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Mac Studio実機レビュー。Ryzen 9 5950X & RTX 3090搭載機ともベンチマークで対決させてみた

Apple「Mac Studio」24万9,800円から

 Appleは、新デスクトップ「Mac Studio」を3月18日に発売した。Mac Studioは、Mac mini 2.6台分の小型ボディに、自社開発のSoC「M1 Max」または、それを2つ合体させた「M1 Ultra」を搭載。ミニPCに近いサイズ感の筐体に、ハイパフォーマンスを詰め込んでいる。

 本製品はすでに販売が開始されているが、ようやく64コアGPU版M1 Ultra/128GBメモリ/2TBストレージと、ストレージ以外は最上位構成の貸出機を借用できた。記事掲載が遅くなった分、Ryzen 9 5950X & GeForce RTX 3090搭載機とのベンチマーク比較なども含めてレビューをお届けしよう。

M1 MaxまたはM1 Ultra搭載機を用意。最上位構成は94万円

 Mac Studioには、SoCとして以下4種類がラインナップされている。M1 UltraはM1 Max2つを「UltraFusionアーキテクチャ」により合体させたSoCで、最上位には1,140億個のトランジスタが搭載される。

  • M1 Max(10コアCPU、24コアGPU、16コアNeural Engine)
  • M1 Max(10コアCPU、32コアGPU、16コアNeural Engine)
  • M1 Ultra(20コアCPU、48コアGPU、32コアNeural Engine)
  • M1 Ultra(20コアCPU、64コアGPU、32コアNeural Engine)

 分かりやすくまとめると、M1 Maxに24コアGPU版と32コアGPU版が存在し、それぞれを合体させたM1 Ultraが存在するわけだ。当然合体させると10コアCPU(高性能コア×8、高効率コア×2)、16コアNeural Engineも、M1 Ultraでは20コアCPU、32コアNeural Engineと倍になっている。

M1 UltraはM1 Max 2つを「UltraFusionアーキテクチャ」により合体させたSoC

 メモリは32GB/64GB/128GBユニファイドメモリ(LPDDR5)、ストレージは512GB/1TB/2TB/4TB/8TB SSDという構成を用意。iFixitのYouTube動画によれば、ストレージ用のスロットが2基用意されており、物理的には増設、交換が可能な仕様になっている。ただし、ソフトウェア的にブロックがかけられており、現時点ではユーザーが自分で交換できないとのこと。

 ストレージ512GBモデルでは将来的に容量が足らなくなることは目に見えている。アップグレードキット、サービスをAppleが提供することに期待したい。

 SoC、メモリ、ストレージ以外のスペックは共通。インターフェイスは背面にThunderbolt 4(DisplayPort、Thunderbolt 4:最大40Gb/s、USB4:最大40Gb/s、USB 3.1:最大10Gb/s)×4、USB 3.0(最大5Gb/s)×2、HDMI 2.0、10Gigabit Ethernet、3.5mmヘッドフォンジャックを装備。

 前面には、M1 Max搭載モデルがUSB 3.1 Type-C(最大10Gb/s)×2、SDXCメモリーカードスロット(UHS-II)、M1 Ultra搭載モデルがThunderbolt 4×2、SDXCメモリーカードスロット(UHS-II)を用意。ワイヤレス通信はWi-Fi 6、Bluetooth 5.0をサポートしている。

 本体サイズは197×197×95mm(幅×奥行き×高さ)、重量はM1 Max搭載モデルが約2.7kg、M1 Ultra搭載モデルが約3.6kgとなっている。SoCの違いによって重量が約0.9kgも異なるのは驚きだ。

 ちなみに、20コアCPU/64コアGPU/32コアNeural Engine搭載M1 Ultra、128GBメモリ、8TBストレージと全部盛りしたときの価格は93万9,800円となる。次期Mac Proが開発中であることをAppleは明言しているが、そちらがいったいいくらになるのか野次馬的に楽しみである。

20コアCPU/64コアGPU/32コアNeural Engine搭載M1 Ultra、128GBメモリ、8TBストレージと全部盛りしたモデルの価格は93万9,800円
【表】Mac Studioのスペック
Mac Studio(2022)
OSmacOS Monterey バージョン12.3.1
CPUM1 Max(10コアCPU、24コアGPU、16コアNeural Engine)
M1 Max(10コアCPU、32コアGPU、16コアNeural Engine)
M1 Ultra(20コアCPU、48コアGPU、32コアNeural Engine)
M1 Ultra(20コアCPU、64コアGPU、32コアNeural Engine)
※10コアCPUは高性能コア×8、高効率コア×2、20コアCPUは高性能コア×16、高効率コア×4
※メモリ帯域幅はM1 Maxが400GB/s、M1 Ultraが800GB/s
メモリ32GB/64GB/128GBユニファイドメモリ(LPDDR5)、128GBはM1 Ultraのみ
ストレージ512GB/1TB/2TB/4TB/8TB SSD
通信Wi-Fi 6、Bluetooth 5.0
前面インターフェイスM1 Max:USB 3.1 Type-C(最大10Gb/s)×2、SDXCメモリーカードスロット(UHS-II)
M1 Ultra:Thunderbolt 4(最大40Gb/s)×2、SDXCメモリーカードスロット(UHS-II)
※最大5台の外部モニター(USB Type-C経由で最大4台の外部モニター[最大6K解像度、60Hz、10億色以上]、HDMI経由で1台の外部モニター[最大4K解像度、60Hz、10億色以上])
背面インターフェイスThunderbolt 4(DisplayPort、Thunderbolt4:最大40Gb/s、USB4:最大40Gb/s、USB 3.1:最大10Gb/s)×4、USB 3.0(最大5Gb/s)×2、HDMI 2.0、10Gigabit Ethernet、3.5mmヘッドフォンジャック
本体サイズ197×197×95mm(幅×奥行き×高さ)
重量M1 Max:約2.7kg
M1 Ultra:約3.6kg
内蔵アプリApp Store、ブック、カレンダー、連絡先、FaceTime、探す、GarageBand、ホーム、iMovie、Keynote、メール、マップ、メッセージ、ミュージック、メモ、Numbers、Pages、Photo Booth、写真、Podcast、プレビュー、QuickTime Player、リマインダー、Safari、ショートカット、Siri、株価、Time Machine、TV、ボイスメモ
同梱品Mac Studio、電源ケーブル
カラーシルバー

ボディサイズはMac miniの2.6台分、前面端子は使い勝手良好

 前述の通り、Mac Studioのサイズ/重量は197×197×95mm(同)/2.7kgまたは3.6kg。Mac miniが197×197×36mm(同)/1.2kgなので、フットプリントはまったく同じで高さのみが約2.64倍に増えていることになる。

 Mac miniには前面に端子が用意されていなかったが、Mac StudioはUSB 3.1 Type-C×2またはThunderbolt 4×2と、SDXCメモリーカードスロット(UHS-II)が装備されている。前面に物理インターフェイスを配置しているのは、デザインだけでなく使い勝手も重視したAppleの方針転換によるもの。デジカメなどとデータをやり取りしやすくなった点は大歓迎だ。

本体天面
本体底面。円形のゴム足の周囲にあるのは吸気口。背面側にはセキュリティロックスロットが設けられている
前面には、M1 Max搭載モデルはUSB-C(最大10Gb/s)×2、SDXCメモリーカードスロット(UHS-II)、M1 Ultra搭載モデルはThunderbolt 4(最大40Gb/s)×2、SDXCメモリーカードスロット(UHS-II)を用意
背面にはThunderbolt 4(DisplayPort、Thunderbolt4:最大40Gb/s、USB 4:最大40Gb/s、USB 3.1 Gen2:最大10Gb/s)×4、有線LAN(10Gb)、電源端子、USB-A(最大5Gb/s)×2、HDMI 2.0、3.5mmヘッドフォンジャック、電源ボタンが配置
右側面
左側面
パッケージには本体、電源ケーブル、説明書類、ロゴシールが同梱
電源ケーブルの長さは実測190cm
クイックスタートガイドには最低限の情報のみが記載されている
M1 Ultra搭載モデルの実測重量は3410g
「Touch ID搭載Magic Keyboard(テンキー付き)」(2万800円)、「Magic Mouse」(1万800円)、「Magic Trackpad」(1万5,800円)は別売り

Mac StudioにStudio Displayは必須なのか?

 Mac Studioと同時に27型5Kモニター「Studio Display」が発表および発売されている。Studio Displayの解像度は5,120×2,880ドット、画素密度は218ppi、輝度は600cd/平方m、発色数は10億色対応、色域はP3。また環境光に応じて輝度や明るさを調整する「Ture Toneテクノロジー」に対応する。

 また人を中心に捉え続ける「センターフレーム」に対応した1,200万画素超広角カメラ(F2.4)、空間オーディオに対応した6スピーカーシステム、スタジオ品質を謳うアレイマイクを搭載している点もアピールポイントだ。

Apple「Studio Display」(標準ガラス版:19万9,800円、Nano-textureガラス版:24万2,800円)
Studio Displayの背面
傾きは–5度〜25度の間で調整できる
実測したDCI-P3カバー率は98.1%、DCI-3比は98.3%
モニター上部にセンターフレームに対応した1,200万画素超広角カメラ(F2.4)を内蔵
室内灯下でも明るく、自然な発色で撮影できる。ノイズはやや多め

 Mac StudioとセットでStudio Displayを買うかどうかは、正直ちょっと悩ましく感じた。一緒に並べたさいのマッチング感は同時開発しただけのことはある。しかし標準ガラス版で19万9,800円、コントラストを保ちつつ映り込みを抑えるNano-textureガラス版で24万2,800円と高価だ。

 また、背面に4つの端子が用意されているが、映像入力に使えるのは「ホスト用アップストリームThunderbolt 3(USB-C)ポート」の1基のみ。「周辺機器、ストレージ、ネットワーク接続用ダウンストリームUSB-Cポート」の3基は映像入力には使えない。

 Studio Displayは、macOS Monterey 12.3以降を搭載したMacの一部、iPadOS 15.4以降を搭載した一部のiPad、そして非公式だがWindows PCでも一応利用できるのに、切り替えにはケーブルの抜き差しが必要となる。また、Studio DisplayにはOSDメニューや、ボタンなどが存在しないので、Windows PCに接続した場合には明るさや発色などを調整できない点には留意が必要だ。

一番右が「ホスト用アップストリームThunderbolt 3(USB-C)ポート」、ほかの3基が「周辺機器、ストレージ、ネットワーク接続用ダウンストリームUSB-Cポート」
iPadは、「12.9インチiPad Pro」(第3世代以降)、「11インチiPad Pro」、「iPad Air」(第5世代)が正式に対応
Thunderbolt 4端子を備える「ROG Zephyrus M16 GU603ZW」はStudio Displayに映像出力できた。ただし、Studio Displayの明るさは調整できない
Studio Displayの1,200万画素超広角カメラ(F2.4)もROG Zephyrus M16から利用できる
Androidスマートフォン「Galaxy Z Fold3」も接続するだけでミラーリング表示が可能だ

 Studio Displayのビジュアル、オーディオは確かに高品質。Mac Studioに接続しっぱなしにするのなら、価格が許せばベストのモニターだ。しかしMacだけでなく、iPadやほかのデバイスでも共用したいのなら、手頃な価格のサードパーティ製モニターを購入したほうが使い勝手はよいと筆者は考える。

Mac StudioをRyzen 5950X & RTX 3090搭載機とベンチマークで比較

 最後に性能をチェックしてみよう。今回は下記のベンチマークを実施している。このうち、「Cinebench R20」と「Cinebench R15」はIntel Mac用アプリ、ほかのアプリはApple Siliconに対応したUniversalアプリだ。

  • CPUベンチマーク「Cinebench R23.200」
  • CPUベンチマーク「Cinebench R20.060」(Intel Mac用)
  • CPUベンチマーク「Cinebench R15.0」(Intel Mac用)
  • CPU/GPUベンチマーク「Geekbench 5.4.2」(Windows版はバージョン5.4.4)
  • ストレージベンチマーク「Blackmagic Disk Speed Test」
  • ストレージベンチマーク「AmorphousDiskMark 3.1」
  • メモリベンチマーク「AmorphousMemoryMark 2.0」
  • 「Adobe Lightroom Classic」で100枚のRAW画像を現像
  • 「Adobe Premiere Pro」で実時間5分の4K動画を書き出し

 なお比較対象機種としては、Apple M1搭載「13インチMacBook Pro」、M1 Max搭載「16インチMacBook Pro」に加えて、Ryzen 9 5950X(16コア32スレッド、3.4~4.9GHz)とGeForce RTX 3090を搭載する自作Windows PCを用意した。下記が検証機の仕様とその結果だ。

検証機の仕様
Mac Studio16インチMacBook Pro13インチMacBook Pro自作PC
SoCM1 UltraM1 MaxApple M1-
CPU高性能コア×16、高効率コア×4高性能コア×8、高効率コア×2高性能コア×4、高効率コア×4Ryzen 9 5950X(16コア32スレッド、3.4~4.9GHz)
GPU64コア32コア8コアGeForce RTX 3090
Neural Engine32コア16コア16コア-
メモリ128GB(LPDDR5)64GB16GB64GB(DDR4-3200)
ストレージ2TB2TB1TB1TB(PCIe Gen4接続SSD)
TDP---105W
OSmacOS Monterey(12.3.1)macOS Monterey(12.0.1)macOS Monterey(12.0.1)Windows 11 Pro

 まずCPU性能だが、Cinebench R23、R20、R15のマルチコア性能において、Mac Studioは16インチMacBook Proの約1.95~1.96倍のスコアを記録している。M1 Max2つを合体させたM1 Ultraがスペック通りの性能を見せたと言える。

 一方、Ryzen 9 5950Xとの比較では、Intel Mac用のR20では約64%、R15では約77%のスコアに留まっているが、R23では約95%と引けを取らないCPU性能を発揮している。

 3Dグラフィックス性能については、Geekbench 5.4.2のCompute(OpenCL)において、Mac Studioは16インチMacBook Proの約1.36倍のスコアを記録している。一方、GeForce RTX 3090との比較では約40%のスコアに留まった。とは言えディスクリートGPUに対して、よくぞここまで迫っていると評価すべき結果だ。

CPUおよびGPUベンチマークの結果
Mac Studio16インチMacBook Pro13インチMacBook Pro自作PC
Cinebench R23.200
CPU(Multi Core)24,17912,3887,81125,319
CPU(Single Core)1,5341,5321,5071,630
Cinebench R20.060
CPU6,3263,2172,0019,810
CPU(Single Core)397392328636
Cinebench R15.0
OpenGL93.892.885228.31
CPU3,2901,6721,0484,274
CPU(Single Core)210210205272
Geekbench 5.4.2(Windows版はバージョン5.4.4)
Single-Core Score(Intel)1,3591,3551,3301,687
Multi-Core Score(Intel)18,5299,9016,02813,542
Single-Core Score(Apple Silicon)1,7821,7821,752-
Multi-Core Score(Apple Silicon)24,03012,6587,728-
Compute(Metal)101,06969,39521,794-
Compute(OpenCL)86,59363,78319,829215,203
Compute(CUDA)---243,069
Compute(Vulkan)---127,585

 ストレージ速度については、Mac Studioと16インチMacBook Proで誤差以上の差は見受けられない。ストレージのリード、ライト性能は同等だ。

ストレージおよびメモリのベンチマーク結果
Mac Studio16インチMacBook Pro13インチMacBook Pro自作PC
Blackmagic Disk Speed Test(単位:MB/s)
WRITE 1回目6,274.26,477.22,867.6-
WRITE 2回目6,334.46,396.22,948.9-
WRITE 3回目6,329.26,352.92,924.4-
WRITE 4回目6,293.66,446.92,781.2-
WRITE 5回目6,324.66,301.62,919.8-
WRITE 平均6,311.26,394.962,888.38-
READ 1回目5,453.45,409.92,850.9-
READ 2回目5,430.65,4032,822-
READ 3回目5,457.15,059.42,835.1-
READ 4回目5,479.45,341.52,831-
READ 5回目5,442.24,952.42,823.3-
READ 平均5,452.545,233.242,832.46-
AmorphousDiskMark 3.1(単位:MB/s)
SEQ1M QD8シーケンシャルリード6,868.56,872.933,308.33-
SEQ1M QD8シーケンシャルライト7,364.946,750.892,872.17-
SEQ1M QD1シーケンシャルリード2,897.582,935.51,815.65-
SEQ1M QD1シーケンシャルライト5,254.875,858.973,276.07-
RND4K QD64ランダムリード193.3682.421,068.95-
RND4K QD64ランダムライト195.81205.12152.1-
RND4K QD1ランダムリード47.8650.3251.67-
RND4K QD1ランダムライト32.4433.7428.8-
AmorphousMemoryMark 2.0(単位:GB/s)
SEQ128K T8シーケンシャルリード116.74111.9156.25-
SEQ128K T8シーケンシャルライト119.95121.1149.79-
RND4K T8ランダムリード60.1148.4129.09-
RND4K T8ランダムライト61.8543.6822.88-
SEQ1M T1シーケンシャルリード33.6159.8160.69-
SEQ1M T1シーケンシャルライト34.0261.8764.13-
RND4K T1ランダムリード11.9512.3913.92-
RND4K T1ランダムライト9.139.439.19-

 最後に実アプリでの性能差を見てみよう。Mac Studioは16インチMacBook Proに対し、Lightroom Classicで約54%の所要時間で処理を終えているが、Premiere Proでは逆にわずかに処理時間がかかってしまった。今回は条件をそろえるためにH.264形式で動画の書き出しを行なったが、もっと負荷の高い形式でなければM1 Ultraの真価を発揮できない可能性がある。

 なお、自作PCはPremiere Proでは1分27秒05で書き出しを終えたが、Lightroom ClassicではMac Studioどころか、16インチMacBook Proの後塵を拝してしまった。別の環境を用意しても結果はほとんど変わらなかった。

 また、Core i9-12900HとGeForce RTX 3070 Ti Laptop GPUを搭載する「ROG Zephyrus M16 GU603ZW」では、2分9秒03で書き出しが完了した。自作PCはLightroom Classicにおいて何らかの相性問題が発生している可能性がある。

Adobe Lightroom ClassicおよびPremiere Proのベンチマーク結果
Mac Studio16インチMacBook Pro13インチMacBook Pro自作PC
Adobe Lightroom Classicで100枚のRAW画像を現像
7,952×5,304ドット
カラー - 自然
1分12秒682分13秒173分40秒383分1秒71
Adobe Premiere Proで実時間5分の4K動画を書き出し
3,840×2,160ドット
30fps
1分38秒531分37秒093分16秒351分27秒05

Ryzen 9 5950X & RTX 3090搭載機より圧倒的に消費電力が少ないMac Studio

 Mac Studioは、Cinebench R23でRyzen 9 5950X & RTX 3090搭載機の95%というスコアを記録した。しかも、低消費電力性ではMac Studioのほうが圧倒的に上だ。

 Cinebench R23実行中の消費電力を計測してみたが、Mac StudioはRyzen 9 5950X & GeForce RTX 3090搭載機に対して、アイドル時で約16%、Cinebench R23実行中で約41%の消費電力で動作していた。GeForce RTX 3090がフルに稼働するような処理であれば、その差がさらに開くことは言うまでもない。

Mac Studioの消費電力は、アイドル時で平均12.30W、Cinebench R23実行中で平均84.90W
Ryzen 9 5950X & RTX 3090搭載機の消費電力は、アイドル時で平均78.60W、Cinebench R23実行中で平均204.89W

 静音性についてはさらに驚かされた。電源を入れるとファンは稼働するが、その音は環境音にまぎれてしまう程度。耳をMac Studioに近付けなければファンの音は聞こえない。

 そしてCinebench R23を連続で走らせても、Lightroom Classic、Premiere Proで書き出しを実行しても、動作音はまったく変わらないのだ。今回Mac Studioを50cmぐらいの距離で使っていて、動作音が気になることは皆無だった。「性能/動作音」という指標があれば、Mac Studioがトップクラスに入ることは間違いない。

Mac Studioの排気口から50cm離れた距離に簡易騒音計を設置して、Cinebench R23を連続で実行してみたが、筆者の衣擦れや屋外の車の走行音以外で、環境音を超える数値が表示されることはなかった
Cinebench R23実行中の排気口付近の温度を計測してみたが、26.4℃に留まっていた(室温21.9℃で測定)

群を抜いた低消費電力、静音性を実現したクリエイティブ向けマシン

 今回はAppleにストレージ以外は最上位構成のマシンをお借りしたが、正直処理性能以上に、これまでのミニPCの常識を覆すような低消費電力、静音性に驚かされた。Apple Siliconに最適化されたアプリを中心に利用するなら、クリエイティブ向けマシンとして最有力の存在であることは間違いない。

 なお、16インチMacBook Proのベンチマークスコアをご覧いただければ分かる通り、M1 Maxもクリエイティブワークに十二分な性能を備えている。M1 Ultraのパワーに目移りせずにはいられないが、最廉価モデルに必要な容量のストレージを追加したモデルこそ、実は堅実な選択肢と言えよう。