Hothotレビュー

4万円切りでクアッドスピーカーやマルチタスクなど機能充実のAndroidタブレット「OPPO Pad Air」

OPPO Pad Air

 オウガ・ジャパン株式会社が9月30日に発売した「OPPO Pad Air」は、10.3型で2,000×1,200ドットのIPS液晶ディスプレイを搭載したAndroidタブレット。OPPOブランドとして国内初となるAndroidタブレットで、OPPOの直販サイト価格は3万7,800円。

 薄さ約6.9mm、重さ約440gという軽量薄型の本体に加えて、Dolby Atmos対応のクアッドスピーカーを搭載するなど高音質が特徴。Androidをベースとした独自のColorOSにより、アプリの2画面表示など独自の画面UIも実現している。

SoCはSnapdragon 680搭載。仮想メモリでメモリを最大7GBに拡張可能

 SoCはSnapdragon 680、メモリは4GB、ストレージは64GBを搭載。最大512GBのmicroSDカードにも対応するほか、ストレージの一部をメモリとして利用する仮想メモリ機能でメモリを最大7GBまで拡張できる。

本体上部に音量ボタンとmicroSDカードスロット
本体底部はインターフェイスなし

 通信面ではWi-Fi 5、Bluetooth 5.1をサポート。センサーは地磁気、光、加速度、ジャイロを搭載。GPSなど衛星測位システムは搭載していない。生体認証は顔認証をサポートし、指紋認証は非対応。

 カメラは約800万画素のアウトカメラ、約500万画素のインカメラを搭載。接続インターフェイスはQuickCharge 2.0およびUSB Power Delivery 2.0対応のUSB 2.0 Type-Cポートを搭載する。

背面に800万画素のカメラ
本体右側面にUSB 2.0 Type-Cポート
本体左側面に電源ボタン。側面にはそれぞれ2つ、合計4つのスピーカーを搭載

 バッテリ容量は7,100mAhで、連続動画視聴時間は最大約12時間を公称。18Wの急速充電にも対応する。なお、充電用のUSBケーブルやアダプタは付属しない。

 本体サイズは約245.1×154.8×6.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約440g。正面から見たデザインやサイズ感はiPad Air(第5世代)に近いが、アスペクト比が4:3のiPad Airに比べると本機は横長で、重量もiPad Airの461gに比べて20g近く軽い。手に持った時もずっしりした手応えはある一方で軽く取り回しやすい。

 背面はOPPO独自という背面加工技術「OPPO Glow」を採用しており、上部は砂丘をイメージした波打つテクスチャがあしらわれている。指紋や汚れが付きにくいという特徴通り、実際に手に持っても指紋の残りをほとんど気にしないで済むのはうれしい。

独自加工という背面加工「OPPO Glow」

独自UIのColor OSは画面分割やフローティングウィンドウなど複数アプリの同時利用が充実

 画面構成はAndroid 12をベースとした「ColorOS 12」の独自UI。標準ではインストールしたアプリがすべて画面に表示されるが、一部のアプリのみ表示してアプリ一覧は別画面に表示するドロワーモードへの切り替えも可能だ。1画面のアイコン表示数も標準では6×4だが、5×5、6×5に変更できる。

ホーム画面。右側の三角ボタンでメニューボタンの位置を左右入れ替えられる

 画面下部にはマルチタスク、ホーム、戻るの3ボタンが用意されており、反対側に表示される三角のボタンを押すことで表示位置を左右に移動できる。右利き、左利きどちらでも操作しやすく、手を持ち替えたときにボタンを移動しやすいのが便利だ。

 特徴的なのが大画面を利用して複数のアプリを同時に表示する機能だ。アプリ表示中に2本指で画面外の上から中ほどまでスワイプすると、画面に縦のラインが表示されるアニメーションとともに、表示していたアプリが左側に寄せて表示され、この状態でほかのアプリを起動すると2つのアプリを分割して表示できる。操作は言葉だと分かりにくいかもしれないが、2本指で画面を「割る」ようなイメージだ。

アプリ表示中に2本指で画面下方向にスワイプして画面分割を開始
表示中のアプリが左側に寄せられる
別のアプリを起動すると2画面表示に
中央のバーを移動して画面の表示面積を調整

 真ん中に表示されるバーの位置をスワイプして操作することで、表示面積の大きさを調整できる。また、バーを左右どちらかの端までスワイプで移動すると1画面表示に戻すことができる。

 また、アプリ表示中に画面外の下から上へ4本指でスワイプするか、4本指でタッチして指を集めるピンチ操作をすると、アプリを任意の大きさで表示して移動できるフローティングウィンドウに切り替えられる。フローティングウィンドウ表示時は画面の右下や左下をスワイプしてサイズ変更、左上で1画面表示、右上でアプリ終了が可能だ。

4本指スワイプやピンチ操作でフローティングウィンドウを開始
フローティングウィンドウ。画面の任意の位置に移動できるほか、左右下をスワイプしてサイズを変更できる

 フローティングウィンドウを画面端まで移動すると画面を最小化して好きなときに呼び出せる。また、ほかのアプリを表示している時にフローティングウィンドウを画面端まで移動すると画面分割に切り替えることもできるなど、多彩な操作方法が用意されている。

フロートウィンドウを画面端に移動すると最小化して好きなときに呼び出せる

 これらピンチやスワイプでの操作以外に、マルチタスクでアプリを一覧表示した際に右上に表示されるアイコンから画面分割やフローティングウィンドウを起動することも可能。画面分割、フローティングウィンドウともにゲームアプリなど一部アプリでは利用できないが、マルチタスクではどのアプリが対応しているかが一目瞭然。複数指での操作が難しいという人もマルチタスクから呼び出せることを覚えておくと便利だろう。

マルチタスクで表示したアプリは右上のアイコンから画面分割またはフローティングウィンドウの操作が可能

 画面操作周りでは、スクリーンショットや画面録画、ファイルマネージャなどの機能をすぐに呼び出せる「スマートサイドバー」機能を搭載。画面の右側に薄く表示されるバーを右側にフリック操作すると起動でき、スクリーンショットや画面録画はすぐに利用可能。それ以外のアプリはタッチでフローティングウィンドウ、スワイプで画面外に移動することで画面分割として表示できる。

画面端からスワイプ操作で呼び出せるスマートサイドバー

1台を4人で利用できるマルチユーザー機能は実用に課題あり

 プライバシー機能も充実しており、最大4人まで登録できるマルチユーザー機能を搭載。それぞれのユーザーにGoogleアカウントを設定することで、Wi-Fi接続設定などは共有しつつ、1つのタブレットを家族など複数のユーザーで利用できる。インストールしたアプリや設定なども個別に管理されるため、同じ1台を自分だけのタブレットのように使い分けることが可能だ。

マルチユーザーの設定画面
デバイスのオーナー以外に3アカウントまでユーザーを作成できる

 Googleキッズスペースにも対応しており、13歳未満向けのGoogleアカウントを取得することで子供専用のホーム画面を利用可能。利用できるアプリの種類やWebサイトアクセスへの利用制限をかけられるほか、1日の利用時間上限、夜間の利用をロックするおやすみ時間などが利用できる。いずれのアカウントも顔認証でのログインに対応するので、子供がパスワードを覚えることなく利用することも可能だ。

登録するユーザーの年齢を設定
13歳未満の場合はGoogleキッズスペースが設定できる
キッズスペースのホーム画面。許可されたアプリのほか、年齢に応じた推奨アプリが表示される
ブラウザで表示するWebサイトは保護者が管理できる

 ただし、メーカーへの確認も行なったが、現状の仕様では1度ユーザーを切り替えると、該当ユーザーでサインインしない限りユーザーを切り替えることができない点には注意が必要だ。

 たとえば自分の端末に家族のアカウントを追加し、家族が使った後に自分が使おうとすると、最初にその家族のアカウントでのサインインが求められる。従って、家族にサインインしてもらった状態で自分のアカウントに切り替えるか、家族とパスワードを共有しておくという対策が必要になる。

 なお、オーナーとして登録しているユーザーであれば、本体の電源ボタンと音量上ボタンを同時に押すと表示される「再起動」または「電源オフ」で再度電源を入れ直すことで、オーナーユーザーの認証画面を再度表示できる。また、電源長押しは初期設定で音声アシスタント機能が割り当てられているが、設定から電源メニューに切り替えることも可能だ。

電源ボタンと音量ボタンの同時押しで再起動または電源オフが可能
電源ボタンの長押しに割り当てる機能を変更できる

 筆者もマルチユーザーを試している際、テストで設定したサブアカウントのパスワードをうっかり忘れてしまうというミスによってこの仕様に遭遇。その後電源再投入の方法を発見して復帰するまでに時間を要してしまった。マルチユーザー機能を利用するユーザーには、自分以外のユーザーがパスワードを忘れてしまうという可能性を踏まえて、この電源再起動方法を覚えておくことを強くお勧めしたい。また、今後のアップデートでサインインする前にユーザーを変更できる機能も追加を求めたいところだ。

 プライバシー機能としてはプライベートフォルダ機能やアプリロック機能も搭載。プライベートフォルダ機能は画像や動画、音声ファイル、ドキュメントファイルなどを非表示にしておき、パスワードや顔認証で表示可能にするという機能だ。アプリロックも同様に該当のアプリを起動する際にロックをかけられる。上記のマルチユーザーを使用していればあまり必要のない機能かもしれないが、友達などに自分のタブレットを貸す場合に見せたくないファイルを隠しておく、という使い方には便利そうだ。

任意のファイルを非公開にできるプライベートフォルダ機能
任意のアプリをロックできるアプリロック機能

 セキュリティ面では顔認証機能を搭載。初期設定では顔認証の終了後にスワイプ操作が必要だが、設定から「ロック解除後にホーム画面に移動」をオンにすれば顔認証が終了してすぐに利用できるようになる。

顔認証機能。登録できるデータは1ユーザー1つのみ

 顔認証の精度は非常に高く認証スピードも高速だが、登録できる顔データは1ユーザー1つのみのため、眼鏡やマスクのあり/なしなど複数登録ができない。眼鏡もマスクも利用する筆者としては、顔データも複数登録できるとうれしいと感じた。

クアッドスピーカーで臨場感あるサウンドを堪能。目の疲れを低減するアイコンフォートモードも

 OPPO Pad Airが特徴とするクアッドスピーカーはDolby Atmosに対応。迫力ある低音や臨場感あるサウンドを体感できるとしている。

 実際に本体のみで映画や音楽のライブ映像などを視聴してみたが、クアッドスピーカーの臨場感は非常に高い。足音やグラスに水を注ぐといった細かな音もしっかり再現されており、映像の世界にのめり込める。2,000×1,200ドットのIPS液晶ディスプレイは画質も高く、画面サイズさえ気にならなければ映画館のような没入感で作品を楽しめた。

 本機にはスタンドケースなどは付属しないが、コンテンツを楽しみたいのであればスタンド機能の付いたケースを併用すると便利だ。カバーを開くだけでスリープを解除できる純正のスマートカバーが2,680円で販売されている。

 画面を見る時に目を疲れにくくする「アイコンフォートモード」も搭載。いわゆるブルーライトカットモードで、画面のブルーライトを低減して黄色みがかった色にすることで目の疲れを低減させる機能だが、画面の色温度を変更することで黄色みをより高められるだけでなく、画面を白黒表示に設定することも可能。電子書籍など文字中心のコンテンツに最適だという。

アイコンフォートモード。黄色みがかった色味で表示される
アイコンフォートモードの色温度を暖色の最大値に設定
アイコンフォートモードのモノクロ機能

 カメラはHDRに対応するほか、デジタルズームの2倍切り替え、フィルター機能、美白機能など多彩な機能を搭載。写真に任意のテキストや位置、日付などを入れられる透かし機能、インカメラで手のひらを見せると撮影のタイマーが開始する機能などユニークな機能も備えているほか、動画フォーマットとしてHEVCもサポート。カメラのシャッター音がオフにできるのも日本向け端末としてはめずらしい機能だ。

カメラの画面インターフェイス
画像の透かし機能
シャッター音オフや手のひらを見せて自撮り、HEVC対応など多彩な機能をサポート

 画素数はアウトカメラが800万画素、インカメラが500万画素と最新のスマートフォンには及ばないものの、画質も日常生活の写真撮影程度であれば十分。タッチしてから撮影するまでのレスポンスもよいため、気軽に写真撮影が楽しめる。

作例

仮想メモリは複数アプリの同時起動に便利。バッテリはスペック以上の長時間駆動

 ベンチマークはAnTuTu Benchmark v9.4.7、GeekBench、3DMarkで測定。搭載するSoCがSnapdragon 680とミドルレンジのため測定結果も相応の数値となった。

【表】ベンチマーク結果
AnTuTu Benchmark v9.4.7249017
GeekBench(Single-core)377
GeekBench(Multi-Core)1521
3DMark(Wild Life Extreme)114
3DMark(Wild Life)441
AnTuTu Benchmark v9.4.7の測定結果
GeekBenchの測定結果
3DMarkのWild Life Extreme測定結果
3DMarkのWild Life測定結果

 実際の使用感も、Web閲覧や動画視聴程度であれば快適に動作するが、オンライン対戦が可能なゲームなど処理が重めのアプリでは動作がややもたつく感じがある。スペックから見てもハイエンドのゲームをプレイするためのタブレットではないので、実用上は十分だろう。

 また、本機にはストレージの一部を仮想メモリとして利用することで、メモリを最大7GBまで拡張する機能を備えている。画面分割やフローティングウィンドウなど、複数アプリを同時に利用する機能が充実した本機だけに、メモリを拡張して多数のアプリを起動できるのはうれしい機能だ。

仮想メモリ機能

 バッテリは最大約12時間の連続動画視聴時間を公称するが、画面輝度を50%にしてWi-Fiに接続、YouTubeの動画をフルスクリーンで再生し続けたところ12時間経過してもバッテリが30%以上残っており、約19時間でバッテリが空になった。公称値の測定環境はよりシビアだったのかもしれないが、バッテリ時間の長さはスペック値以上に期待してよさそうだ。

 文字入力はGboardをプリインストール。フローティングウィンドウのように画面の好きな位置に表示でき、右利き、左利きどちらでも打ちやすい位置にキーボードを移動できる。キーボード上部のアイコンからレイアウトを変更して横幅いっぱいにキーボードを表示することも可能だ。

文字入力はGboardがプリインストール
10キーは任意の位置に表示できる
画面幅いっぱいのキーボード表示も可能

4万円を切る価格ながら充実の機能。マルチユーザー機能の改善に期待

 OPPOブランドとして国内初のAndroidタブレットとなる本機だが、ミドルレンジのスペックで4万円を切る価格設定に加えて、画面分割やフローティングウィンドウなど独自機能が便利。アプリの同時表示はAndroid標準のマルチウィンドウでも実現できないことはないが、機能の呼び出しやすさや操作性の高さは本機に軍配が上がる。

 クアッドスピーカーの音質も非常に高く、2,000×1,200ドットのディスプレイと組み合わせて映像コンテンツはもちろん、音楽や読書を楽しむのも便利。バッテリも長時間駆動なので、外出中にバッテリ切れで困ることはなさそうだ。

 マルチユーザーは家族や同居人のいる人には魅力的な機能である一方、前述の仕様が気になるところだ。最後に使った人のユーザーでサインインしないとユーザーが切り替えられないため、パスワードを共有していない相手が使った後では自分のユーザーに切り替えられない。本機にメイン登録しているオーナーなら前述の通り電源再起動という手があるが、これがサブ登録しているユーザーだとお手上げ状態になる。

 Androidのマルチユーザー機能は、他のユーザーがサインインしていても別のユーザーがサインインすることが可能だったためこうした問題は起きなかった。本機のマルチユーザーは複数ユーザーの仕様という点では実用上の課題を感じるため、アップデートでの改善をお願いしたいところだ。

 マルチユーザーについては改善の余地がある一方、それ以外の機能やスペックは非常に充実しており、4万円以下の価格という点も相まって非常に魅力的な端末だ。ミドルレンジ以上のAndroidは選択肢が少なかった中、価格と機能のバランスもあわせて人気の端末になりそうだ。