Hothotレビュー

BungBungame Japan「KALOS2」

~Samsung製8コアSoCやSuper AMOLED搭載のハイスペックAndroidタブレット

BungBungame Japanの「KALOS2」

 BungBungame Japanの「KALOS2」は、10.5型のディスプレイを搭載したAndroidタブレット。2013年12月に発売された前モデル「KALOS」と比べて細かな特徴は異なるものの、Androidタブレットのハイスペックモデルという特徴は継承している。

 ディスプレイは2,560×1,600ドット(WQXGA)、10万:1の高コントラスト比を実現した10.5型Super AMOLEDディスプレイを採用し、SoCはSamusng製14nmプロセスのハイエンド向け8コア「Exynos 7420」(2.1GHz)を搭載。OSも現行の製品では最新のAndroid 6.0 Marshmallowを搭載、3GBのメモリ、64GBのストレージ(eMMC)など、最新のスマートフォン/タブレットと比較しても引けを取らないスペックの高さだ。

 さらに注目はコネクタにUSB Type-Cを採用している点だ。USB Type-CはMacBookなど一部PCなどで採用が進んでいるものの、スマートフォンやタブレットでの採用は非常に珍しい。本機ではUSB Type-C経由の充電に加え、最大5Gbpsの転送速度やHDMI変換によるディスプレイ出力が利用できる。

 USB Type-C以外にもIEEE 802.11a/b/g/n/ac準拠の無線LAN、Bluetooth 4.1+LE、GPS、電子コンパス、ジャイロ、照度センサ、NFC、microSDカードスロット、音声入出力などさまざまなインターフェイスを搭載。カメラもオートフォーカス対応の800万画素背面/500万画素前面カメラを搭載している。

薄く軽く取り回しやすい本体と多彩なインターフェイスが特徴

 本体サイズは246.6×176×6.4mm(幅×奥行き×高さ)、重量は430g。「iPad Air 2」のWi-Fiモデルが厚さ6.1mm、重量437gのため、ほぼiPad Airと同等のサイズ感だ。本体前面と背面は白を基調としつつ、側面はメタリックゴールドで覆われており、高級感を感じるデザインになっている。10型Androidタブレットとして標準的なサイズながら6.4mmの薄さと430gという軽さのため、非常に取り回しやすい。

 本体右側面には上部に音量ボタンと電源ボタン、右側面中央にmicroSDカードスロットを搭載。本体上部にはイヤフォンジャック、USB Type-C、ステレオスピーカー、マイク、赤外線センサを搭載。本体背面には上部にカメラ、下部にNFCが配されている。

本体右側面。上部に音量ボタンと電源ボタン。中央のmicroSDカードスロットはピンを挿して取り出す方式
本体上部にイヤフォンジャック、USB Type-C、ステレオスピーカー、マイク、赤外線センサ
本体背面にカメラとNFC

バッテリ駆動は約10時間。ベンチマーク結果も良好でサクサク動作

 ホーム画面は5画面構成で、画面上部にGoogleの検索ウィンドウ、画面下部にドックが表示され、ドックには8つまでアプリを設定できる。設定画面も特殊なカスタマイズなどは行なわれていないシンプルな構成だ。なお、本設定上はテザリングの機能も用意されているが、機はSIMカードスロットを備えていないため実際には利用できない。

ホーム画面はシンプルな構成
プリインストールされているアプリケーション
テザリングの設定はあるがSIMカードには対応していない

 バッテリ駆動時間は公称されていないが、Wi-Fiによるインターネット接続をオン、画面の輝度を最低にした状態でフルHD動画を連続再生し、アプリ「Battery Mix」で測定したところ、満充電から10時間5分でバッテリが空になった。ブラウジングやSNSアプリの利用程度であれば利用時間はもっと長くなるため、ほぼ1日は充電を気にせずに使うことができるだろう。

 本体のベンチマークは「AnTuTu Benchmark 6.1.4」、「Quadrant Professional 2.1.1」で測定し、SoCに1.8GHzデュアルコア+1.4GHzクアッドコアのSnapdragon 808を搭載したAndroidスマートフォン「arrows NX F-02H」と比較。Quadrantではほぼ変わらない数値となったものの、AnTuTuではF-02Hを上回るスコアを記録した。

【表】KALOS2とarrows NX F-02Hとのベンチマーク比較
KALOS2arrows NX F-02H
Quadrant Professional 2.1.1
総合2395925187
AnTuTu Benchmark 6.1.4
総合8963257645
3D2613718615
UX2987619570
CPU2670215223
RAM69174237

 実際の使い勝手もホーム画面やブラウジングだけでなく、動画の再生や電子書籍の閲覧といった重めの動作も待たされることなくキビキビと動いて使いやすい。操作感で不満を感じることはほぼないだろう。

 画面解像度は10型クラスのタブレットは最高クラスのWQXGA(2,560×1,600ドット)。WQXGAクラスの解像度はハイスペックモデルではさほど珍しくなくなってはいるものの、それでも色の鮮やかさや画素密度の高さなどは非常に品質が高い。細かな文字の電子書籍を読む際にも文字の細かさを気にすることなく読むことができる。

WQXGA解像度でWebサイトや電子書籍などの細かい文字も読みやすい

高速なファイル転送が可能なUSB Type-C。映像出力は現時点で課題あり

 KALOS2最大の個性とも言えるUSB Type-Cは、前述の通り「充電」、「高速転送」、「HDMI出力」と、大きく3つの機能を持っている。

 充電に関してはUSB 3.0タイプのケーブルが同梱されており、使い勝手としては一般的なMicro USB経由の充電と変わらないものの、汎用性の高いMicro USBが使えないのはやや不便。とは言え前述の通りバッテリは長時間駆動するため、実際には毎日家で充電しておけば外出時はさほど困ることはないだろう。

同梱されているUSB 3.0タイプのUSB Type-Cケーブル

 ファイル転送は、CPUにCore i5-6200Uを搭載したVAIO S11から約1GBのファイルをUSB Type-C経由で転送したところ、約15秒でファイル転送が完了した。スペック値である5Gbpsには及ばないものの十分過ぎる高速さだ。大容量ファイルをAndroidタブレットで活用したいというユーザーは重宝するだろう。

PCと接続して高速でファイル転送

 HDMI経由での映像出力は、手持ちの USB Type-C ディスプレイアダプタ「J5-create JCA153」を利用して接続してみたが、映像が正しく表示されない。もう1つ購入していたGranVelaの「USB 3.1 Type-C/4K HDMIアダプタ」を使ってみたがこちらも映像が途切れてしまい正しい出力ができなかった。端末側の問題という可能性もあるが、Androidタブレットで採用例が多いMHLは電源供給が別途必要な場合が多く、ケーブルのみで出力できるのは非常に魅力的なだけに、本事象が今後改善されることを期待したい。

 この点について、代理店に確認したところ、メーカーではAppleの純正アダプタ「APL-A1621」で正常な出力を確認しているという。また、代理店独自の検証では、ディスプレイの他の端子にケーブルが繋がっていると問題が発生するが、HDMIのみの場合、エレコムの「AD-CHDMIBK」で正常な動作を確認できたとしている。

「J5-create JCA153」を使ってHDMI出力。映像が正しく表示されない

 携帯電話キャリアの端末以外では珍しい赤外線ポートは、プリインストールされているアプリ「peel smart remote」を利用することで、テレビやレコーダなどを操作するリモコンとしても利用できる。

 設定は非常に簡単で、操作したいメーカーを選んでボタンを押すだけ。ただし、peelはスマートフォン向けアプリなのか、画面が縦長方向で固定されてしまい、赤外線ポートがある本体上部が側面になってしまうため、操作する際には画面を横にしなければならない。専用アプリではないため仕方ないのかもしれないが、タブレット向けに横表示にも対応して欲しいところだ。

プリインストールされているリモコンアプリ「peel smart remote」
メーカーを指定する
簡単に設定できる
チャンネル名だけでなく番組情報を指定して選局できる

カメラはオートフォーカス対応ながら画質はスナップ写真程度

 前モデルの「KALOS」では、ソニーの1,300万画素「Exmor R」を搭載した点が特徴的だったが、KALOS2ではイメージセンサーへの言及がなくなり、画素数も1,300万画素から800万画素にスペックダウンしている。

 アプリはGoogle標準のカメラのほか独自のカメラも備えているが、特別な機能などは搭載されていない。画面を右にスワイプすることで静止画と動画を切り替えられるほか、右上の歯車アイコンから設定をカスタマイズできる。

カメラアプリのシンプルなインターフェイス
右にスワイプして動画と静止画を切り替えられる
設定画面

 オートフォーカスを備えているが、画面をタッチするだけで撮影できるタッチシャッター的な機能は搭載されていない。画面が大きいタブレットの場合、持ち方によってはシャッターボタンを押すのも苦労することがあるため、タッチシャッター機能は搭載して欲しいところだ。

 画質は最新のスマートフォンに比べると物足りないというのが正直なところ。特に色飛びが激しく、室内であっても白い器などを撮影するとその周囲が飛んでしまう。カメラはメモやスナップ撮影程度を割り切って使うのがいいだろう。

作例

数少ないハイスペックAndroidタブレットとして注目の1台

 最後に、同クラスのAndroidタブレットとの比較をしておこう。というのも、ここ最近発売されるAndroidタブレットは2、3万円台のミドルレンジモデルが多く、KALOS2のようなハイスペックモデルかつキャリア契約を必要としないAndroidタブレットは比較的珍しいからだ。

【表2】Nexus 9、Xperia Z4 Tabletとのスペック比較
製品名KALOS 2Nexus 9Xperia Z4 Tablet
液晶サイズ10.5型8.9型10.1型
解像度WQXGA(2,560×1,600ドット)QXGA(2,048×1,536ドット)WQXGA(2,560×1,600ドット)
SoCExynos 7420 2.1GHzTegra K1 2.3 GHzSnapdragon 810 2GHz
メモリ3GB2GB3GB
ストレージ64GB16GB/32GB32GB
無線LAN802.11a/b/g/n/ac802.11a/b/g/n/ac802.11a/b/g/n/ac
NFC
Bluetooth4.14.14.1
GPS
背面カメラ800万画素800万画素810万画素
前面カメラ500万画素160万画素510万画素
防水××
赤外線××
価格60,280円45,900円※176,000円
本体サイズ(幅×奥行き×高さ)246.6×176×6.4mm228.25×153.68×7.95mm約254×167×6.1mm)
430g425g約389g
※1 32GBモデルの価格

 ハイスペックなAndroidタブレットとして今回はNexus 9、Xperia Z4 TabletとKALOS2を比較した。Nexus 9は2014年11月、Xperia Z4 Tabletは2015年6月発売のため、KALOS2と完全に同列に並べることはできないものの、両機種と比較してもスペックは遜色ない。

 また、Nexus 9はGoogle Play、Xperia Z4 Tabletはソニーストアでの取り扱いがともに終了しているため、10型クラスのAndroidタブレットの選択肢が狭まっている中で、ハイスペックな大型Androidタブレットを求めるユーザーにはKALOS2が魅力的な選択肢だろう。

 なお、KALOS2は株式会社SACが日本総代理店として取り扱っており、ビックカメラ池袋本店パソコン館、ビックロ新宿東口店、新宿西口ハルク、有楽町店および、ソフマップ秋葉原本館でデモ機を展示している。

制作協力:BungBungame Japan