西川和久の不定期コラム

Ryzen AI搭載で1kg切り!の軽量モバイルノート「HP OmniBook 7 Aero 13-bg」

製品写真

 普段持ち歩くノートPCであれば軽ければ軽いほど良い。ただしパフォーマンスはもちろん、パネル、キーボード、そしてデザインも重視したい!といった欲張りなユーザーにピッタリな1台「HP OmniBook 7 Aero 13-bg」を今回はご紹介したい。

Ryzen AI 7 350/32GB/1TB。13.3型WUXGAで約1kgのモバイルノートPC!

 少し前に筆者が似たような用途でノートPCを購入した記事を書いた。ただパネルはOLED!と欲張ったため、Windows on Arm(WoA)な1台になってしまったのはご存知の通り。当時SoftEtherが使えないと書いていたものの、WSL2でLinux版を使えばOKなのが分かり、今は個人的な弱点はなく快適に使用している。

 話が脱線してしまったが、重量1kg以下、パフォーマンスや容量も今風、そしてパネル、キーボード、デザイン……と、すべての要素が揃っているのが今回ご紹介するHP「OmniBook 7 Aero 13-bg/パフォーマンスプラスモデル」だ。

 詳細は後述するが、Ryzen AI 7 350/32GB/1TB。13.3型1,920×1,200ドット(WUXGA)、キーボードバックライトあり、そしてルックスは扉の写真通り。なかなかGoodな1台に仕上がっている。主な仕様は以下の通り。

HP「OmniBook 7 Aero 13-bg/パフォーマンスプラスモデル」の仕様
プロセッサRyzen AI 7 350 (8コア/16スレッド、最大5GHz、L2キャッシュ 8MB/L3キャッシュ 16MB、TDP 28W/cTDP 15-54W、NPU 最大50 TOPS)
メモリ32GB LPDDR5x-7500MT/s (オンボード)
ストレージ1TB M.2 SSD (PCIe 4.0 NVMe)
OSWindows 11 Home(24H2)/Copilot+ PC対応
ディスプレイ13.3型1,920×1,200ドット、非光沢、400nit、sRGB 100%
グラフィックスRadeon 860M(8コア/HDMI 2.1、Type-C)
ネットワークWi-Fi 6E対応、Bluetooth 5.3
インターフェイスUSB 3.2 Gen 2 Type-C 2基(Power Delivery、DisplayPort 2.1、電源オフUSBチャージ機能対応)、USB 3.2 Gen 2、USB 3.2 Gen 1、音声入出力、500万画素IR カメラ(プライバシーカメラスイッチ付き)
カラーバリエーショングレイシャーシルバー、セラミックホワイト
バッテリ/駆動時間3セル リチウムイオンポリマーバッテリ/最大15時間30分
サイズ/重量297×211×16.5~17.4mm、約1kg
価格15万9,900円(キャンペーンモデル)

 プロセッサはRyzen AI 7 350。8コア/16スレッドで最大5GHz。L2キャッシュ 8MB、L3キャッシュ 16MB。TDP 28W/cTDP 15~54W。8コアの内訳はZen 5が4コア、Zen 5cが4コアとなっている。もちろんNPUも内包し最大50 TOPS。Copilot +PC対応となる。

 メモリはオンボードで32GB LPDDR5x-7500MT/s。ストレージは1TB M.2 SSD (PCIe Gen4 NVMe)。OSはWindows 11 Home。24H2だったのでこの範囲でWindows Updateを適用、評価した。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Radeon 860M(8コア)。外部出力用にHDMI 2.1とUSB Type-Cを装備している。パネルは非光沢の13.3型1,920×1,200ドット。最大400cd/平方mと明るく、色域sRGB 100%。十分な性能だ。

 ネットワークは、Wi-Fi 6E対応、Bluetooth 5.3。そのほかのインターフェイスは、USB 3.2 Gen 2 Type-C 2基(Power Delivery、DisplayPort 2.1、電源オフUSBチャージ機能対応)、USB 3.2 Gen 2、USB 3.2 Gen 1、音声入出力、500万画素IR カメラ(プライバシーカメラスイッチ付き)。

 カラーバリエーションはグレイシャーシルバー、セラミックホワイトの2色。3セル リチウムイオンポリマーバッテリを内蔵し、最大15時間30分駆動可能。サイズ297×211×16.5~17.4mm、重量約1kg。

 そして価格がキャンペーンモデルで15万9,900円。ハイエンドなノートPCだと20万円を超える機種が多い中、構成を考慮すると結構安いのではないだろうか?

 キャンペーンモデルのラインアップとしてRyzen AI 5 340/16GB/512GBで12万9,900円、Ryzen AI 7 350 /16GB/1TBで14万9,900円も用意されている。3万円の差なら今回ご紹介するモデルがコストパフォーマンスがいいとも言える。なおこれらは重量970gだ。

前面。上下の縁はそこそこあるが横は狭い。パネル中央上にWebカメラとプライバシーカメラスイッチ
背面。セラミックホワイトでなかなか綺麗。中央にHPのロゴ
左側面。USB 3.2 Gen 1、3.5mmジャック
右側面。USB 3.2 Gen 2、HDMI、USB 3.2 Gen 2 Type-C 2基
キーボードはJIS配列。電源ボタンの横に[DEL]キーがあるのは気になると言えば気になる
キーピッチは実測で約19mm
横から。USB Type-Aの高さから分かるようにそれなりにスリム
裏。前後に1本バーのゴム足と左右にスピーカー用スリット
付属のACアダプタのサイズ約89×49×29mm、重量236g、出力65W
重量は実測で1,005g
キーボードバックライトはオフ+2段階

 筐体はご覧のようにセラミックホワイト。ちょっと汚れが目立ちそうだが、それさえなければとても綺麗だ。重量は実測で1,005g。1kgを少し超えているものの、目くじら立てるほどでもないだろう。片手でひょい!と持ち上がり非常に軽い。

 左側面にUSB 3.2 Gen 1、3.5mmジャック。右側面にUSB 3.2 Gen 2、HDMI、Type-C x2を配置。裏は前後に1本バーのゴム足と左右にスピーカー用スリット。ACアダプタはサイズ約89×49×29mm、重量236g、出力65W。Type-Cで同程度の出力があればほかのアダプタからも充電できる。

 13.3型のディスプレイは非光沢で映り込みが少なく非常に見やすい。その分、光沢型のような派手さはないものの、仕事用と考えれば問題ない。明るさ、コントラスト、発色、視野角すべて必要十分。なかなか良いパネルが使われている。

 i1 Display Proを使い特性を測ったところ、最大輝度447cd/平方mとかなり明るい。写真の鑑賞/編集で最適とされる標準の明るさ120cd/平方mは、輝度-5stepで153cd/平方m、-6stepsで111cd/平方m。前者で測定した。黒色輝度は0.153cd/平方m。液晶パネルとしては一般的だ。リニアリティは悪くないのだが、RGBが結構バラけている。補正量的に青が多めから分かるように、補正後は青っぽくなった。

測定結果1/白色点と黒色輝度
測定結果2/R・G・Bのリニアリティ

 キーボードはJIS配列でオフ+2段階のバックライト付き。キーピッチは主要キーが約19mm。手前が少し狭くなっているものの許容範囲だろう。[Enter]キーの外側にキーもない。ただ[電源]ボタンの右に[DEL]キーがあるのは気になるところか。打鍵感は浅くもなく深くもなく、割とカチッとした感じで個人的には好みだ。タッチパッドも十分な面積を確保しており扱いやすい。

 WebカメラはWeb会議的な使い方であれば十分な画質だ。後述するHP Enhanced Lighting(パネルを使ったリングライト)も結構効果がある。

 発熱は本体の後ろ、パネルのヒンジ辺りおよびキーボードの最後尾に結構な熱を持つ。キーボードなどまで熱が降りて来ないので分からないが、ベンチマークテストなど負荷をかけると暖かいというより熱くなる。

 サウンドはスピーカーが裏にあるため、机などに反射し、間接音として耳に届く。この関係でどうしても音はこもり気味に。また最大時のパワーも今一歩欲しいところか。

モバイル用途としては十分な性能!

 初期起動時、プリインストールなどのソフトウェアはあるものの、デスクトップはWindows 11 Homeのまま。特にカスタマイズはされていない。ひと昔前はメーカー製のPCだとアイコンなどが山盛り貼られていたが、ご覧のようにとてもシンプル。構成が構成なだけにストレスもなくサクサク動く。

 なお初期起動時のセットアップシーケンスが変わり、その時点のWindows Updateが(全部ではないものの)適用されるため、結構な待ちが発生する。その替わり、Copilot+ PC対応機であれば初めからリコールをオンにできる(今回はオフにして評価)。

 1TB SSDはMicron「MTFDKBA1T0QGN-1BN1AABHA」。ここによると、シーケンシャルリード7,100MB/s、シーケンシャルライト5,800MB/s。CrystalDiskMarkのスコアもほぼ似た値が出ている。C:ドライブのみの1パーティションで約952GBが割り当てられ空き882GB。BitLockerで暗号化されている。

 Wi-FiはMediaTek Wi-Fi 6E MT7922、BluetoothもMediaTek製だ。デバイスマネージャやタスクマネージャーにはNPUの項目が増えている。

初期起動時のデスクトップ。Windows 11 Home標準
デバイスマネージャ/主要なデバイス。1TB SSDはMicron「MTFDKBA1T0QGN-1BN1AABHA」。Wi-FiはMediaTek Wi-Fi 6E MT7922、BluetoothもMediaTek製
ストレージのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約952GBが割り当てられている。BitLockerで暗号化
タスクマネージャーにNPUの項目が増えている
Software: Adrenalin Edition

 アプリケーションは、「DTS Sound Unbound」、「HP AI Companion」、「HP Documentation」、「HP Enhanced Lighting」、「HP Inc. Energy Star」、「HP PC Hardware Diagnostics Windows」、「HP Privacy Settings」、「HP Smart」、「HP System Event Utility」、「HPサポートアシスタント」、「myHP」など。ほぼ同社のツール系だ。

 HP Enhanced Lightingは何かと思ったら、パネルの輝度が高いことを利用したリングライト。色温度なども変えられ、これはこれで面白い。

myHP (1/2)
myHP (2/2)
DTS Sound Unbound
HP Enhanced Lighting

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23、CrystalDiskMark、PCMark 10/BATTERY/Modern Officeを使用した。

 先月のRyzen AI MAX+ PRO 395搭載機と比較した場合、さすがにiGPUは劣るものの、CPUは結構頑張っているのが分かる。一般的な用途もしくは通常業務であれば十分なパワーだ。

 PCMark 10/BATTERY/Modern Officeは11時間5分(電源モード/バランス、明るさ、バッテリモードなどはシステム標準)。最大15時間30分だが、このテスト内容で8時間超えれば十分ではないだろうか。

PCMark 10 v2.2.2737
PCMark 10 Score6,901
Essentials10,557
App Start-up Score13,487
Video Conferencing Score8,286
Web Browsing Score10,530
Productivity10,446
Spreadsheets Score13,086
Writing Score8,340
Digital Content Creation8,090
Photo Editing Score12,313
Rendering and Visualization Score7,227
Video Editting Score5,951
3DMark v2.31.8385
Time Spy2,724
Fire Strike Ultra1,667
Fire Strike Extreme3,122
Fire Strike5,932
Sky Diver18,866
Cloud Gate27,207
Ice Storm Extreme137,851
Ice Storm169,802
Cinebench R23
CPU11,128
CPU(Single Core)1,925
CrystalDiskMark 8.0.5
[Read]
  SEQ    1MiB (Q=  8, T= 1):  6997.256 MB/s [   6673.1 IOPS] <  1197.39 us>
  SEQ    1MiB (Q=  1, T= 1):  3220.778 MB/s [   3071.6 IOPS] <   325.38 us>
  RND    4KiB (Q= 32, T= 1):   440.182 MB/s [ 107466.3 IOPS] <   288.28 us>
  RND    4KiB (Q=  1, T= 1):    60.277 MB/s [  14716.1 IOPS] <    67.85 us>

[Write]
  SEQ    1MiB (Q=  8, T= 1):  6104.627 MB/s [   5821.8 IOPS] <  1371.57 us>
  SEQ    1MiB (Q=  1, T= 1):  3919.685 MB/s [   3738.1 IOPS] <   267.30 us>
  RND    4KiB (Q= 32, T= 1):   422.663 MB/s [ 103189.2 IOPS] <   292.50 us>
  RND    4KiB (Q=  1, T= 1):   147.389 MB/s [  35983.6 IOPS] <    27.70 us>

 以上のようにHP「OmniBook 7 Aero 13-bg/パフォーマンスプラスモデル」は、Ryzen AI 7 350/32GB/1TB、13.3型1,920×1,200ドットで約1kgのモバイルノートPCだ。バッテリ駆動時間も10時間を超えなかなかタフネス。加えてキーボードバックライトありと、筆者の好みに仕上がっている。

 特に欠点らしい欠点もなく、下位モデルも含め、大手メーカー製でAI機能あり、そして1kg程度の軽いモバイルノートPCを探しているユーザーに使って欲しい1台と言えよう。キャンペーンモデルと標準モデルで結構な価格差があるため、欲しい人はキャンペーンモデルがある内にゲットしてほしい。