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ユニットコム「15X7200-i7-REB」

~GeForce GTX 960M搭載のミドルレンジノート

ユニットコム「15X7200-i7-REB」

 ユニットコムは、iiyama PCブランドのノートPC新モデル「15X7200-i7-REB」を発売した。15.6型液晶搭載のミドルレンジノートとして位置付けられているが、4コア版Core i7やGeForce GTX 960Mを搭載するなど、ハイエンドクラスの性能を備える製品となっている。パソコン工房などユニットコム系列のPCショップで販売されており、実売価格は123,098円から。

ハイエンドノートに匹敵する高性能スペック

 15X7200-i7-REBは、iiyama PCブランドのノートPCの中で、ミドルレンジクラスに位置付けられた製品だ。ただ、その仕様はミドルレンジとしてはかなり充実している。

 CPUは標準で4コア8スレッド処理に対応するCore i7-4720HQを標準搭載する。また、ディスクリートGPUも標準搭載しており、GeForce GTX 960Mが搭載される。一般的に、ミドルレンジクラスのノートPCでは、なるべく安価な価格を実現するために、2コア版のCPUを採用し、ディスクリートGPUは非搭載の場合が多い。4コア版Core i7やディスクリートGPUを搭載する15X7200-i7-REBは、ミドルレンジというよりも限りなくハイエンドクラスに近い製品と言っていいだろう。

 それに対し、本体はミドルレンジクラスらしい仕様となっている。本体サイズは、385×268×28.5mm(幅×奥行き×高さ)。以前取り上げた、同じくユニットコムの4K液晶搭載ノート「15X8140-i7-QTRB」では、高さが25mmと薄形ボディとなっている点が特徴となっていた。15X7200-i7-REBはそちらに比べるとやや厚いが、それでも30mmを切っており、このクラスのノートPCとしてはまずまずの薄さだ。フットプリントのサイズは、15.6型液晶搭載のノートPCとして標準的だ。

 デザインは、側面部分など直線的な形状で、低価格ミドルレンジノートにありがちな野暮ったい印象はない。ボディは樹脂製となっており、底面などは樹脂の素材感がそのまま伝わってくることもあって、高級感はあまり感じられないが、このクラスのノートPCとしては標準的なデザインと言っていいだろう。

 重量は、公称で約2.5kg、実測では2,510gだった。携帯性重視の製品ではないため、この程度の重量でも特に不満はなく、家庭内での持ち運びもそれほど苦にはならないだろう。


15X7200-i7-REBLaVie Hybrid Advance PC-HA850AAS15X8140-i7-QTRB
CPUCore i7-4720HQ(2.60/3.60GHz)Core i7-5500U(2.40/3.00GHz)Core i7-4710HQ(2.50/3.50GHz)
チップセットIntel MH87 ExpressIntel HM87 Express
ビデオチップGeForce GTX 960MIntel HD Graphics 5500GeForce GTX 970M
メモリPC3L-12800 DDR3 SDRAM 4GB×1PC3L-12800 DDR3 SDRAM 8GB×1PC3L-12800 DDR3 SDRAM 8GB×2
ストレージ500GB HDD256GB SSD256GB SSD+1TB HDD
OSWindows 8.1 Update 64bitWindows 8.1 Update 64bitWindows 8.1 Update 64bit
15.6型液晶搭載のミドルレンジノートだが、4コア8スレッドCore i7やGeForce GTX 960M搭載と充実したスペックが特徴
天板部分。つや消しのブラックで、ラバーコートのようななめらかな手触りとなっている
フットプリントは268×28.5mm(幅×奥行き)と、15.6型液晶搭載ノートとしてほぼ標準的
底面は樹脂の素材感が直接伝わり、高級感はあまり感じられない
本体正面。直線的ですっきりとしたデザインとなっている
左側面。高さは28.5mmと、30mmを切っている
後部側面。CPUとGPUを冷却する大きな排気口が見える
右側面
重量は実測で2,510gと、ほぼ公称通りだった

15.6型フルHD液晶を搭載

 15X7200-i7-REBに搭載される液晶パネルは、フルHD(1,920×1,080ドット)表示に対応する15.6型液晶だ。パネルの種類は非公開だが、視野角はあまり広くなく、上下など視点を移動させると色合いの変化が感じられるため、TNパネルを採用しているものと考えられる。TNパネルはIPS方式のパネルに比べて反応速度が高速で、実際に動画やゲームなどで残像が気になる場面は少なかった。15X7200-i7-REBは3D描画能力に優れるため、ゲームのプレイも比較的容易だが、その場合でも残像を気にせず快適にプレイできる点は良い。

 パネルの表面は非光沢処理となっており、外光の映り込みはほとんど気にならない。文字入力は軽快に行なえ、ゲームプレイ時も暗いシーンなどで映り込みを気にせずプレイできる点はポイントが高い。光沢液晶に比べると、発色の鮮やかさはやや欠ける印象だが、全体的には標準的な表示品質が確保されていると言える。なお、タッチパネルは非搭載だ。

フルHD(1,920×1,080ドット)表示対応の15.6型液晶を搭載。非光沢液晶のため外光の映り込みはない。発色は非光沢液晶としては十分満足できるレベル
パネルはTN方式のため、視野角はやや狭い。タッチパネルは非搭載

テンキー付きキーボードはバックライトも搭載

 キーボードは、キーの間隔が開いたアイソレーションタイプのキーボードを採用。キーピッチは実測で約18.5mmとフルサイズにわずかに届かないが、十分にゆったりしている。また、本体サイズに余裕があるためテンキーも標準で搭載。スペースキー右の一部キーはピッチがやや狭くなってはいるが、タッチタイプも問題なく可能と言える。

 タッチは柔らかめだが、しっかりとしたクリック感に約2mmほどの深いストロークで、打鍵感は申し分ない。加えて、標準でキーボードバックライトを内蔵する点も特徴で、暗い場所で利用する場合でも快適なキー入力が可能だ。できれば、Enterとテンキーにもう少し間隔がとられ、カーソルキーが1段下がって配置されていると良かったように思うが、配列は自然で十分に満足できるキーボードと言える。

 ポインティングデバイスは、独立したクリックボタンが備わるタッチパッドを搭載する。パッドの面積は十分に広く、操作性は申し分ない。液晶はタッチパネル非搭載だが、タッチパッドのジェスチャー操作によって、タッチパネル非搭載でもWindows 8.1の操作は比較的快適だ。また、外付けマウスを接続して利用する場合などには、タッチパッドの動作をオフにできるため、誤動作も防止できる。キーボードと合わせ、操作性は十分に快適だ。

キーボードはキーの間隔が開いたアイソレーションタイプを採用
サイズに余裕があるため、テンキーも標準搭載
キーボードバックライトも搭載し、暗い場所での利便性に優れる
キーピッチは実測で約18.5mmと十分にゆったり
ストロークは約2mmほど。しっかりとしたクリック感もあり、打鍵感に優れる
タッチパッドは独立したクリックボタンがあり、扱いやすい。ジェスチャー操作にも対応する

豊富な側面ポートで拡張性に優れる

 15X7200-i7-REBのスペックは、冒頭でも紹介したように充実している。CPUは4コア8スレッド処理対応のCore i7-4720HQ、ディスクリートGPUとしてGeForce GTX 960Mをそれぞれ標準搭載しており、処理能力や3D描画能力はハイエンドクラスに匹敵するものとなっている。なお、GeForce GTX 960M用のビデオメモリは2GB搭載する。

 メインメモリ用のDIMMスロットは2本用意され、DDR3L-1600準拠のメモリを最大16GB搭載可能。今回試用した機材は標準スペック仕様だったため、4GBのモジュールを1枚のみ搭載していた。内蔵ストレージは、標準仕様では500GBのHDDを搭載するが、BTOでは1TBのHDDや512GBのSSDなども選択可能となっている。また、M.2仕様のSSDも選択可能で、その場合にはSSDとHDDの同時搭載が可能となる。なお、M.2スロットはPCI Express x4対応で、SATA仕様のSSDを大きく上回る高速なSSDの搭載にも対応している。このあたりは、予算や用途に応じて購入時に自由に選択可能だ。快適性を重視するなら、メインメモリは最低8GB、内蔵ストレージはSSDに強化するのがお勧めだ。

 光学式ドライブはDVDスーパーマルチドライブを標準搭載し、本体左側面に内蔵している。BDドライブなどへの変更は行なえないが大きな問題はないだろう。

 無線機能は、IEEE 802.11ac/a/b/g/n準拠の無線LANとBluetooth 4.0 LEを標準搭載。無線LANは2×2 MIMO対応で、最大867Mbpsの高速通信が可能。Gigabit Ethernetポートも標準で備えており、ネットワーク機能に不満はない。

 なお、本体裏面のネジを全て外すと底面が空き、内部のポートへとアクセス可能となる。購入後に自分でメインメモリを強化したり、内蔵ストレージを換装できる。ただ、面倒な作業となるのは間違いないので、できれば必要な強化は購入時に済ませておくようにしたい。

 側面のポート類はなかなかの充実ぶりだ。左側面にはUSB 3.0×2ポートとヘッドフォンジャック、マイクジャック、S/PDIF出力ジャック、後部側面にMini DisplayPort、HDMI出力、USB 3.0×1ポート、右側面にSDカードスロット、USB 3.0×1ポート、アナログRGB出力、Gigabit Ethernetを備える。これだけのポートがあれば、周辺機器の利用も安心だ。なお、右側面にはSIMカードスロットも用意されるが、LTE/3G通信には非対応のため利用不可能だ。

 ACアダプタは、120Wの大出力タイプのものが付属する。ただし、サイズは一般的なミドルレンジノートのACアダプタよりもかなり大きい。モバイル性能重視の製品ではないため、大きな問題とはならないはずだが、家庭内で部屋を移動して利用する場合などは、少々面倒に感じるかもしれない。

左側面には、USB 3.0×2ポートとヘッドフォンジャック、マイクジャック、S/PDIF出力ジャックを配置
後部側面には、電源コネクタに加え、Mini DisplayPort、HDMI出力、USB 3.0×1ポートを配置
右側面には、SDカードスロット、USB 3.0×1ポート、アナログRGB出力、Gigabit Ethernetを配置
左側面にDVDスーパーマルチドライブを内蔵する
液晶上部には約200万画素のWebカメラを搭載
キーボード後方に大型のステレオスピーカを搭載。なかなかの高音質だ
底面には容量62Whのバッテリを搭載
底面カバーを外した様子
メインメモリ用のSO-DIMMスロットは2本あり、標準仕様ではDDR3L-1600準拠の4GBモジュールを1枚搭載。最大16GBまで拡張可能
内蔵ストレージは、標準では500GBのHDDを搭載するが、BTOで1TB HDDやSSDの搭載も可能
PCI Express x4対応のM.2スロットも用意され、M.2対応の高速SSDを搭載でき、その場合にはHDDとの同時搭載も可能だ
CPU冷却用の大型空冷ファンを搭載
GeForce GTX 960Mを冷却する大型空冷ファンも搭載し、安定して高性能を引き出せる
ACアダプタは出力120Wの大型のものが付属
ACアダプタの重量は、付属の電源ケーブル込みで実測567.5gだった

ミドルレンジクラスのノートPCとしては申し分ない性能

 では、ベンチマークテストの結果を見ていこう。今回利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark 8 v2.0.282」、「PCMark 7 v1.4.0」、「PCMark05 Build 1.2.0 1901」、「3DMark Professional Edition v1.4.826」、「3DMark06 Build 1.1.0 1901」、Maxonの「CINEBENCH R15」、スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」の7種類。比較用として、15.6型4K液晶を搭載するユニットコムの「15X8140-i7-QTRB」と、NECの「LaVie Hybrid Advance PC-HA850AAS」の結果も加えてある。

PCMark 8 v2.0.282
Home Accelarated 3.0319428133113
Creative accelarated 3.0365734734478
Work accelarated 2.0399240163837
Storage191149424998
PCMark 7 v1.4.0
PCMark score303445515752
Lightweight score235931815941
Productivity score186122105083
Entertainment score307233784250
Creativity score5436898710375
Computation score155581258218625
System storage score145652875551
Raw system storage score29454646058
PCMark05 Build 1.2.0
PCMark ScoreN/AN/AN/A
CPU Score12791989712915
Memory Score9018702110573
Graphics Score581330207887
HDD Score48545741558779
CINEBENCH R15.0
OpenGL (fps)96.122.0699.0
CPU568255638
CPU (Single Core)14094130
3DMark Professional Edition v1.4.828
Ice Storm1100963236676470
Graphics Score1904303907499349
Physics Score444572021942342
Ice Storm Extreme976512166077573
Graphics Score14849722635101385
Physics Score444191882342576
Ice Storm Unlimited12626745970131268
Graphics Score24961250279288143
Physics Score462603536345179
Cloud Gate15926356020330
Graphics Score29910406451356
Physics Score604124836528
Sky Diver12184199318146
Graphics Score13536192223711
Physics Score755725648552
Combined score14668189216849
Fire Strike39734733314
Graphics Score42675193424
Physics Score872432049198
Combined score17041611508
Fire Strike Ultra19391131636
Graphics Score19421091577
Physics Score864130899209
Combined score98353840
3DMark06 Build 1.2.0 1901
3DMark Score24544572027462
SM2.0 Score9988203810314
HDR/SM3.0 Score11320231513903
CPU Score679632237200
ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編
1,280×720ドット 高品質(ノートPC)135221603
1,920×1,080ドット 高品質(ノートPC)806873712267
1,920×1,080ドット 最高品質59799466

 結果を見ると、内蔵ストレージが500GBのHDDということもあって、ストレージのベンチマークスコアはかなり低くなっている。また、メインメモリ容量が4GBと少ない上にシングルチャネル動作となっているため、CPUの性能もフルに引き出せていない。それに伴い、PCMark7の結果は全体的にやや低くなってしまっている。

 ただ、そのほかのスコアに関しては、ほとんどがPC-HA850AASの結果を上回っている。PC-HA850AASは第5世代CoreプロセッサであるCore i7-5500Uを搭載するが、CPU処理能力や3D描画能力は15X7200-i7-REBが大きく上回ると言える。メインメモリがデュアルチャネルとなり、ストレージにも高速なSSDを利用すると、スコアはもっと向上するはずだ。

 3D描画能力に関しては、上位GPUであるGeForce GTX 970Mを搭載する15X8140-i7-QTRBのスコアに対して大半が下回っている。これは当然の結果と言えるが、CPU内蔵GPUを利用するPC-HA850AASに対しては大きく上回っている。ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編の結果も、フルHDの最高品質で十分快適なレベルのスコアが記録されている。さすがにトップクラスのゲーミングPCには負けるが、これなら多くの3Dゲームが快適にプレイできそうだ。

 次に、バッテリ駆動時間だ。15X7200-i7-REBはモバイルノートではないが、念のため計測してみた。公称のバッテリ駆動時間は約4時間3分(JEITAバッテリ動作時間測定法Ver2.0)となる。それに対し、Windowsの省電力設定を「省電力」、バックライト輝度を40%に設定し、無線LANを有効にした状態で、BBenchでキー入力とWeb巡回にチェックを入れて計測したところ、約3時間28分だった。公称には届かなかったが、これだけの駆動時間なら家庭内で移動して利用する場合も心強いはずだ。

性能重視のメインノートとしてお勧め

 15X7200-i7-REBは、見た目こそ一般的なミドルレンジノートで、製品の位置付けもその通りだ。ただ、実際には4コア8スレッド処理対応の高性能CPUやディスクリートGPUを搭載し、ハイエンドクラスのノートPCに匹敵する性能を発揮する、コストパフォーマンスに優れた製品だ。確かに、ベース仕様で価格が123,098円からと、ミドルレンジノートとしてはやや価格は高めだが、スペックを考えるとかなりお買い得な価格だ。

 もちろん、Webブラウズやテキスト入力などが中心で、ここまでの性能が不要というのであれば、より安価な製品を選択してもいいだろう。しかし、動画編集や3Dゲームのプレイなど、比較的高負荷なソフトもまずまず快適に利用したいというのであれば、非常に魅力的な選択肢と言える。コストパフォーマンスに優れるメインノートを探している人にお勧めしたい製品だ。

(平澤 寿康)