西川和久の不定期コラム
3万円台で2,000×1,200ドット10.4型液晶、Kirin 810を搭載した「MatePad」
2020年6月9日 10:53
6月2日HUAWEIは、Androidを搭載したタブレットを3モデル発表、6月12日より順次販売を開始する。前回は上位のMatePad Proをご紹介したが、今回は税別で3万円を切る安価な「MatePad」をご紹介したい。
Kirin 810/3GB/32GB/10.4型2,000×1,200ドットのタブレット
前回上位モデルの「MatePad Pro」をご紹介したが、中位モデルMatePadとのおもな違い挙げると、Kirin 990/Kirin 810、メモリ6GB/3GB、ストレージ128GB/32GB、10.8型2,560×1,600ドット/10.4型2,000×1,200ドット液晶ディスプレイ、NMカード/microSDカード、ワイヤレス充電・給電/なし、PCモード/なし、Type-Cディスプレイ出力/なし、LTEモデルなし/あり……と言った感じだろうか。いろいろスペックダウンしているが、その分、税別59,800円/29,800円(Wi-Fiモデル)と、約半値になっている。
少し意外なのは、LTEモデルがあることと、microSDカードやクアッドスピーカーの搭載の3つ。LTEとmicroSDカード対応はポイントが高く、加えてスピーカーは安価なモデルだと縦横ともにステレオにならないケースが多いものの、しっかり対応していること。筆者のように、この点を重要視するなら本機で十分楽しめる。仕様は以下のとおり。
HUAWEI「MatePad」の仕様 | |
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SoC | HUAWEI Kirin 810(オクタコア/2 x 2.27GHz + 6 x 1.88GHz) |
メモリ | 3GB |
ストレージ | 32GB |
OS | HUAWEI EMUI 10.1.0/Android 10ベース |
ディスプレイ | 約10.4型IPS式(2,000×1,200ドット) |
ネットワーク | IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5.1 |
LTEモデル対応バンド | FDD-LTE : Band 1/2/3/5/7/8/18/19/20/26/28 TDD-LTE : Band 38/40/41 W-CDMA : Band 1/2/5/6/8/19 GSM : 850/900/1800/1900 MHz |
インターフェイス | USB Type-C、microSDカードスロット(最大512GB)、クアッドスピーカー(HUAWEI Histen 6.0サウンド効果)、マイク×4 |
カメラ | 背面 : 約800万画素(AF)、前面 : 約800万画素(FF) |
測位方式 | GPS/A-GPS(LTEモデル)/GLONASS/Beidou |
センサー | 照度センサー、ホールセンサー、電子コンパス、加速度センサー |
バッテリ | 約7,250mAh/フル充電で12時間のローカル動画再生 |
サイズ/重量 | 約245×155×7.4mm(幅×奥行き×高さ)/約450g |
カラーバリエーション | ミッドナイトグレー |
税別価格 | 29,800円(Wi-Fiモデル)/36,182円(LTEモデル) |
SoCは、HUAWEI Kirin 810。オクタコアで2.27GHz×2+1.88GHz×6の構成だ。GPUとしてMali-G52を内包している。スマートフォンでは「nova 5z」、「Honor 9X」などに搭載しているミドルレンジ用のものとなる。メモリは3GB、ストレージは32GB。OSはAndroid 10ベースのHUAWEI EMUI 10.1.0。前回説明したようにGMS(Google Mobile Service)は非搭載。MatePad Proともにハードウェアが良いだけに、この点はかなり残念。
ディスプレイは約10.4型IPS式(2,000×1,200ドット)。MatePad Proの約10.8型より若干小さく、またアスペクト比も16:10より少し縦が短い。色域もsRGBとなる。狭額縁ではないものの、ある程度狭くなっており、見た目は悪くない。
ネットワーク機能は、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5.1。LTE対応モデルも用意されている。インターフェイスは、USB Type-C、microSDカードスロット(最大512GB)、クアッドスピーカー(HUAWEI Histen 6.0サウンド効果)、マイク×4。
本機はNMカードではなく、microSDカードが使用可能。MatePad ProがNMカードなのは、GMS同様、米国の規制の関係かと思っていたが、どうやら違うようだ。であればできればProもmicroSDカードにしてほしかった。またType-Cはディスプレイ出力非対応となる。
測位方式は、GPS/A-GPS(LTEモデル)/GLONASS/Beidou。センサーは照度センサー、ホールセンサー、電子コンパス、加速度センサーを搭載。生体認証は顔認証対応だ。
MatePad Proと同じ約7,250mAhのバッテリを内蔵し、サイズ約245×155×7.4mm(幅×奥行き×高さ)、重量約450g。カラーバリエーションはミッドナイトグレーのみ。税別価格は、Wi-Fiモデルで29,800円、LTEモデルで36,182円と、内容のわりにかなり安い。
筐体はミッドナイトグレー。MatePad Proと同じカラーでまた質感も似ており、安っぽさはない。重量は実測で455g。写真からもわかるように、MatePad Proより気持ち小ぶりで厚み7.4mm。楽々片手で持ち上がる。
前面は、パネル中央上に前面カメラ。フチは約9mm。MatePad Proの4.9mmほどではないが狭いほうだろう。背面は、右上に背面カメラ。左側面に電源ボタンと上下にスピーカー。下側面にmicroSDカードスロット。右側面にType-Cと上下にスピーカー。上側面に音量±ボタンとマイク×4を配置。microSDカードはイジェクトピンを使った出し入れとなる。
付属品は、ACアダプタ、3.5mm/Type-C変換アダプタ、Type-A/Type-Cケーブル、イジェクトピン。
10.4型2,000×1,200ドットのディスプレイは、MatePad Proと比較さえしなければ、十分綺麗。もちろん、明るさ、コントラスト、発色、視野角も良好。価格を考えると十分以上の品質だ。
カメラは前面/背面共、写りはおまけレベルなので、それなりのスマートフォンを持っていれば、使う必要はない。とは言え、背面/前面ともにビューティーモード(肌のスムージングと美白)を搭載。背面では画角が変わるため使いにくいが(望遠寄りになる)、前面側は変わらず、効きもよく、また動画でも使えるので(肌のスムージングのみ)、女性がネット配信するには意外といいかもしれない。
発熱は使用した範囲ではまったく問題なかった。サウンドはMatePad Proもそうだったが、とにかくハイパワー。最大にするとうるさいほど鳴り響く。MatePad Proのほうが少し品があるような感じがしなくもないが、音楽も映像も本機だけで十分楽しめる。
なおオプション(税別9,990円)のM-pencilは、このMatePadでも使用できるが、MatePad Proと異なるのは、本体側面に磁石でつけて充電/ペアリングなどはできず、M-pencil付属の専用充電器を使う必要があることだ。便利さという意味では一歩劣る。
MatePad Proと少し違うマルチタスク系の操作感
初期セットアップは、Wi-Fiに接続後、HUAWEI IDと端末保護(PIN/顔認証)をスキップして行なったが、顔認証も含めMatePad Proとまったく同じなので省略する。ホーム画面の並びや、プリインストールのアプリもほぼ同じだ。
AndroidとEMUIのバージョンはそれぞれ10と10.1.0。初回起動時のストレージは32GB中、13.27GBが使用中(若干の画面キャプチャを含む)。約半分程度しか空きがないため、データ類はmicroSDカードに逃がして使うことになるだろう。
操作系は、上から下へスワイプで通知画面。前回書き忘れたがeBookモードは表示がグレイスケールとなる。下から上へのスワイプでアプリ切り替え、右から左へのスワイプで戻る、左から右へのスワイプで進む、壁紙をピンチインで壁紙/ウィジェット/エフェクト/ホーム画面設定。また設定/システムと更新でナビゲーションバーありにも設定可能だ。MatePad Proでは起動直後にアップデートがあったものの、こちらはなかった。
インストール済みのアプリは、おすすめフォルダに「WPS Office」。「AppGallery」、「端末管理」、「設定」、「テーマ」、「カレンダー」、「メモ帳」、「ファイル」、「キッズモード」、「Phone Clone」、「ヒント」。ツールフォルダに「天気」、「電卓」、「音声レコーダー」、「時計」、「連絡先」、「サポート」、「コンパス」、「端末検索」、「メンバーセンター」。スタイラスフォルダに「Nebo for Huawei」、「MyScript Calculator 2」。ビジネスフォルダに「乗換案内」、「XMind」。エンターテイメントフォルダに「Pokekara」、「U-NEXT」。ソーシャルフォルダに「DokiDokiLIVE」、「Viber Messenger」。ライフスタイルフォルダに「アイビスペイント」、「メディバンペイント」、「Scene」。ゲームフォルダに「Lords Mobile」、「Rescue Cut」、「モバイルロワイヤル」……と、ツールフォルダに端末検索、メンバーセンターが増えているが、MatePad Proとほぼ同じだ。
ウィジェットは、ウィジェットは、「カレンダー」、「ギャラリー」、「時計」、「バックアップ」、「ブラウザ」、「メール」、「メモ帳」、「音楽」、「画面ロック」、「高速化」、「天気」、「連絡先」、「WPS Office」。エフェクトは、「デフォルト」、「パースペクティブ」、「スクイーズ」、「ボックス」、「フリップオーバー」、「回転」、「ページ」、「風車」。これは同じ。
ただし、(性能の関係だろうか)PCモードがなく、マルチウィンドウドックもない。したがって画面分割やフローティング画面にする手順がMatePad Proと異なる。手順は画面キャプチャのとおりだが、個人的にはマルチウィンドウドックを使ったほうがスムーズだと思った。
キッズモードは、PINの設定後起動することができる(終了は左上のアイコンをタップし、PINを入力)。機能的には、目の保護、時間管理、使えるアプリ/フォルダの限定など、制限つきの環境となる。アプリは音声レコーダー、カメラ、キッズペイントがビルトイン。動作も軽く、これならストレスなく子供が利用できるだろう。
バッテリ駆動テストで15時間越え!
ベンチマークテストは簡易式だが、AnTuTuベンチマークとGoogle Octane 2.0の結果を掲載する。合わせてMatePad Proのスコアも併記するので参考にしてほしい。非常にざっくりだが、MatePad Proと比較して、性能は半分程度だろうか。とは言え、ミドルレンジとしては結構速いほうだろう。Google Octaneも1.5万越えているため、サイトの表示がモタモタすることもない。
バッテリ駆動時間は、明るさ、音量ともに50%。Wi-Fi接続でフルHD動画を連続再生したところ約16時間半でバッテリが切れた。ただ途中一時間ほど再生が止まっていたので、実際は15時間半程度か。仕様上、フル充電で12時間のローカル動画再生なので、Wi-Fi接続で3時間半を上回っている。明るさ、音量ともに50%でも十分明るく、またうるさい(今回も洗面所に隔離してテストしている)。MatePad Proと同じバッテリ容量なので、SoCの差でさらに駆動時間が伸びている感じだ。
以上のようにHUAWEI「MatePad」は、Kirin 810/3GB/32GB/約10.4型2,000×1,200ドットのパネルを搭載したAndroidタブレットだ。sRGBだが画面が綺麗、4スピーカーで縦でも横でもステレオ、もちろんサウンドもGood。性能も普段使いなら問題ない。オプションだがペンにも対応。これで税別3万円を切っているのだから、驚異のコストパフォーマンスだ。
ただし、MatePad Pro同様、GMS非対応なのはかなり痛い。用途がWebサービス中心か、裏技で回避するなど、使い方を工夫できるユーザーに使ってほしい1台と言えよう。