西川和久の不定期コラム

小さな巨人、再び。Ryzen AI 9 HX 470+64GBメモリ搭載のミニPC、GMKtec「EVO-X1 Pro」

 2025年3月にGMKtec「EVO-X1」をご紹介した。ミニPCの中でもサイズが小さく、その割に高性能。筆者お気に入りの逸品だった。その後継モデルが編集部からが送られてきたので試用レポートをお届けしたい。

プロセッサをRyzen AI 9 HX 470に変更

 冒頭にも書いたが2025年3月にGMKtec「EVO-X1」をご紹介した。コンパクトな割にUSB4/OCuLink、M.2 SSD x2、そしてLPDDR5X-7500となかなかの性能。

 今回は、この後続モデルに相当する「EVO-X1 Pro」の登場となる。多くは上記の特徴そのまま、プロセッサをRyzen AI 9 HX 470に変更したモデルだ。主な仕様は以下の通り。

GMKtec「EVO-X1 Pro」の仕様
プロセッサRyzen AI 9 HX 470(12コア24スレッド/Zen 5 4コア+Zen 5c 8コア/Zen 5: 最大5.2GHz/Zen 5c: 最大3.3GHz/L2 12MB+L3 24MB/TSMC 4nm/静音35W・バランス54W・パフォーマンス最大65W)
メモリLPDDR5-6400 64GB(オンボード・増設不可)
ストレージ1TB(M.2 2280)、2スロット(PCIe 4.0 x4/1つ空き)
OSWindows 11 Pro(25H2)
グラフィックスRadeon 890M(16コア)/HDMI 2.1、DisplayPort 2.1、Type-C
ネットワーク2.5GbE ×2、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4
インターフェイスUSB4、USB 3.2 Gen 2 4基、3.5mmジャック、OCuLink
サイズ/重量約111×107×63mm(幅×奥行き×高さ)、590g
価格25万1,999円(2TBモデル27万8,799円)

 プロセッサはRyzen AI 9 HX 470。12コア24スレッドで、/Zen 5 4コア+Zen 5c 8コアの構成。クロックはZen 5が最大5.2GHz、Zen 5cが最大3.3GHz。キャッシュはL2 12MB/L3 24MB。TSMC 4nmプロセスで、NPUはXDNA 2を内包し最大55TOPS、CPU+GPU+NPUのシステム全体では最大86TOPSを実現。前作HX 370(システム最大80 TOPS)から気持ち強化されている。静音35W/バランス54W/パフォーマンス最大65Wの3モードを備え、上限が引き上げられた。

 メモリは上記のようにLPDDR5-6400 64GB。オンボードなので増設できないものの、その分容量は最初から64GB。何をするにも十分な容量といえる。なお、EVO X1のLPDDR5X-7500と比べると帯域幅が低下しているのが残念。昨今のメモリ高騰の影響でLPDDR5X-7500の調達が難しくなっているためなのだろうか?

 ストレージはM.2 2280のPCIe 4.0 SSDで1TBまたは2TB構成。スロットが2基あるので増設可能だ(各スロット最大8TB、合計最大16TB対応)。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵のAMD Radeon 890M(16コア、最大3.1GHz)。外部出力用にHDMI 2.1(最大8K@60Hz)、DisplayPort 2.1(最大8K@60Hz)、USB4(最大4K@60Hz)を装備し、最大3画面の同時出力に対応する。

 OSはWindows 11 Pro。25H2だったのでこの範囲でWindows Updateを適用し評価している。

 ネットワークは2.5GbE 2基、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4。そのほかのインターフェイスは、前面にUSB 3.2 Gen 2 2基、OCuLink、フル機能USB4(PD 3.0最大100W入力対応)、3.5mmジャック、電源ボタン。背面にUSB 3.2 Gen 2 2基、2.5GbE 2基。

 サイズは約111×107×63mm、重量は約590g。EVO-X1と同じ超コンパクトサイズだ。価格は公式ストアで64GB+1TBがセール価格25万1,999円(通常29万6,469円)、64GB+2TBが27万8,799円(通常34万8,499円)。執筆時、クーポン「X1PROSP」で5,000円引きとなる。当時(X1の頃)から比べると10万円ほど(クーポン使用時)上がっている。

前面。USB4、OCuLink、USB 3.2 Gen 2 2基、3.5mmジャック、電源ボタン
背面。USB 3.2 Gen 2 2基、HDMI、DisplayPort、2.5GbE x2、電源入力
裏面とiPhone 16 Pro。ミニPCの中でもかなり小さい
付属品。スタンド、ACアダプタ(サイズ約132×57×33mm/重量408g/出力120.8W)、HDMIケーブル
BIOS / Main。起動時[DEL]キーで表示
BIOS / Advanced
重量は実測で592g
いつものキーボード付きモバイルモニターへ接続。USB4があるのでType-Cケーブル1本で接続可能

 筐体はX1とまったく同じ。コの字のフレーム部分の色だけ違う感じだ(最後にX1 Pro/X1とのツーショット写真あり)。iPhone 16 Proとの比較写真からも分かる様にミニPCの中でもかなりコンパクト。USB4がPD 100W入力に対応しているので、対応モニタさえあればACアダプタは不要。実測592gなのでポンとカバンに入れ何処へでも持ち運び利用可能だ。

 前面にUSB4、OCuLink、USB 3.2 Gen 2 2基、3.5mmジャック、電源ボタン。背面にUSB 3.2 Gen 2 2基、HDMI、DisplayPort、2.5GbE 2基、電源入力を配置。裏はゴム足4つのみ。

 付属品はスタンド、ACアダプタ(サイズ約132×57×33mm/重量408g/出力120.8W)、HDMIケーブル。いつものキーボード付きモバイルモニターへはUSB4があるのでType-Cケーブル1本でOK。BIOSは起動時[Del]キーで表示する。

 内部へのアクセスは、おそらく数あるミニPCの中でも最も簡単。まず裏のゴム足はねじ止めになっているので外すとコの字のフレームが外れる。次に四隅にネジがあるのでこれも外せば内部にアクセスできる。

 内部にはM.2 2280のスロットが2つあり。1つ空き。以前はCrucial製が使われていたが、さすがに違うのが入っている。メモリはオンボードなので増設は不可。

裏の足がネジになっているのでそのまま回すと外側のコの字のフレームが外れる
内部パネル4つのネジを外せばM.2スロットにアクセスできる。メモリはオンボードなので増設不可
内部のファンが7色に光る

 ノイズは試用した範囲では特に気にならなかった。発熱も負荷をかけるとちょっと暖かくなる程度。またX1でもそうだったが、ファンが7色に光る。暗い場所だと綺麗は綺麗なのだが、なぜ光らせているのか謎?なのは相変わらずだ(笑)。

LPDDR5-6400の影響か?X1より少しパフォーマンスが落ちる

 初期起動時、GMKtec Clawのアイコンなどがデスクトップに並んでいる。以前ご紹介した同社のミニPCに入っていたのと同じものだ。

 OpenClawのGMKtec版が入っており、ローカルでのLLMを使うか、サブスクで同社のサービスを使う形式となる。そのほかはWindows 11 Pro 25H2標準。構成が構成なだけにサクサク動作する。

 SSD 1TBは「ZHITAI Ti600 1TB」。仕様によると、シーケンシャルリード 7,000 MB/s、シーケンシャルライト 6,000 MB/sと、結構速く、CrystalDiskMarkのスコアもそのまま出ている。C:ドライブのみの1パテーションで約929GB割り当てられ空き868GB。

 2.5GbE 2基はIntel Ethernet Controller I226-V、Wi-FiはRZ717 WiFi 7、BluetoothもRZ717。

初期起動時のデスクトップ。Windows 11 Pro(25H2)標準に加えGMKtec Clawのアイコンが並ぶ
デバイスマネージャー/主要なデバイス。SSD 1TBは「ZHITAI Ti600 1TB」。2.5GbE x2はIntel Ethernet Controller I226-V、Wi-FiはRZ717 WiFi 7、BluetoothもRZ717
ストレージのパーティション。C:ドライブのみの1パテーションで約929GB割り当てられている
AMD Software Adrenalin Edition

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH、CrystalDiskMarkを使用した。なお電源はバランス54Wモードを使用。X1と3DMarkのスコアを見比べるとIce Storm Extreme、Ice Storm以外はすべて若干下がっている。やはりiGPUなだけにLPDDR5-6400とLPDDR5X-7500の差が出ているようだ。

PCMark 10 v2.3.2912
PCMark 10 8,644
Essentials10,828
App Start-up Score10,038
Video Conferencing Score9,058
Web Browsing Score13,965
Productivity13,822
Spreadsheets Score18,000
Writing Score10,615
Digital Content Creation11,714
Photo Editing Score19,356
Rendering and Visualization Score11,464
Video Editting Score7,244
3DMark v2.32.8897
Time Spy3,878
Fire Strike Ultra2,579
Fire Strike Extreme4,584
Fire Strike8,426
Sky Diver28,392
Cloud Gate39,754
Ice Storm Extreme176,248
Ice Storm207,960
Cinebench 2026
CPUMulti Thread4,949
CPU Single Thread480
CrystalDiskMark 8.0.5
[Read]
  SEQ    1MiB (Q=  8, T= 1):  7094.549 MB/s [   6765.9 IOPS] <  1181.36 us>
  SEQ    1MiB (Q=  1, T= 1):  4889.725 MB/s [   4663.2 IOPS] <   214.34 us>
  RND    4KiB (Q= 32, T= 1):   871.707 MB/s [ 212819.1 IOPS] <   150.12 us>
  RND    4KiB (Q=  1, T= 1):    84.550 MB/s [  20642.1 IOPS] <    48.36 us>

[Write]
  SEQ    1MiB (Q=  8, T= 1):  6105.747 MB/s [   5822.9 IOPS] <  1367.00 us>
  SEQ    1MiB (Q=  1, T= 1):  5375.443 MB/s [   5126.4 IOPS] <   194.93 us>
  RND    4KiB (Q= 32, T= 1):   737.091 MB/s [ 179953.9 IOPS] <   177.62 us>
  RND    4KiB (Q=  1, T= 1):   263.131 MB/s [  64241.0 IOPS] <    15.49 us>

 最後にせっかくOCuLinkがあるので、GeForce RTX 5060 Ti(16GB)を接続し、LM Studioを起動。話題のQwen3.8 27B(GGUF/Q4_K_M)を動かしてみた。結果は12.12tok/s、1stトークン2.15sとあまり速くないものの動作を確認した。

OCuLinkでGeForce RTX 5060 Ti(16GB)を接続
LM StudioでQwen3.8 27B(Q4_K_M)をロード。12.12tok/s、1stトークン 2.15s

X1 Pro(左)とX1(右)のツーショット。コの字のフレームの色が異なる以外は同じ

 以上のようにGMKtec「EVO-X1 Pro」は、EVO-X1のプロセッサをRyzen AI 9 HX 470に載せ替えた2026年モデルだ。コンパクトな筐体に2.5GbE 2基、USB4、OCuLink、M.2 2280 2基など詰め込まれ非常に魅力的な1台に仕上がっている。

 ただメモリがLPDDR5X-7500からLPDDR5-6400へ、円安とメモリ高騰の影響で価格が上がってしまったのは残念だが、それでもコンパクト+拡張性が欲しいユーザーに使ってほしい1台と言えよう。