西川和久の不定期コラム
レノボ・ジャパン「IdeaPad Yoga 11S」
~ディスプレイが360度回転する11.6型コンバーチブルUltrabook
(2013/6/26 00:00)
レノボは6月11日、「IdeaPad U330」、「IdeaPad Yoga 11S」、「IdeaPad S210 Touch」、「Lenovo G500」など、4種類の個人向けノートPCの新製品を発表した。今回はこの中から、ディスプレイが360度回転する「IdeaPad Yoga 11S」が編集部から送られて来たので試用レポートをお届けしたい。
ディスプレイが360度回転するYogaシリーズの新型
このYogaシリーズはディスプレイが360度回転し、通常のノートPC形状に加え、Tent Mode/Stand Mode/Tablet Modeと、4タイプに変形できるちょっと変わったマシンだ。
初代Yogaは、2012年10月18日に発表した、IPS式13.3型フルHD解像度の「IdeaPad Yoga」。また同社はThinkPadブランドでも同様の機構を持つ「ThinkPad Twist」をランナップしている。
ただしThinkPad Twistは液晶パネルのヒンジが中央のみで、横方向にも回転し、Stand/Tabletモード時、キーボードが上(もしくは内側)になるが、Yodaはヒンジが両サイドにあり、液晶パネルが横方向に回転せず、キーボードは下(もしくは外側)になる。
今回発表のあった「IdeaPad Yoga 11S」は、名前からも分かるように、液晶パネルのサイズが11.6型になり、全体的に小型・軽量化した新型だ。搭載するプロセッサがCore i7-3689Yの上位モデルと、Core i5-3339Yの下位モデル2種類あり、編集部から前者が送られて来た。主な仕様は以下の通り。
レノボ「IdeaPad Yoga 11S」の仕様 | |
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プロセッサ | Intel Core i7-3689Y(2コア/4スレッド、1.5GHz/Tubo Boost:2.6GHz、キャッシュ4MB、TDP 13W) |
メモリ | 8GB/PC3-12800 DDR3L(最大8GB) |
チップセット | Intel QS77 Express |
SSD | 128GB |
OS | Windows 8(64bit) |
ディスプレイ | 11.6型液晶ディスプレイ(光沢)、1,366x768ドット、10点タッチ対応 |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4000、HDMI出力 |
ネットワーク | IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0 |
その他 | USB 3.0×1、USB 2.0×1、音声入出力、フロントHDカメラ、2-in-1メディアカードリーダー、マイクロフォン/ステレオスピーカー(DolbyHome Theater V4) |
サイズ/重量 | 298×204×17.2mm(幅×奥行き×高さ)/約1.35kg(本体のみ) |
バッテリ駆動時間 | 最大約7時間(4セル) |
店頭価格 | 180,000円前後(下位モデルは160,000円前後) |
プロセッサはIntel Core i7-3689Y。2コア4スレッドでクロックは1.5GHz。Turbo Boost時2.6GHzまで上昇する。キャッシュは4MB、TDPは13W。3型番なので先日発表されたHaswellではなく、Ivy Bridge世代となる。
チップセットはIntel QS77 Express。メモリはPC3-12800 DDR3Lの8GBを1枚。デュアルチャネルではなく、シングルチャネルになるためパフォーマンスが気になるところ。ストレージは128GBのSSDを搭載する。OSは64bit版のWindows 8だ。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4000。外部出力としてHDMIを装備している。液晶ディスプレイは、光沢タイプで10点タッチ対応の11.6型。解像度はHD/1,366x768ドットとなる。
その他のインターフェイスは、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0、USB 3.0×1、USB 2.0×1、音声入出力、フロントHDカメラ、2-in-1メディアカードリーダー、マイクロフォン/ステレオスピーカー(Dolby Home Theater V4)。有線LANが非搭載なのは残念なところか。
サイズは298×204×17.2mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.35kg(本体のみ)。4セルのバッテリを内蔵し、最大約7時間駆動可能。カラーバリエーションは、シルバーグレー、クレメンタインオレンジの2色が用意されている。また下位モデルはプロセッサが違うだけで、他の仕様は全く同じ。価格差は約2万円だ。
筐体はトップカバーと裏側がクレメンタインオレンジ、他は少しグレーがかったマットな黒でスタイリッシュ。またこのクレメンタインオレンジの部分も手触りがマットな感じでなかなか良い。ただ重量が約1.35kgあるため、片手で持ち上げるとズッシリ重い。ACアダプタのサイズは約90×40×30mm、重量181g。カバンなどへ入れても邪魔にならないサイズと重量だ。
正面左側面にOneKeyRecoveryボタン、電源ボタンとステータスLED。左側面に音声入出力、USB 3.0、HDMI、左スピーカー、音量±ボタン。右側面に電源入力、2-in-1メディアカードリーダー、USB 2.0、右スピーカー、回転ロックボタンを配置している。
USBやHDMIポートは比較的後ろ側にあるため、ケーブルを接続しても手前が煩雑になることはない。バッテリは内蔵タイプで交換には非対応だ。
11.6型光沢タイプのHD液晶ディスプレイは、発色も良く、IPS式でない割に視野角は広めだ。タッチパネルの反応も良い。ただし、輝度を最小にするとかなり暗い。後半のBBenchはこの状態で行っているものの、実際は数レベル上げないと操作し辛いだろう。
キーボードはアイソレーションタイプ。浅めで軽いストロークだがフィーリングは悪くない。たわみもなく結構しっかり作られている。また本来のファンクションキーは[Fn]キーとのコンビネーションになる。この点は好みが分かれそうだ。
タッチパッドは物理的なボタンは無く、手前左右がボタン替りの1枚板タイプ。パームレストも含め、11.6型の割りに面積が広く操作しやすい。ただ指紋が結構付くのは気になるところ。
振動やノイズ、発熱などは、試用した範囲では全く感じられなかった。サウンドは左右側面にスピーカーを配置しているためステレオ感がなかなか。「Dolby Home Theater V4」を搭載し、オンの時は音量も十分。抜けの良い音質だ。とは言え、標準設定の状態だと低音はほとんど出ていない。イコライザーを使って適度にブーストした方が良いだろう。またオフにすると一気に弱々しい音になるため個人的にはお勧めしない。
Core i7とSSDで快適な作動
OSは64bit版のWindows 8。メモリを8GB搭載しているのに加え、ストレージがSSDなので体感速度は速い。初期起動時のスタート画面は、2面+アプリ7。レノボアプリ以降が、プリインストールの一部となっている。逆にデスクトップはごみ箱のみとシンプルだ。またIMEはBaidu IMEが使われている。
SSDのパーティションはC:ドライブとD:ドライブの2パーティション。約102GBと4GBが割当てられている。C:ドライブの空きは71.7GB。扱うデータのよっては容量不足になりそうなので、クラウドやSDメモリカードなどにデータを逃がしたいところ。
SSDはmSATA/128GBの「SAMSUNG MZMTD128HAFV」。Wi-FiとBluetoothモジュールはRealtek製だ。
プリインストール済みのソフトウェアは、Windowsストアアプリは、「AccuWeather for Windows 8」、「Birzzle Pandora」、「Evernote」、「Kindle」、「Lenovo Cloud Storage」、「Lenovo Companion」、「Live TV」、「McAfee Security Advisor」、「Skype」、「Support」、「SUUMO」、「Yahoo!オークション」、「Zinio Reader」など、従来通り同社のパターンだ。ゲームのBirzzle Pandoraが加わっている。またLive TVも目新しいが、動画系のサービスで別途アカウントが必要だ。
デスクトップアプリは、「Absolute Data Protect」、「Baidu IME」、「Dolby」、「Microsoft Office」、「Kingsoft Office」、「Lenovo Transition」、「Motion Control」、「YouCam」、「OneKey Recovery」、Intelのツールなど。
Office系としてMicrosoft OfficeとKingsoft Office、2種類入っている。PowerPoint、Windows Media Player、Windows Photo Viewerなどを、自動的に全画面表示するよう設定できるLenovo Transitionは今回初登場。
ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックス、PCMark 7とBBenchの結果を見たい。参考までにCrystalMarkの結果も掲載した(今回の条件的には特に問題は無い)。
Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 4.8。プロセッサ 6.9、メモリ 7.2、グラフィックス 4.8、ゲーム用グラフィックス 6.2、プライマリハードディスク 7.9。PCMark 7は4203 PCMarks。CrystalMarkは、ALU 37877、FPU 35072、MEM 26665、HDD 34062、GDI 12336、D2D 1692、OGL 4532。
心配していたメモリのアクセス速度に関しては7.2なので問題無かった(たまに5.xのノートPCがある)。グラフィックスのスコアが全体のバランス的に低いものの、Core i7プロセッサのパワーとSSDで通常用途では遅く感じることはないだろう。
BBenchは、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で23,882秒/6.6時間。仕様上の最大7時間にほぼ近い値となった。
スタンバイからの起動も速く、必要に応じて操作し、サッとカバンへ片付けるような使い方だと、充電せずに結構行けそうな感じだ。ただし先に書いたように、輝度最小だと暗く、実際はもう少し短くなると思われる。
以上のようにレノボ「IdeaPad Yoga 11S」は、11.6型の360度回転する液晶パネルを搭載し、通常のノートPC型に加え、Tent Mode/Stand Mode/Tablet Modeに変形できるコンバーチブルUltrabookだ。質感も良く、Core i7のパワーとストレージがSSDなので作動も快適。USB 3.0やHDMIも標準サイズのコネクタが使われ特に欠点も見当たらない。
Core i5を搭載した下位モデルで店頭価格が160,000円前後と、少し高価なのは気になるものの、普通のUltrabookでは物足らないユーザーにお勧めしたい逸品だ。