価格は107,980円からとなり、カスタマイズで、メモリ増設、ストレージに1TB HDD、120GBから512GBのSSD、増設用M.2 SSDなど、さまざまな構成にすることが可能だ。

前面。パネル中央上にWebカメラ。正面側面(やや右寄り)に各種ステータスLED
天板はマット調な黒にロゴだけとシンプル。下側の切れ目のある部分がバッテリ
左側面。電源入力、ミニD-Sub15ピン、Gigabit Ethernet、USB 3.0×3(奥がPowered)、HDMI出力、ExpressCard/54スロット、SD(HC/XC)対応カードリーダ
右側面。ロックポート、DVDスーパーマルチドライブ、ヘッドフォン(光SPDIF兼用)出力、マイク入力、USB 2.0
キーボードはアイソレーションタイプの10キー付き。タッチパッドは物理的な2ボタンに加え、指紋認証センサーを備える
裏面は左側に大き目の排気口。バッテリは着脱式。メモリなどにアクセスできるようなパネルはない。DVDスーパーマルチドライブの下に接触型ICカードリーダ用のスロットを備える
斜め後ろから。本体のみの場合は背面にポートなどはない
キーピッチは実測で約19mm
ドッキングステーションのコネクタ。カバーの部分がスライド式になっており、非ドッキング時はコネクタを保護できる
付属のACアダプタとバッテリ。ACアダプタのサイズは約105×45×30mm(同)、重量231g。出力19v/3.42A

 筐体はトップカバーも含め、基本マットな黒一色。15.6型で2スピンドルなので、それなりに大きく重たいが、特別重量級クラスというわけでもない。

 正面パネル中央上にWebカメラ。正面側面やや右側に各種ステータスLED。左側面に電源入力、ミニD-Sub15ピン、Gigabit Ethernet、USB 3.0×3、HDMI出力、ExpressCard/54スロット、SD(HC/XC)/MMC対応カードリーダ。奥のUSB 3.0がPoweredになっている。

 右側面は、ロックポート、DVDスーパーマルチドライブ、ヘッドフォン(光SPDIF兼用)出力、マイク入力、USB 2.0。写真からは分かりにくいが、DVDスーパーマルチドライブの下に接触型ICカードリーダ用のスロットがある。後ろは特になにもなく、バッテリは着脱可能だ。付属のACアダプタのサイズは約105×45×30mm(同)、重量231g。

 裏はメモリなどにアクセスできる小さいパネルはないものの、結構大きい面積のパネルがある。外せば内部が見えそうだが、今回は試していない。手前左右のスリットがスピーカーで、左側に大き目の排気口がある。

 バッテリのすぐ上にあるスライド式のカバーの下にドッキングステーションのコネクタが配置されている。左右の凹みに合わせてドッキングステーションとドッキングする。

 ディスプレイは15.6型で非光沢。明るさコントラスト、発色も十分。視野角は通常位置からであれば特に気にならないが、一般的な広さとなる(IPSやTNといったパネル種別は記載されていない)。

 キーボードは10キー付きのアイソレーションタイプ。たわむ部分もなく、フィーリングは良い。主要キーのキーピッチは実測で約19mm。右手前の部分が若干狭くなっているものの、許容範囲だろう。タッチパッドは物理的なボタンが2つあるタイプで、ボタン間に指紋認証センサーがある。ボタンのストロークはかなり浅め。

 ノイズや振動などは、試した範囲で特に問題なかった。発熱については、ベンチマークテスト中、左側が気持ち温かくなる程度だった。サウンドは最大にすればそれなりに鳴りだす。

ストレージがHDDなのでバランスは今1つ

 OSは64bit版のWindows 10 Home。カスタマイズでWindows 10 Proも選択できる。初期起動時のスタート画面(タブレットモード)は1画面で、特に追加されたタイルはなく、標準そのまま。デスクトップも壁紙の変更と、ノートンセキュリティへのショートカット追加だけで、至ってシンプルだ。

 HDDは5,400rpm/500GBのWDC「WD5000LPCX」。Cドライブのみの1パーティションで、約464.77GBが割り当てられ、空き容量は443GB。DVDスーパーマルチドライブはTSSTcorp「CDDVDW SU-208GB」を搭載している。Gigabit EthernetとWi-Fi、BluetoothはIntel製だ。

スタート画面(タブレットモード)。1画面でWindows 10標準
起動時のデスクトップ。壁紙の変更と、ノートンセキュリティへのショートカットのみ
デバイスマネージャ/主要なデバイス。HDDは5,400rpm/500GBのWDC「WD5000LPCX」。DVDスーパーマルチドライブはTSSTcorp「CDDVDW SU-208GB」。Gigabit EthernetとWi-Fi、BluetoothはIntel製
HDDのパーティション。Cドライブのみの1パーティションで、約464.77GBが割り当てられている

 プリインストールのソフトウェアは、Windowsストアアプリは特になく、デスクトップアプリは「ノートンセキュリティ」と「CONTROL CENTER」のみ。このほかは、各種デバイスのツール系となる。「CONTROL CENTER」は画面キャプチャからも分かるように、本機に関する設定や確認などが可能だ。

CONTROL CENTER/システムプログラム
CONTROL CENTER/デバイス
Syaptics TouchPad

 ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、「PCMark 8 バージョン2/Home accelerated」、バッテリ駆動時間テストは「BBench」。また「CrystalMark」の結果も掲載した(今回は4コア8スレッドと条件的に問題があるので参考まで)。

 winsat formalの結果は、総合 5.9。プロセッサ 8.3、メモリ 8.3、グラフィックス 6.1、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 5.9。メモリのバンド幅は20,401MB/s。

 PCMark 8 バージョン/Home acceleratedは3,351で、CrystalMarkは、ALU 75,564、FPU 69,138、MEM 77,570、HDD 17,988、GDI 17,988、D2D n/a、OGL 14,765。ストレージ以外はCore i7ということもありハイスコアなだけに、SSDが欲しいところだ。

 BBenchは、バックライト最小、キーストローク出力オン、Web巡回オン、Wi-Fiオン、Bluetoothオンでの結果だ。バッテリの残5%で22,645秒/6.3時間。仕様上は約4.0時間だが、2時間程度伸びている。このクラスでこれだけ持てば十分合格ラインだろう。

「winsat formal」コマンド結果。総合 5.9。プロセッサ 8.3、メモリ 8.3、グラフィックス 6.1、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 5.9
PCMark 8 バージョン2/Home acceleratedは3,351
PCMark 8 バージョン2/Home accelerated(詳細)。CPUクロックは400MHz辺りから最大の3.6GHzまで激しく上下している。温度は44℃から最高で70℃近くまで上昇する
BBenchのバックライト最小、キーストローク出力オン、Web巡回オン、Wi-Fiオン、Bluetoothオンでの結果。バッテリの残5%で22,645秒/6.3時間
CrystalMark。ALU 75,564、FPU 69,138、MEM 77,570、HDD 17,988、GDI 17,988、D2D n/a、OGL 14,765

オプションでドッキングステーションにも対応

 冒頭で触れたが、オプションではあるものの、本製品はドッキングステーションに対応している。このクラスは元々それなりに筐体が大きく、スペース的にポートも色々配置できるため珍しいと言えよう。また単にポートが増えるだけでなく、2.5インチのストレージを内蔵できるのも嬉しいポイントだ。

 ドッキングステーションは、左サイドに2.5インチマウンタ、右サイドにUSB 3.0×3。手前がPoweredとなる。後ろにUSB 3.0、DVI、HDMI出力、ミニD-Sub15ピン、シリアルポート、Ethernet、電源入力、音声入出力、USB 2.0×3を搭載。本体にはないDVI出力やシリアルポートが増える。

 2.5インチのマウンタに関しては、そのままでは外れず、写真の赤いライン部分のネジを1本外す必要がある。今回はSSDとなっているが、一般的にはこちらが大容量HDD、本体側がSSDとなるだろうか。

 これだけあれば、ドッキングステーション側に大容量ストレージ、USBでの入出力デバイス、ディスプレイやネットワークを常時接続し、ガチャンと本体とドッキングすれば直ぐに利用可能となり、かなり便利そうだ。

左。2.5インチマウンタ
右。USB 3.0×3(手前がPowered)
後ろ。USB 3.0、DVI、HDMI、ミニD-Sub15ピン、シリアルポート、Ethernet、電源入力、音声入出力、USB 2.0×3
内蔵ストレージ。ラベル左側にあるネジを1本外すとマウンタが外れる
ドッキングコネクタ。コネクタの左右にある2つの凸が本体の凹に合う
着脱レバー。ロックスイッチをロック側にしないと、ドッキングステーションに電源供給されていても、本体側へは電源が供給されない

 ドッキングするには、本体のドッキングコネクタ部にあるカバーをスライドしてコネクタを出し、ドッキングコネクタ左右にある凸を本体の凹に合わせドッキング。その後、着脱レバー横にあるロックスイッチをロック側にすると、ドッキングステーションに接続したACアダプタから本体へ電源が供給される。

 写真は掲載しなかったが、ドッキングステーション付属のACアダプタは、本体付属のものより一回り大きく、電圧は同じだが、4.74Aと電流が増えている。これは各種ポートが追加されている関係からだと思われる。

 扉の写真から分かるように、ドッキングステーション装着時、かなり傾斜が付き、(個人差もあるだろうが)キー入力がしやすくなっている。本体を中央に、左右に外部モニタを配置する使い方もアリだろう(本体の液晶ディスプレイも含め最大3画面に対応する)。

 価格は、ストレージ非搭載の標準モデル「DS200」で11,500円。そのほか、500GB HDDや1TB HDD搭載モデルも用意されている。それほど高価でもないので、「Stl-15FH045-i7T-FE」と共に是非とも購入したいオプションだ。

ドッキングすると通知でポートが増えたことが分かる
ボリュームEが追加された
デバイスマネージャ上では、SSDとCOMポートが増えている

 1つ注意点があるとすれば、オーディオやUSBは本体側と同時に使用可能であるが、Gigabit Ethernetに関してはドッキング時、ドッキングステーション側が有効となる。とは言え、一般的な用途で有線LANが2系統必要なケースはなく、特に問題ではないだろう。

 以上のようにユニットコム「Stl-15FH045-i7T-FE」は、Core i7を搭載した15.6型スタンダードノートPCだ。本体に接触型ICカードリーダ、オプションでドッキングステーションに対応し、後者には2.5インチストレージを搭載可能。またシリアルポートも追加され、色々な用途に対応できるマシンに仕上がっている。ストレージがHDDなのが残念ではあるが、オプションでさまざまな構成を選択可能だ。

 多くのストーレジやインターフェイス、3画面出力が必要なクリエイター、もしくは業務用など、一般的なノートPCにはないインターフェイスが必要なユーザーに、特にお勧めしたい逸品と言えよう。

(西川 和久http://www.iwh12.jp/blog/