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Pixel 11を試して分かったカメラの進化。全機種3眼、Proの120倍ズームは買いか?

Pixel 11シリーズ

 Googleは、最新スマートフォン「Google Pixel 11」(以下、Pixel 11)シリーズを発表した。従来同様、スレートモデルとしてPixel 11、Pixel 11 Pro、Pixel 11 Pro XLの3モデルと、折りたたみモデルのPixel 11 Pro Foldの4モデルをラインナップしており、全モデルとも日本で発売となる。

 別記事で外観やディスプレイまわりなどをチェックしたが、本稿ではカメラ周りやAI関連機能、Pixel 11シリーズで搭載された新機能などを紹介する。

 なお、試用機は発売前の評価機のため、ベンチマークテストは行なえず、製品版とは仕様が異なる部分が存在する可能性がある点はご了承願いたい。

全機種が3眼仕様の背面カメラを搭載しつつ仕様強化

 それでは、カメラ周りを見ていこう。以下の表は、それぞれが搭載するカメラの仕様をまとめたもので、赤文字となっている部分がPixel 10シリーズから強化されている点だ。

Pixel 11シリーズ搭載カメラの仕様
Pixel 11Pixel 11 ProPixel 11 Pro XLPixel 11 Pro Fold
背面カメラ超広角: F値2.2、画角120度、1/3.1型1,300万画素センサー
広角: F値1.7、画角85度、1/1.56型4,800万画素Quad PDセンサー、光学式手ブレ補正
望遠: F値3.1、画角23度、1/3.2型1,080万画素Dual PDセンサー、光学式手ブレ補正、デジタルズーム最大30倍
超広角: F値1.7、画角123度、1/2.51型4,800万画素Quad PDセンサー
広角: F値1.68、画角82度、1/1.3型5,000万画素Octa PDセンサー、光学式手ブレ補正
望遠: F値2.8、画角22度、1/1.95型4,800万画素 Quad PDセンサー、光学式手ブレ補正、デジタルズーム最大120倍
超広角: F値2.2、画角127度、1/3.4型1,050万画素Dual PDセンサー
広角: F値1.7、画角85度、1/1.56型4,800万画素Quad PDセンサー、光学式手ブレ補正
望遠: F値3.1、画角23度、1/3.2型1,080万画素Dual PDセンサー、光学式手ブレ補正、デジタルズーム最大30倍
前面カメラF値2.2、画角95度、1,050万画素Dual PDセンサー、オートフォーカスF値2.2、画角103度、4,200万画素Dual PDセンサー、オートフォーカス前面カメラ: F値2.2、画角87度、1,000万画素Dual PDセンサー
インカメラ: F値2.2、画角87度、1,000万画素Dual PDセンサー

 Pixel 11シリーズでは、従来モデルから引き続き全モデルが超広角、広角、望遠の3眼仕様の背面カメラを搭載している。ただ、その仕様はモデルごとにやや異なっている。

 Pixel 11の背面カメラは、超広角がF値2.2、画角120度のレンズに1/3.1型1,300万画素センサー、広角がF値1.7、画角85度のレンズに1/1.56型4,800万画素Quad PDセンサー、望遠がF値3.1、画角23度のレンズに1/3.2型1,080万画素Dual PDセンサーの組み合わせとなる。このうち広角と望遠には光学式手ブレ補正機構が備わる。

Pixel 10の背面カメラ。左から広角、超広角、望遠の順にレンズが並んでいる

 Pixel 10のカメラと比較すると、超広角と望遠は同じ仕様のものを引き続き搭載しているが、広角は撮像素子の画素数は同じままサイズが1/3型から1/1.56型に大型化。これにより、光感度が56%向上したとのことで光をより多く取り込めるようになり、特に暗い場所での画質向上が期待できる。

 撮影倍率は、広角を1倍として超広角が0.5倍、望遠が5倍。2倍撮影時には広角レンズのセンサー中央部をクロップした無劣化撮影となる。広角レンズを利用したマクロフォーカスも引き続き対応している。デジタルズームの最大倍率は、Pixel 10の最大20倍から最大30倍へと引き上げられている。これはSoCにGoogle Tensor G6の採用とAI処理能力の向上によるものだ。

 以下の作例は、超広角、広角、2倍、10倍、30倍で撮影したものだ。

Pixel 11で撮影
超広角
広角
2倍
5倍
10倍
30倍

 次にPixel 11 ProおよびPixel 11 Pro XL。この2モデルの背面カメラは従来同様に同じ仕様で、こちらも仕様が強化されている。

 超広角がF値1.7、画角123度のレンズに1/2.51型4,800万画素Quad PDセンサー、広角がF値1.68、画角82度のレンズに1/1.3型5,000万画素Octa PDセンサー、望遠がF値2.8、画角22度のレンズに1/1.95型4,800万画素Quad PDセンサーの組み合わせとなる。広角と望遠のレンズは光学式手ブレ補正機構が備わる。

Pixel 11 Proの背面カメラ。左から広角、超広角、望遠とレンズが並んでいる
Pixel 11 Pro XLの背面カメラはPixel 11 Proと同じ仕様。こちらも左から広角、超広角、望遠とレンズが並ぶ

 Pixel 10 Pro/10 Pro XLのカメラと比較すると、かなり多くの仕様変更が見られる。まず超広角は、撮像素子の画素数は同じままサイズが従来の1/2.55型から1/2.51型へわずかに大型化。広角は、スペックではレンズや撮像素子の仕様が同じものを搭載しているように見えるが、撮像素子が新型のセンサーに変更されているとのことで、1~5倍の撮影性能はPixel史上最高としている。そして望遠は、撮像素子の画素数は同じまま1/2.55型から1/1.95型へサイズが大型化している。こういった仕様強化によって、全体的な写真品質や暗い場所での画質向上が期待できる。

 撮影倍率は、広角を1倍として超広角が0.5倍、望遠が5倍。2倍撮影時には広角レンズのセンサー中央部をクロップした無劣化撮影となる。広角レンズを利用したマクロフォーカスも引き続き対応。デジタルズームは、Pixel 10 Pro/10Pro XLで最大100倍の超解像ズームProを搭載していたのに対し、Pixel 11/11 Pro/11 Pro XLでは超解像ズームProの最大倍率が120倍に引き上げられている。

 以下の作例は、超広角、広角、2倍、10倍、30倍で撮影したものだ。撮影にはPixel 11 Pro XLを利用した。超解像ズームProについては後ほど紹介する。

Pixel 11 Pro XLで撮影
超広角
広角
2倍
5倍
10倍
30倍

 最後にPixel 11 Pro Fold。こちらも一部仕様が強化されている。

 超広角がF値2.2、画角127度のレンズに1/3.4型1,050万画素Dual PDセンサー、広角がF値1.7、画角85度のレンズに1/1.56型4,800万画素Octa PDセンサー、望遠がF値3.1、画角23度のレンズに1/3.2型1,080万画素Dual PDセンサーの組み合わせとなる。こちらも広角と望遠のレンズは光学式手ブレ補正機構が備わる。

Pixel 11 Pro Foldの背面カメラ。上段右に望遠、下段左から超広角、広角とレンズが並んでいる

 Pixel 10 Pro Foldのカメラと比較すると、超広角と望遠は同じ仕様のものを引き続き搭載しているが、広角の撮像素子が画素数は同じまま1/2型から1/1.56型へサイズが大型化。これにより広角の暗い場所での画質向上が期待できる。

 撮影倍率は、広角を1倍として超広角が0.5倍、望遠が5倍。2倍撮影時には広角レンズのセンサー中央部をクロップした無劣化撮影となる。マクロフォーカスは超広角レンズを利用する。デジタルズームの最大倍率は、Pixel 10 Pro Foldでは最大20倍だったが、Pixel 10 Pro FoldではPixel 10同様に最大30倍へ引き上げられている。

 以下の作例は、超広角、広角、2倍、10倍、30倍で撮影したものだ。

Pixel 11 Pro Foldで撮影
超広角
広角
2倍
5倍
10倍
30倍

 前面カメラは、全モデルともに従来モデルから仕様は変わっていない。

 Pixel 11の前面カメラはF値2.2、画角95度のレンズに1,050万画素Dual PDセンサーの組み合わせでオートフォーカス対応。Pixel 11/11 Pro/11 Pro XLの前面カメラは、F値2.2、画角103度のレンズに4,200万画素Dual PDセンサーの組み合わせでオートフォーカス対応。いずれもディスプレイ上部中央にパンチホールで搭載している。

 Pixel 11 Pro Foldでは、カバーディスプレイの上部中央と折りたたみディスプレイの右上の2カ所に搭載。仕様はどちらも同じで、F値2.2、画角87度のレンズに1,000万画素Dual PDセンサーの組み合わせとなる。ディスプレイ内にパンチホールで搭載する点も変更はない。

 この前面カメラはすべて顔認証に対応。Pixel 11 Pro Foldではカバーディスプレイ、折りたたみディスプレイいずれの前面カメラでも顔認証が利用できる。

Pixel 11の前面カメラ。ディスプレイ上部にパンチホールで搭載
Pixel 11 Proの前面カメラ
Pixel 11 Pro XLの前面カメラ。スレートモデル3機種の前面カメラはすべて同じ仕様
Pixel 11 Pro Foldカバーディスプレイの前面カメラ。仕様はPixel 10 Pro Foldと同じ
折りたたみディスプレイの前面カメラ。仕様はカバーディスプレイの前面カメラと同じだ

 以下に作例として、Pixel 11、Pixel 11 Pro XL、Pixel 11 Pro Foldの広角レンズを利用して、ほぼ同じ場面で撮影した写真を掲載するので、参考にしてもらいたい。

Pixel 11
Pixel 11 Pro XL
Pixel 11 Pro Fold

超解像ズームProは画質が向上も、やはり仕上がった画像を写真とするには厳しい

 次に、Pixel 11/11 Pro/11 Pro XLのカメラにのみ搭載されている超解像ズームProについてチェックする。

 超解像ズームProは、従来モデルのPixel 10 Pro/10 Pro XLから搭載されたもので、撮影後に拡散モデルを利用したAI処理での画素補完を施すことで従来よりも高倍率の撮影を可能にするものだ。機能的には同じものだが、Pixel 11/11 Pro/11 Pro XLでは搭載SoCの強化に伴い、最大倍率が従来の100倍から120倍へと引き上げられた。

 超解像ズームProのAIによる画素補完処理は、すべてオンデバイスで行なわれる。あらかじめAI画像処理モデルをダウンロードしておく必要はあるが、ダウンロードしておけばネットワークに接続していなくても利用できる。超解像ズームProで利用するAI画像処理モデルは、Pixel 10 Pro/10 Pro XLとPixel 11 Pro/11 Pro XLで同じかどうかは分からないが、AI画像処理モデルのインストール容量は、Pixel 10 Pro/10 Pro XLが1.04GB、Pixel 11 Pro/11 Pro XLが1.01GBと微妙に異なっているため、違う可能性もありそうだ。

 なお、超解像ズームProが働くのは従来同様30倍以上の撮影時となる。

Pixel 11 Pro/11 Pro XLに搭載される超解像ズームPro。倍率が最大120倍に引き上げられた
超解像ズームProを利用するには、AI画像処理モデルをあらかじめダウンロードすることで利用可能。処理はオンデバイスで行なわれる
AI画像処理モデルは容量は約1.01GBと大きいため、Wi-Fiでのダウンロードを推奨する
Pixel 10 Pro/10 Pro XLの超解像ズームProで利用するAI画像処理モデルは容量が1.04GBとなっており、Pixel 10 Pro/10 Pro XLのものとは異なる可能性がある

 以下は、Pixel 11 Pro XLで撮影した30倍、50倍、75倍、100倍、120倍の作例だ。30倍以上は、超解像ズームPro処理前と処理後の写真も並べている。同時に、Pixel 10 Pro XLで撮影した30倍、50倍、75倍、100倍の作例も掲載する。

 写真を見ると分かるが、どれも超解像ズームProの補完処理によって、かなりくっきりとした写真に仕上がっている。AIモデルを利用した補完処理は、鉄塔などの建造物を得意としているということもあるが、この仕上がりならかなり活用できそうな印象だ。

 また、Pixel 11 Pro/11 Pro XLは望遠の撮像素子が大型化していることもあり、処理前の写真を比べるとPixel 11 Pro XLのほうがより細かな部分まで描写できており、補完処理後もより細かい部分まで再現できている。このあたりは、撮像素子の大型化が有効に働いていると考えていいだろう。

 ちなみに、Pixel 10 Pro/10 Pro XL登場当初に試した時と比べると、補完処理はかなり向上したと感じる。このあたりはAI画像処理モデルの進化が要因だろう。

Pixel 11 Pro XL
30倍 超解像ズームPro処理前
30倍 超解像ズームPro処理後
50倍 超解像ズームPro処理前
50倍 超解像ズームPro処理後
75倍 超解像ズームPro処理前
75倍 超解像ズームPro処理後
100倍 超解像ズームPro処理前
100倍 超解像ズームPro処理後
120倍 超解像ズームPro処理前
120倍 超解像ズームPro処理後
Pixel 10 Pro XL
30倍 超解像ズームPro処理前
30倍 超解像ズームPro処理後
50倍 超解像ズームPro処理前
50倍 超解像ズームPro処理後
75倍 超解像ズームPro処理前
75倍 超解像ズームPro処理後
100倍 超解像ズームPro処理前
100倍 超解像ズームPro処理後

 もちろん、画素補完処理は完ぺきではない。以下はいずれもPixel 11 Pro XLで120倍で撮影したものだが、1枚目のカラスの写真はかなりうまく補完処理が行なわれており、カラスに加えて周辺の草や奥の土や砂利など、一見するとほぼ破綻のない写真が出来上がっているように見える。

 しかし2枚目の標識の写真では標識の図柄や文字がややいびつに仕上がっている。3枚目のブロンズ像の写真も、顔がうまく再現できていない。4枚目のリモコンの写真では、ボタンの文字が完全に破綻している。

 ちなみに5枚目では、あえて人間を捉えているが、背後の石垣はかなりくっきり再現できているのに対し、人間は顔がぼやけたまま。これは、超解像ズームProでは人間に対して画素補完処理を行なわない仕様となっているためで、正常な動作となる。

Pixel 11 Pro XLで120倍で撮影
超解像ズームPro処理前
超解像ズームPro処理後。カラスや草、砂利などがほぼ破綻なく再現できている
超解像ズームPro処理前
超解像ズームPro処理後。標識の図柄や文字がややいびつに仕上がっている
超解像ズームPro処理前
超解像ズームPro処理後。ブロンズ像の顔がうまく再現できていない
超解像ズームPro処理前
超解像ズームPro処理後。人間の顔がぼやけたままだが、これは正常な処理だ
超解像ズームPro処理前
超解像ズームPro処理後。リモコンボタンの文字が完全に破綻している

 超解像ズームProは、デジタルズームによってぼやけてしまい記録できていない情報を、AIモデルを利用して“おそらくこういうものがあるんだろう”と推測し書き加えるという処理を行なう。そのため、本来あるものを正しく再現できるわけではない。そういう意味では、1枚目のカラスの写真も、一見すると破綻なく仕上がっているように見えるが、実際にあるものが正しく再現できているわけではない。人間に対して処理を行なわないのも、そこが大きな理由の1つだ。

 Pixel 10 Pro/10 Pro XLで超解像ズームProが登場した当初から、こういった部分はさまざまな議論を巻き起こしている。個人的には、Pixel 11 Pro/11 Pro XLになったからといって、超解像ズームProで処理した画像を写真と呼ぶのには抵抗がある。

 ただ、そもそも今のスマートフォンで撮影する写真は、色調補正やノイズ除去、複数枚の画像の合成処理など、いわゆる“コンピュテーショナルフォトグラフィー”と呼ばれるさまざまな処理が行なわれた上でできあがっている。超解像ズームProも大きな括りではその一種であり、否定するものでもないだろう。どう活用するかは個々で判断すればいい問題だ。

 ちなみに、超解像ズームProで処理した画像には、「C2PA(Coalition for Content Provenance and Authenticity)」にAIで処理したことを示す情報が書き加えられる。この情報を確認することで、その画像がAIで修正されたものかどうか簡単に判別可能な点を頭に入れたうえで活用してもらいたい。

超解像ズームProで処理した画像には「C2PA」に「AIツールで編集」という情報が書き込まれるため、AIで編集されていると確認できる

マジックキャプチャーなど新たな撮影機能を搭載

 Pixel 11シリーズでは、新たな撮影機能もいくつか追加されている。その1つが「マジックキャプチャー」だ。Pixel 11シリーズ全モデルで利用できる。

 マジックキャプチャーは、最大2分の動画を撮影すると、その動画から被写体の決定的な瞬間を抽出して写真として提案してくれる、という機能。たとえば、子どもやペットが遊んでいる場面や複数の友人とアクティビティを楽しんでいる場面などは、ベストの写真を撮影するのが非常に難しい。しかしマジックキャプチャーなら、その場面を動画で撮影するだけで、子どもや友人、ペットなどの笑顔、自然な笑い、ダイナミックなアクションなどベストな場面を複数抽出して写真として切り出し提案してくれる。

動画を撮影すると、その動画から人やペットなどのベストのシーンを写真として切り出してくれる「マジックキャプチャー」

 マジックキャプチャーは、カメラアプリの下部にある撮影モード切り替えボタンからマジックキャプチャーモードに切り替えるだけで利用可能。あとは被写体に向けてシャッターボタンを押すと、最大2分の動画を撮影。撮影終了後にベストの写真を提案してくれる。撮影した動画はそのまま残されるので、自分でシーンを指定して写真に切り出すことも可能だ。

 なお、マジックキャプチャーで撮影する動画の解像度は1,080×1,440ドットで、切り出される写真の解像度は3,064×4,080ドット。ベースとなる動画より切り出される写真がかなり高解像度となるため、細かな部分は多少ぼやけた写真として出来上がる。とはいえ、プリントしたりスマートフォンの画面で楽しむには十分な品質を備えているように感じるので、この機能は結構有効に活用できそうだ。

マジックキャプチャーを起動するには、画面下部の赤で囲った星印のボタンをタップする
マジックキャプチャーに切り替わったら、シャッターボタンを押して動画を撮影するだけだ
このように動画を撮影すると
動画撮影後にベストの写真を提案してくれる
マジックキャプチャーで動画を撮影し、写真が提案される様子
実際にマジックキャプチャーで撮影した動画
撮影した動画からこの4枚の写真が提案された

 「カメラスタイル」という機能も全モデルに用意。こちらは一眼カメラなどに搭載されている「カメラルック」と同様の機能で、好みの撮影スタイルを指定して撮影できるというもの。柔らかな描写の「ナチュラル」や深いコントラストの「シャドー」、温かみのある黄金色の「バニラ」など、全9種類のスタイルを指定し撮影できる。

 以下に、全9種類のスタイルとスタイルなしで撮影した写真を掲載するので参考にしてもらいたい。

カメラアプリを起動して右下の調整ボタンをタップ
調整メニューの「スタイル」をタップ
画面上部のメニューまたは左右スワイプでスタイルを選択できる
カメラスタイルを変更して撮影した写真
オリジナル
ナチュラル
シャドー
バニラ
マガジン
ベルベット
クラシック
デジカメ
モノクロ
ミニマル

 「クリエイタースイート」も全モデルで利用できる新機能。動画撮影時にテレプロンプターを画面に表示したり、ソーシャルメディアに最適なグリッドの表示、不要な雑音を軽減して声が聞き取りやすく録音する音声拡張機能などが用意される。このうち、テレプロンプターの自動スクロール機能は現時点では英語のみの対応となる。今回は試用時間が短かったためクリエイタースイートは試せなかったが、動画配信を日常的に行なっている人にとって便利な機能となりそうだ。

動画モードの設定から呼び出せる「クリエイタースイート」。プロンプター表示など、動画配信者に便利な機能が用意されている
「ソーシャルメディアのグリッド」をオンにすると、ソーシャルメディア配信に最適なフレームを表示する
雑を難を軽減し声をクリアに録音する音声拡張機能も用意

 Pixel 11 Pro/11 Pro XLのみ対応となるのが「インスタント夜景モード」。これは通常の夜景モードでの撮影のことだが、背面カメラの強化とGoogle Tensor G6搭載による処理の高速化により、撮影が最大4.5倍高速となるというものだ。

 実際に、部屋を締め切りシーリングライトの常夜灯のみを点灯した状態で夜景モードに設定し試してみたところ、Pixel 10 Pro XLでは撮影に約3.2秒かかったのに対し、Pixel 11 Pro XLでは約1秒で撮影できた。相変わらず実際よりも明るく写りすぎる点は少々気になるが、これまで夜景撮影など暗い場所での撮影時に数秒待たされていたのが、1秒程度でくっきり撮影できるのは、かなり便利と感じる。

Pixel 10 Pro/10 Pro XLの夜景モードは、高速に撮影できる「インスタント夜景モード」となっている
Pixel 10 Pro XLの夜景モードで撮影。撮影には約3.2秒かかった
こちらはPixel 11 Pro XLの夜景モードで撮影。撮影時間は約1秒と高速ながら、Pixel 10 Pro XLよりも明るく撮影できている

 このほか、動画ブースト(撮影後のオンラインでの超解像処理)による8K動画撮影や4Kポートレート動画の撮影、強力な手ブレ補正処理「動画手ブレ補正Pro」などもPixel 10 Pro/10 Pro XLで利用可能となっている。

背面カメラのLEDライトで通知する「HiLight」

 「HiLight」は、Pixel 11 Pro/11 Pro XL/11 Pro Foldに搭載される新機能。背面カメラバーに搭載するLEDを利用し、ディスプレイを下にしてデスクなどに置いた状態の時に、着信通知やGeminiからのフィードバックを光で通知するというものだ。

 たとえば、電話帳で家族や友人など特定の人をお気に入りに登録するとHiLightが有効となり、その人からの着信があるとHiLightで通知される。HiLightの発色は全5色から選択でき、人ごとに設定可能。たとえば、家族や友人など特定の人を特定の色に指定しておけば、HiLightの発色だけで電話をかけてきた人を絞り込める。

背面カメラバーに搭載しているLEDライトがHiLightとして動作する
Pixel 11 Pro/11 Pro XL/11 Pro Foldに搭載された新機能「HiLight」。標準でオンになっている
HiLightは、現時点ではお気に入り登録している人からの着信通知とGeminiのフィードバックにのみ使用される
電話帳で特定の人をお気に入りに登録すると、HiLightの通知が有効となる
HiLightの発色は5色から選択できる
HiLightで着信が通知されている様子

 また、Gemini Live利用時には、話しかけるのを待っている状態や、声を聞き取っている状態、AIが回答している状態などで異なるパターンで光が回転する。今、Geminiがどういった状態にあるのかを、HiLightの光り方で把握できる。

Gemini Live利用時にHiLightが光る様子

 ただ、一見便利そうな機能だが、着信通知は発色を全5色からしか選べないのはかなり物足りない。フルカラーで色を指定できてもいいようなもので、ここは改善の余地があるだろう。

 またGemini利用時の通知については、あまり役立つように感じられなかった。確かにディスプレイを伏せてGemini Liveを利用する場面では、Geminiが働いているなと分かるものの、その必要性はそこまで高くないように思う。

 現状では、この2パターンでしか利用できないため、まだHiLightの有効活用シーンがなかなか見えてこない。おそらく今後、バージョンアップなどで色指定や利用できる機能も拡充すると思うので、今後に期待といったところだろう。

AI関連機能も強化

 Pixel 11シリーズではAI機能も強化されている。その1つが、Gemini Intelligenceによるさまざまなサポートだ。

 たとえば、メッセージが届いたら、メッセージ内容を把握し、その内容に合わせた最適な操作を先回りで提案してくれる。“明日のお昼、ランチに行かない?”といったメッセージが届いたら、Gemini Intelligenceがカレンダーの起動を提案。ほかにも、メールやカレンダーに登録されている情報などから、指定された日の予定などを表示してくれたりする。このほか、現時点では日本では利用できないが、チャットを行ないながらGeminiによるレストランの自動予約までもこなしてくれる。

 ただ、Gemini Intelligenceのサポートが働くアプリは限られている。たとえばチャット中の提案は、Googleのメッセージアプリでのみ動作する。アプリ連携の拡充は、今後の課題といえる。

メッセージアプリでチャットしていると、Gemini Intelligenceが内容に応じて先回りで操作を提案してくれる。これはカレンダーの表示を提案している

 文字入力アプリ「Gboard」のAI音声入力機能も強化された。音声入力を意識しない自然なしゃべり方でも内容を理解して、“えー”や“あー”といった不要な発音や余計な言葉をカットして簡潔にまとめて文字に変換してくれる。実際に試してみたが、いい感じでまとめてくれるという印象。キーボードを操作して入力するよりも楽で、なかなか使えそうだ。

AI音声入力を試している様子

 もちろん、先に紹介したカメラの超解像ズームProやインスタント夜景モード、マジックキャプチャーなどもAIを駆使した機能。これまでのPixelシリーズ同様、Pixel 11シリーズでもさまざまな場面でAIが活躍する。

 ところで、Pixel 11シリーズには、Geminiの有料プラン「Gemini AI Pro」の6カ月間無料トライアルが付帯している。Gemini AI Proの無料トライアルを利用すれば、Geminiの動画作成機能「Gemini Omni」やGoogle Healthでパーソナライズコーチング機能が利用できる「Google Health Premium」、最大5TBのクラウドストレージなどを6カ月間無料で利用できる。そのほかにも、2026年末に提供開始予定のAIステッカー生成機能も利用可能となるので、Pixel 11シリーズを入手したら、Gemini AI Proの6カ月間無料トライアルを利用して、さまざまなAI機能を試してもらいたい。

Pixel 11シリーズには「Gemini AI Pro」の6カ月間無料トライアルが付帯する

コスパ的なお勧めはPixel 11

 ここまでPixel 11シリーズを見てきたが、今回は試用時間がかなり短かったこともあって、踏み込んでチェックできていない部分もある。その点はご了承いただきたい。ただその中でも、AIやカメラなどの進化は十分確認でき、正統に進化していると実感できた。

 あとは、どれを選ぶか、だ。今回は全モデルが同時に登場するため、どれを選ぶべきか悩ましい。ただ、コストパフォーマンスを重視するのであればPixel 11がベストと感じる。
 Pixel 11の直販価格は13万6,800円からだ。金額だけを見ると決して安くはないかもしれない。実際、Pixel 10は最も安いモデルは12万8,900円で登場したので、値上げと感じるのも事実。

 とはいえPixel 11は128GBモデルがなくなっており、13万6,800円は256GBモデルの価格。Pixel 10の256GBモデルは14万3,900円だったので、同一容量で見ると値下げともいえる。昨今のメモリ高騰や円安進行を考えても、かなりお得な価格設定となっており、シリーズ随一のコストパフォーマンスを実現していると言っていいだろう。

 もちろん、最終的にどれを選べばいいかは、コストや求める機能によって変わってくる。カメラ機能など機能に妥協したくないということであればPixel 11 Pro/11 Pro XLがいいし、折りたたみが良ければPixel 11 Pro Foldとなる。上位モデルになるほど価格的には厳しくなるが、購入特典や旧端末の下取り、通信キャリアの割引施策などを活用すれば、コストを抑えて入手できる。

 Pixelシリーズも、代を追うごとに価格が高くなっている。そこには部材高騰や円安などの要因もあるが、価格的に以前に比べて気軽にお勧めしづらくなってきているのも事実。とはいえ、Androidスマートフォンのリファレンスであり、Googleの最新AI機能をいち早く利用できるという点は、ほかの製品にはない特徴でもある。そういったところに魅力を感じるのであれば、手にして十分満足できるはずだ。