Hothotレビュー

マウスコンピューター「MousePro-P101AP」

キーボード一体型の本体カバーが付属したユニークなWindowsタブレット

マウスコンピューターの「MousePro-P101AP」

 マウスコンピューターの「MousePro-P101AP」(以下P101AP)は、マウスコンピューターの法人向けブランド「MousePro」の10.1型Windowsタブレット。タブレットに加え、本体に同梱するマグネット型の着脱式キーボードとタッチパッドが非常に個性的な製品だ。

 着脱式のキーボードは他社の製品でも多く採用されており、さほど珍しいものではないが、P101Pがユニークなのはその形態。キーボードが本体カバーと一体になっており、本体とキーボードを装着して本体カバーに収容できる。外出など持ち歩きが多いユーザーには非常に魅力的な機能だ。

 なお、本体カバーとキーボードが一体型になったこのモデルは、OSの違いで2モデルがラインナップされている。今回レビューするP101APはWindows 8.1 Pro Update(32bit)を搭載し、税別価格は46,800円。もう1モデルの「MousePro-P101AG-AH」はOSがWindows 8.1 with Bing(32bit)となる代わりに「Office Home and Business 2013」を標準で搭載し、税別価格は43,800円。オフィスのドメイン参加などでProが必須というわけでなければ、Office搭載モデルを選ぶといいだろう。

スペックは標準的ながら接続インターフェイスが充実

 スペックはCPUがAtom Z3735F、メモリが2GB、ストレージが64GBのeMMCと、Windowsタブレットの低価格モデルとしては標準的な構成。ディスプレイは解像度が1,280×800ドットの10.1型ワイド液晶パネルで、10点マルチタッチに対応する。

タブレット本体

 本体サイズは258×173×11mm(幅×奥行×高さ)、重量は約630g。デザインは黒1色でシンプルで、ロゴも本体前面のWindowsボタン以外は背面にインテルやWindowsのシールが貼ってある程度とシンプル。背面は四方がカーブ状になっており、手に取った時に持ちやすい作りになっている。

 スペックやデザインはシンプルなものの、インターフェイスは充実。本体上部には充電用のMicro USBに加えフルサイズのUSB×1、Micro HDMI×1、本体背面にはmicroSDスロット×1を搭載。業務用途ではプロジェクタやディスプレイと接続する機会も多く、標準でHDMIをサポートしているのは嬉しい。スピーカーも背面左右に備え、カメラも約200万画素ながら前面と背面に搭載。低価格モデルながらもビジネス面では十分なインターフェイスが揃っている。

背面にカメラとmicroSDカードスロット
左側面に電源ボタン
本体上部に充電用のMicro USB、フルサイズのUSB×1、Micro HDMI×1を搭載
右側面に音量ボタン
手に持ったところ

 ワイヤレス関連は無線LANがIEEE 802.1b/g/n、Bluetoothは4.0を搭載し、GPSは非搭載。最近はスマートフォンの普及で無線LANも混雑していることが多く、5GHzの対応も期待したいところだが価格帯を考えると十分なところだろう。

スタンド代わりにもなるキーボード一体型カバー

本体カバー

 初めに本製品最大の特徴であるキーボードから見ていこう。前述の通りキーボードは本体カバーと一体化しており、カバーを広げるとキーボードの上には本体接続用のドックが少し離れた位置に配置されている。

 ドックより上のカバーはタブレット本体を保護するエリアとなっており、さらにカバー上下部分は本体を包み込んでホールドできるようマグネットが内蔵されている。文章だけだと分かりにくい部分なので画像を見ながら仕組みを理解して欲しい。

本体をドック部分に接続
折りたたむ時は手前のマグネット部分が本体を固定
折りたたんだところ
手に持ったところ

 タブレット本体を装着して折りたたんだ時の厚さは17mm。タブレットとの厚みとしては大きく感じるが、キーボードと本体カバーを含めた厚さとして考えると薄く取り回しやすい。持ち歩き時もカバー上下のマグネットが本体を固定してくれるため、キーボードと本体自体が直接接続しているわけではないにも関わらずしっかりと安定して持ち運べる。

 また、タブレット側のカバーも工夫があり、折り曲げることでタブレットを立てかけるスタンド代わりになる。クラムシェル型のように好きな角度で固定できるわけではないが、実際に使っていても十分に使いやすい。

ドック上の部分は折り目に沿って折りたためる
カバーの端はマグネット内蔵でピタっと固定できる
カバー装着時

キーボードはUSB接続で充電不要。小さいながら十分な打鍵感

 キーボードはマグネット着脱式で実際にはUSBで接続されており、キーボードの充電やペアリングなどは不要。タブレットとして使いたい時は本体を上部に引っ張るだけで簡単に取り外せる。キーボードを利用する時のペアリングの手間や、いざというときにキーボードの電池が切れていて使えないということがなく、外出先で使うことが多いユーザーにも安心だ。

 キーピッチは約1.7mm。サイズはコンパクトだが使いやすく、慣れれば快適な文字入力が可能だ。「.」などの記号はほかのキーよりも小さくなっているため多少打ちにくさはあるが、1時間もせずに十分慣れて解消できた。Bluetoothのコンパクトキーボードではファンクションキーを搭載していない製品も多いが、こちらは小さいながらファンクションキーも揃っており、Print Screenなども利用できる。

 キーボードに加えて下部にはタッチパッドとボタンも備えており、カーソル操作もマウスを使わず利用できる。タブレットのタッチ操作ではどうしても細かいところの指定が難しいが、タッチパッドがあればマウスをわざわざ取り出す必要もない。持ち運びやすさやキーボード周りも含めて、非常に外出時に使いやすい仕様になっていると感じた。

キーボードの配列
キーピッチは約1.7mm
タッチパッドとボタンも備える

スペックはAtom搭載タブレットとして標準的

 本体スペックはAtom Z3735F搭載のWindowsタブレットということもありそれほど高くない。ベンチマークソフトはFuturemarkの「PCMark」、「3DMark」を使って計測したが、一般的なAtomベースのタブレットとほぼ同等程度の結果となった。

【表】ベンチマーク結果
PCMark 8 v2
Home 3.0(Accelerated)1133
Creative 3.0(Accelerated)942
Work 2.0(Accelerated)1168
3DMark
Ice Storm15381
Cloud Gate1140
Sky Diver429

 実際の使用感もAtomベースのWindowsタブレットとほぼ変わらない。今回使用したモデルはOffice非搭載のため、Office 365をインストールしてOfficeファイルも使用してみたが、ブラウジングやシンプルなOfficeファイルであれば問題なく使えるものの、タブを多数開いたり、関数を多用した重めのExcelファイルなどを開くとさすがにもっさり感を感じる。

 とは言え本体カバーとケースが一体化した仕様や価格帯を踏まえれば、外出時に手軽に利用できるWindowsタブレットとしては十分なスペックだ。この端末のみですべての業務をこなすのは難しいかもしれないが、業務用のメインマシンとは別に外出中に使用するサブマシンとして考えれば、価格も含めて十分なコストパフォーマンスと言えるだろう。

 バッテリの検証はBBenchを利用し、バッテリ設定を省電力、バックライト輝度を40%に設定し、無線LANを有効、BluetoothをオフにしてBBenchでキー入力とWeb巡回にチェックを入れて計測したところ、約7時間20分だった。公称のバッテリ駆動時間である約5.7時間よりも長く使えており、外出中の利用には十分だろう。

キーボード一体型カバーと5万を切る価格帯が魅力。外出時の2台目に最適

 キーボード一体型のWindowsタブレットとしてはSurfaceシリーズが最近では人気だが、P101APはSurfaceとはまた違う魅力を持った端末だ。5万円を切る価格帯でキーボードとOfficeが付いてくるという価格設定は、Surface 3の日本価格を見て二の足を踏んでしまったユーザーにとって大いに気になるところだろう。もちろんCPUに最新のAtom x7を搭載するSurface 3に比べるとP101APの性能が劣る部分もあるが、その性能差を踏まえても十分にメリットを感じる価格設定だと感じた。

 繰り返しながら低価格ゆえのスペックであり、万人が満足する1台ではないものの、外出が多いビジネスユーザーには非常に使いやすい端末だと感じた。法人向け端末のためあまり目にする機会はないかもしれないが、このカバー機構はぜひ1度目の前で体験して欲しい。個人的にはこの機構のままAtom x7を搭載した次期モデルの登場も期待したいところだ。

(甲斐 祐樹)