西川和久の不定期コラム
Alder Lakeを搭載しモダンなルックス、OLEDも選択可能な13.4型モバイル「XPS 13 Plus」
2022年7月15日 06:17
デル・テクノロジーズは4月19日、Alder Lakeの第12世代Coreを搭載し、モダンなルックスの13.4型モバイルノートPC「XPS 13 Plus」を国内発表した。いろいろカスタマイズできる中、Core i7-1260P搭載としてはベーシックなモデルが編集部から送られてきたので試用レポートをお届けしたい。
第12世代Core iを搭載しモダンなデザイン!
今回ご紹介するXPS 13 Plus、実はPlusなしの「XPS 13」も用意され、違いは? と思っている読者の方も多いかと思う。
まずXPS 13は、同じ第12世代CoreでもCore i5(U)またはCore i7(U)となり、Core i7(P)は選べない。メモリは16GBで32GBはなし。ストレージは512GBか1TBで2TBはなし。ディスプレイはOLEDがないといった具合。その代わりにXPS 13 Plusにはない1,920×1,200ドットでタッチ対応という選択肢がある。
見栄え的には、カラーバリエーションはスカイ/アンバー(XPS 13 Plusはプラチナシルバー/グラファイト)。キーボードが普通か縁のないゼロラティスキーボードか、ファンクションキーが物理キーかタッチキーか、タッチパッドとパームレストに段差があるかないか……的な違いとなる。
内部的にメモリやストレージは16GB/512GBだと同じだが、Core i5かi7か、UプロセッサかPプロセッサかで性能がずいぶん異なると思われる。OLEDの有無やキーボードの違い、ファンクションキーの方式、タッチパッドの段差などは操作性に大きく影響しそうだ。手元に届いたのはXPS 13 Plusのi7-1260P搭載としてはベーシックなモデル。主な仕様は以下の通り。
デル「XPS 13 Plus」の仕様 | |
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プロセッサ | Core i7-1260P(12コア16スレッド/~4.7GHz/キャッシュ 18MB/ベース28W/Turbo 60W) |
メモリ | 16GB(4GB×4)/LPDDR5(5,200HMz) |
ストレージ | SSD 512GB(M.2 PCIe Gen 4 NVMe SSD) |
OS | Windows 11 Home(64bit)/21H2 |
ディスプレイ | 13.4型1,920×1,200ドット(16:10)、非光沢 |
グラフィックス | Intel Iris Xe Graphics/Type-C |
ネットワーク | Wi-Fi 6対応、Bluetooth 5.2 |
インターフェイス | Thunderbolt 4×2、720p Webカメラ、指紋センサー、4スピーカー、USB-C/USB-A 3.0アダプタ、USB-C/3.5mmヘッドセットアダプタ |
バッテリ | 3セル(55WHr) |
カラー | プラチナシルバー、グラファイト |
サイズ/重量 | 295.3×199.04×15.28mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.23kg |
税込価格 | 23万5,694円(Dell Store) |
【お詫びと訂正】初出時にXPS 13のCPUについて、Core i5(U)のみとしておりましたが、正しくはCore i5(U)またはCore i7(U)となります。お詫びして訂正いたします。
プロセッサはAlder Lakeの第12世代Core i7-1260P。Pコア4、Eコア8の計12コア。ターボ・ブースト利用時の最大クロックは4.7GHz。キャッシュ 18MB、TDPはBase 28W/Turbo 60W。Pシリーズとして上にCore i7-1270P/1280Pがあるので3番目となる。
メモリはLPDDR5(5,200HMz)の4GB×4の計16GB。ストレージはM.2 PCIe Gen 4 NVMe SSDの512GB。OSはWindows 11 Homeを搭載。ビルド21H2だったので、この範囲でWindows Updateを適応し評価している。
ディスプレイは13.4型で非光沢の1,920×1,200ドット(16:10)。カスタマイズでタッチ対応 3,456×2,160ドットやOLEDタッチ対応3,456×2,160ドットも選択できる。OLED対応はポイントが高い。参考までに今回の構成からOLEDにすると約3.3万円のアップだった。個人的にはこの程度の差ならOLEDを選びたいところ。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel Iris Xe Graphics。外部出力用にType-Cが利用できる。
ネットワークはWi-Fi 6対応、Bluetooth 5.2。インターフェイスは、Thunderbolt 4×2、Windows Hello対応720p Webカメラ、指紋センサー、4スピーカーとシンプル。またUSB-C/USB-A 3.0アダプタと、USB-C/3.5mmヘッドセットアダプタが付属する。
カラーバリエーションはプラチナシルバーとグラファイトの2色。バッテリは3セル(55WHr)を内蔵し、サイズ295.3×199.04×15.28mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.23kg。今回の構成で23万5,694円となる。高価と言えば高価だが、Plusな部分も含め内容を考えると仕方なしと言ったところか。
なおカスタマイズで先のパネルに加え、Core i5-1240P、Windows 11 Home/Pro(日本語/英語)、メモリ32GB、ストレージ1TB/2TB、キーボード(日本語/英語)なども選択可能だ。
手元に届いたのはプラチナシルバー。CNC削り出しアルミとガラスを採用した筐体は非常にシンプルでカッコいい。重量は実測で1,235gだが、見た目の影響だろうか、持った時にズッシリ重く感じる。
前面はかなりフチが狭いのが分かる。にも関わらず上中央のフチ内にWebカメラが仕込まれている。左右側面にType-Cが1つずつ。何もない分、USB-C/USB-AアダプタとUSB-C/3.5mmアダプタが付属する。裏は前後に1本バーのゴム足。左右のスリットにスピーカー。ACアダプタはサイズ約65×55×22mm(同)、重量94g、出力5V/3A、9V/3A、15V/3A、20V/3Aの最大60Wタイプとなっている。
13.4型のディスプレイは16:10なのでフルHDの16:9よりは扱いやすい。非光沢なので映り込みも気にならない。明るさ、コントラスト、視野角も良好。発色も良好なのだが明らかにグリーン被りしている。
DisplayCALを使い特性を測定したところ最大輝度は526cd/平方m。やはり印象通りグリーンがかなり強い。できれば補正して使いたいところ。写真を観るのに適していると言われる明るさ120cd/平方mは、最大から-8が161cd/平方m、-9が107cd/平方m。従って前者で計測。sRGB 97.6%、黒色輝度は0.0876cd/平方m。リニアリティも輝度が上がるほどばらつく。検証結果のPDFも興味のある方はご覧いただきたい。機会があればOLEDも試してみたい。
キーボードは縁のないゼロラティスキーボード。アイソレーションタイプに慣れてるので、打ちにくいかと思ったが、そんなことはまったくない。打鍵感もちょうど良く、非常に入力しやすかった。主要キーのキーピッチは約18mm。一部右上の[¥]を含む3つが若干狭いものの、この程度なら問題ないだろう。[BS]の横が電源ボタン兼指紋センサーとなる。バックライトはオフ+2段階式だ。
段差がなくパームレストと一体化したタッチパッドは、枠がないと分かりにくいかと思ったものの、これも全く問題なし。ガラス製なので滑りも非常に良い。唯一個人的に好みでないのはタッチ式になった[ESC]+ファンクションキー。せめて[ESC]だけでも物理キーにして欲しかった。
カメラは720pの割に色も解像感も良い方ではないだろうか。Web会議に使う程度であれば問題ないと思われる。
ノイズや振動は試用した範囲では全く気にならず。発熱は負荷をかけると本体のキーボードより上側が主に熱を持ち、パームレストは若干暖かくなる。どちらも十分許容範囲に収まっており気になることはない。
サウンドはスリットが裏にある関係上、机などに反射して関節音として耳に届く。ノートPC固有のかまぼこレンジは仕方なし。パワーはもう少し欲しいがある方だろう。
総じて狭いフチ、ゼロラティスキーボード、パームレストと一体化した段差のないタッチパッド、そしてスリム……と、ルックス的にインパクトがある。もちろん後述しているがパフォーマンスも良好。唯一、タッチ式の[ESC]+ファンクションキーをどう思うかがキーポイントとなりそうだ。
電源モード「バランス」と「最適なパフォーマンス」でそれなりの違いが
初期起動時のディスクトップは壁紙の変更のみとシンプル。構成が構成なだけに快適に操作可能だ。
ストレージはSSD 512GBの「Western Digital PC SN810 NVMe SSD」。C:ドライブのみの1パーティションで約460GBが割り当てられ空き411GB。BitLockerで暗号化されている。Wi-Fi及びBluetoothはIntel製だ。
主なプリインストールのソフトウェアは、「Dell Customer Connect」、「Dell Digital Delivery」、「Dell Update」、「Killer Intelligence Center」、「MaxxAudioPro」、「My Dell」……など、基本的に同社のツール系となる。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23、CrystalDiskMark、PCMark 10/BATTERY/Modern Office。電源モードは“バランス”。Cinebench R23のみ“最適なパフォーマンス”も測定した。
まずCinebench R23は電源モードによって大きくスコアが違うことが分かる。熱設計がどうなっているか具体的には分からないものの、ターボ・ブーストが効いているのだろう。またこの時、ノイズや発熱はバランスとさほど変わらなかった。他はそれなりのスコアだが、PCMark 8のWork Accelarated 2.0だけ値が落ち込んでいる。何かの間違いかと思い、2回測定しても同じだった。
PCMark 10/BATTERY/Modern Officeは11時間1分(電源モード/バランス、明るさ、バッテリモードなどはシステム標準)。このクラスで11時間は結構長い。やはり12世代のコア構成が効いているのだと思われる。
PCMark 10 v2.1.2563 | |
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PCMark 10 Score | 4,849 |
Essentials | 9,399 |
App Start-up Score | 13,246 |
Video Conferencing Score | 7,180 |
Web Browsing Score | 8,733 |
Productivity | 5,969 |
Spreadsheets Score | 5,978 |
Writing Score | 5,962 |
Digital Content Creation | 5,518 |
Photo Editing Score | 10,491 |
Rendering and Visualization Score | 3,645 |
Video Editting Score | 4,396 |
PCMark 8 v2.8.704 | |
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Home Accelarated 3.0 | 4,354 |
Creative Accelarated 3.0 | 4,318 |
Work Accelarated 2.0 | 2,976 |
Storage | 4,979 |
3DMark v2.22.7336 | |
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Time Spy | 1,727 |
Fire Strike Ultra | 1,217 |
Fire Strike Extreme | 2,342 |
Fire Strike | 4,629 |
Sky Diver | 14,599 |
Cloud Gate | 20,391 |
Ice Storm Extreme | 95,938 |
Ice Storm | 116,613 |
Cinebench R23 | ||
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バランス | 最適なパフォーマンス | |
CPU | 7,060 pts(7位) | 8,629 pts(6位) |
CPU(Single Core) | 1,501 pts(2位) | 1,633 pts(1位) |
CrystalDiskMark 6.0.0 | |
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Q32T1 シーケンシャルリード | 6875.457 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 4059.119 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 797.315 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 434.284 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 422.750 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 471.759 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 66.478 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 154.768 MB/s |
以上のようにデル「XPS 13 Plus」は、第12世代Alder LakeのIntel Core i7を搭載、キーボードやタッチパッドを工夫した13.4型モバイルノートPCだ。カスタマイズでメモリ16もしくは32GB、ストレージにSSD 512GBから2TB、そしてパネルにOLEDが選択可能と、用途や好みに応じて変更できる。特にOLEDが選べるのはポイントが高い。
一点、個人的には[ESC]も含めファンクションキーがタッチ式になったのは残念なところ。ここさえ気にならなければ、ルックス、パフォーマンス、操作性、バッテリ駆動時間など、全てにおいてかなり良くできたモバイルノートPCと言えるだろう。