Hothotレビュー
BungBungame「KALOS」
~Exmor Rセンサー/IGZO搭載のハイスペックAndroidタブレット
(2013/12/18 06:00)
台湾BungBungameの「KALOS」(カロス)は、ハイスペックを特徴とするAndroidタブレット。日本および台湾で12月中旬より発売し、価格はオープンプライス、店頭予想価格は45,800円前後の見込み。
WQXGAのIGZOにExmor Rイメージセンサーとスペックが充実
KALOSの主な仕様は、SoCに1.8GHzのTegra 4、メモリ2GB、ストレージ16GB、OSにAndroid 4.2といった基本スペックの高さに加えて、液晶ディスプレイはWQXGA(2,560×1,600ドット)で10点タッチ対応のIGZO液晶を搭載し、カメラのイメージセンサーはソニーの1,300万画素「Exmor R」を採用。スマートフォンに比べてタブレットはカメラ性能が抑えられている端末が多い中で、カメラスペックの高さが際立つ端末となっている。
無線関連ではIEEE 802.11a/b/g/nの無線LAN、Bluetooth 4.0+LE、NFC、GPSを搭載し、無線LANはMiracastもサポート。接続インターフェイスはMicro USB 2.0、microSDXCカードスロットを搭載し、カメラは背面に加えて前面に130万画素カメラを搭載する。
本体サイズは262×183×8.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量は590g。同じWQXGA解像度の10型タブレット「Nexus 10」の263.9×177.6×8.9mm(同)、重量603gと比べると若干フットプリントが大きいものの重量はやや軽く、同じWQXGA解像度のIGZO液晶を搭載した「ASUS Pad TF701T」の263×180.8×8.9mm(同)、約585gとほぼ同水準となっている。
手に取った際、10型サイズならではの手応えはあるが、600gを切っているため、さほど重いと感じない。アルミニウム合金の筺体は高級感があるが、背面のマットブラック部分は指紋が残りやすいので取り回しにやや気を遣う。
ボタン類は本体上部右側に電源ボタンがある以外は右側面に集約され、音量ボタン、Micro USB、イヤフォンジャック、キャップ付きmicroSDカードスロットが上から並ぶ。スピーカーは背面下部左右に配され、デンマークAM3Dの3D仮想サラウンド技術「Audio Enhancement」を搭載している。
Android標準のシンプルなインターフェイス。バッテリは10時間以上駆動
ホームはAndroidタブレット標準の5画面構成。ステータスバーも左に通知パネル、右に機能のショートカットと非常に標準的な作りだ。ロック画面もスライドやフェイスアンロック、パターン、PIN、パスワードとAndroid標準の機能を搭載し、ロック画面のカスタマイズなどは行なわれていないシンプルなものになっている。
設定面では「Power saving」という独自の省電力機能を搭載。これは搭載CPUのクロック数や駆動コア数を変更することで省電力性を高める仕組みになっており、コア数は最小で2、クロック上限を1.8GHz、アプリの画面描画上限を30fpsに設定できる。
ベンチマークの結果は1.8GHzクアッドコアのTegra 4を搭載していることもあって非常に良好。Quadrantでは15,000を超え、AnTuTuも3万超えと好成績を残している。GPUに関してはNexus 7(2013)と比べると低めだが、それでも十分に高い値だ。実際の操作感もスペックの高さを感じるキビキビしたもので、性能面での不満はないだろう。
KALOS | Nexus 7(2013) | |
---|---|---|
Quadrant Professional 2.1.1 | ||
Overall | 16652 | 5148 |
AnTuTu 4.1.1 | ||
Overall | 31259 | 20232 |
Multitask | 7185 | 3293 |
Dalvik | 2553 | 1468 |
CPU integer | 3402 | 2257 |
CPU float-point | 4106 | 2040 |
RAM Operation | 1585 | 1123 |
RAM Speed | 1813 | 1566 |
2D graphics | 1422 | 1621 |
3d graphics | 6658 | 5065 |
StorageI/O | 1870 | 1194 |
Databese I/O | 665 | 605 |
MOBILE GPUMARK Version 2 | ||
Overall | 57644 | 74442 |
バッテリ駆動時間は、Wi-Fi使用時で10時間を公称。画面の液晶輝度を最低にし、Wi-Fiをオンにしてインターネットに接続、Gmailの同期をオンにしたままフルHD動画を再生し続けたところ、11時間10分でバッテリが空になり、公称時間を上回る結果となった。画面解像度が高いため、動画の連続再生はCPUの負担も大きく、ブラウジングを中心とした使い方であればもっと動作時間は伸びるだろう。バッテリ面での心配はほぼ必要ないタブレットと感じた。
画面解像度は10型タブレットとして最高クラスのWQXGA(2,560×1,600ドット)IGZOディスプレイを搭載。画素密度は299ppiと非常に高い密度で、Webサイト閲覧時などはギザギザ感のない美しいフォントで表示できる。
音質面に関してはステレオスピーカーに加え、3D仮想サラウンド技術「Audio Enhancement」を搭載してはいるものの、実際に視聴してみると音が端末の中に閉じこもったような音になり、シャリシャリ感も強い。Audio Enhancementをオンにすると音の臨場感は高まるものの、前述のポイントについてはあまり変わらない結果となった。
カメラはスペックこそ高いがソフトウェア周りに課題
KALOS最大の特徴とも言えるカメラ機能は、高画素のCMOSセンサーを搭載しつつも、画面インターフェイスは、画面右端にシャッターボタン、その上にメニューボタン、下に動画とパノラマの切り替えボタというAndroid標準のシンプルなもの。メニューは画面を長押しした時にも表示され、画面にタッチしたまま指をスライドすることで各種機能を呼び出せる。
設定できる機能は露出補正、ホワイトバランスのほか、HDRやフラッシュのオン/オフ。画像サイズは「13Mピクセル」、「8Mピクセル」、「5メガピクセル」、「2メガピクセル」、「1.3メガピクセル」、「VGA」の6種類。撮影モードは「スポーツ」、「夜景」、「夕焼け」、「パーティー」など4種類が用意されているが、エフェクト機能のような写真をカスタマイズする機能は少なく、機能面でも非常にシンプルな作りになっている。
画質に関してはさすが1,300万画素のExmor Rといったところで、日中の屋外や光量の取れる室内での写真は非常に綺麗な仕上がり。一方、夜景など光量の少ない場所では手ぶれも発生しやすく写真も全体的に暗めなほか、居酒屋など白熱電球の下ではホワイトバランスのオート調整がうまく働かず、赤色が強く出る写真に仕上がった。イメージセンサーの性能は高いものの、ソフトウェア周りのチューニングはAndroidそのままで、細かな作り込みがされていないという印象だ。
また、カメラのシャッターはソフトボタンのみで、タッチしたエリアにピントを合わせてシャッターを切るタッチシャッターや物理ボタンによるシャッター機能は備えない。スマートフォンに比べて本体が大きく重いため、タッチでピントを合わせてからシャッターを切る際に手で固定しておくのは大変なため、タッチシャッター機能は欲しいところだ。
プリインストールアプリは必要最低限。IMEはGoogle日本語入力
プリインストールアプリはAndroid標準アプリのほか、ファイラーとして「ESファイルエクスプローラ」、Officeアプリとして「KINGSOFT Office」、ドキュメントビューア「Adobe Reader」、電卓アプリ「電卓大好き」、ピアノアプリ「ピアノ大好き」、そして「Twitter」や「Vine」といったソーシャルネットワークアプリも用意されている。KINGSOFT Officeは2種類がプリインストールされているが、片方は英語版、片方は30日間使用できる日本語版のようだ。
文字入力は標準で「Google日本語入力」をプリインストール。キーボード配列は10キーとQWERTYキーから選択でき、10キーはトグルによるケータイ入力とフリック入力から選択できるなど、設定周りはGoogle Playから無料でダウンロードできる同名アプリと変わらない。
基本的にはAndroid標準またはサードパーティー製アプリが中心だが、興味深いのは「システムのアップデート」アプリ。このアプリはインターネット経由でシステムをアップデートするのではなく、ZIPファイルを使っていシステムイメージをアップグレードする仕組みになっている。サポート対象外となるかもしれないが、自身でイメージファイルを用意してKALOSに適用する、という使い方ができるのかもしれない。
大画面タブレットでカメラを重視するユーザー向けのタブレット
WQXGAという高解像度のディスプレイとExmor Rイメージセンサーを搭載した点が特徴の本機だが、WQXGAという点ではGoogleの「Nexus 10」が16GBで36,800円、32GBで44,800円で販売されている。Nexus 10と比べて外部ストレージとしてmicroSDXCカードに対応しているという点では優位性があるとはいえ、45,000円を超えるKALOSは価格面での訴求は難しい。
カメラに関してもソフトウェア面の作り込みがされていないAndroidの素の状態であるため、Exmor Rというブランドをイメージすると期待を裏切られる面もあるかも知れない。とはいえ画質自体は十分に高く、10型の大画面ディスプレイで写真を撮影したり、デジカメで撮影した写真を楽しむビューワーとしては十分に利用できそうだ。独自アプリやカスタマイズなどもほとんど行なわれていないため、Exmor Rを重視するかどうかがこの端末を選ぶポイントになりそうだ。