西川和久の不定期コラム
ASUS「ZenPad 10」
~10.1型WUXGAでLTE対応のAndroidタブレット!
2017年7月27日 06:00
ASUSは7月19日、SIMロックフリーの10.1型Androidタブレット「ZenPad 10(Z301MFL)」を発表、同21日から販売を開始した。早速実機が編集部から送られて来たので、試用レポートをお届けしたい。
LTE対応で10.1型1,920×1,200ドットのエントリーモデル
SoCはMediaTek MT8735A。クアッドコアで1.45GHz、Mali T720 MP2 GPUを内蔵している。後半のベンチマークテストによると、(3D性能は勝つものの)Snapdragon 425と同クラスのようだ。したがってハイエンドのような爆速は期待できず、それなりに使えるエントリークラスとなる。メモリは2GB、ストレージは16GB。Android 7.0に同社お馴染みZenUIを搭載している。そのほかの仕様は以下のとおり。
ASUS「ZenPad 10」の仕様 | |
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SoC | MediaTek MT8735A(クアッドコア1.45GHz、Mali T720 MP2 GPU内蔵) |
メモリ | 2GB |
ストレージ | 16GB |
OS | Android 7.0 |
ディスプレイ | 10.1型IPS式1,920×1,200ドット(WUXGA)、マルチタッチ対応 |
ネットワーク | IEEE 802.11 a/n対応、Bluetooth 4.2 |
インターフェイス | USB 2.0 Type-C(充電用兼)、microSDカードスロット、全面200万画素/背面500万画素カメラ、音声入出力、デュアル全面スピーカー |
SIM | Micro SIM |
対応バンド | FDD-LTE 1/3/5/7/8/9/18/19/20/26/28、TD-LTE 38/41、W-CDMA 1/5/6/8/9 |
バッテリ/駆動時間 | 4,680mAh/約10.6~11.2時間 |
サイズ/重量 | 約251.7×172.1×8.9mm(幅×奥行き×高さ)/約490g |
そのほか | DTS-HD Premium Sound、DTS Headphone X、ATOK |
カラーバリエーション | ダークブルー、クラシックホワイト、アッシュグレー |
税別店頭予想価格 | 32,800円 |
ディスプレイは10.1型IPS式で1,920×1,200ドット(WUXGA)。もちろんマルチタッチにも対応する。外部出力用のHDMIなどは装備していない。最近Android搭載機はスマートフォンも含め有線による外部出力を搭載しなくなって来ているが、需要がないのだろうか。
インターフェイスは、IEEE 802.11 a/n対応、Bluetooth 4.2、USB 2.0 Type-C、microSDカードスロット、全面200万画素/背面500万画素カメラ、音声入出力、デュアルフロントスピーカー。USB 2.0 Type-Cは主に充電用となる。SIMはMicro SIM、対応バンドは表のとおり。
4,680mAhのバッテリを内蔵し、駆動時間は約10.6~11.2時間。サイズは約251.7×172.1×8.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量約490g。カラーバリエーションは、ダークブルー、クラシックホワイト、アッシュグレーの3色。
特徴として、「DTS-HD Premium Sound」、「DTS Headphone X」、「ATOK」を搭載している。また映像や写真コントラストとシャープネスを自動調整する「Tru2Lifeテクノロジー」を採用していること。とくにホビーで使うタブレットは画面と音が命(と個人的には思っている)なので、これらの搭載はポイントが高い。
税別店頭予想価格は32,800円。オプションとして、本体両面を保護する純正アクセサリ「TriCover」(税別3,980円)も同時に発売中だ。
少し前に9.6型IPS式1,280×800ドットのファーウェイ「MediaPad T3 10」をご紹介したが、そのLTEモデルの10.1型1,920×1,200ドット+α版といった感じだろうか。パネルの違いやATOK、DTSサウンド系の追加でちょうど1万円高。十分リーズナブルと言えよう。
筐体は背面がメッシュ状でザラザラ感の手触り。全面も含め主な素材はプラスチックだ。フレームのシルバーも含めあまり高級感はない。少し前にフルメタルの「MediaPad T3 10」を扱ったばかりなので、この差は少し大きいように思ってしまう。10.1型で重量490gなので持ったとき、軽く感じる。
前面は中央上に200万画素カメラ。フチと銀フレームの間にメッシュがあり、スピーカーが埋め込まれている。背面に右上に500万画素背面カメラ。左側面に音量±ボタン、音声入出力、USB 2.0 Type-C。下側面にmicroSDカードスロット(左)と、Micro SIMスロット(右)。右側面には何もなく、上側面に電源ボタンを配置。付属のUSB式ACアダプタのサイズは約42×42×25mm(同、プラグ含まず)、重量52g。出力は5V/2A。一般的なものなのでほかのUSB ACアダプタを流用できる。
10.1型のディスプレイは、発色、コントラスト、視野角ともに良好。明るさは最小でも暗めの室内であれば十分見える範囲。最大だと眩しいほどだ。1,920×1,200ドットなので文字などもスムーズ。タッチは普段は良好に反応するものの、何かのタイミングで鈍ることがあった。
ノイズや振動は皆無。発熱は長時間使用すると、真ん中より左側が少し熱を持つが、許容範囲だろう。
サウンドはデュアル前面スピーカーを搭載していることもあり、音が後ろや横に抜けず正面へ届き、机の上に置いても手で持ってもおおよそのバランスは変わらない。
DTS系を採用しているのでクオリティにも期待していたが、非力とまでは言わないが、パワーが不足気味。加えて高域と低域も弱く、中域も「音がいい!」とまでには程遠く、さらにイヤフォン出力は全体的にこもっており抜けが良くない……と、残念な結果となった。これはある意味写真と同じで、もともとがしっかり撮れてないないのにPhotoshopで上塗りしても上りはしれているのと同じで、基本の音がしっかりしていないと、DTS系を付加しても効果はそこそこになってしまう。メインストリーム価格帯なだけに、そこまで作り込めないのも仕方ないところか。
とはいえ、これは期待値が高かったための反動であり、何もしてない安価なタブレットよりはいい音だ。
ファイルマネージャーやモバイルマネージャーなど、痒いところに手が届くちょっとしたアプリを追加
セットアップはWi-Fiのみで行ないSIMに関してはあとから設定した。初期設定が完了するまで約16画面(実際はもう少し多い)。画面キャプチャを掲載したので参考にしてほしい。
以前同社のスマートフォンのときにも指摘しているが、ASUSアカウント、Google Driveプロモーション、お気に入りアプリを見つけて……この部分が素から加わっているため、初回セットアップで手間がかかる。筆者のような玄人でも画面が多い&面倒と思うので、初心者ならなおさらかもしれない。ASUSアカウントに関しては、それが必要なアプリを起動すると登録/ログイン画面となるので、そのタイミングでいいのではないだろうか。
初期起動時のホーム画面は2画面。1画面目は、「メモリ解放」、「MyASUS Service Center」のショートカットと「Apps4U」フォルダ。そして「連絡先ウィジェット」と「スケジュール」のウィジェットを配置。2画面目は、「モバイルマネージャー」、「電子書籍」、「ZenUI FAQ」、「Facebook」、「Messenger」のショートカットが並んでいる。個人的には今一つ何がしたいのか(何が中心なのか)わからない並びに見える。
Dock相当の部分には「ASUS」フォルダ、「メッセージ」、「Chrome」、「カメラ」、「Playストア」、「Google」フォルダを配置。
ストレージは16GB中8.57GBが空き(ただし初期起動時のセットアップなどの画面キャプチャが含まれている)。Androidのバージョンは7.0。画面分割も作動する。1,920×1,200ドットなので半分で分割してもそれなりの解像度があり実用的だ。
標準搭載のアプリは、「カメラ」、「ギャラリー」、「ファイルマネージャー」、「メッセージ」、「モバイルマネージャー」、「音声レコーダ」、「音声検索」、「時計」、「設定」、「天候」、「電子書籍」、「電卓」、「連絡先」、「ATOK」、「Chrome」、「Facebook」、「i-フィルター」、「Instagram」、「Messenger」、「MyASUS Service Center」、「Playストア」、「WebStorage」、「ZenCircle」、「ZenUI FAQ」、「ドキュメント」、「スプレッドシート」、「スライド」、「キープ」。Googleフォルダに「Google」、「Gmail」、「マップ」、「ドライブ」、「Play Music」、「Play ムービー&TV」、「ハングアウト」、「フォト」、「カレンダー」。
「ZenCircle」はInstagramに近い独自のソーシャルサービス。「MyASUS Service Center」など一部のアプリはASUSアカウントが必要となる。
インストール済みのアプリのなかで少し興味深いのは「ファイルマネージャー」。無線ファイル転送を開き[開始]ボタンをクリックすると、画面上にあるURLでPC側のWebブラウザを開くと、ご覧のようにファイラーが起動。ファイルの閲覧、削除、ダウンロード、アップロードが可能になる。今回、画面キャプチャはすべてこれを使ってPCへ画像を転送したが、選択してダウンロードする機能がなく少し面倒だった。できれば機能追加してほしいところ。
ATOKのバージョンは1.0.6。「モバイルマネージャー」は、メモリなどの使用状況確認やクリーンナップなどが行なえるツールだ。
本機特徴の1つである「DTS-HD Premium Sound」、「DTS Headphone X」は、クイックアクセスの「オーディオウィザード」から設定が可能だ。動画、音楽、ゲーム、ボーカルへの最適化、スマートによる自動化、マニュアルでの調整などに対応する。
画面に関しては、設定/ディスプレイ/画面カラーモードで、バランス、ブルーライト低減フィルタ、ビビッド、手動設定の設定が可能になっている。色温度も含む表示の色味は、使う環境や個人の好みもあるので、調整可能なのはポイントが高い。「Tru2Lifeテクノロジー」に関してはオン/オフや調整できる項目はなかった。
ウィジェットは、「アナログ時計」、「カメラ」×2、「すべてのアプリ」、「デジタルクロック」、「ファイルマネージャー」、「検索」、「時計」×4、「天候」×2、「電卓」、「連絡先」×2、「連絡先ウィジェット」、「おすすめのコンテンツを楽しむ」、「スケジュール」、「スプレッドシート」、「スライド」、「ドキュメント」、「ドライブ」、「ドライブのショートカット」、「ドライブのスキャン」、「フィード」、「ホーム画面のヒント」、「メッセージリストウィジェット」、「メッセージ会話ウィジェット」、「運転モード」、「経路を検索」、「月」、「交通状況」、「設定のショートカット」、「Chromeのブックマーク」、「Gmail」、「Gmailのラベル」、「Googleアプリ」、「Google Keep」×2、「Google Play Music」×2、「Google Sound Search」、「Musicプレイリスト」、「Playマイライブラリ」、「Playストア」、「WebStorage」。
SIMはMicro SIMに対応。写真からわかるようにmicroSD同様、そのままスロットに差し込み、強く押せば出てくる仕掛だ。このためイジェクトピンは不要。便利だが、このタイプはNano SIMに下駄を使うパターンだと、引っかかって出なくなる恐れがあるので、素直にMicro SIMで運用することをお勧めする。APN一覧は有名どころがひととおり入っているので該当するAPNにチェックを入れれば設定は完了と簡単だ。
カメラの撮影モードは、オート、HDR Pro、美人エフェクト、QRコード、夜景、単焦点、エフェクト撮影、自分撮り、GIFアニメーション、パノラマ、ミニチュア、タイムシフト撮影、スマートリムーブ、オールスマイル、スローモーション、低速度撮影と多彩だ。
カメラの設定は、ホワイトバランス(AUTO、曇り、晴れ、蛍光灯、白熱灯)、ISO(AUTO、50~800)、明るさ(±2)、カメラ解像度(5M/4M/3M/2M)、画質(ファイン/スタンダード)、タイムスタンプ、シューティングモード、フォーカス&露出など。
背面カメラ、5Mモードで撮影した写真を1枚掲載する。画質的にはこれまでご紹介した500万画素搭載タブレットと大差ない感じだろうか。
Snapdragon 425とほぼ同性能
ベンチマークテストは、AnTuTuベンチマークとGoogle Octane 2.0の結果を掲載した。カッコ内は少し前に掲載したSnapdragon 425を搭載した「MediaPad T3 10」のスコアだ。
結果は、総合 38420(37541)。3D 4835(2448)、UX 15858(17015)、CPU 12889(13201)、RAM 4838(4877)。Google Octane 2.0は3500(3362)。
3D性能だけMediaTek MT8735Aのほうが明らかに勝っているが、ほかはほぼ同じ。これからもわかるようにSnapdragon 425と同クラスのSoCと思っていいだろう。
バッテリ駆動時間は、輝度50%音量50%に設定し、Wi-Fi接続でYouTubeの動画を全画面で繰り返し再生したところ、約7時間で電源が落ちた。輝度50%音量50%は、実用レベルで明るく、そしてそこそこ音も出ている状態だ。フルHDと言うこともあり、HDの同クラスと比較してシステムとしての消費電力も多く10時間に届かなかったようだ。
以上のようにASUS「ZenPad 10」は、10.1型IPS式1,920×1,200ドットの明るく綺麗でいろいろ調整可能なパネルを搭載し、LTEに対応したAndroidタブレットだ。価格も約3万円と、内容を考えればリーズナブル。
スペックの期待感のわりにサウンド系が少し残念ではあるものの、10.1型フルHDでLTE対応なAndroidタブレットを探しているユーザーにお勧めの1台と言えよう。