西川和久の不定期コラム
レノボ・ジャパン「Lenovo FLEX 3」
~実質5万円を切るYogaタイプの11.6型ノートPC
(2015/7/18 06:00)
レノボは7月7日、液晶パネルが360度回転するYogaタイプの11.6型ノートPC「Lenovo FLEX 3」を直販限定で販売を開始した。Eクーポンを適応すれば45,738円と、5万円を切る安価なモデルだ。編集部から実機が送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。
安価なYogaタイプ11.6型ノートPC
FLEXシリーズは、液晶パネルが360度回転するYogaタイプのノートPCとしては、エントリークラスのポジションだ。今回発表された「Lenovo FLEX 3」も同様で、Eクーポンを適応すれば45,738円と、特殊な構造抜きで、普通のノートPCとして見ても比較的安価なレンジに入る。
また、同程度の性能だと思われる8型タブレットが2万円前後なので、パネルサイズやフルキーボード、豊富なインターフェイス、そして360度回転する液晶パネルなど、+αの部分を考慮すると十分納得できる価格に収まっていると言えるだろう。主な仕様は以下の通り。
【表】レノボ「Lenovo FLEX 3」の仕様 | |
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プロセッサ | Celeron N2840(2コア2スレッド、クロック2.16GHz/2.58GHz、キャッシュ1MB、TDP/SDP 7.5W/4.5W) |
メモリ | 2GB/PC3-10600 DDR3L 1,333MHz |
ストレージ | HDD 500GB |
OS | Windows 8.1 Update(64bit) |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics、HDMI |
ディスプレイ | 11.6型1,366×768ドット(光沢あり)、10点タッチ対応 |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.0 |
インターフェイス | USB 3.0、USB 2.0×2、SDカードリーダ、音声入出力、720pカメラ |
サイズ/重量 | 299×209×21.8mm(幅×奥行き×高さ)/約1.39kg |
バッテリ駆動時間 | 最大約5.6時間(2セルリチウムイオン) |
カラーバリエーション | エボニーブラック、 チョークホワイト |
価格 | 59,400円。Eクーポン(IDEASPQ2)を適用で23%引きの45,738円 |
プロセッサはCeleron N2840。2コア2スレッドでクロックは2.16GHzから最大2.58GHz。キャッシュは1MB、TDPは7.5W。型番が2はじまりなのでBraswellではなく、Bay Trail-Mとなる。メモリ2GB/PC3-10600 DDR3L 1333MHz、ストレージは500GBのHDDを搭載。OSは64bit版Windows 8.1 Updateだ。
グラフィックスはプロセッサ内蔵のIntel HD Graphics。外部出力用として、HDMIを装備している。ディスプレイは光沢ありの11.6型1,366×768ドットで10点タッチ対応だ。冒頭に書いた通り、360度回転するYogaタイプで、通常のクラムシェルモードに加え、スタンドモード、テントモード、タブレットモードと、4つのモードに変身できる。
インターフェイスは、Gigabit Ethernet、IEEE 802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.0、USB 3.0、USB 2.0×2(内1つPowered)、SDカードリーダ、音声入出力、720pカメラ。このクラスとしては、Gigabit EthernetとIEEE 802.11acに対応しているのはポイントが高いと言えよう。
サイズは299×209×21.8mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.39kg。2セルリチウムイオンを内蔵し、バッテリ駆動時間は最大約5.6時間。カラーバリエーションは、エボニーブラック、チョークホワイトの2種類が用意されている。
価格は通常59,400円であるが、冒頭に書いた通り、Eクーポンを適応すると23%引きの45,738円だ。Microsoft Office Home & Business Premium プラス Office 365サービス付きのモデルは通常78,840円で、Eクーポン適応後は18%引きの64,649円。いずれにしても内容を考慮すると結構安価と言えるのではないだろうか。
今回届いたのはエボニーブラック。光沢の有無は場所によって違うものの全て黒。パームレスト部分以外はプラスチックを使っているため、凄く高級感があるわけではないが、そこそこカッコよく仕上がっている。ただ持った時、約1.39kgの割にズッシリ重く感じるのは、見た目とのバランスだろうか。
前面は液晶パネル中央上に720pカメラ。正面側面は薄いため何もない。左側面に、ロックポート、電源入力、USB 2.0、SDカードリーダ、音声入出力、回転ロックボタン、音量±ボタン。右側面にGigabit Ethernet、HDMI、USB 3.0、USB 2.0(Powered)、電源ボタンを配置。机の上などで、電源/Gigabit Ethernet/HDMIを接続してデスクトップ替わりに使う時、これらのコネクタが比較的後ろにあるため邪魔にならない。付属のACアダプタは93×40×30mm(幅×奥行き×高さ、ケーブル/突起物含まず)、重量168g。
11.6型1,366×768ドットの液晶は光沢があり、映り込みはかなりある。またIPS式ではないため、視野角は広くなく、明るさや発色に関してもまずまず。この点については価格相応となる。10点タッチに関しては特に問題は無くスムーズな反応だ。
キーボードは、10キー無しのアイソレーションタイプ。たわみもなく、しっかり作られているので安心して入力できる。キーピッチは主要部分で約19mm。ただし[Enter]キー付近のピッチは狭くなっている。ファンクションキーは[Fn]キーとのコンビネーションで本来のファンクションキーとなるタイプだ。
タッチパッドは物理的なボタンのない1枚プレートタイプで、パームレストも含め、面積があるので扱いやすい。ただ個人差があるかも知れないが、クリックが少し硬いような気がしないでもない。
振動やノイズは試用した範囲では気にならなかったものの、発熱に関しては、本体中央から右側が全体的に少し熱を持った。後述するPCMark 8 バージョン2のHome/詳細のプロセッサ温度が60℃から70℃程度と、比較的高めのポジションにあるのが原因の1つかも知れない。サウンドに関してはパワーがあり抜けも良い。このままで音楽や映像を十分楽しめる。
Bay Trail-M/2GBでHDDなので作動速度はそれなり
OSは64bit版のWindows 8.1 Update。メモリが2GBなので32bit版の方が良さそうな気がする。またストレージがHDDと言うこともあり、全体的な作動速度は正直遅めだ。powercfg/aで確認したところ、InstantGoには非対応だった。
初期起動時のスタート画面は、従来1ページ目はWindows標準の並び、2ページ目の後半以降にプリインストールアプリが並ぶパターンが多いのだが、本機では、1ページ目の第1ブロックからLenovo Settingsなど、独自のアプリを配置している。それだけ同社的には優先順位が高いのだろう。
逆にデスクトップは、壁紙の変更と、Office 365へのショートカットのみとシンプルな構成だ。ただし後述するOneKey OptimizerやHarmonyなど、常駐ソフトウェアが若干多めとなっている。
HDDは500GBの「WDC WD5000LPCX」を使用。2パーティション構成でC:ドライブに約426GB、D:ドライブに25GBが割り当てられて、実質C:ドライブがシステムとユーザー用。空きは405GBだった。
有線LANはRealtek製、Wi-FiはIntel Dual Band Wireless-AC 3160(IEEE 802.11a/b/g/n/ac)、BluetoothもIntel製だ。クラムシェルモード、スタンドモード、テントモード、タブレットモードの4モードに対応するため方向センサーも内蔵している。
プリインストールのソフトウェアは、Windowsストアアプリは、「Lenovo Companion」、「Lenovo Settings」、「My Time Line」、「Phone Companion」、「マカフィーセントラル」、「ヤフオク!」など。
Phone CompanionはAndroidと連動させ、テキスト、メモなどの共有、PCから電話、スマートフォンの動画を再生……などが行なえるツールとなる。Lenovo Settingsなども含め、以前から搭載しているストアアプリであるが、他社と比較してシステム系のストアアプリを用意しているケースは珍しい。
デスクトップアプリは、「CyberLink PowerDirector」、「Dolby Digital Plus」、「Lenovo(Harmony」、「Lenovo Motion Control」、「Lenovo VeriFace Pro」、「OneKey Optimizer」、「OneKey Recovery」、「Product Demo」、「SHAREit」、「ユーザーマニュアル)」、「Lenovo Photo Master」など。
OneKey Optimizerは、PCの検査、省電力、クリーニング(不要なファイル、ログ、レジストリなど)、高速化(システム、ブラウザ、そのほかアプリ)などを行なうツールだ。ここからダウンロードすることもできる。
試したところ、メモリのクリーンナップ、キャッシュやレジストリの整理、起動時の読込みソフトウェア制御、ストレージの最適化などを行なっている。類似したソフトウェアが他社製品でもあるため、どこまで同社のノウハウが詰まっているかは不明であるが、Windowsは長期にわたって使い続けると、いろいろゴミがたまるため、標準装備のソフトウェアとしてはありだろう。
Harmony Settingsは、アプリを認識しシステム設定を自動的に最適化(オーディオ、モーション、全画面、電源管理、タッチなど)するツールだ。こちらの最適化はOptimizer的な要素は皆無で、画面キャプチャからも分かるように、アプリ毎に先に挙げた項目を自動的に適応するツールとなっている。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2、BBenchの結果を見たい。CrystalMarkのスコアも掲載した(2コア2スレッドで条件的には問題ない)。
winsat formalの結果は、総合 3.9。プロセッサ 5、メモリ 5.5、グラフィックス 3.9、ゲーム用グラフィックス 4.1、プライマリハードディスク 5.9。ただし64bit版の場合、搭載メモリの関係からスコアが制限され最大5.5となっている。仮にスコアが出たとしても、1,333MHzでシングル作動なのでそれなりの値だと思われる。
PCMark 8 バージョン2のHomeは1157。CrystalMarkは、ALU 17378、FPU 14544、MEM 17112、HDD 9217、GDI 5088、D2D 3518、OGL 3686。参考までにGoogle Octane 2.0は4,428だった。多くはBay Trail-T搭載の8型に近い感じだが、ストレージがHDDの分、遅くなっている。できれば64GBでもいいのでSSDだと、作動時に受ける印象は随分違うものになりそうだ。
BBenchは、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果は、バッテリの残5%で18,171秒/5.0時間。ほぼ仕様通りとなった。
と、ここまで発表資料などを参考にしつつ書いたところで、再確認で製品ページのサイトを見に行ったところ、台数限定で35%引きの38,610円と更に安くなっていた。7月17日の入稿時、ブラック/ホワイトともに残り30台。この記事が掲載されるころはどうなっているか分からないものの、かなり魅力的な価格だ。
以上のようにレノボ「Lenovo FLEX 3」は、360度液晶パネルが回転するYogaタイプの11.6型ノートPCだ。Celeron/Bay Trail-Mで2GB、そしてストレージがHDDと、今時のPCとしてはエントリークラスとなるため、性能は期待できないものの、ライトな用途であれば特に問題ないだろう。インターフェイスは全部入りでタッチ対応と言うこともあり、月末にWindows 10化しても面白そうだ。筐体の質感も高く、クーポンを適応すれば45,738円となる価格も魅力的。
仕様の範囲内で特に欠点らしい欠点も見当たらず、安価でノートPC+αを求めているユーザーにお勧めしたい1台だ。