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iPhoneを近づけるだけでMacを簡単セットアップ!どんなときにこの方法を選べばいい?

 macOS Sequoia 15.4以降を搭載したMacでは、手持ちのiPhoneやiPadを利用して初期設定を行なえるようになりました。iPhoneやiPadをMacに近づけるだけで簡単にセットアップできますが、具体的にどのような設定やデータが転送されるのでしょうか?また、別のMacやTime Machineからのデータ移行とはどのように異なり、どういった目的に向いているのでしょうか。iPhoneやiPadを利用した新しいMacの初期設定の方法について詳しく解説します。

macOS Sequoia 15.4以降のMacでは、iPhoneまたはiPadを近づけるだけで初期設定を素早く行なえます

初期設定時間を短縮してMacを素早く使い出す

 Macを購入したり、工場出荷状態に初期化したりした場合は、Macの初期設定が必要になります。

 この際、「設定アシスタント」の案内に従って設定を進めていくと「移行アシスタント」の画面が表示され、別の環境から情報(書類やアプリ、ユーザアカウント、設定など)を転送することができます。

 いちからMacの環境を構築したい場合を除き、別の環境から情報を転送すればセットアップ時間を短縮でき、新しいMacをすぐに使い出すことが可能です。

 この「移行アシスタント」の画面では情報の転送元として、別のMacやTime Machine、起動ディスク、Windows PCを選ぶことができますが、macOS Sequoia 15.4以降を搭載したMacでは新たに「iPhoneまたはiPad」が追加されました。

 そしてこの方法を選択すると、iOS 18.4以降を搭載したiPhone、またはiPadOS 18.4以降を搭載したiPadをMacに近づけるだけで一部の設定をスキップして、Macを素早くセットアップすることが可能です。

 実際の設定手順を詳しく見ていきましょう(両方のデバイスの設定でWi-FiとBluetoothがオンになっている必要があります)。

「設定アシスタント」で設定を進めていくと、「このMacにデータを転送」という移行アシスタントの画面が表示されます。[iPhoneまたはiPadで設定]を選んで[続ける]をクリックします
[Macを素早く簡単に設定]の画面で「近くのデバイスを検索中」と表示されたら、iPhoneもしくはiPadのロックを解除してMacに近づけます
iPhoneまたはiPadに「新しいMacを設定」という画面が現れます。[続ける]をタップします
Macの画面に認証用のパターン画像が表示されます。iPhoneまたはiPadに表示された円形の枠内にパターン画像が収まるように位置を合わせます
正しくパターン画像が読み込まれると、iPhoneやiPadの画面が[Macで続ける]に切り替わります
Macで「文字および音声入力の言語」や「アクセシビリティ」の設定、「データとプライバシー」の確認を行ないます
「Macアカウント作成」の画面が開き、iPhoneやiPadでサインインしているApple Accountが自動的に入力されています。パスワードやヒントを追加して[続ける]をクリックすると、Apple Accountの設定が始まります
iCloud利用規約に同意したあと、 iPhone側に[転送が完了しました]と表示されたら[完了]をタップします。その後、iPhoneはMacから遠ざけても構いません
画面の指示に従って、位置情報サービスやデバイス解析、アプリ解析、Siri、 Apple Intelligence(対応するMacのみ)、Touch ID、Apple Payの設定を行なっていきます
「ようこそMacへ」の画面が表示されたら初期設定は完了です。[続ける]をクリックするか、何かキーを押せばデスクトップが表示されます

どのような設定やデータが転送される?

 このように[iPhoneまたはiPadで設定]を選ぶと、Macの初期設定時に通常行なう必要のある一部設定(Wi-Fiネットワークの選択、コンピュータアカウントの作成、位置情報サービス、時間帯、解析情報のAppleとの共有、スクリーンタイム、Siriの設定、外観モード)に対して、iPhoneやiPadの設定が適用され、スキップまたは確認するだけでよくなります。

 また、iPhoneやiPadの「設定」アプリのiCloudの設定にある「iCloudに保存済み」でオンになっている項目(iCloud写真、iCloud Drive、iCloudメール、パスワードとキーチェーン、Mac版も存在するApple純正アプリの情など)も自動的に同期されます。

 その結果、手動での同期作業を省略できるため、ログイン直後から普段使っているiPhoneやiPadに近い状態でMacを素早く使い始めることが可能です。

 ただし、iPhoneやiPadのすべての設定やデータが転送されるわけではないため、iPhoneやiPad内に保存されている書類は自らデータ移行を行なう必要があります。

 さらにはMac版も存在するサードパーティ製のアプリのインストールや、iCloudを介した情報の同期なども同じくMac上で自ら行なう必要があります。

 iPhone/iPadからMacに転送される主な設定は以下の通りです。通常はMac上で行なう必要のある設定をスキップまたは確認だけで済ませられます。

  1. Apple Account
    iPhone/iPadで設定済みのApple Accountのユーザ名やパスワード。ただし、2ファクタ認証の確認は必要
  2. Wi-Fi設定
    iPhone/iPadに保存してあるWi-Fiネットワークとパスワード
  3. 外観モード
    ライトモードやダークモード
  4. アクセシビリティ設定
    表示や操作に関する設定
  5. キーボードと言語入力の設定
    日本語・英語などの入力ソースや、かな/ローマ字の設定
  6. スクリーンタイムの設定
    iPhone/iPadで設定しているスクリーンタイムの内容
  7. セキュリティ設定(Face ID、Touch ID、パスコードなど)
    生体認証に関連した設定(使用有無や制限など)。ただし、Mac側でTouch IDの登録自体は行なう必要あり
  8. Apple Pay設定
    iPhone/iPadに登録済みクレジットカード情報(セキュリティコードの再入力とカードの再認証は別途必要)

 iPhone/iPadの「設定」アプリで、iCloudに保存されているApple純正アプリの設定は、初期セットアップ直後にデータや設定などがMacに同期されます。具体的には以下のデータです。

  1. 写真(iCloudフォトライブラリ)
  2. iCloud Drive
  3. パスワード(キーチェーン)
  4. メモ
  5. メッセージ(iMessage履歴)
  6. メール(iCloudメールのみ)
  7. 連絡先
  8. カレンダー
  9. リマインダー
  10. Safari(ブックマークや履歴など)
  11. 株価
  12. ホーム
  13. ウォレット
  14. Siri
  15. FaceTime
  16. フリーボード
  17. Image Playground
  18. ショートカット
  19. マップ

 iPhone/iPad内に保存したファイルや、iPhone/iPad内にライプラリが作成されるサードパーティ製アプリの設定やデータはMacに転送されません。具体的には以下のデータです。

  1. iCloudに保存されていないファイル
    iPhone/iPad内に保存されている書類など
  2. サードパーティ製アプリの情報
    iPhone/iPadで使っているApple製以外のアプリやその設定、ライセンス情報など
  3. 独自の写真・音楽・ビデオ
    iCloudフォトやApple Musicを使っていない場合は手動コピーが必要
  4. iCloud以外のメール
    キャリアメールやPOPなどで設定したプロバイダメールなど

「iPhoneやiPadからの転送」はどんな人に向いている?

 では、このiPhoneやiPadを使ったMacの初期設定はどんな人に向いているのでしょうか。結論から言えば、それは「iPhoneやiPadを利用していて初めてMacを購入する人」です。

 一方、以前のMacから環境を引き継ぎたい人にはあまりおすすめできません。

 [iPhoneまたはiPadで設定]を選んで初期設定を行なったあと、[ユーティリティ]フォルダにある「移行アシスタント」を起動して別のMacやTime Machineから続けてデータ転送を行なうことはできます。

 しかし、こうした二段階の作業は手間がかかるため、最初から別のMacやTime Machineからのデータ転送を選んだほうがはるかに効率的です。

 ただし、別のMacが故障していたり、Time Machineで最新のバックアップを取っていなかったりする場合は、iPhoneやiPadを利用して初期設定を行なうことで、Apple AccoutやiCloudに保存されている一部のデータを最低限引き継いで環境移行できるというメリットはあるでしょう。