Hothotレビュー
ただのデカいEcho Showじゃない。「Echo Show 15」は最高の○○マシンになるッ!
2022年6月29日 06:17
2022年4月に登場したAmazonの大型スマートディスプレイ「Echo Show 15」(2万9,980円)。すでに発売から3カ月近く経過しているうえに、早々にメディア各所で使用レポートが上がっていたので、何を今さらレビューするんだ、と思われるかもしれない。
が、もしかしたらみなさんはこのデバイスを誤解しているのではないか。“ただデカくなったEcho Showじゃないの”と。そう感じて筆を執った次第。確かに従来のEcho Showをデカくしたものだが、それよりも筆者として主張したいのは、これは大型据え置きタブレットにもなる、ということだ。そして、在宅勤務する人にとって最高の相棒になること間違いなしなのである。
壁掛けやスタンド固定で使用。ウィジェットの使いこなしがキモ、だが……
改めてEcho Show 15の特徴を軽くまとめてみよう。ディスプレイサイズは15.6インチ、フルHD(1,920×1,080ドット)解像度で、Echo Showシリーズの中では最大、最高の解像度。そのぶん縦横サイズも402mm×252mmと大きく、厚みは35mm、重量は約2.2kgある。特に厚みと重量はモバイルモニターやタブレットのようなイメージでいるとインパクト大なので、一般的な液晶モニターみたいなものだと思っておきたい。
設置の仕方は主に壁掛けとなる。付属のブラケットとネジを壁に取り付け、そこにEcho Show 15を引っ掛ける形だ。当然ながら壁への穴開けが必要になるので、賃貸住宅では設置が難しいだろう。その場合は、別売オプションの「壁美人 WSKB-ES15」(3,480円)を使って壁の穴を目立たせずに取り付ける方法をとるか、同じく別売の「Echo Show 15用スタンド」(3,980円)を使う、という選択肢もある。
専用ACアダプタを使い、背面側からケーブルを引き回してコンセントに接続すれば電源オンに。セットアップは画面の指示に従ってWi-FiやAmazonアカウントなどの設定を行なうだけで、迷うことなくすぐに使い始められる。物理的な操作系統は音量調整とマイクオフのボタン、内蔵カメラの物理プライバシーシャッターというシンプルなものだ。
Echo Show 15は、ホーム画面に表示されるウィジェットを活用することが基本的な使いこなし方になる。たとえば「やることリスト」や「買い物リスト」、「付せん」では、任意のテキストを登録して表示しておくことができ、Google、Microsoft、Appleの各アカウントと連携したカレンダーや、自宅周辺の天気予報、スマートホーム機器を操作するショートカットボタンなんかも配置しておける。
もちろん時刻表示もできるし、ウィジェットのエリアを非表示にして全画面に写真を表示することでフォトフレームとしても使える。あらかじめ用意されている四季、自然、アートといったテーマに沿った美しい写真や、Amazon Photosにアップロードした自分の写真をスライド表示可能で、写真の合間に話題のニュースなどが見られる設定にもできる。
スマートディスプレイなので、これまでのEcho Showと同様、Alexaに呼びかけて調べ物をしたり、Amazon Music Unlimitedなどの音楽を流したり、YouTubeやNetflixの動画を再生したり、あるいはスマートフォンのAlexaアプリから設定したスキルに応じて、さまざまな機能を利用したりするのもOKだ。大画面なので画面タッチでの操作もしやすい。日常の生活の中で知りたいこと、楽しみたいことをこの1画面の中で完結でき、スマートホーム機器のコントロールもまとめて行なえる、家庭内のまさにハブとして機能させられるわけだ。
家族の導線になるところに置くことが本当にベストなのか
ここまでの説明だと、やっぱり今までのEcho Showをデカくしただけじゃないか、と思うかもしれない。そうなのだ。筆者も最初は、キッチンやダイニングに置いて、今まで使っていた小さなスマートディスプレイの代わりにしようかとも考えた。
朝起きたらニュースを聞いたり、radikoでラジオを流したり、時には動画を見てもいい。大画面なのでさぞ迫力も満点だろう。近くに立った人の顔を前面のカメラで判別し、家族1人1人異なる内容の情報を表示する「ビジュアルID」機能もあって、今まで以上に家庭内で活躍することが考えられる。付せんや買い物リストの機能を使い、スマートに家族に伝言を伝えるのもいいだろう。
が、いかんせんデカいのがネックで、置き場所が限られる。筆者の場合は持ち家なので壁に穴を開けて固定するくらいわけないが、それでも、家族みんなが有効活用できそうな導線に設置する、となると難しい。考えられるのはキッチンかダイニングだが、そこに置いたところで使い方はせいぜい今までと同様ラジオを聞くか、天気・ニュースを聞くかだろう。家族ごとの情報を活用? そんなの自分以外が使うイメージがまったく湧かないぞ、と。
つまり、それであれば大画面にする必要はないし、家族みんなが使えるようにする意味もない。そもそも「動画が見たい! 」と思ったときにわざわざキッチンに行って見るなんてまずありえないだろう。それなら普通のタブレットやリビングのTV、PCなど、ほかのデバイスを使って好きな場所で見た方がずっといいのだ。
というわけで、この時点で筆者は「家庭、家族のためのスマートディスプレイ」という使い方を諦めた。そして、Echo Show 15がもつ次の機能に注目したのだ。
- VESA穴がある
- 普通に使えるWebブラウザ
- 使いやすいソフトキーボード
これらを考慮に入れると、仕事部屋のデスクに置いた方がよくね? なんて思ってしまったのだ。
だからVESA穴を使ってモニターアームに固定した
Echo Show 15の裏側には100mmのVESA準拠のねじ穴がある。つまり、一般的なモニタースタンドやモニターアームへの取り付けにも対応するということだ。別売のEcho Show 15用スタンドもこのVESA穴を使って固定するようになっている。壁掛けTV用のアームなども使いやすいように、という配慮かもしれない。しかし筆者はこれをある意味普通に、仕事用デスクのPC用モニターアームに取り付けることにした。
正面にパソコンの画面、少し右に向くとEcho Show 15がいる。言ってみれば疑似マルチモニターだ(Echo Show 15には映像入力がないので、あくまでも疑似)。仕事中は常に手が届き、視界にも入る位置にある。画面内に表示するウィジェットはカレンダー、天気、スマートホーム機器のボタン、付せんという構成にした。音声操作してもいいが、手を伸ばせばすぐ届くので、音声コマンドの言い回しを考えるより先に操作できてしまう。むしろWeb会議中は不意にAlexaが応答してしまわないよう、マイクを無効にしておく方がいい。
こんな感じに設置することで何がいいかというと、まず、カレンダーはGoogleアカウントを紐づけたので、登録している今日明日以降の仕事の予定がぱっと見で分かる。朝、PCを立ち上げる前にサクッと予定を確認できたりするわけだ。出かける予定がある日は天気ウィジェットでチェック。ひと目で時間帯ごとの天気まで分かり、週間天気など詳しい情報もタップですぐ調べられる。付せんのメモは、ウィジェットをタップして内容を音声入力するという最小限の手間で作成できる。
スマートホーム機器のコントロールもウィジェット内のボタンをタップするだけ。スマート電球のオン/オフができ、Alexa対応のカメラであればそのライブ映像が流れる。このカメラ映像は全画面で表示する以外に、小ウィンドウによるフローティング表示も可能になっているので、自宅の中や外の様子を常に把握するのにも使える。
RingシリーズのWebカメラやドアベルだと、それらに内蔵したマイクで音を拾えるうえ、スピーカー機能でこちらからの声をリモートに届かせることもできるから、離れた部屋にいる家族とのちょっとしたやりとりも素早くこなせる。もともとEchoシリーズでは、ほかのEchoデバイスとの通話が可能な機能も備えているが、Ringシリーズならそれよりずっと少ない手数で通話を始められるのが利点だ。
WebブラウザでSNSもフツーに使え、文字入力も楽
加えて、きわめて普通に使えるWebブラウザが用意されているのもEcho Show 15のポイント。これまでのEcho ShowにもWebブラウザが搭載されていたが、たとえばEcho Show 5だと画面サイズが小さすぎるうえに処理能力も不足しており、実用的ではなかった。Echo Show 10は未体験だが、完全に横置きかつ据え置き型であることを考えれば、操作性や視認性の面で十分とは言えないはず。
一方、大画面のEcho Show 15は、Webブラウザで表示可能なコンテンツの情報量がはるかに多くなる。モニターアームに取り付けていれば(Echo Show 15用スタンドもそうだが)縦置きにもしやすい。もともとEcho Show 15は縦置きでの使用も考慮されているので、縦置きにすればWebコンテンツもきちんと縦長で表示される。スクロールさせて閲覧するコンテンツにはやはり縦置きがぴったりだ。
でもって、普通に使えるWebブラウザなので、TwitterやFacebookのようなSNSにもきちんとログインして大画面で閲覧していける。こういったタイムライン表示も縦置き画面が都合がいいだろう。スクロールなどのレスポンスもまずまず。一部の操作でややもたつくことはあるが、PCで仕事している脇でタイムラインを追っていくのには十分実用的だし、それこそAmazonでお買い物も問題なくできてしまう。
このあたりはただ大画面になっただけでなく、ソフトキーボードが大きくなり、入力しやすくなったことも、Webブラウザの使い勝手向上を後押ししている。URLや検索ワードを確実に手入力できるので、Webブラウジングにストレスがないのだ。
これまでの小さなEcho Showだとキーボード操作が面倒で、どちらかというと音声入力でなんとかしたくなっていた。が、検索ワードはともかくURLなんか音声入力ではやっていられないので、結果的にWebブラウザを活用できていなかったのではないか。ところが、画面が15.6型になり、文字タイプしやすくなって、処理能力もそこそこアップしたことで、Echo Show 15はネット閲覧マシンとしても活躍できるだけのポテンシャルを備えた。
さらにWebブラウジングを快適にしたいなら、Bluetoothマウス/キーボードを接続する手もある。筆者が確認したところでは、物理キーボードをつないでも入力エリアにフォーカスするたびにソフトキーボードが表示されてしまうので、さほど操作性アップには寄与しなかった。が、マウスは画面に手を伸ばさずに済むうえ、ホイールによるスクロールも可能。PC的な操作性になってますます使いやすくなるのでおすすめだ。
Prime VideoやNetflixのアプリがインストールされており、フルHDの画質で動画コンテンツをガッツリ見られるのもありがたい(YouTubeはWebブラウザ経由で閲覧するスタイルになる)。再生したいコンテンツを選ぶときも、大画面ならではの情報量(サムネイル)の多さ。合間の休憩時間や仕事終わりに、横にあるEcho Show 15をパパッと指先で操作するだけで好きな動画を高画質で見られるのはいい感じだ。
ステレオスピーカーを内蔵しているが、壁掛けするのが前提のためか、モニターアームで吊した場合だと広がりはあるもののぼんやり気味の音質になりがち。なので、気になるなら高音質なBluetoothスピーカーと連携するのもアリだろう(わずかな音の遅延が発生してしまう場合はあるけれども)。
手を伸ばせばいつでも使える据え置き型タブレット的活用のススメ
そんなわけで、常に手の届くポジションにある疑似マルチモニター、あるいは据え置き型タブレット的な使い方が意外にしっくりくるのがEcho Show 15なのである。身近に置いてあると最高に使い勝手がいい情報収集端末になるし、仕事中に使える最高の内職マシンにもなり得る。
「ビジュアルID」のような家族で活用を広げられる新しい機能もあるが、だからといって無理に使う必要もない。家族との共有スペースに余裕がなければEcho Show 5や10でも十分事足りるものだ。自宅のハブとして使うなら、むしろ仕事デスクの上など手に届きやすい場所にあった方が何かと便利ではないか。
ニュースや天気、予定やメモを即確認でき、スマートホーム機器の操作や監視カメラの確認に役立つうえ、SNSのタイムラインを閲覧するのにも向いている。そしてフルHDの高画質動画も大画面で視聴OK、となると、なかなか通常のタブレットではカバーしきれない領域ではないかな、と思う。デスク上にEcho Show 15、ぜひとも一度お試しいただきたい。