西川和久の不定期コラム
ドスパラ「Lightning AK」
~AMDの最新APU Kaveri「A10-7850K」を搭載するミニタワーPC
(2014/1/29 06:00)
ドスパラは1月16日、AMDの「A10-7850K」を搭載するミニタワーPCを発売した。A10-7850Kは14日に発表されたばかりのAMD最新APUの上位モデルであり、その性能には興味津々。編集部から実機が送られて来たので、楽しみながらの試用レポートをお届けしたい。
AMDの新型APU Kaveriを搭載したミニタワーPC
「Kaveri」のコードネームで呼ばれるAMDの新型APUは、A10-7850KとA10-7700Kの2つのSKUがあり、前者が上位モデルに相当する。
どちらも28nmのプロセスルールで製造され、CPUはSteamroller、コア数は4、クロック(Turbo CORE Technology時)は、3.7GHz(最大4GHz)と3.5GHz(最大3.8GHz)。GPUはA10-7850Kの場合「Radeon R7 Graphics」。
同社の説明ではIntelのCore i5-4670K(4コア/4スレッド、3.4GHz/3.8GzHz、キャッシュ6MB、TDP 84W、Intel HD Graphics 4600)の性能を上回るとのこと。また、プログラマブルオーディオDSPの「True Audio」や、3Dグラフィックスゲーム用のAPIである「Mantle」にも対応する。
ドスパラの「Lightning AK」は、このA10-7850Kをいち早く採用したミニタワーPCだ。主な仕様は以下の通り。
ドスパラ「Lightning AK」の仕様 | |
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APU | AMD A10-7850K(4コア、クロック3.7GHz/最大4GHz、キャッシュ 4MB、TDP 95W) |
チップセット | AMD A78チップセット |
メモリ | 4GB×2(DDR3 SDRAM/PC3-12800/デュアルチャネル/最大16GB/空き0) |
HDD | 1TB(7,200rpm) |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
OS | Windows 8.1(64bit) |
グラフィックス | Radeon R7 Graphics DVI×1、HDMI×1、ミニD-Sub15ピン×1 |
ネットワーク | Gigabit Ethernet |
その他 | USB 3.0×2、USB 2.0×6(前面×2、背面×4)、PS/2×1、音声入出力 |
拡張スロット | PCI Express x16×1、同x1×1、PCI×1 |
ストレージベイ | 5インチオープン×2(空1)、3.5インチオープン×2(空2)、3.5インチシャドウ×2(空1) |
電源 | 350W(静音) |
サイズ/重量 | 190×420×360mm(幅×奥行き×高さ)/約7kg |
価格 | 69,980円 |
APUは先に書いた通り、AMD A10-7850K。4コア4スレッド、クロックは3.7GHzで、Turbo CORE Technology有効時に4.0GHzまで上昇する。キャッシュは4MB、TDPは95Wとなる。
チップセットはAMD A78チップセット。メモリは2スロットあり、PC3-12800の4GB×2で計8GB。最大16GBまでの対応だ。OSは64bit版Windows 8.1。HDDは7,200rpmの1TB、光学ドライブはDVDスーパーマルチドライブを搭載している。
グラフィックスは、GCN(Graphics Core Next)アーキテクチャを採用したAPU内蔵Radeon R7 Graphics。8コアのGPUで、1つのコアにSPを64基搭載し8×64の計512基となる。出力はDVI×1、HDMI×1、ミニD-Sub15×1。
インターフェイスは、Gigabit Ethernet、USB 3.0×2、USB 2.0×6(前面×2、背面×4)、PS/2×1、音声入出力。
拡張スロットは、APUにグラフィックスが統合されているので、PCI Express x16×1、同x1×1、PCI×1と全て空いている。ストレージベイは、5インチオープン×2(空1)、3.5インチオープン×2(空2)、3.5インチシャドウ×2(空1)となる。
電源は静音タイプの350Wを採用している。サイズは190×420×360mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約7kg。
今回の標準構成で価格は69,980円。カスタマイズでWindows 8/8 Pro、メモリ容量、ストレージ、グリスの種類、Microsoft Officeなどの選択が可能だ。
筐体はミニタワーPCで一般的なサイズだ。色はつや消しブラックで自宅でも事務所でもマッチする。同社のほかの製品でも使われているシンプルなものだ。左サイドは空調用のスリットがあり、右サイドには何もない。
前面は上からDVDスーパーマルチドライブ、USB 2.0×1、音声入出力、USB 2.0×1、電源ボタン、リセットスイッチ。背面はPS/2×2、USB 2.0×4、DVI、ミニD-Sub15ピン、MDHI、USB 3.0×2、Ethernetと並んでいる。グラフィックス内蔵APUなので、拡張スロットは全て空きだ。後付で強力なGPUを搭載するなど、極度なパフォーマンスアップを求めない限り、スッキリとまとめることができる。
電源は350Wの静音タイプが使われ、そのほかにファンは、APUと背面の2カ所にある。背面のファンは、ゴーっと言う低めの音がするため、机の上に設置すると少し耳障りとなるかも知れない。
コストパフォーマンスが高そうなA10-7850K
OSは標準構成時、64bit版Windows 8.1。スタート画面はWindows 8.1標準そのもの、デスクトップは左側に若干のショートカットのみと、ほぼ素のWindowsに近い環境だ。
HDDは1TB/7,200rpm/32MBの東芝「DT01ACA100」。C:ドライブのみの1パーティションで約891GB割り当てられ空は870GB。光学ドライブは「HL-DT-ST DVDRAM GH24NSB0」、EthernetはRealtek製だった。
プリインストールのソフトウェアは、Windowsストアアプリは無く、デスクトップアプリは、「CyberLink PowerDVD 10」、「KDrive」、「Kingsoft Office」、「PC-Doctor」と少ない。
また現在の出荷版はどうなっているのか分からないが、筆者の手元に届いた実機には、Radeon R7 Graphicsディスプレイドライバではなく、Microsoft基本ディスプレイアダプタが設定されていた。ベンチマークテストを始めたところ、グラフィックス系があまりにも遅いので気が付いた次第だ。
ただマザーボード付属のドライバCDのグラフィックス系フォルダは空っぽで(インストーラでもグラフィックの項目は押せない状態)、Webで確認したところ、AMD A10-7850KのRadeon R7 Graphicsディスプレイドライバはまだベータ版だった。この関係でインストールされず、Microsoft基本ディスプレイアダプタが使われていた可能性がある。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 7の結果を見たい。PC Mark 8 バージョン2は「HOME」や「CREATIVE」、解像度変更などいろいろ試してみたが完走しなかった。CrystalMarkのスコアも掲載した(4コアで条件的には問題ない)。
winsat formalの結果は、総合 5.7。プロセッサ 7.6、メモリ 7.6、グラフィックス 5.9、ゲーム用グラフィックス 5.7、プライマリハードディスク 5.9。PCMark 7は2814。CrystalMarkは、ALU 58030、FPU 46936、MEM 32947、HDD 15162、GDI 11223、D2D n/a(実行できず)、OGL 20305。
性能が同程度と思われるデスクトップPCの手持ちデータが無いのだが、winsat formalの結果を見る限り、少なくともグラフィックスはIntel HD Graphics 4600より高速だ。またプロセッサとメモリの7.6という数字はそれなりに速い。
プロセッサ単体での価格差を調べたところ、対抗馬となるCore i5-4670KのBOX版は26,000円程度。A10-7850Kは2万円前半と、数千円の開きがある。そう考えると性能は健闘しているといえよう。さらにTrue AudioやMantleなど、Haswellに無い機能も面白そうだ。
なお、A10-7850Kについて、より詳細なベンチマークテストの結果を掲載している関連記事へのリンクを文末に入れたので、興味のある人はご覧頂きたい。
以上のようにドスパラ「Lightning AK」は、AMDの最新プロセッサKaveriこと、「A10-7850K」を搭載するミニタワーPCだ。
スペックが異なるので直接比較はできないものの、同社のCore i5-4570(3.2GHz/4GB/500GB)を搭載したデスクトップPC「Magnate IM」が59,980円。プラス1万円と考えると、構成や独自のファンクションなどの違いとして納得できる価格と言える。ここのところグラフィックス内蔵プロセッサはIntel一辺倒だったデスクトップPCも、また面白くなりそうだ。