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手のひらサイズでしっかり使えるミニPC。「mouse CT6-L」をレビュー

マウスコンピューターの「mouse CT6-L」

 最近は手のひらサイズで非常にコンパクトながら、軽作業だけでなくちょっとしたPCゲームだって楽しめる“ミニPC”が増えてきている。今回紹介するマウスコンピューターの「mouse CT6-L」(直販価格10万9,800円)も、そうした製品の1つだ。どこに置いてもジャマにならない新書に近いサイズのボディにはRyzen 5 5500Uが組み込まれており、Windows 11や各種アプリを快適に利用できる。

縦置き/横起き両対応で省スペース

 mouse CT6-Lは個人ユーザー向けの「mouse」シリーズに属するミニPCで、最大の特徴はそのサイズ感だ。ゴム足が付いている面を下にすると、サイズは194×153×28mm(幅×奥行き×高さ)で、男性の手のひらにちょうど乗るような感じになる。

 液晶モニターの下に置いてもよいし、付属のVESAマウンタを利用してモニターや大型TVの背面に設置してもよい。またこうしたVESAマウンタのほかにも、縦置きで使うためのスタンドも同梱する。スタンドの幅は73mmとこれも小さく、機材やスピーカーなどの隙間にもすっきり収まる。

手のひらにちょうど乗るようなサイズだ
付属のスタンドを付けて縦置きするとこんな感じになる
付属のVESAマウンタ。液晶モニターなどの背面にあるVESAマウント穴を利用してmouse CT6-Lを設置できる
ACアダプタは65W出力のコンパクトなタイプ

 自作PCでよく利用されるミドルタワーPCやミニタワーPCはもちろん、ビジネス向けPCでは一般的なブックタイプPCと比べても圧倒的に小さく、置き場所に困らない。こうしたサイズ感こそがミニPCの醍醐味であり、大きな魅力と言ってよいだろう。

 さらりとした質感の素材をベースに、鏡面仕上げの部品を一部組み合わせたボディを採用する。マウスコンピューターのロゴは小さく印刷されているだけで、主張は少なめだ。その小さなサイズ感とも相まって安っぽさは感じさせない。

縦置きしたときの側面には、さらりとした質感のプラスチックを採用

 主なスペックは下記の表で整理している通りだ。AMDのノートPC向けAPU「Ryzen 5 5500U」と16GBのメモリを搭載し、ストレージはNVMe対応SSDで容量は256GBだ。容量の大きな動画ファイルを多数扱うにはストレージの容量が心もとないが、軽作業中心なら問題ないだろう。

【表1】mouse CT6-Lの主なスペック
メーカーマウスコンピューター
製品名mouse CT6-L
OSWindows 11 Home
CPU(コア/スレッド数)Ryzen 5 5500U(6コア/12スレッド)
搭載メモリ(空きスロット、最大)DDR4 SO-DIMM PC4-25600 8GB×2(なし、64GB)
ストレージ256GB(NVMe)
拡張ベイ2.5インチシャドウ
通信機能Wi-Fi 6、Bluetooth 5
主なインターフェイスUSB 3.0 Type-C、USB 3.0×4、USB 2.0×2、Gigabit Ethernet、HDMI、ミニD-Sub15ピン
本体サイズ(幅×奥行き×高さ、横起き時、突起物含む)194×153×28mm
重量約597g(スタンド装着時は約755g)
直販価格10万9,800円

 また、マウスコンピューターのPCらしく多彩なBTOメニューを用意している。搭載するAPUは変更できないが、基本スペックに関してはメモリやストレージの容量、追加で内蔵できる2.5インチHDD、Microsoft Officeの有無などを選択できる。

 マウスとキーボードはワイヤレスタイプが付属するが、さらに高機能で使いやすいモデルに変更したり、Web会議を快適に行なうためのヘッドセットやWebカメラなどもBTOメニューから追加できる。

充実したBTOメニューを用意しており、自分の好みに合わせたPCを購入できる

 背面のモニター出力端子は、HDMIと懐かしのミニD-Sub15ピンという構成。USB 3.0ポートは前面と背面に2基ずつで合計4基、これに加えてUSB 3.0 Type-Cも前面に装備している。Gigabit Ethernet対応の有線LANポートやWi-Fi 6対応の無線LAN機能も備えており、インターフェイスは必要十分と言ってよいだろう。

前面にはSDカードリーダ、USB 3.0 Type-Cポート、USB 3.0ポートが2基、USB 2.0ポートが1基を装備
背面にはミニD-Sub15ピン、HDMI、2基のUSB 3.0ポート、Gigabit Ethernet、電源ポートなどを装備

ノートPCの中堅モデルに近いベンチマークスコア

 mouse CT6-Lでは、「Zen 2」世代のCPUコアに「Radeon RX Vega」世代のGPUを組み合わせた6コア12スレッド対応のノートPC向けAPU「Ryzen 5 5500U」を搭載している。CPUコアやGPUコアの世代は、AMDの最新世代APUと比べれば若干古めで、コストパフォーマンス重視のノートPCに搭載されることが多い。

 比較対象としては、デル・テクノロジーズの「XPS 13 Plus」を取り上げた。Intelの最新ノートPC向けCPU「Core i5-1240P」をCPUとして搭載しており、位置付けとしては性能を重視したモバイルノートとなる。この2つで計測したいくつかのベンチマークテストの結果を比較したのが、下のグラフである。

 どちらもミドルレンジのAPU/CPUではあるが、Ryzen 5 5500Uを搭載するノートPCよりも、XPS 13 Plusのほうが、おおむね高価と言ってよい。mouse CT6-Lが、最新世代のCPUを搭載するXPS 13 Plusにどこまで食い下がれるかが興味深いところだ。

 よく利用されるアプリの使用感をScoreで計測できる「PCMark 10 Extended」の結果を見ると、総合Scoreは4200を超えた。そして意外なことに、総合Scoreを比較するとわずかではあるがmouse CT6-Lのほうが勝るという結果となった。

 細かい項目を見ると、Windowsなどの基本的な使用感に関するEssentialsと3D描画性能に関するGamingではXPS 13 Plus、コンテンツ作成に関するProductivityなどの項目ではmouse CT6-Lが勝るようだ。

 とは言え、わずかな違いしかない総合Scoreが示す通り、Windows 11や各種アプリの起動、応答性ではそれぞれのPCで違いを感じる場面はない。MicrosoftのOfficeシリーズを利用した書類作成、ZOOMやTeamsを利用したWeb会議といった作業は、どちらのPCでも非常に快適に行なえる。

 PCゲームに関する3Dグラフィックスの描画性能をScoreで示せる「3DMark」の結果は、Vega世代の内蔵GPUを搭載するAPUらしいScoreだ。精細な3Dグラフィックスを駆使した最新のPCゲームを快適にプレイするのは難しいが、オンラインゲームであれば設定を低くすれば遊べるものもある。

 たとえば「ファイナルファンタジーXIV : 暁月のフィナーレ ベンチマーク」では、グラフィックスの設定を「標準品質(ノートPC)」にすることで、おおむねカクつきのないスムーズな描画になった。

ファイナルファンタジーXIV : 暁月のフィナーレも、設定を低くすれば普通に遊べる

 XPS 13 Plusとの比較では、おおむねXPS 13 Plusのほうが優れているという結果になった。Intelではここ数年、ノートPC向けの内蔵GPUの性能を大幅に強化しており、そうした部分が反映された結果と言ってよいだろう。ただ数値的にはそれほど大きな違いはなく、PCゲームへの適応度も似たような感じになる。

 「TMPGEnc Video Mastering Works 7」は、動画ファイルのエンコード時間を計測するテストで、主にCPUコア部分の性能を計測できる。過去に検証したことがあるRyzen 5 5500U搭載のノートPCとほとんど同じ結果であり、冷却性能が足りないなどの問題はなさそうだ。

 XPS 13 Plusでの結果と比較すると、H.264/AVC形式へのエンコードではXPS 13 Plus、H.265/HEVC形式へのエンコードではmouse CT6-Lが早いが、その差はわずかだ。

 TMPGEnc Video Mastering Works 7は、コア数やスレッド数が影響しやすいテストだ。その意味で考えると、12コア16スレッド対応のCore i5-1240Pに、6コア12スレッド対応のRyzen 5 5500Uが勝る、あるいは迫るという結果は、なかなかおもしろいのではないか。

 「CrystalDiskMark」は、ストレージの性能を計測できるおなじみのベンチマークテストである。リード/ライト性能を見る限り、PCI Express 3.0 x4のミドルレンジM.2対応SSDと考えてよいだろう。

シーケンシャルリードは、PCI Express 3.0 x4の限界に近い数値だ

 そもそもRyzen 5 5500UはPCI Express 3.0までの対応なので、PCI Express 4.0 x4のM.2対応SSDを組み込んでも100%の性能は発揮できない。また使用感のところでも述べた通り、Windows 11やアプリの起動速度や応答性は十分高かった。

 なお今回のテストでは、XPS 13 Plusの動作モードを「Optimized」に設定している。これは性能と動作音、冷却性能のバランスを重視した設定で、筆者は普段からこのモードで利用している。

 このほかXPS 13 Plusには、CPUの性能を100%引き出せる「Ultra Performance」という設定もあり、この設定だと全体的に20%ほど性能が向上する。ただし動作音がかなり大きくなるため、日常的には使いにくい。その意味では、XPS 13 Plusの日常的な性能に匹敵すると考えても問題はないだろう。

内部へのアクセスも可能だがM.2対応SSDの換装は難しい

 フレームには隙間がなく、ピタッと封印されているような印象を受けるのだが、ゴム足の奥に小さなネジがある。これを精密ドライバで外すと側面のフレームがわずかに開くので、この隙間にカードなどを挿し込んでフレームを固定しているツメを慎重に外していくと、内部にアクセスできた。

 基板の表面には、メモリスロットと2.5インチシャドウベイがある。ノートPCなどでよく利用されているパーツなので、メモリや2.5インチSSD/HDDを増設するのは難しいことではない。

ゴム足の奥に小さなネジがあるのでこれを精密ドライバで外していく
基板の表面にはメモリスロットや2.5インチシャドウベイがある。シャドウベイはケーブル接続は必要ないタイプだ

 ただシステムドライブとして機能するM.2対応SSDは、基板の裏側に組み込まれていた。基板自体を筐体から外せれば交換も可能だが、こうした作業に慣れた筆者でも簡単には外せそうにない構造であり、ユーザーが自分で作業するのはオススメできない。

 マウスコンピューターのBTOメニューでは、比較的パーツショップでの売価に近い価格でSSDなどのアップグレードができることを考えると、M.2対応SSDについてはBTOメニューを利用して必要な容量を選択したほうがよさそうだ。

 このようにコンパクトながらも、最新世代のCPUを搭載するノートPCと比べて勝るとも劣らない性能を備えるmouse CT6-Lは、さまざまユーザーにお勧めできる優れたPCといってよいだろう。

 ただ省スペース性を重視するなら、ノートPCのほうがよいのではないか、という考え方はもちろんある。しかし大型の液晶モニターや自分の好きなキーボードやマウスを組み合わせ、作業性を優先したいユーザーにとっては、やはりデスクトップPCのほうが使いやすい。そうした欲張りなユーザーにとって、mouse CT6-LのようなミニPCは、非常に魅力的な選択肢になり得るハズだ。