西川和久の不定期コラム
第8世代Core搭載の13.9型4Kモバイル2in1「レノボ YOGA 920」
2017年11月30日 13:23
レノボ・ジャパン株式会社は9月5日、第8世代Coreプロセッサを採用し、13.9型4Kのパネルを搭載した薄型2in1「YOGA 920」を発表した。少し時期が経ってしまったが、編集部から実機が送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。
第8世代Core i7と4Kパネルを採用したハイエンド2in1
YOGA 920は、前モデル「YOGA 910」の後継機となる。「ウォッチバンドヒンジ」と呼ばれる独特のヒンジを採用し、テントモード、スタンドモード、タブレットモードに変形可能な2in1のルックスをそのままに、仕様を進化させたモデルだ。
おもな違いは、プロセッサの世代、USB 3.1の有無、Bluetooth Active Penの有無、メモリ仕様、若干のサイズ/重量違い……などとなる(あとでわかったが、ACアダプタの形状も異なる)。つまり、「YOGA 920」は、第8世代プロセッサ搭載と、USB 3.1対応が最大の特徴。見栄えこそあまり変わらないが、内部は世代交代したかたちとなる。おもな仕様は以下の通り。
【表】「YOGA 920」の仕様 | |
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プロセッサ | Core i7-8550U(4コア/8スレッド、クロック 1.8GHz/4.0GHz、cache 8MB、TDP 15W) |
メモリ | 16GB(PC4-19200 DDR4 SDRAM/オンボード)/最大16GB |
ストレージ | SSD 512GB(PCIe NVMe/M.2) |
OS | Windows 10 Home(64bit) |
ディスプレイ | 13.9型IPS式4K(3,840×2,160ドット)、光沢あり、10点タッチ対応、ゴリラガラス |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 620 |
ネットワーク | IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.1 |
インターフェイス | USB 3.1(USB Power Delivery 3.0対応、Thunderbolt 3、DisplayPort出力)×2、USB 3.0×1(Powered)、720pカメラ、音声入出力、JBLステレオスピーカー、指紋センサー(Windows Hello対応) |
センサー | 光センサー、加速度センサー |
バッテリ駆動時間 | 約10.3時間(4セル/リチウムイオンポリマー) |
サイズ/重量 | 323×223.5×13.95mm/約1.37kg |
カラーバリエーション | ブロンズ、プラチナ |
そのほか | Bluetooth Active Pen(4,096段階の筆圧対応)、Office搭載モデルあり |
税込/送料無料価格 | 256,500円 |
プロセッサは第8世代/Kaby Lake RefreshのCore i7-8550U。4コア8スレッドでクロックは1.8GHzから最大4GHz。キャッシュは8MB、TDPは15W。このクラスのSKUとしては、最上位にCore i7-8650U(1.9/4.2GHz)があるので、2番目となる。
ストレージはPCIe NVMe/M.2の512GB SSD、メモリはオンボードでPC4-19200 DDR4 SDRAMの16GBを搭載。オンボードなので後から増設はできないものの、16GBもあれば問題ないだろう。OSは64bit版のWindows 10 Homeだ。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel UHD Graphics 620。外部出力用として、DisplayPortに対応したUSB 3.1が2ポートある。ディスプレイは狭額縁の13.9型IPS式4K(3,840×2,160ドット)。光沢ありで10点タッチ対応。またゴリラガラスを採用している。
ネットワークは、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.1。Gigabit Ethernetは搭載していない。そのほかのインターフェイスは、USB 3.1×2、USB 3.0×1、720pカメラ、音声入出力、JBLステレオスピーカー、指紋センサー。
USB 3.1は、USB Power Delivery 3.0対応でThunderbolt 3兼用。先に書いたようにDisplayPort出力を備えている。指紋センサーはWindows Hello対応だ。そのほか、光センサー、加速度センサーを搭載。また、4,096段階の筆圧対応Bluetooth Active Penを標準同梱する。
サイズは323×223.5×13.95mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.37kg。前モデルのYOGA 910(厚み14.30mm)と比較して、若干薄くなっている。カラーバリエーションは「ブロンズ」、「プラチナ」。4セルのリチウムイオンポリマーバッテリを内蔵(着脱不可)し、駆動時間は最大約10.3時間。
税別価格は183,000円より。直販モデルだと今回ご紹介した構成で256,500円(税込・送料無料)となる(eクーポン適用で205,200円、Office付き278,100円/225,261円@eクーポン)。最上級の2in1と考えれば、妥当な価格だと思われる。
なお、下位モデルとして、Core i5-8250U、メモリ8GB、SSD 256GB、フルHD(1,920×1,080ドット)も用意されている。
今回届いた本体色は「ブロンズ」。アルミユニボディなので質感も良い。また独特の「ウォッチバンドヒンジ」が目立ち、2in1でも一風雰囲気が異なる。用途に応じて、テントモード/スタンドモード/タブレットモードにも変形でき、この時、約1.37kgあるのでタブレットとして見ると重いが、13.9型のノートPCと考えれば一般的(軽い方)だろう。
前面はパネル中央上に720pカメラ。パネル周辺は、下は少し高さがあるものの、上左右は狭額縁なのが分かる。左側面にUSB 3.1×2、音声入出力。右側面にUSB 3.0、電源ボタン……と非常にシンプル。USB 3.0はPowered USBで常時給電対応だ。底面は四隅にゴム足と、手前左右にステレオスピーカーを配置。バッテリは内蔵で着脱できない。また天板にあるロゴは「Lenovo」ではなく「YOGA」となっている。細かいことであるがYOGA 910と異なる部分だ。
付属のACアダプタは、サイズ約105×45×30mm(同)、重量228g、出力20V/3.25A、15V/3A、9V/2A、5V/2A。プラグがType-Cになっており本体側USB 3.1のどちらからでも給電できる。
13.9型IPS式4Kディスプレイは、明るくハイコントラスト、発色、視野角……全てにおいて高品質。これを見てしまうと普通のパネルでは物足らなくなりそうだ。黒のしまりが良く、赤の発色が印象的。タッチも気持ちよく追尾する。
キーボードはテンキーなしのアイソレーションタイプ。主要キーのキーピッチは約19mm。右側の一部が狭くなっているものの、目くじら立てるほどでもないだろう。打鍵感はストローク浅目に加えソフトだ。[Fn]+[Space]キーでオフと2段階の明るさのキーボードバックライトに対応する。また右手前に指紋センサーがある。タッチパッドは物理的なボタンのない1枚プレート型。パームレストも十分面積が確保されており使いやすい。
ノイズや振動はないが、発熱はベンチマークテスト中、主に左と上側が温かくなった。PCMark 8 バージョン2/Home acceleratedでは80℃近くまでプロセッサ温度が上がっているのでその関係だろう。半面、その割には熱いというレベルにはなってない。サウンドは、出力も高く、低音も(ノートPC/タブレットの割には)結構出る。JBLとコラボしているだけあって、ただ鳴ってるだけの感じではなく、音楽も動画も楽しめる。
またLenovo Companion/ハードウェア設定に「DOLBY」設定があり、ON/OFFとムービー/音楽/ゲーム/音声のプロファイルを切り替えることが可能だ。
付属のBluetooth Active Penは、単6形の電池を1本使用。電池を内蔵した状態で重量は18gと、軽過ぎず重過ぎず扱いやすい印象。筆者の場合、絵は描けないが、EdgeのWebノートなどはストレスなく扱うことができた。上部のボタンを押すとスケッチパッドが起動する。
以上のように、操作性も含めたルックス、パネル、サウンドなど、すべてにおいてハイグレードな1台に仕上がってる2in1と言えるだろう。
winsat formal総合8の快適環境
OSは64bit版のWindows 10 Home。第8世代Core i7でも上位SKUと、16GBメモリ、そしてPCIe NVMe/M.2のSSDということもあり、何をしても快適に作動する。これを触ってしまうとCore i未満のプロセッサ搭載機には戻りたくない気分になる。
スタート画面(タブレットモード)は1画面。Lenovo Appsグループにあるアプリが、Windows標準以外のプリインストールとなる。デスクトップは壁紙のみの変更で、左側にはショートカットがないものの、タスクバーにいくつかアプリがピン止めされている。
ストレージはPCIe NVMe/M.2 512GBのSSD「SAMNSUNG MZVLW512HMJP」。実質C:ドライブのみの1パーティションで約450GBが割り当てられ、空きは409GB。Wi-FiとBluetoothはQualcomm製だ。またBluetoothのデバイスに「Lonovo Active Pen2」の項目も見える
プリインストールのソフトウェアは、「Lenovo App Explorer」、「Lenovo Companion」、「Lenovo Settings」、「Lenovoアカウントポータル」と言ったお馴染みLenovo独自アプリと、「マカフィーリブセーフ(トライアル版)」、それからOffice一式だ。
また、Lenovo Settingsは、Lenovo Companionのハードウェア設定に統合され、操作上の互換性(?)を保つためだけに入っている。従来ユーザーが使ったとき、「あれどこへ行った!?」と探さずに済むので、しばらくはこの状態が続くのだろう。先に挙げた「DOLBY設定」もここに含まれている。
DOLBYは別アプリになっているケースが多いが、プリインストールのソフトウェア一覧を見ると、DOLBY API SDKが入っていた。Lenovo CompanionからのこのAPI経由でDOLBYの設定を操作しているようだ。なかなか凝った仕掛けになっている。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2/Home accelerated、CrystalDiskMark。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した(4コア8スレッドと条件的に問題があるので参考まで)。
winsat formalの結果は、総合 8。プロセッサ 8.3、メモリ 8.3、グラフィックス 8、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 9.15。メモリのバンド幅は27395.49421MB/s。PCMark 8 バージョ2/Home acceleratedは3282。
CrystalDiskMarkは、Seq Q32T1 Read 3070/Write 1512、4K Q32T1 Read 380.2/Write 432.8、Seq Read 1094/Write 1369、4K Read 43.15/Write 133.1(MB/s)。CrystalMarkは、ALU 77930、FPU 60601、MEM 74449、HDD 59220、GDI 19387、D2D 7264、OGL 15808。
winsat formalの総合が8。従来であればプロセッサ内蔵グラフィックスが足を引っ張るのだが、このIntel UHD Graphics 620は、プロセッサとバランスが取れているため、総合が落ち込むこともない。加えてSSDはPCIe NVMe/M.2なので爆速。普通に使ってストレスを感じることはまずないだろう。
BBenchは、バックライトを0%にすると真っ暗で見えなくなるため、今回は輝度10%で測定した。バッテリー節約機能ON、バックライト10%、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で41,543秒/11.5時間。
仕様上は約10.3時間なので約1時間上回った。輝度を上げると駆動時間が短くなると思われるが、内容を考えると十分な持ちと言えるだろう。
以上のようにLenovo「YOGA 920」は、第8世代Core iプロセッサに対応した13.9型4K薄型2in1。ウォッチバンドヒンジを含めた筐体のデザインや狭額縁、PCIe NVMe/M.2など、とにかくハイエンド2in1的な1台。バッテリ駆動時間も十分ある。値段はそれなりだが、性能を含めた満足度は高そうだ。
仕様上、とくに気になる部分もなく、高性能でかつ4Kの高解像度を必要としている2in1を探しているユーザーに、ぜひお勧めしたい製品だと言えよう。