西川和久の不定期コラム

エプソン「Endeavor S TY5100S」
~Ivy Bridgeを搭載したミニタワーPC



 少し前に同社のスリムなデスクトップPC「Endeavor S TY1100S」をご紹介したが、今回編集部から送られて来たのは、ミニタワーPCタイプの「TY5100S」だ。Ivy Bridgeを搭載、ケースのデザインを一新した。早速試用レポートをお届けする。


●Ivy Bridgeを搭載したオーソドックスなミニタワーPC

 ミニタワーPCの「Endeavor S TY5100S」は、同社のSシリーズに属し、カスタマイズ項目が少なく、限定されたサポート、国際エネルギースター5.0を取得していないなど、コストのかかる部分を削り、その分価格が抑えられたSシリーズの新型モデルとなる。

 基本構成は64bit版Windows 7 Home Premium SP1、Intel Core i3-2120(3.3GHz)、Intel H77 Express、メモリ4GB(2GB×2)、HDD 500GB(7,200rpm)、DVDスーパーマルチドライブで価格は54,810円。現在、第3世代のCore i3が未発表の関係もあり、Ivy Bridge対応なのにプロセッサが第2世代なのは残念だが、国内メーカー製で5万円台と低価格で、わりとうまくまとめられた構成だ。

 カスタマイズでプロセッサ、メモリ、ストレージなどを変更可能で、今回届いたマシンの仕様は以下の通り。

【表】エプソン「Endeavor S TY5100S」の仕様
CPUCore i5-3450(4コア/4スレッド、
クロック3.1GHz/Turbo Boost 3.5GHz、キャッシュ 6MB、TDP77W)
チップセットIntel H77 Express
メモリ8GB/PC3-12800(4スロット/空き2)
HDD500GB(7,200rpm、SATA 6Gbps)
光学ドライブDVDスーパーマルチドライブ
OSWindows 7 Home Premium SP1(64bit)
グラフィックス内蔵Intel HD Graphics 2500、DVI-D、ミニD-Sub15ピン
ネットワークGigabit Ethernet
その他USB 2.0 前面×1/背面×4、USB 3.0 前面×2/背面×2、
IEEE 1394、
CFカード/SDカード/メモリースティック対応カードリーダ、PS/2×2、音声入出力
拡張スロットPCI Express x16/x4が各1、x1が各2
電源450W(80PLUS Bronze)
サイズ/重量179×406×368mm(幅×奥行き×高さ)/約9.9kg
直販価格70,560円(送料2,625)

 プロセッサはCore i5-3450。4コア4スレッドでクロックは3.1GHz。Turbo Boost時3.5GHzまで上昇する。デスクトップ向けの4コアCore i5なので、Hyper-Threadingは非対応だ。チップセットはIntel H77 Express。メモリスロットは4つあり4GB×2の計8GB。ストレージは、7,200rpmのHDD 500GBと、DVDスーパーマルチドライブを搭載する。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 2500。なおCore i3はIntel HD Graphics 2000、Core i7はIntel HD Graphics 4000となる。出力はDVI-D、ミニD-Sub15ピン。HDMIやDisplayPortは未対応となっている。

 インターフェイスは、Gigabit Ethernet、USB 2.0 前面×1/背面×4、USB 3.0 前面×2/背面×2、IEEE 1394、CFカード/SDカード/メモリースティック対応カードリーダ、PS/2×2、音声入出力。無線LANやBluetoothは搭載していない。前面背面共にUSB 3.0があり使いやすそうだ。

 拡張スロットは、PCI Express x16/x4が各1、x1が各2。基本構成では全てのスロット未実装で、オプションでNVIDIAのGeForce GTS 450(1GB)を選ぶことも可能。

 サイズは179×406×368mm(幅×奥行き×高さ)、重量約9.9kg。80PLUS Bronze対応の450W電源ユニットを搭載する。

 カスタマイズでは、プロセッサにCore i3-2120/Core i5-3450/Core i7-3770、メモリ 4GBまたは8GB(PC3-12800 DDR3 SDRAM)、128GBのSSD、500GBのセカンドドライブ、BDドライブ、コードレスマウス/キーボードなども選べるようになっている。

 気になる「Endeavor S TY1100S」との違いは、ミニタワーPCかスリムデスクトップPCか以外の部分としては、電源ユニットが300W(80PLUS Bronze)になっている程度。基本構成の価格も54,810円と仕様も含め同一。カスタマイズで選べる内容もほぼ同じ(サイズ的にディスクリートGPUが異なる)。従って拡張性を取るかスペースを取るかといったところだろうか。

フロント。ホワイトとダークグレーの2色のカラーリングで結構カッコいい左。丁度プロセッサの上にメッシュがある。右側面にはロゴのみ背面電源とケースに冷却ファンが2基。拡張スロットは全て空き
インターフェイス部。PS/2×2、USB 2.0×4、IEEE 1394、DVI-D、ミニD-Sub15ピン、USB 3.0×2、Ethernet、音声入出力パネルを開いたところ。CFカード/SDカード/メモリースティック対応カードリーダディスクリートGPUが無いのですっきりしている。フロントに冷却ファンは無い
内部(CPU周辺)。プロセッサの右側に4つのメモリスロット。PCI Expressの拡張バスは全て空き電源ユニット。80PLUS Bronzeに対応した450W付属品。USBインターフェイスのマウスとキーボード、サポートCD-ROMなど

 流石にスリムケースの「Endeavor S TY1100S」とは違い、ミニタワーなので見た目は、迫力も安定感もある。ダークグレーとホワイトでうまくまとめられたフロントパネルは、カッコよくかつどこに置いても違和感の無い雰囲気だ。

 各種インターフェイスは、フロントにはUSB 3.0×2、USB 2.0×1、音声入出力、そしてパネルを開けるとカードリーダ。リアにはPS/2×2、USB 2.0×4、IEEE 1394、DVI-D、ミニD-Sub15ピン、USB 3.0×2、Gigabit Ethernet、音声入出力が配置され、使いやすそうにまとまっている。

 ケースの立付けはガタ付くこと無くしっかりしており、3.5インチのシャドウベイは、ロックとネジを外せば簡単にユニットへアクセスできる構造でメンテナンス性は高い。内部はご覧のようにスッキリしていることもあり、何かに引っかかることも無い。メモリはプロセッサの右横に4スロット配置されてる。

 冷却ファンは電源ユニット、プロセッサ用、リアパネルで計3つ。起動時一瞬音が出るが、落ち着くと直ぐに気にならないレベルになる。机の上に設置しても問題無いだろう。

 スペック的にもルックス的にもIvy Bridgeを搭載したミニタワーPCとしてオーソドックスにまとめられ、初心者から玄人まで、幅広いユーザー層が使えるPCに仕上がっている。

●安心して使えるパフォーマンス

 OSは64bit版Windows 7 Home Premium SP1。メモリが8GBなので、Intel HD Graphics 2500と併用しても余裕がある。また先に触れたが、デバイスマネージャのプロセッサ数からわかるように、Intel Core i5-3450はハイパースレッディング非対応だ。

 HDDは500GB/7,200rpm/SATA 6Gbps/16MBの「ST500DM002」。C:ドライブのみの1パーティションで約465GBが割当てられ初期起動時の空きエリアは432GB。光学ドライブは「Optiarc DVD RW AD-7290H」を搭載。カードリーダはUSB接続となっている。

 IEEE 1394は「VIA 1394 OHCI Compliant Host Controller」、Ethernetは「Intel 82579V Gigabit Network Connection」が使われている。セキュリティチップも搭載。

起動時のデスクトップ。「Endeavor S TY1100S」と全く同じだ。新しいモデルになって「nero Kwik Media」が追加されているデバイスドライバ。HDDは500GB/7,200rpm/SATA 6Gbps/キャッシュ16MBの「ST500DM002」。光学ドライブは「Optiarc DVD RW AD-7290H」、カードリーダはUSB接続C:ドライブのみの1パーティション。約465GBが割当てられている

 プリインストールのアプリケーションは、「nero Kwik Media」、「Nero 10」、「Corel WinDVD」、「マカフィー セキュリティーセンター」や各デバイスのツール系。カスタマイズでMicrosoft Office 2010、各種セキュリティ対策ソフトウェアなども選ぶことができる。

 同社のデスクトップは、かなり前からほとんど変わらず(アプリケーションのバージョンは時代によって変わっているが)、長年のユーザーであれば、PCを入替えても違和感無く、使い始めることができる。

ホットキー設定ユーティリティNero Kwik MediaPCお役立ちナビ

 ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとCrystalMarkの結果を見たい。

 Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 5.1。プロセッサ 7.5、メモリ 7.9、グラフィックス 5.1、ゲーム用グラフィックス 6.4、プライマリハードディスク 5.9。一般的なCore i5を使い、拡張ボードなどは一切無しでこれだけのスコアなのだから、普段使いには十分。また構成されるパーツも少ないので、省エネにもなる。

 CrystalMarkは、ALU 74610、FPU 61146、MEM 59923、HDD 13379、GDI 19218、D2D 2658、OGL 7994。第3世代のCore i7よりは若干劣るが、それでもヘビーなゲームでもしない限り十分な性能と言えよう。

Windows エクスペリエンス インデックス。総合 5.1。プロセッサ 7.5、メモリ 7.9、グラフィックス 5.1、ゲーム用グラフィックス 6.4、プライマリハードディスク 5.9CrystalMark。ALU 74610、FPU 61146、MEM 59923、HDD 13379、GDI 19218、D2D 2658、OGL 7994

 以上のようにエプソン「Endeavor S TY5100S」は、Ivy Bridgeに対応し、プロセッサにCore i3-2120/Core i5-3450/Core i7-3770を選べるミニタワーPCだ。

 カスタマイズ項目が少なく、限定されたサポート、国際エネルギースター5.0を取得していないSシリーズだが、その分価格も抑えられ、Core i3なら54,810円からと、国産のメーカー製としてはリーズナブルな価格が魅力的。Ivy BridgeなミニタワーPCを求めているユーザーの候補となりえる1台ではないだろうか。