西川和久の不定期コラム
LTE対応で10万円前半のマウス製13.3型モバイルノート「MB13BCM8S2WL」
2018年2月28日 13:36
マウスコンピューターは2月21日、LTEモジュールを内蔵した13.3型モバイルノート「MB13BCM8S2WL」を発表。全国の同社製品取り扱い家電量販店にて順次販売を開始した。編集部から実機が送られて来たので試用レポートをお届けする。
Celeronを搭載しLTEモジュールを内蔵した13.3型フルHDモバイルノート
各社から13.3型前後で軽いモバイルノートはいろいろ出ているものの、現状ではLTEモジュールを内蔵した機種は少ない。その分、価格が上がり、またスマートフォンでテザリングすれば容易に接続できるため、さほど必要性を感じないユーザーも多いからだと思われる。
以前は筆者もそうだったが、LTE対応のSurface 3を使いだしてからはこの認識は変わった。LTE対応機種だと外では気づくともう接続済になっていて即ネットが利用でき、スマートフォンからテザリングの設定を行なう必要がなく便利だ。慣れてしまうともう戻りたくない気分になる。
今回ご紹介する「MB13BCM8S2WL」もLTEモジュール内蔵のモバイルノートだ。おもな仕様は以下のとおり。
MB13BCM8S2WL | |
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プロセッサ | Celeron 3865U(2コア2スレッド/1.8GHz/キャッシュ2MB/TDP 15W) |
メモリ | 8GB(4GB×2)/PC4-17000 DDR4 SO-DIMM/最大32GB |
ストレージ | SSD 240GB |
OS | Windows 10 Home |
ディスプレイ | 13.3型フルHD(1,920×1,080ドット)、光沢なし、タッチ非対応 |
グラフィックス | Intel HD Graphics 610 |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.2+LE |
LTE | Micro SIM、バンド3G (1/19)、LTE (1/3/19/21)、受信時最大150Mbps/送信時最大50Mbps |
インターフェイス | USB 3.0 Type-C、USB 3.0×2、HDMI、Mini DisplayPort、100万画素Webカメラ、SDカードリーダ、音声入出力 |
バッテリ駆動時間 | 約8.6時間 |
サイズ/重量 | 329.8×225×17.6mm(幅×奥行き×高さ)/約1.5kg |
価格 | オープンプライス(AmazonでのOffice有りモデルは118,584円) |
プロセッサはKaby Lake世代のCeleron 3865U。2コア2スレッドでクロックは1.8GHz。キャッシュは2MBでTDPは15W。メモリはPC4-17000 DDR4 SO-DIMMの4GB×2で計8GB。2スロットあり、最大32GBまで対応する。このプロセッサはDDR3にも対応しているが、DDR4を搭載しているので、その分高速なメモリアクセスが期待できる。ストレージは240GB SSD、OSは64bit版Windows 10 Home。Celeronとはいえ、メモリ8GBでSSDなので、快適に操作できそうだ。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 610。外部出力用としてHDMIとMini DisplayPortを装備している。ディスプレイは13.3型非光沢のフルHD(1,920×1,080ドット)。タッチには非対応となる。
ネットワークは、Gigabit Ethernet、IEEE 802.11ac対応。Bluetooth 4.2+LEも内蔵。そのほかのインターフェイスは、USB 3.0 Type-C、USB 3.0×2、100万画素Webカメラ、SDカードリーダ、音声入出力。
そして本機最大の特徴であるLTEは、Micro SIMで3G(B1/19)、LTE(B1/3/19/21)、受信時最大150Mbps/送信時最大50Mbps。もちろんSIMロックフリー仕様だ。
サイズは329.8×225×17.6mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.5kg。バッテリ駆動時間は約8.6時間。Office Home & Business 2016の有無で「MB13BCM8S2WL-A」(有り)と、「MB13BCM8S2WL」(なし)の2モデルを用意されている。
価格はオープンプライスだが、Amazon.co.jpではOffice有りモデルで118,584円だった。LTEモジュールを内蔵している分、スペックのわりに高めなのは仕方ないところか。また冒頭にも書いたが、全国のマウスコンピューター製品取り扱い家電量販店にて順次販売開始している。
なお、このモデルは家電量販店扱いのみで、同社の直販サイトでは扱っていないため、カスタマイズには対応していない。と言ってもこの仕様であれば、とくにカスタマイズする必要はないだろう。
筐体はオールシルバーで質感も良い。筐体の厚みは約17.6mmと比較的薄型だが、13.3型で約1.5kgはちょっと重いだろうか。
天板はmouseのロゴのみ。前面は、パネル中央上に100万画素Webカメラ。正面側面左型にステータスLED。左側面は、電源入力、Micro SIMカードスロット、USB 3.0、電源ボタン、マイク/ヘッドフォン端子。右側面はロックポート、Gigabit Ethernet、カードリーダ、HDMI、Mini DisplayPort、USB 3.0、USB Type-Cを配置。このクラスでGigabit Ethernet、HDMI、Mini DisplayPort、USB Type-Cがあるのはなかなか豪華だ。
Micro SIMは掲載した写真のように、手前が切り欠きになるように挿入する。スロットへ強めに入れると装着され、同じく強めに押すと飛び出すタイプなので、意図せず何かの拍子で飛び出すことがないのか多少不安を感じた
裏は前後に長細いゴム足と手前左右のスリットにスピーカー。また筐体が薄いのでGigabit Ethernetコネクタが収まりきらず、約半分ほどがカバー式になっている。バッテリは内蔵式で着脱できない。付属のACアダプタは、サイズが87×37×25mm(幅×奥行き×高さ)、重量149g、出力19V/2.1A。
13.3型のディスプレイは、非光沢なので見やすく、明るさ、コントラスト、発色、視野角など、すべて良好。光沢タイプのような派手さはないが自然な映りだ。とくに不満になることもないだろう。またバックライト最小でもそれなりに見えるためバッテリに優しい。パネルの傾きは写真の角度が最大だ。
キーボードはテンキー付きのアイソレーションタイプ。主要キーのキーピッチは実測で約19mm確保されている。ただ以前から指摘している[Enter]キー横の3つのキーに関しては変わらず、妙にピッチが広くなっている。ほかの部分がこなれているだけに残念。打鍵感は以前使用したときと同じ。おそらく同じユニットなのだろう。タッチパッドは2ボタン式。パームレストも含めそれなりに面積があるので扱いやすい。
ノイズや振動はとくに感じられなかった。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると気持ちキーボードの上左右が暖かくなる程度だ。これは後半のPCMark 8 バージョン2/Home accelerated(詳細)で、プロセッサの温度が32℃あたりから56℃程度と低めのためだろう。
サウンドは、左右のスピーカーが13.3型の幅に近い距離があるため、ステレオ感はそれなりにある。中域中心のシャリシャリ的な音だが、パワーはそこそこあるだろうか。
爆速ではないものの普段使いでは十分なパワーでバッテリ駆動8時間越え
OSは64bit版のWindows 10 Home。Celeronとはいえ、メモリ8GB、ストレージがSSDなので、とくにストレスなく操作できる。初回起動時のスタート画面(タブレットモード)は1画面。ユーザーサポートグループの、Windows 10ユーザーガイド、ハードウェアマニュアル、マカフィーリブセーフがプリンストールとなる。デスクトップは壁紙の変更のみとシンプルだ。
ストレージはSSD 240GBの「KINGSTON SUV400S37240G」。C:ドライブのみの1パーティションで約222.4GBが割り当てられ空きは198GB。
Gigabit EthernetはRealtek製、Wi-FiとBluetoothはIntel製、そしてLTEモジュールは「Telit LN930 LTE Mobile Broadband Card Port」とある。本連載では初登場だろうか。
プリインストールされているソフトウェアは、「マカフィーリブセーフ」と、同社おなじみの「Windows 10ユーザーガイド」(PDF)と「ハードウェアマニュアル」(PDF)のみ。ほかはControl CenterやIntelなどのツール系となる。
LTE対応モデルなので、それに関連する画面キャプチャをいくつか掲載した。おもに設定のパネルとなるが、簡単に接続できる。携帯ネットワークがオンの場合、Wi-FiやEthernetなどLANがあればそちらを優先、なければ自動的に接続し、インターネットに接続する。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2/Home accelerated、CrystalDiskMark。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した(2コア2スレッドなので条件的に問題ない)。
winsat formalの結果は、総合 5.1。プロセッサ 8.1、メモリ 8.1、グラフィックス 5.1、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 8.15。メモリのバンド幅は22,606.90483MB/s。PCMark 8 バージョン2/Home acceleratedは2,513。
CrystalDiskMarkは、Seq Q32T1 Read 541.3/Write 480.0、4K Q32T1 Read 166.1/Write 147.0、Seq Read 484.1/Write 436.2、4K Read 30.63/Write 62.97(MB/s)。CrystalMarkは、ALU 22,464、FPU 18,646、MEM 32,013、HDD 4,0519、GDI 8,842、D2D 5,210、OGL 8,007。
内蔵グラフィックスが遅いので足を引っ張っているものの、ほかのスコアは8越えと悪くない。メモリアクセスもDDR4デュアルチャネルの性能が出ている。PCMark 8 バージョン2/Home acceleratedもCore iなら3K超えだが、2.5K程度に収まっているため(許容範囲の個人差はあるだろうが)普通の感覚で扱える。
BBenchは、バッテリ節約機能オン、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オン、LTE/オンでの結果だ。LTEモジュール内蔵なのであえてオンに設定した(ただし通信自体はWi-Fi)。バッテリの残5%で30,312秒/8.4時間。
仕様上約8.6時間なのでほぼ同じ結果となった。昨今12時間越えが多くなってきたものの、モバイルノートとしてはとりあえず8時間超えれば合格点と言ったところだろうか。
以上のように、マウスコンピューター「MB13BCM8S2WL」は、13.3型で薄型の筐体に、Kaby Lake世代のCeleron、DDR4のメモリ8GB、SSD 240GB、そしてLTEモジュールを搭載したモバイルノートだ。何時でもどこでもサクッとLTEでネットに接続できるのが最大の魅力となる。
仕様的にサイズのわりに少し重めなのと、妙にピッチの広い3つのキーが気になるものの、ほかの部分はバランスよく仕上がっている。Wi-FiなどLANがない場所での使用が多いユーザーにおすすめしたい1台だ。