西川和久の不定期コラム
強化されたLeitz Looksが抜群のライカスマホ第2弾!ソフトバンク「LEITZ PHONE 2」
2022年12月16日 06:17
11月18日ライカは、1インチセンサー搭載の6.6型5Gスマートフォン「LEITZ PHONE 2」をソフトバンクから販売開始した。ネーミングからも分かるように、LEITZ PHONEシリーズの第2弾となる。実機が届いたので試用レポートをお届けしたい。
AQUOS R7のライカチューンバージョン!
去年(2021年)の8月にライカ第一弾スマホの「LEITZ PHONE 1」をご紹介した。このモデルは、「AQUOS R6」をベースにライカチューンが施されているのはご存知の通り。そして今年、「AQUOS R7」が販売され、「LEITZ PHONE 2も出るのかな!?」と思っていたところ、やはり発表があった。
第1弾と大きな違いは、SoCがSnapdragon 888 5GかSnapdragon 8 Gen 1か。そして同じ1インチでもセンサー(およびびカメラ機能)が異なり、ネットワーク系だとeSIMとミリ波対応といったところか。残念ながら円安の影響で、価格は18万7,920円から22万5,360円へと上がり、20万円超えてしまった。スマホとしては高いが、ライカのロゴが付いたカメラなら安い。この辺りは見方によるだろうか。主な仕様は以下の通り。仕様的にはざっくりAQUOS R7と同じとなる。
ソフトバンク「LEITZ PHONE 2」の仕様 | |
---|---|
SoC | Snapdragon 8 Gen 1(オクタコアCPU 2.9GHz+1.7GHz)、Adrenoを内包 |
メモリ | 12GB/LPDDR5 |
ストレージ | 512GB |
OS | Android 12 |
ディスプレイ | 6.6型Pro IGZO OLED(1,260×2,730ドット)、リフレッシュレート1~240Hz |
ネットワーク | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2、NFC(FeliCa対応) |
SIM | Nano SIM、eSIM |
対応バンド | 5G n3/n28/n77/n78/n79/n257(ミリ波) 4G LTE FDD Band 1/2/3/4/5/7/8/11/12/17/18/19/20/21 4G TD-LTE Band 38/39/40/41/42 3G UMTS(WCDMA) Band 1/2/4/5/8 2G GSM 850/900/1,800/1,900MHz |
インターフェイス | Type-C、microSD(最大1TB)、3.5mmジャック、ステレオスピーカー |
生体認証 | 顔認証、指紋認証(画面内) |
カメラ | 前面:約1,260万画素/F2.3(焦点距離27mm相当) 背面:約4,720万画素/F1.9(焦点距離19mm相当)/1インチ、電子式手ブレ補正、約190万画素/F2.5測距用センサー |
サイズ/重量 | 約77×9.3×161mm(幅×奥行き×高さ)/約211g |
バッテリ | 5,000mAh、Qi対応 |
防塵防水 | IPX5/IPX8/IP6X |
カラー | ホワイト |
価格 | 22万5,360円(ソフトバンク) |
SoCはSnapdragon 8 Gen 1。オクタコアCPU(2.9GHz+1.7GHz)で、GPUとしてAdrenoを内包する。今年同社のSoCとしてはハイエンドのSKU(の1つ)となり、多くのスマホで使われている。メモリは12GB、ストレージは512GB。AQUOS R7は256GBだったのでここは倍増。OSはAndroid 12。
ディスプレイは6.6型Pro IGZO OLED(1,260×2,730ドット)。リフレッシュレート1~240Hzの可変に対応する。
ネットワークは、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2、NFC(FeliCa対応)。もちろんおサイフケータイ対応だ。SIMはNano SIMとeSIM。対応バンドは表をご覧頂きたい。なお、ソフトバンクからの販売ではあるが、本機は初めからSIMロックフリー機となっている。
カメラは、前面が約1,260万画素/F2.3(焦点距離27mm相当)。背面が約4,720万画素/F1.9(焦点距離19mm相当)/1インチ、電子式手ブレ補正、約190万画素/F2.5測距用センサー。ソフトウェア的な処理として「Summilux 28」、「Summilux 35」、「Noctilux 50」やフィルタに「Cinema Classic」、「Cinema Contemporary」が追加された。この辺りはカメラのところでチェックしてみたい。
インターフェイスは、Type-C、microSD(最大1TB)、3.5mmジャック、ステレオスピーカー。生体認証として顔認証、指紋認証に対応する。
Qi対応で5,000mAhのバッテリを内蔵し、サイズ約77×9.3×161mm(幅×奥行き×高さ)/約211g。カラーバリエーションはホワイトのみ。防水はIPX5/IPX8、防塵はIP6X。価格は先に書いた通り22万5,360円。iPhone 14 Pro Maxの512GBと1TBの間の価格となる。高価だが本機に何を求めるかで印象は異なると思われる。
筐体は、裏がホワイト、周囲のフレームがシルバー。ライカのロゴもあり、それらしい雰囲気を醸し出している。重量は実測で212g(Nano SIMなし)。200gを超えるので重いのは重いが、筆者所有のGalaxy Z Flip4も軽いと言われているアラミド繊維素材のケース付きで200g。買ったほかのケースだと210gを超え、目くじら立てるほどの重量級でもない。フットプリントはiPhone 13 Proとの比較写真からも分かるように、パネルが6.6型とその分大きい。
前面はパネル中央上に前面カメラ。LEITZ PHONE 1では、パネル左右の端にRが付き、正面からはフレームが見えなかったが、今回はRがなく、その分、しっかりフレームで保護されている。指紋認証は後述するが画面内だ。裏は上側に背面カメラ。その下にロゴ。下側面にType-Cとスピーカー。右側面に音量±ボタンと電源ボタン。上側面に3.5mmジャックとNano SIM/microSDカードスロットを配置。左側面には何もない。なお、Nano SIM/microSDカードスロットは、一般的なトレイに両方乗せるタイプではなく、Nano SIMのみトレイ。microSDカードは本体へのスロットインとなる。
付属品は、ケースとレンズキャップ。重量は順に33gと17g。そしてイジェクトピンとType-C/Type-Aアダプタ。レンズキャップは磁石で本体に吸着するため、結構ちょっとしたことで外れたりする。
6.6型OLEDディスプレイは、発色、明るさ、コントラスト、視野角も十分(以上)。安価なモデルのOLEDだと結構原色系がギラついた感じがあるのだが、それもなく落ち着いた感じでかつ綺麗だ。この点はさすがといったところ。設定→ディスプレイで、画質(おすすめ/標準/ダイナミック/ナチュラル)、画面の色温度(暖色/標準/寒色で5段階)の設定が可能。PCのモニターで見た時にちょっと違いがあったので、画質:標準、画面の色温度:やや暖色(標準-1)に設定している。
なおType-Cへモニターを接続して確認したところ、単純なミラーリングのみの対応で、タブレットやデスクトップモード的な機能は非搭載だった。
発熱は、AQUOS R7がそれなりにあったので気にしていたが、今回は冬と言うこともあるだろうか、さほど気にならなかった。ただ、初期設定時、Payストアでアプリ更新が数十あった時は暖かいレベルの熱を持った。
サウンドは横位置時にステレオとなる。最大音量は控えめでもう少し欲しいところ。3.5mmジャックからの出力は、SONY MDR-EX800STで視聴したところ、(必要十分だが)最大音量は同じく控えめ。音質も普通。価格が価格だけに、カメラ以外も頑張って欲しいところか。
常用したいLeitz Looks!
カメラは、前面が約1,260万画素/F2.3(焦点距離27mm相当)、背面が約4,720万画素/F1.9(焦点距離19mm相当)/1インチ。電子式手ブレ補正と約190万画素/F2.5測距用センサーを搭載する。AFは全面位相差AFとなった。
出力画素数は1,512×2,016ドットと2,976×3,968ドット。背面カメラに関しては、どの画角、どのモードで撮ってもこの画素数となる。どちらも4分の1画素数の出力画素数で、1つのドットを4つから得ているのが分かる。光学的には19mm相当の超広角のみ、1.0xと2.0xはデジタルズームとなっているが、この関係もあり、画素数的には足りるため解像感が落ちることはない。
撮影モードは、ビデオ、写真、Leitz Looks、ポートレート、マニュアル、ナイト。その他に、ハイレゾ、8Kビデオ、タイムラプス、スロービデオ、マニュアルビデオ、vHDRビデオ。なお、マニュアルはRAWに対応する。
ポートレートモードはいわゆる背景ぼかしだが、背面と前面で触れる機能が異なり、背面は、「ぼかし」と「美肌」。前面は、「ぼかし」、「美肌」、「小顔」、「色合い」、「明るさ」、「目」、「鼻」……と、盛れる部分が増えている。これは自撮りを意識したものだと思うが、背面でも同じ項目がほしいところ。なお背面カメラの場合、画角は35mm相当固定となる。
Leitz Looksは、LEITZ PHONE 1でもあったが、固有のモノクロのみで、AQUOS R6と比較してさほどアドバンテージはなかった。しかしLEITZ PHONE 2では、フィルタはMonochromeに加え、Original(つまりフィルタなし)、Cinema Classic(少し派手め)、Cinema Contemporary(少し地味め)。そしてレンズシミュレーションのSummilux 28、Summilux 35、Noctilux 50を搭載。
この2つはどちらか一方だけというのはなく、必ずフィルタ+レンズの組み合わせとなる。従ってフィルタなしにしたい時はOriginalを選ぶ。今回の作例でポートレート以外の背景ぼけは、すべてこれらを使用したが、ぼけの綺麗さも含めちょっとスマホ離れした写りだ。
AQUOS R7(ソフトバンク)との価格差が3万6,000円。この部分だけでも十分価値があると断言できる。個人で使う時は、食事などの近距離と超広角が必要な時以外、常用しそうな感じだ。
設定は、画面キャプチャを参考にして欲しいが、肝はブライトフレームのON/OFF。ONにすると、画面の中に該当する画角のフレームを表示する。ONとOFF、どちらが撮りやすいかは、慣れや被写体によるだろうか。
表示/編集はGoogleフォトを使用する。従って機能はこの範囲内であり、指定オブジェクトを消したり、独自フィルタのかかり具合を後から調整することはできない。ちょっと物足らない部分とも言える。
以下作例を日中12点、夜12点、人物(前面/背面)2点の計26点掲載する。人物はポートレートモード。美肌系のパラメータは全て標準の位置。その他の写真で背景ぼけありは、上記したようにLeitz Looksのいずれかの組み合わせになっている。
肝心の写りだが、AQUOS R7と印象が結構違う。前回は夏、今回は冬なので、光の関係もあるだろうか。AQUOS R7は平面的な写り的なことを書いたが、今回はそんな感じもなく、写真的ないい味が出ている。
ただポートレートモードは前面と背面でかなり発色が違う。おそらく前面の方は肌色をそれらしくして好まれる色に、背面はそのまま出している感じだ。忠実な絵は写真モードに任し、ポートレートモードは前面と同様な色の方がいいだろうか。
あと希望だが、同じシーンを何度か続けて撮影、しかも露出補正が必要な場合、まず露出補正があの位置であのサイズだと非常にしにくい(下手に触るとAFの位置も変わる)。フレーム外の下側横いっぱいにスライダーと、また解除するまで維持するAEロックがほしいところ。
ではマニュアルを使えば? という話になるが、この場合ポートレートやLeitz Looksのエフェクトが使えなくなる。これは本機に限った話ではないが、スマホの露出補正はどうも使いにくい。もしくはマニュアルでこれらのエフェクトが使えるでもいいのだが……。
Leitz Looksは、前ぼけも含めぼけが綺麗。本機独特とも言える写りだ。特に紅葉とイルミネーションの写真が印象的。加えてMonochrome、Cinema Classic、Cinema Contemporaryも渋い感じで好みのフィルタだ。背景がぼけるのでポートレートにも使えるが、試したところ、肌の影などが強調される傾向にある。十分光の回った場所ならいいかもしれないが、通常はポートレートモードを使う方が無難だろう。
使用感としては、起動、そして(それなりに)AFも速くなり写真モードならサクサク撮れ、LEITZ PHONE 1の時に気になったAFの妙な仕様やズーム切替の不便さもない。
ただし、ポートレートモードとLeitz Looksは、後処理で時間がかかるのだろう。“保存中”と表示され、秒単位で操作ができなくなる。加えて、光学式の手ブレ補正ではないので、低照度時、手持ちだとしっかり構えないと手ブレしやすい。この辺りは主に撮影する被写体にもよるが、特に前者に関しては改善してほしいポイントだ。
本機は1インチセンサーを売りにしているが、同レベルでLeitz Looksが優秀。ライカの本気具合が伺えるチューンだ。この記事によると、LEITZ PHONE 1はハードウェアが異なり、実装できないとあるし、さらにアプリ化はNGだと思われるが(有料でも欲しい)、その分、価値がある。ここをどう思うかで評価が分かれそうだ。先の記事は興味深い内容満載なので、是非合わせて読んで頂きたい。
素のAndroid 12+αの構成
ホーム画面は3画面。Dockに電話、+メッセージ、Chrome、カメラ、設定。1画面目約半分がLFI Widgetと独自の雰囲気を出している。Androidは12、ストレージは512GB中21GBが使用中だ(若干の画面キャプチャを含む)。
上から下へのスワイプで通知パネル、上から下へのスワイプでアプリ一覧、壁紙長押しでホームの設定/ウィジェット/壁紙など、Android 12準拠で特に変わったところはなく、Androidユーザーなら容易に操作可能だ。
画面のリフレッシュレートは、設定→ディスプレイ→なめらかハイスピード表示にあり、例えばChromeだけなど、アプリごとに設定ができる。試しにChromeでオン/オフしてみたが、その差は歴然だった。
アプリは、「電話」、「連絡帳」、「簡易留守録」、「カメラ」、「設定」、「+メッセージ」、「時計」、「電卓」、「フォト」、「Playストア」、「Prime Video」、「サポート」。
Softbankフォルダに、「スマホはじめてガイド」、「NetFlix」、「Facebook」、「Yahoo!」、「5G LAB」、「ソフトバンクプレミアム」、「PayPay」、「My Softbank」、「ベースボールLive」、「Yahoo!ショッピング」、「イチ推し!」、「ブック放題」、「さとふる」。
Googleフォルダに、「Google」、「Chrome」、「Gmail」、「マップ」、「YouTube」、「ドライブ」、「YT Music」、「Google TV」、「Meet」、「カレンダー」、「Google One」、「Google Pay」、「ニュース」、「Podcasts」、「アシスタント」、「レンズ」、「Files」、「Home」。
ツールフォルダに、「おサイフケータイ」、「Photoshop Express」、「からだメイト」、「かんたんデータコピー」、「スマートフォン安心遠隔ロック」、「エモパー」、「Wi-Fiスポット設定」、「ボイスメッセージ」。
安心・安全フォルダに、「スマートフォンセキュリティパックプラス」、「位置ナビ」、「あんしんフィルター」、「リモートサポート」、「スマートセキュリティ」、「詐欺ウォール」、「迷惑電話ブロック」、「災害用伝言板」、「緊急速報メール」。
キャリアモデルなのでアプリは多めだが、ほとんどフォルダに入っているのであまり気になることはない。
認証は、パターン/ロックNo./パスワード設定後、顔認識と指紋認識が可能になる。指紋認証はパネル内だ。顔認証も含め瞬時に認証され反応も良い。
SIMの設定は、手持ちの関係で4GのOCNモバイルONEを使用した。ソフトバンク版であるが、SIMロックはかかっておらず、APNを設定したところ開通した。ただし、一般的なSIMロックフリー機のようにAPN一覧はなく、全項目手入力となるため初心者には少し難しいかも知れない。また電源オンのままスロットを抜き差しするとOSが再起動する。
ハイエンドらしいスコアでバッテリ駆動約16時間!
ベンチマークテストは簡易式だが、GeekBench 5とGoogle Octane 2.0、そしてバッテリ駆動時間はWi-Fi経由でフルHDの動画を輝度50%、音量50%で全画面連続再生した結果となる。
まずGeekBench 5は、Single 1,237/Multi 3,514。Vulkan 6,717。Google Octane 2.0は49,350。参考までにLEITZ PHONE 1/Snapdragon 888 5Gでは45,279だった。レンダリングエンジンが違うので参考値だがPhone 13 Proは67,546。いずれにしても2022年ハイエンドらしいスコアとなる。
バッテリ駆動は約16時間手前で電源が落ちた。LEITZ PHONE 1では同じバッテリ容量で約13時間だったので3時間程度伸びている。
以上のようにソフトバンク「LEITZ PHONE 2」は、6.6型OLED、Snapdragon 8 Gen 1/12GB/512GBを搭載したスマホだ。背面カメラに1インチセンサーを採用。加えてLeitz Looksなどライカチューンが施されている。
特にLEITZ PHONE 1にはなかったレンズシミュレーションが優秀。これだけでベースとなっているAQUOS R7より、グンとライカっぽさが増している。
ほぼカメラにリソースが集中していることもあり、(価格の割に)音が普通だったり、Type-Cからの映像出力がミラーのみと残念な部分もあるにはある。加えて、円安で価格が22万5,360円(ソフトバンク)となってしまったが、オールマイティなハイエンドスマホというより、カメラ重視のユーザーに使って欲しい逸品と言えよう。