西川和久の不定期コラム

デュアルカメラ搭載スマホのモトローラ「Moto X4」

~ミドルレンジクラスの5.2型フルHDモデル

Moto X4

 モトローラ・モビリティ・ジャパンは10月に、「Moto X」シリーズの第4世代モデル「Moto X4」を発表、同月27日より順次販売を開始した。編集部から実機が送られてきたので試用レポートをお届けしたい。

Snapdragon 630を搭載したミドルレンジモデル

 同社スマートフォンのラインナップは「Moto Z」、「Moto X」、「Moto G」の3種類。今回ご紹介する「Moto X4」は、Moto Xシリーズの第4世代モデルで、ミドルレンジクラスに相当する。

 カメラは、標準とワイドのデュアルカメラ。デュアルカメラは昨年(2016年)あたりからHUAWEIやAppleなどから採用スマートフォンが出てきたが、今年(2017年)に入って一気にメーカー問わず機種が増えてきた。

 標準/望遠、カラー/モノクロセンサー、標準/ワイドと、方式はいろいろあり、それぞれカメラアプリのメニュー的には似ている機能を持つものの、ロジック的には異なっているのが独自色があっておもしろい。

 おもな仕様は以下のとおり。

【表】Moto X4のスペック
Moto X4
SoCSnapdragon 630(2.2GHz、8コア、Adreno 508 GPU内蔵)
メモリ4GB
ストレージ64GB
OSAndroid 7.1.1
ディスプレイ5.2型IPSフルHD/1,080×1,920ドット(428ppi)/Corning Gorilla Glass
ネットワークIEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.2+LE
SIMNano SIMカードスロット×2(DSDS対応)
対応バンド4G: B1/2/3/4/5/7/8/18/19/26/28/38/40/41
3G: B1/2/4/5/6/8/19
2G: 850/900/1,800/1,900MHz
インターフェイスUSB Type-C、microSDカードスロット(Nano SIMカードスロット兼)、NFC、FMラジオ、ステレオミニジャック
前面カメラf2.0/1,600万画素
背面カメラデュアルカメラ:f2.0/1,200万画素カラーセンサー(標準) + f2.2/800万画素カラーセンサー(広角)
センサー指紋、加速度、ジャイロ、コンパス、近接、環境光
バッテリ容量3,000mAh(一体型) / 急速充電対応(約15分の充電で最長8時間駆動)
カラーバリエーションスーパーブラック / スティーリングブルー
その他IP68相当の防水機能
サイズ/重量約73.4×148.4×7.99mm(幅×奥行き×高さ)/約163g
税別価格53,800円

 SoCはSnapdragon 630。Snapdragonは8系、6系、4系などの種類があり、Moto X4に搭載している6系にもいくつかSKUが存在するが基本的にはミドルレンジだ。メモリは4GB、ストレージは64GB、OSはAndroid 7.1.1を搭載。メモリが4GBなので、OSやアプリの動作に余裕がある。

 ディスプレイは5.2型IPSフルHD/1,920×1,080ドット(428ppi)。Corning Gorilla Glassを採用している。有線による外部ディスプレイは非対応で、外部出力のさいはChromecastなどを使い、Wi-Fi経由で接続することになる。

 ネットワークは、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.2+LE。Nano SIMカードスロットが2つありDSDS対応。1つはmicroSDカードと排他となる。対応バンドは表のとおりだ。

 インターフェイスは、USB Type-C、microSDカードスロット、NFC、FMラジオ、ステレオミニジャック。センサーは、指紋、加速度、ジャイロ、コンパス、近接、環境光を搭載する。

 カメラは、前面にf2.0/1,600万画素。アダプティブ低光量モードにより低照度時でも強いとされている。背面は、標準側にf2.0/1,200万画素、広角側(120度)にf2.2/800万画素のデュアルカメラだ。2つのカメラから得られるデータから深度(ポートレート)モードにも対応。コンパクトカメラ並みのボケみのある写真を撮ることができる。

 前面カメラのほうが画素数は多いもののピッチは1μm、対して背面カメラは1.4μm/1.12μm(標準/ワイド)とそれなりに差があり、写り自体は背面カメラのほうがよい。

 3,000mAhのバッテリを内蔵(着脱不可)し、サイズは約73.4×148.4×7.99mm(幅×奥行き×高さ)、重量約163g。15分の充電時間で最長6時間の駆動を実現する「TurboPower」にも対応している。

 カラーバリエーションは、「スーパーブラック」と「スティーリングブルー」の2色。若干発売時期が異なってたものの、現時点ではどちらも出荷済みだ。IP68相当の防水機能にも対応し、税別価格は53,800円。内容などを考慮するとリーズナブルな設定と言えよう。

パネル中央上に、スピーカーと前面カメラ。下中央に指紋センサー。ナビゲーションはソフトウェア式
中央上部にデュアルカメラ。左側が標準、右側がワイド
右側面に音量±ボタン、電源ボタン。下側面にUSB Type-Cと音声入出力
左側面にはなにもなく、上部にSIM/microSDカードスロット
奥側がSIM1/手前がSIM2(microSDカードと排他)
付属品は、USB式ACアダプタ、USBケーブル、イヤフォン
重量は実測で167g

 筐体自体は5型クラスのありがちな形状であるが、ガラスに覆われた陽極酸化アルミニウムフレーム。さらにガラスの下に反射フィルムがあり、ご覧のように独特の雰囲気を醸し出している。厚み7.99mm、重量は実測で167g。このクラスとしては標準的だ。

 前面はパネル中央上に、スピーカーと前面カメラ。下中央に指紋センサー。ナビゲーションはソフトウェア式となる。背面は中央上部にデュアルカメラ。左側が標準、右側がワイド。右側面に音量±ボタン、電源ボタン。下側面にUSB Type-Cと音声入出力。左側面には何もなく、上部にSIM/microSDカードスロットを配置。上にSIMスロットがあるのは、この連載としてはめずらしいパターンだ。

 付属品は、サイズ約50×35×20mm/重量51g。出力5V/3A、9V/1.6A、12V/1.2AのUSB式ACアダプタ、USBケーブル、イヤフォン。

 IPS式5.2型のディスプレイは発色、コントラスト、明るさ、視野角すべて良好。輝度最大だとかなり明るい。またフルHD(1,080×1,920ドット)で5.2型なので428ppiあり、文字などのジャギーもまったくわからない。タッチもスムーズに反応する。

 振動やノイズはもちろん皆無。発熱はYouTubeの連続再生程度なら問題ないが、カメラで連続撮影すると、それなりに熱を持つ。とはいえ、他社も同レベルなのでとがめるほどではないだろう。

 サウンドはスピーカーが上部に1つなのでモノラルになるものの、最大時はパワーもあり、意外と低音も出る。イヤフォン接続時も、音の傾向は同じでピラミッドバランスでなかなかよい(半面透明感とか、高域の繊細さは後退する)。最大時はうるさいほどの音量だ。

 質感、パネルの品質、サウンドなど、全体的に価格を考えれば非常にバランスの取れた1台と言えそうだ。

画質OKで機能満載

 カメラは冒頭に書いたとおり、背面はf2.0/1,200万画素、広角側(120度)にf2.2/800万画素のデュアルカメラだ。

 アプリ画面、右スワイプで設定、左スワイプで写真確認/編集/削除に切り替わる。また撮影中の画面左中央にある風景のアイコンをタップすると標準とワイドがトグルする。露出補正は、ありがちな上下にスライドではなく、円状にスライドする。

 モードは「プロフェッショナルモード」、「顔フィルタ」、「深度の有効化」、「パノラマ」、「スポットカラー」、「カメラ」の6種類。プロフェッショナルモードでは、フォーカス マクロ~無限遠、WB 電球/蛍光灯/太陽光/曇り、シャッタースピード 1/3~1/6,000秒、ISO 100~3,200、露出補正 -2~+1の設定が可能だ(各Autoあり)。

 設定は、シャッター音、Quick Capture、位置情報を保存、写真サイズ 12MP/9.1MP、任意の場所のタップで撮影、補助グリッド、ビデオサイズ 4K(30fps)、フルHD(60fps)/フルHD(30fps)/HD(30fps)/VGA(30fps)、被写体認識、ランドマーク認識。

 深度の有効化はいわゆるポートレートモードだ。カメラが標準側に切り替わり、画面下にあるスライダーでボケ味を調整できる。また撮影後でも深度エディタを使うと、ピンとボケ味の調整が可能だ。加えて、背景をモノクロ化、背景の切り取りなどの機能もある。

 おもしろい機能として、撮影画面上にある被写体を認識する「詳細を確認」と「ランドマーク」の機能が挙げられる。前者は今回手持ちのギターで試したところ「ホワイトエレクトリックギター」と出て、関連する情報の検索結果が表示された。

 ランドマークは渋谷で、ヒカリエ、TSUTAYA、エクセルホテルなどで試したものの、どれも反応せず。唯一反応した109はシカゴのまったく違う建物だった。まだデータが不足しているのだろう。

写真
プロフェッショナルモード
設定(1/2)
設定(2/2)
標準
広角
写真確認/編集/削除など(左へスワイプ)
深度の有効化
深度エフェクタ/Home
選択的モノクロ
被写体の詳細を確認。手持ちのギターで確認すると……
表示する結果の対象。ホワイトエレクトリックギター。さすがにFender MG66とは出なかった
ランドマークの確認
渋谷109なのになぜかシカゴのホテルが……似ているのか!?「trump international hotel chicago」で検索すると、似ているかもしれないがサイズ感が全然違う(笑)

 動作は起動、フォーカスなどは速くストレスは感じないレベルだ。ただ書き込みは、深度モードはデータ量が多いのか時間がかかり、普通のカメラでも速いときがあったり遅いときがあったりする。また広角にして、筐体の中央あたりで持っていると指が写り込んでしまう。

 発色自体は以下の作例のように夜景も含めかなり綺麗だ。ホワイトバランスもオートでまったく問題ない。等倍で解析すれば違うかもしれないが、普通に見るかぎり、ハイエンドに匹敵する画質と言って差し支えない。

セットアップ

 セットアップは、Googleアカウント、SIM設定や指紋登録などはスキップして行なった。初めに英語から起動し日本語へ切替、そのほかアプリ検索の画面があるので計13画面と多めだが、それ以外は一般的なステップになっている。

ようこそ(日本語へ切替後)
moto X4へようこそ(新規としてセットアップ)
接続
プライバシーについて
ログイン(スキップ)
名前(スキップ)
指紋によるロック解除(スキップ)
Googleサービス
そのほかの設定項目
Motoにサポートを許可する
motoそのほかのアプリ検索(スキップ)
アカウントの追加(スキップ)

 指紋登録は、パスワード、PIN、パターンなど、ベーシックな認証を登録後行なえる。指紋センサーの幅/高さもそこそこあり、登録自体は簡単に行なえた。APNは一般的なものは登録済。DSDSにも対応する。

指紋を登録
指紋の中心を登録
登録に成功しました
設定/指紋ID
APN
デュアルSIM管理

オーソドックスでわかりやすい標準設定

 初回起動時のホーム画面は3つ。1画面目はGoogle、2画面目に時計ウィジェットと、LinkedIn、Outlook、Googleフォルダ、Duo、Moto、カレンダー、Playストアを配置。ドックには、電話、メッセージ、Chrome、写真、カメラ。3画面目は、設定と連絡先。割とオーソドックスな構成だ。

 Androidのバージョンは7.1.1。ストレージは64GB中18.56GB(若干の画面キャプチャを含む)が使用中。ホーム画面の長押しで壁紙/ウィジェット/設定画面や、上から下へスワイプで通知エリアなど操作系は標準のまま。Android 7系の画面分割などにも対応する。

Home(1/3)
Home(2/3)
Home(3/3)
アプリ(1/2)
アプリ(2/2)
通知エリア/クイック設定
端末の状態
内部共有ストレージ
Android 7.1の画面分割
壁紙長押しで壁紙/ウィジェット/設定画面

 アプリは、「カメラ」、「カレンダー」、「スプレッドシート」、「スライド」、「ダウンロード」、「ドキュメント」、「ドライブ」、「ハングアウト」、「ファイル」、「フォト」、「ヘルプ」、「マップ」、「メッセージ」、「時計」、「設定」、「電卓」、「電話」、「壁紙」、「翻訳」、「連絡先」、「Chrome」、「Duo」、「FMラジオ」、「Gmail」、「Google」、「LinkedIn」、「Moto」、「Outlook」、「Playストア」、「Plau Music」、「Playムービー」、「YouTube」。

 Android標準アプリに「LinkedIn」、「Outlook」、「Moto」が加わった形だ。LinkedInとOutlookがあるあたり、少しビジネスよりな感じがする。

 専用アプリのMotoは、Moto Key(指紋センサーでアプリやサイトにサインイン、Windowsデバイスの解除、その他ログイン)、Moto Actions(スクリーンショット、ワンボタンナビ、フラッシュライトを操作、Quick Caputre/カメラ起動)、Moto Display(夜間表示、画面オフ時のフェードイン/アウト)、Moto Voice(音声コントロール)と言った、同社固有機能の設定用となる。たとえばMoto Actionsでは、手首を素早く2回ひねるとカメラを起動できる。

Motoアプリ/Moto Key
Motoアプリ/Moto Actions
Motoアプリ/Moto Display
Motoアプリ/Moto Voice

 ウィジェットは、「スケジュール」、「月」、「スプレッドシート」、「スライド」、「ドライブ」×3、「マップ」×3、「メッセージ」×2、「時計」×2、「時刻と天気」、「設定のショートカット」、「翻訳」、「連絡先」×3、「Chromeのブックマーク」、「Gmail」×3、「Google」×3、「Playストア」、「Play Music」×3、「LinkedIn」、「Outlook」×2。

ウィジェット(1/7)
ウィジェット(2/7)
ウィジェット(3/7)
ウィジェット(4/7)
ウィジェット(5/7)
ウィジェット(6/7)
ウィジェット(7/7)

ミドルレンジとしては標準的なスコア

 ベンチマークテストは簡易式だが、「Google Octane 2.0」と「AnTuTu Benchmark」を使用した。Google Octaneは4,811、AnTuTu Benchmarkは70,020。スコア的にもミドルレンジ。とはいえ、実際操作するとかなりサクサク動くので、通常の用途であれば、性能不足を感じることはまずないだろう。

Google Octane 2.0「4,811」
AnTuTu Benchmark「70,020」
Wi-Fi接続、音量と明るさ50%でYuTubeを全画面連続再生約8時間経過後のバッテリ残27%

 バッテリ駆動時間は、Wi-Fi接続、音量と明るさ50%でYuTubeを全画面連続再生したところ、11時間ほどで電源が落ちた。標準的な動作時間だ。


 以上のように、Moto X4は、5.2型フルHD対応のスマートフォンだ。メモリ4GB、ストレージ64GB、デュアルカメラ、DSDSなど、基本性能も十分。SoCがミドルレンジとはいえ、十分サクサク動作する。見た目もソリッドでMotorolaっぽいのも魅力的。

 仕様上とくに気になる部分もなく、価格を考慮すると完成度は高い。5万円程度のスマートフォンを探しているユーザーにおすすめできる逸品と言えよう。