西川和久の不定期コラム

GeForce搭載の堅実14型ノート「ThinkPad T480s」

ThinkPad T480s

 レノボ・ジャパンは2月1日に、GeForce MX150搭載可能な14型ノートとして、「ThinkPad T480s」、「ThinkPad T480」、「ThinkPad L480」の3モデルを発表した。L480はスタンダードな14型。T480sとT480は仕様はほぼ同じだが、前者はバッテリを3セル内蔵のみなのに対し、後者は3セル内蔵+3セル着脱可能となる。

 ここではThinkPad T480sのレビューを行ないたい。直販モデルと販売代理店モデルでいろいろ細かく仕様が異なるものの、今回は直販モデルの「ThinkPad T480s:<100台限定>プレミアム WQHD搭載」を取り上げる。

 おもな仕様は以下のとおり。

【表】ThinkPad T480sの仕様
ThinkPad T480s
プロセッサCore i7-8650U(4コア8スレッド/1.9GHz~4.2GHz/キャッシュ8MB/TDP 15W)
メモリ16GB DDR4-2400 SO-DIMM (8GBオンボード+8GB/1スロット使用)
ストレージSSD 256GB/PCIe M.2(OPAL対応)
OSWindows 10 Pro
ディスプレイ14型 WQHD IPS式(2,560×1,440ドット)、光沢なし、タッチ非対応
グラフィックスGeForce MX150(2GB)
ネットワークGigabit Ethernet、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.1
インターフェイスUSB 3.1 Type-C×2(1基はThunderbolt 3、DisplayPort Alternate Mode、Power Delivery対応)、USB 3.0×2(1基は常時給電対応)、HDMI出力、720pカメラ、メディアカードリーダ、音声入出力
バッテリ/駆動時間3セルリチウムイオンバッテリ/最大約15.4時間
サイズ/重量約331x226.8x18.45mm(幅×奥行き×高さ)/約1.32kg~
価格313,740円(eクーポン適用後:254,129円/税込・送料無料)

 プロセッサは第8世代のCore i7-8650U。4コア8スレッド、クロックは1.9GHzから最大4.2GHz。キャッシュは8MB、TDPは15W。末尾がUのSKUとしては現在最上位となる。メモリはDDR4 SO-DIMMの16GB。8GBはオンボード、もう8GBはスロットでの増設だ。最大は+16GBで計24GB。ストレージはM.2 OPAL対応のSSD 256GB。OSは64bit版のWindows 10 Pro。

 グラフィックスはGeForce MX150(2GB)。以前このクラスのディスクリートGPUには、GeForce 940MXあたりが使われていたが、その後継版的な位置づけだ。おもな違いは、Pascalアーキテクチャか、Maxwellアーキテクチャとなる。外部出力用にはHDMIを装備する。

 ディスプレイは14型非光沢IPS式のWQHD(2,560×1,440ドット)。タッチには非対応。下位モデルに関しては解像度がフルHD(1,980×1,080ドット)、マルチタッチ(10点)にも対応可能だ。14型であればフルHDでも十分バランスが良いため、コストを考えるとフルHDでカスタマイズするのもありだろう。

 ネットワークは、有線LANはGigabit Ethernet、無線LANはIEEE 802.11ac対応、そしてBluetooth 4.1。そのほかのインターフェイスは、USB 3.1 Type-C×2、USB 3.0×2、720pカメラ、メディアカードリーダ、音声入出力。USB Type-Cは電源入力とビデオ出力機能ありで、内1つはThunderbolt 3。USB 3.0は、内1つが常時給電となる。

 サイズ約331x226.8x18.45mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.32kg。バッテリは先に書いたとおり、着脱非対応の内蔵3セルリチウムイオン電池のみ。駆動時間は最大約15.4時間。価格はこの構成で313,740円だが、執筆時点ではeクーポンを適用するとことで254,129円(税込・送料無料)となる。

 オプションとして、バックライト・キーボード、指紋センサーやIRカメラによるWindows Hello対応、WebカメラをカバーできるThinkShutter、底面に敷いて使うタイプのドッキングステーションなども用意されている。

パネル中央上にThinkShutter付きのWebカメラ。手前側面は鋭角でなにもない
天板左上にThinkPadのロゴ。iのドットが赤く光る
左側面は左からUSB 3.1 Type-C×2(右側はThunderbolt 3)、Gigabit Ethernet、USB 3.0、HDMI、音声入出力、メディアカードリーダ
ロックポート、USB 3.0(常時給電)
キーボードは10キーなしのアイソレーションタイプ。タッチパッドの右側にオプションの指紋センサー用スペースがある
キーピッチは実測で約19mm
底面はゴム足4つと手前左右の細いスリットにスピーカー。バッテリは内蔵で着脱できない
あまり薄型とはうたっていないが、それなりに薄いのがわかる
付属のACアダプタ。サイズは約105×45×28mm、重量226g。出力は20V/3.25A、15V/3A、9V/2A、5V/2A
本体重量は実測で1,359g

 筐体は“いつもの”ThinkPad。昔から変わらないスタイル、そして質感だが、それだけに安心感がある。14型で実測1,359g。軽いというレベルではないものの、ずっしり重いほどでもない。

 前面はパネル中央上にThinkShutter付きのWebカメラ。スライドさせることにより物理的にオン/オフできる。左側面にUSB 3.1 Type-C×2(右側Thunderbolt 3)、Gigabit Ethernet、USB 3.0、HDMI、音声入出力、メディアカードリーダ。右側面にロックポート、USB 3.0(常時給電)を配置。

 底面はゴム足4つに手前左右のスリットにスピーカー。先に書いたとおりT480sはバッテリ内蔵のみで着脱できない。付属のACアダプタは、サイズは約105×45×28mm、重量は226g。出力は20V/3.25A、15V/3A、9V/2A、5V/2A。

 14型のディスプレイは、IPS式で視野角は広く、発色、コントラスト、明るさも良好。非光沢なのでギラつく感じもなく眼に優しい。発色の色域も広めだ。2,560×1,440ドットということもあり200%にスケーリングされ、相対的に文字などが小さくなることもない。またパネルを180度まで傾けることができる。

 キーボードは10キーなしのアイソレーションタイプ。トラックパッドなども含め、いつものThinkPadで、打鍵感やさわった感じもほかのモデルと変わらない印象。キーピッチは主要キーで実測約19mm。今回届いたのはキーボードバックライト非搭載だったが、オプションで選択可能だ。

 振動やノイズは十分許容範囲に収まっている。発熱は通常用途だと気にならないが、ベンチマークテストなど負荷をかけるとキーボードの左右、とくに右側面スリット部分が多少熱を持つ。ディスクリートGPUを搭載を内蔵しているので仕方ない部分だろう。

 サウンドは、かなりのパワーで最大にするとうるさいほど。中域中心ではあるものの、バランスも良く、幅があるのでステレオ感も十分。本体だけで音楽も映像も楽しめるレベルだ。

高速でハイパワーなノートPC

 OSは64bit版のWindows 10 Pro。Core i7、OPAL対応のM.2、そしてメモリ16GBなので快適に操作できる。GeForce MX150を搭載していることもあり、モバイル用途に加え、室内ではデスクトップ的に使うのも十分ありだろう。

 初回起動時のスタート画面(タブレットモード)は1画面。LenovoグループにあるLenovo Vantageがプリインストールされている。デスクトップは壁紙の変更のみとシンプルだ。

 ストレージはOPAL対応のM.2 SSD 256GBの「LENSE20256GMSP」。C:ドライブのみの1パーティションで約237GBが割り当てられ空き210GB。Gigabit Ethernet、Wi-Fi、BluetoothすべてIntel製だ。GeForce MX150はCUDAコア384、メモリはGDDR5/2GBなのがわかる。タッチパッドはElan製のドライバが使われている。

スタート画面(タブレットモード)。LenovoグループにあるLenovo Vantageがインストール済み
起動時のデスクトップ。壁紙のみの変更とシンプル
デバイスマネージャー/主要なデバイス。ストレージはOPAL対応のM.2 SSD 256GBの「LENSE20256GMSP」。Gigabit Ethernet、Wi-Fi、BluetoothすべてIntel製
ストレージのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約237GBが割り当てられている
NVIDIAコントロールパネル。CUDAコア384、メモリはGDDR5/2GB
Mouse Properties。タッチパッドはElan製のドライバ

 プリインストールされているソフトウェアは、アプリケーションらしいのは「Lenovo Vantage」のみ。Lenovo Companionから世代交代したようだ。いろいろな設定が1つにまとめられ便利に扱える。ほかはIntelやThunderboltなどのシステム系となる。

Lenovo Vantage/Home
Lenovo Vantage/ハードウェア設定/電源・省電力
Lenovo Vantage/ハードウェア設定/オーディオ・ビジュアル
Lenovo Vantage/ハードウェア設定/スマート設定
Lenovo Vantage/ハードウェア設定/入力
Lenovo Vantage/システム更新

 ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2/Home accelerated、3DMarkとCrystalDiskMark。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した。

 winsat formalの結果は、総合 8。プロセッサ 9.1、メモリ 9.1、グラフィックス 8、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 9.1。メモリのバンド幅は27,471.15213MB/s。

 PCMark 8 バージョン2/Home acceleratedは3,423。3DMarkは、Ice Storm 38,345、Cloud Gate 13,697、Sky Diver 8,978、Fire Strike 2,563。

 CrystalDiskMarkは、Seq Q32T1 Read 2,750/Write 1,136、4K Q32T1 Read 603.5/Write 243.2、Seq Read 1,829/Write 528.4、4K Read 20.41/Write 143.5(MB/s)。CrystalMarkは、ALU 89,227、FPU 74,132、MEM 85,902、HDD 58,012、GDI 17,322、D2D 6,595、OGL 38,533。

 ゲーミング用途ではないノートPCとしてはかなりのハイスコアだ。プロセッサ、メモリ、ストレージ、グラフィックスすべてが高いレベルでバランスしている。

 BBenchは、バッテリ節約機能オン、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で59,375秒/16.5時間。

 仕様上最大約15.4時間なので1時間ほど超えた。+3セルで着脱可能なT480だとさらに長くなる。いずれにしてもこのクラスでこれだけ持てば十分かと思われる。

「winsat formal」コマンド結果。総合 8。プロセッサ 9.1、メモリ 9.1、グラフィックス 8、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 9.1
PCMark 8 バージョン2/Home accelerated「3,423」
PCMark 8 バージョン2/Home accelerated(詳細)。クロックは最大の4.2GHz付近を上下している。温度は50℃から90℃越えと割と高め
3DMark Ice Storm 38,345、Cloud Gate 13,697、Sky Diver 8,978、Fire Strike 2,563
CrystalDiskMark。Seq Q32T1 Read 2,750/Write 1,136、4K Q32T1 Read 603.5/Write 243.2、Seq Read 1,829/Write 528.4、4K Read 20.41/Write 143.5(MB/s)
BBench。バッテリ節約機能オン、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果は、バッテリの残5%で59,375秒/16.5時間
CrystalMark。ALU 89,227、FPU 74,132、MEM 85,902、HDD 58,012、GDI 17,322、D2D 6,595、OGL 38,533

 以上のように、Lenovo「ThinkPad T480s」は、14型WQHD(2,560×1,440ドット)、第8世代Core i7、メモリ16GB、OPAL対応M.2 SSD、そしてGeForce MX150を搭載したハイエンドノートPCだ。ゲーミング以外の一般的な用途でこれだけあれば十分と思われる構成になっている。加えてこの内容に関わらず駆動時間は15時間越え。パワーとスタミナを兼ね備えたモバイルノートと言えよう。

 仕様上とくに気になる部分もなくさすがThinkPad。完成度は高い。今回の構成ではそれなりの価格になるものの、いろいろなパターンが選べるので、14型で実用的なノートPCを探しているユーザーにおすすめできる逸品だ。