西川和久の不定期コラム

ルックス、液晶、サウンドがクラス以上の13.3型モバイルノート「日本エイサー Swift 1」

日本エイサー Swift 1

 日本エイサーは8月3日、13.3型のモバイルノートPC「Swift 1」を発表、10日より販売を開始する。同社Swiftシリーズのなかではエントリーモデルに相当するが、上位モデルの特徴を継承しつついろいろこだわった1台だ。税別店頭予想価格68,000円前後。販売に先立ち編集部から実機が送られて来たので、試用レポートをお届けしたい。

いろいろこだわったApollo Lake搭載13.3型ノートPC

 同社のSwiftシリーズと言えば、今年(2017年)の1月末に発表のあった、最薄部9.98mm/1.1kgの13.3型ノートPC「Swift 7」、同じコンセプトで14型と少し大きくなった「Swift 5」がある。どちらもCore iプロセッサ、適度なメモリ/ストレージを搭載しているので価格はそれなりだ。

 そのシリーズに追加されたのが、今回ご紹介する「Swift 1」。末尾が1、そしてプロセッサがApollo Lakeなのでエントリーモデルの位置づけとなる。ただし、普通のエントリーモデルではなくそこはSwift。筐体の厚みやパネルのクオリティにこだわった1台となっている。発表時、個人的に少し気になった1台でもある。主な仕様は以下のとおり。

【表】「Swift 1」の仕様
プロセッサCeleron N3350(2コア/2スレッド、クロック 1.1GHz/2.4GHz、cache 2MB、SDP/TDP 4W/6W)
メモリ4GB/DDR3L SDRAM
ストレージ128GB/eMMC
OSWindows 10 Home(64bit)
ディスプレイ13.3型IPS式フルHD(1,920×1,080ドット)、非光沢、タッチ非対応
グラフィックスIntel HD Graphics 500/HDMI×1
ネットワークIEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.0
インターフェイスUSB 3.0×2、USB 3.0 Type-C×1、USB 2.0×1、HD対応Webカメラ、SDカードリーダ、指紋センサー(Windows Hello対応)、音声入出力
バッテリ駆動時間約10時間(3セルリチウムポリマー)
サイズ/重量319.5×225×14.95mm(幅×奥行き×高さ)/約1.3kg
そのほかカラーバリエーション「ピュアシルバー」、KINGSOFT Office 2013 Standard付属
税別店頭予想価格68,000円前後

 プロセッサはApollo Lake世代のIntel Celeron N3350。2コア2スレッドで、クロックは1.1GHzから最大2.4GHz。同世代としてはローエンドのSKUで、上に4コアのN3450やPentium N4200などがある。キャッシュは2MBでSDP/TDPはそれぞれ4/6W。メモリはDDR3L SDRAMの4GB、ストレージはeMMCで128GB、OSは64bit版のWindows 10 Homeを搭載している。

 グラフィックスは、Intel HD Graphics 500。外部出力用にHDMIを備えている。ディスプレイは、非光沢でIPS式の13.3型IPS式フルHD(1,920×1,080ドット)。タッチには非対応となる。

 インターフェイスは、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.0、USB 3.0×2、USB 3.0 Type-C×1、USB 2.0×1、HD対応Webカメラ、SDカードリーダ、指紋センサー、音声入出力。指紋センサーはWindows Hello対応だ。有線LANはないものの、その分、USBが多いので、必要に応じてUSB/Ethernetアダプタを付ければいいだろう。

 サイズは319.5×225×14.95mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.3kg。3セルリチウムポリマーのバッテリを内蔵し、駆動時間は約10時間。国内でのカラーバリエーションは「ピュアシルバー」のみ。税別店頭予想価格は68,000円前後だ。Apollo Lake搭載4GB/128GBのノートPCとしては高めだが、その分、筐体やパネルのクオリティにこだわった逸品に仕上がっている。

前面。パネル中央上にHD対応Webカメラ。正面側面は鋭角なのでステータスLEDなどはない
左側面。ロックポート、電源LED、USB 2.0、SDカードリーダ。コネクタの高さからかなり薄いのがわかる
右側面。電源入力、HDMI、USB 3.0×2、Type-C、音声入出力、キーボード右下に指紋センサー
底面。上左右にスピーカー、四隅にゴム足、メモリなどへアクセスできる小さいパネルはない
斜め後ろから。バッテリは着脱できないが、その分スッキリしている
キーボードはテンキーなしのアイソレーションタイプ。タッチパッドは1枚プレート型。[無変換]、[変換]、[]などが横のキーに密着しているのが気になる
主要キーのキーピッチは実測で約19mm
ACアダプタのサイズは約50×50×30mm(同)、重量153g。出力19V/2.37A
重量は実測で1,373g

 筐体はピュアシルバー。写真からもわかるように少し明るめのシルバーとなっている。厚さ14.95mmも含め全体的にプレミアム感を醸し出すルックスと質感だ。起動しなければ10万円級のノートPCに見えるのではないだろうか。さらに13.3型で約1.3kgなので軽量級。

 前面は、パネル中央上にHD対応Webカメラ。正面側面は鋭角になっているためLEDなどのインジケータはない。トップカバーはAcerのロゴのみとシンプル。裏は、上左右にスピーカー、四隅にゴム足。バッテリは着脱できない。左側面は、ロックポート、電源LED、USB 2.0、SDカードリーダ。コネクタの高さからかなり薄いのがわかる。またパネルは水平まで倒すことができる。右側面は、電源入力、HDMI、USB 3.0×2、Type-C、音声入出力を配置。

 付属のACアダプタは、サイズ約50×50×30mm(同、プラグ含まず/折り畳めない)、重量153g。出力19V/2.37A。

 13.3型のディスプレイは、明るさ、コントラスト、発色、視野角すべて良好。とても6万円台のパネルのクオリティとは思えないほどだ。フルHDでこのサイズなので表示のバランスもいい。輝度は最小でも暗い室内ならほどほど見えるレベルだ。また非光沢なので目にも優しい。

 キーボードはテンキーなしのアイソレーションタイプ。ストロークが浅めで少しソフトタッチだろうか。主要キーのキーピッチは約19mm確保されているものの、[無変換]、[変換]、[¥]などが横のキーに密着しているのが気になる部分だ。キーボード右下にWindows Helloに対応した指紋センサーがある。タッチパッドは1枚プレート型。パームレストも含め広く、反応も良くスムーズに操作できる。

 ノイズや振動などは皆無。発熱もさわってわかるほどは温度が上がらなかった。PCMark 8 バージョン2/Home acceleratedで、プロセッサの温度が56℃から64℃程度と低めだったのも関係していると思われる。

 サウンドは裏にスピーカーがあるため、机などに音が反射するタイプとなるものの、13.3型の幅があるので結構ステレオ感はあり、パワーやクオリティもかなりいい。本体だけで十分楽しめるレベルだ。

 このクラスのプロセッサを搭載したモデルはコストの兼ね合いもあり、ルックスやパネル、サウンドなどはほどほど、といったものが多いなか、この「Swift 1」は、Swiftシリーズに相応しいこだわった1台に仕上がっている。個人的な希望としては。4コアのPentium N4200(4コア、1.1/2.5GHz)搭載モデルがほしいところだ。

一般的な用途であれば問題ない性能

 OSは64bit版のWindows 10 Home。初回起動時のスタート画面(タブレットモード)は1画面+α。標準に加えいくつかのタイルが追加されている。デスクトップは壁紙のみの変更だ。Apollo Lake世代Celeron、メモリ4GB、eMMCの構成なので爆速ではないものの、一般的な用途であれば普通に使える性能となる。

 ストレージは128GB/eMMCの「Toshiba 128G32」。C:ドライブのみの1パーティションで約115GBが割り当てられ空きは96GB。Wi-Fiは「Intel Dual Band Wireless-AC 7265」、BluetoothもIntel製だ。

スタート画面1/2(タブレットモード)。Windows 10標準
スタート画面2/2(タブレットモード)。+αのタイルを追加
起動時のデスクトップ。壁紙のみの変更
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージは128GB/eMMCの「Toshiba 128G32」。Wi-Fiは「Intel Dual Band Wireless-AC 7265」、BluetoothもIntel製
ストレージのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約115GBが割り当てられている

 プリインストールのソフトウェアは、Windowsストアアプリは、「App Explorer」、「Keeper」、「Music Maker Jam」、「Photo Editor|Polarr」、「Sketch Book」など。

 デスクトップアプリは、Acerフォルダに「Acer Care Center」、「Acer Power Button」、「Acer Quick Access」、「Acer Recovery Management」、「Acer User Experience Improvment Program」、「Acer ドキュメント」(PDF)。ブルーライトを低減する「BluelightShield」機能は「Acer Quick Access」にある。

 そのほか、「Acer Collection」、「Dashlane」、「Kingsoft Office」、「Norton Securty」。独自のIDが必要なものとして「abfiles」、「abphoto」、「Acer Portal」。ユーティリティ、システム系のツールと一般的なアプリケーションがほどよく入っている感じだ。

App Explorer
Photo Editor|Polarr
Acer Care Center
Acer Power Button
Acer Quick Access
Norton Securty

 ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2/Home accelerated、CrystalDiskMark。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した(2コア2スレッドと条件的に問題ない)。ただ、何度winsat formalを実行してもなぜかFormal.Assessment (Recent).WinSAT.xmlだけが作られないため、個別のxmlからスコアをピックアップしている。

 winsat formalの結果は、総合 4.4。プロセッサ 6、メモリ 5.9、グラフィックス 4.4、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 6.9。メモリのスコアはOSが64bitで4GBなのでリミッターがかかっている。バンド幅は11232.62877MB/s。

 PCMark 8 バージョ2/Home acceleratedは1483。CrystalDiskMarkは、Seq Q32T1 Read 175.6/Write 127.1、4K Q32T1 Read 31.74/Write 32.74、Seq Read 237.6/Write 158.3、4K Read 12.54/Write 31.90(MB/s)。CrystalMarkは、ALU 20093、FPU 16374、MEM 20202、HDD 28549、GDI 4920、D2D 1726、OGL 3141。参考までにGoogle Octane 2.0のスコアは8203。

 Apollo Lake世代の2コアCeleron、メモリ4GB、ストレージがeMMCとしては標準的な結果と言える。

 BBenchは、バッテリ節約機能オン、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で39,029秒/10.8時間。仕様上、約10時間なのでそのままの結果となった。

「winsat formal」コマンド結果。総合 4.4。プロセッサ 6、メモリ 5.9、グラフィックス 4.4、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 6.9
PCMark 8 バージョン2/Home acceleratedのスコアは1483
PCMark 8 バージョン2/Home accelerated(詳細)。クロックは800MHzから最大の2.4GHzまで。温度は56℃から64℃程度と低め
CrystalDiskMark。Seq Q32T1 Read 175.6/Write 127.1、4K Q32T1 Read 31.74/Write 32.74、Seq Read 237.6/Write 158.3、4K Read 12.54/Write 31.90(MB/s)
BBench。バッテリ節約機能オン、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果は、バッテリの残5%で39,029秒/10.8時間
CrystalMark。ALU 20093、FPU 16374、MEM 20202、HDD 28549、GDI 4920、D2D 1726、OGL 3141

 以上のようにAcer「Swift 1」は、Apollo Lake世代の2コアCeleron、メモリ4GB、ストレージ128GB、そして13.3型のフルHDパネルを搭載したモバイルノートPCだ。筐体やパネルのクオリティも高く、ルックスだけだと10万円級に見える仕上がりとなっている。USBポートが多いのもポイントが高い。

 一部キーボードのいびつなピッチが気になるものの、総じて完成度は高く、ハイパワーの必要はないがクールなノートPCを探しているユーザーにおすすめしたい1台だ。