西川和久の不定期コラム
レノボ・ジャパン「IdeaPad U510 49414NJ」
~15.6型2スピンドルのUltrabook
(2013/1/28 00:00)
レノボ・ジャパンは2012年10月26日から、Windows 8に対応したノートPC「IdeaPad」シリーズを順次出荷開始した。今回はその中から、Uシリーズとして新たに加わった15.6型モデルが編集部から送られてきたので試用レポートをお届けする。
15.6型2スピンドルのUltrabook
現在同社のサイトを見ると、Uシリーズのラインナップは、「U260」、「U300s」、「U400」、「U310 Ultrabook」、そして今回ご紹介する「U510 Ultrabook」がある。液晶パネルのサイズは順に12.5型、13.3型、14.0型、13.3型、15.6型。型番からも分かるように、最後の2モデルのみUltrabookだが、ほかの機種もデザインはUltrabookに近い雰囲気で全体的にスタイリッシュな筐体となっている。
従来Uシリーズの最大パネルサイズは、U400の14.0型だったが、U510で15.6型が新たに追加された。上位、中位、下位と3モデルある中、今回届いたのは上位モデルの「IdeaPad U510 49414NJ」だ。主な仕様は以下の通り。
レノボ・ジャパン「IdeaPad U510 49414NJ」の仕様 | |
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プロセッサ | Intel Core i7-3517U(2コア/4スレッド、1.9GHz/Turbo Boost:3GHz、キャッシュ4MB、TDP 17W) |
メモリ | 8GB |
チップセット | Intel HM77 Express |
ストレージ | HDD 1TB+SSD Rapid Drive 24GB |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
OS | Windows 8(64bit) |
ディスプレイ | 15.6型液晶ディスプレイ(光沢)、1,366×768ドット、タッチ非対応、HDMI出力、Mini-VGA出力(アダプタ付属) |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4000 |
ネットワーク | Ethernet、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0 |
その他 | USB 3.0×1、USB 2.0×2、720p Webカメラ、SDカードスロット、音声入出力 |
サイズ/重量 | 382×250×21mm(幅×奥行き×高さ)/約2.2kg |
バッテリ駆動時間 | 最大約6時間 |
店頭予想価格 | 90,000円前後 |
プロセッサはCore i7-3517U。2コア4スレッドで、クロック1.9GHz、Turbo Boost時3GHzまで上昇する。チップセットはIntel HM77 Expressでメモリは8GB。OSは64bit版Windows 8。ストレージは1TBのHDDとRapid Drive用の24GB SSD。Ultrabookとしては珍しく光学ドライブとしてDVDスーパーマルチドライブを搭載する。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4000。外部出力としてHDMI出力、Mini-VGA出力(アダプタ付属)を備える。液晶パネルは光沢タイプの15.6型で解像度は1,366×768ドット。このクラスだともうワンランク上の解像度が欲しい。またタッチには非対応なのもWindows 8マシンとしては残念なところ。
ネットワークは有線LANがEthernet、無線LANがIEEE 802.11b/g/n。Bluetooth 4.0にも対応している。有線LANがGigabit Ethernetに対応していないのは、NASなどで比較的大きいデータを扱うときストレスとなる。
そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×1、USB 2.0×2、720p Webカメラ、SDカードスロット、音声入出力。15.6型のUltrabookなので、厚みに若干余裕があり、Mini-VGA出力以外は全て標準サイズだ。
サイズは382×250×21mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約2.2kg。このクラスとしては一般的(少し軽めか)。日常的には無理があるが、たまになら持ち歩くのも何とか許容範囲だろう。バッテリ駆動時間は最大約6時間。店頭予想価格は90,000円前後となる。
なお、下位モデルの「49414CJ」は、プロセッサにCore i3-3217U(1.80GHz)、メモリ4GB、HDD 500GB+SSD 24GBで70,000円前後。中位の「49414AJ」は、「49414CJ」の構成のままプロセッサをCore i5-3317U(1.70GHz)へ強化し、77,000円前後だ。
パネルが15.6型だけあってフットプリントは結構大きい。ただ持ち上げると外観から受ける印象よりは軽く感じる。天板は、渋めのシルバー、ほかの部分はゴールドがかったシルバーで落ち着いている。以前、ほかのUシーリーズのレビューもしているが、雰囲気はそのままに、大きくなった感じだ。
左側面はOneKey Rescue System、Ethernet、Mini-VGA出力、HDMI出力、USB 3.0×1、音声入出力。右サイドは電源入力、DVDスーパーマルチドライブ、SDカードスロット、USB 2.0×2。Mini-VGA出力以外はのポートは全て標準サイズとなる。裏はメモリやストレージにアクセスできる小さいパネルはなく、1枚で覆われている。付属のACアダプタは、約130×35×30mmと、本体のサイズと比べると小ぶりだ。
光沢タイプの15.6型液晶パネルは、映り込みが結構あり、背景に明るい窓などがあると見辛い状態になる。最大輝度は十分明るく、視野角は上下より左右の方が若干広めだ。発色は、色温度が少し高め(青っぽい)のようだが許容範囲だろう。
キーボードは10キー付きのアイソレーションタイプ。筐体を薄くするためストロークは浅く、また中央を強く押すと少したわむが、気にならないレベルだろう。ファンクションキーは、機能キーがそのまま、Fnキーは[Fn]キーとのコンビネーションだ。パームレストは十分広く、タッチパッドは108×75mmと広いため快適に操作出来る。
振動、発熱、ノイズに関しては試用した範囲では特に問題なし。サウンドは十分な出力があり、DOLBY HOME THEATER V4と併用すると、低域から高域までバランスが良く、ノートPCとしてはクオリティも高い。音楽も映像も十分楽しめる。
プロセッサのパワーに押され気味の足回り
OSは64bit版Windows 8。HDDながらキャッシュとして24GBのSSDを搭載しているのでレスポンスも良く、メモリ8GBなので作動に余裕がある。初期起動時のスタート画面は1画面+α。主にWindowsストアで有名なものがプリインストールされている。デスクトップはごみ箱1つと非常にシンプルだ。
タスクバー上にある「レノボ・ジャパンユーザーズガイド」は、Windowsストアアプリで、クリックすると、デスクトップの世界からフルスクリーンの世界に引き戻され妙な気分となる。Amazonのアイコンは、Windowsストアアプリではなく、単にURLへのショートカットとなる。
HDDは、2.5インチ1TB、5,400rpm、キャッシュ8MBの「ST1000LM024 HN-M101MBB」。SSDは「SanDisk SSD U100 24GB」を搭載している。実質C:ドライブのみの1パーティションで、約884GB割り当てられ空きは854GB。SSDはHDDのキャッシュ用なので、ユーザーはアクセスできない。
光学ドライブは「HL-DT-ST DVDRAM GU70N」。BluetoothとWi-FiモジュールはQualcomm製、EthernetはRealtek製だ。
プリインストールのWindowsストアアプリは、AccuWeather for Windows 8、Evernote、Kindle、レノボ・ジャパン Cloud Storage、レノボ・ジャパン Companion、McAfee Security Advisor、PowerDVD、Skype、Support、SUUMO、Yahoo!オークション、じゃらん、楽天gatewayなど。
割とポピュラーなものが含まれている一方、レノボ・ジャパン CompanionやSupportは、これまでになかった同社独自のアプリケーションだ。どちらもサポート系だが、この手のツールはWindowsストアアプリに向いている。
プリインストールのデスクトップアプリは、Absolute Data Protect、Baidu IME、Dolby、Kingsoft Office、マカフィーインターネットセキュリティ、レノボ・ジャパン MediaShow 6、レノボ・ジャパン PowerDVD 10、レノボ・ジャパン Smart Update、Power2Go、Power2Go Express、YouCam、OneKey Recoveryなど。
多くはお馴染みのソフトウェアであり、またPowerDVDがあるので、Windows 8で標準機能から外されたDVDビデオも観ることができる。変わったところでは、Baidu IMEがデフォルトになっている。
ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックス、PCMark 7とBBenchの結果を見たい。参考までにCrystalMarkの結果も掲載した(今回の条件的には特に問題はない)。
Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 5.8。プロセッサ 7.1、メモリ 7.5、グラフィックス 5.8、ゲーム用グラフィックス 6.4、プライマリハードディスク 5.9。PCMark 7は3195 PCMarks。CrystalMarkは、ALU 44059、FPU 41993、MEM 45731、HDD 11262、GDI 16577、D2D 2105、OGL 7224。
スコアに凸凹があり、バランスが悪い。特にプロセッサとメモリの速度に周辺が追い付いていない感じだ。CPUパワーに依存しない用途が主であれば、下位(Core i3-3217U)もしくは中位モデル(Core i5-3317U)でもいいような気がする。
BBenchは省電力モード、バックライト最小+1(バックライトを最小にするとOFFになるので+1の状態で測定)、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ON、Bluetooth/ONでの結果だ。バッテリの残5%で20,849秒(5.8時間)となった。
仕様上最大約6時間なので、ほぼその通りの結果となった。丸1日バッテリ駆動はできないものの、ちょっとした作業を外出時に行なう程度であれば問題ないレベルだ。
以上のようにIdeaPad U510 49414NJは、15.6型の液晶パネル、Core i7プロセッサ、メモリ8GB、HDD 1TB+SSD 24GB、DVDスーパードライブを搭載した少し大型のUltrabookだ。パネルサイズの割に解像度が1,366×768ドットと低く、またGigabit Ethernet非対応など、惜しい部分もあるが、その分、購入しやすい価格帯となっている。
2スピンドルのUltrabookは珍しく、DVD視聴など光学ドライブを必要としているユーザーの候補になりうる1台と言えよう。