Hothotレビュー
16:10でビジネスにもピッタリの16型ゲーミングノート「Legion 560 Pro」をレビュー
2021年4月15日 06:55
レノボ・ジャパンは16型ゲーミングノートPC「Legion 560 Pro」を3月22日に発表、3月26日より販売開始した。本製品はCPUに「Ryzen 7 5800H」、ディスクリートGPUに「GeForce RTX 3070」を採用しているが、ゲーミングノートとしてはめずらしくアスペクト比16:10のWQXGA(2,560×1,600ドット)のディスプレイを搭載。Word、Excelなどの作業にも適したマシンとして仕上げられているのだ。
ストレージ容量、Officeの有無が異なる4モデルがラインナップ
「Legion 560 Pro」は、OSに「Windows 10 Home 64bit バージョン20H2」、CPUに「Ryzen 7 5800H(8コア16スレッド、3.2~4.4GHz)」、ディスクリートGPUに「GeForce RTX 3070(8GB)」を採用。メモリは16GB(DDR4-3200 SDRAM SO-DIMM、8GB×2、最大32GB)、ストレージは512GBまたは1TBのPCIe NVMe SSDを搭載している。
また、オフィスアプリ「Microsoft Office Home & Business 2019」搭載、非搭載モデルを用意。つまり店頭販売モデルは、ストレージ、Officeの有無が異なる4モデルがラインナップされているわけだ。
それ以外のスペックはすべて共通。ディスプレイは16型WQXGA IPS液晶 (2,560×1,600ドット、189ppi、16:10、165Hz、500cd/平方m、sRGBカバー率100%、Dolby Vision対応、非光沢、タッチ非対応、スタイラス非対応)を搭載し、通信機能はWi-Fi 6(11ax)、Bluetooth 5.2、有線LAN(1000BASE-T)をサポートしている。
インターフェイスや外観的な特徴については次の章で解説する。
型番 | 82JQ005MJP | 82JQ005PJP | 82JQ005NJP | 82JQ005QJP |
---|---|---|---|---|
OS | Windows 10 Home 64bit バージョン20H2 | |||
CPU | Ryzen 7 5800H(8コア16スレッド、3.2~4.4GHz) | |||
GPU | GeForce RTX 3070(8GB)、Radeon Graphics(2GHz) | |||
メモリ | DDR4-3200 SDRAM SO-DIMM 16GB(8GB×2、最大32GB) | |||
ストレージ | 512GB PCIe NVMe SSD | 1TB PCIe NVMe SSD | ||
ディスプレイ | 16型WQXGA IPS液晶(2,560×1,600ドット、189ppi、16:10、165Hz、500cd/平方m、sRGBカバー率100%、Dolby Vision対応、非光沢、タッチ非対応、スタイラス非対応) | |||
通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2 | |||
WWAN | - | |||
インターフェイス | USB 3.1 Type-C(DisplayPort対応、背面のみUSB PD対応)×2、USB 3.0×4、HDMI、Gigabit Ethernet、3.5mmコンボジャック | |||
カメラ | HD 720p | |||
バッテリ容量 | 80,000mAh(Battery reportコマンドで確認) | |||
バッテリ駆動時間 | 約3.9時間(JEITA2.0準拠) | |||
バッテリ充電時間 | 約1.3時間 | |||
本体サイズ | 約356×264×21.7~26.85mm(幅×奥行き×高さ) | |||
重量 | 約2.45kg | |||
セキュリティ | - | |||
オフィスアプリ | Microsoft Office Home & Business 2019 | - | Microsoft Office Home & Business 2019 | - |
同梱品 | ACアダプタ、電源ケーブル、説明書、Microsoft Officeプロダクトキーパック(Office搭載モデルのみ) | |||
カラー | ストームグレー | |||
実売価格 | 25万円前後 | 23万円前後 | 26万円前後 | 24万円前後 |
USB Type-C端子はUSB PDに対応
本体サイズは約356×264×21.7~26.85mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約2.45kg。80,000mAh(Battery reportコマンドで確認)のバッテリが内蔵されており、バッテリ駆動時間は約3.9時間、バッテリ充電時間は約1.3時間と謳われている。
インターフェイスは、USB 3.1 Type-C(DisplayPort対応、背面のみUSB PD対応)×2、USB 3.0(内1つがPowered USB対応)×4、HDMI、Gigabit Ethernet、3.5mmコンボジャックという構成で、おもに背面に集中している。
本製品はゲーミングノートPCではあるがディスプレイ上部にHD 720pカメラが搭載されており、Web会議などに利用できる。また電子式プライバシーシャッターが搭載されており、右側面のスイッチをずらすとWebカメラへの通電が遮断され、無効化される。セキュリティ上、安心感の高い装備だ。
同梱品は、ACアダプタ、電源ケーブル、説明書、Microsoft Officeプロダクトキーパック(Office搭載モデルのみ)とシンプルな構成。300WのACアダプタは本体が約900g、電源ケーブルが約190gとそれなりの重さだ。
前述のとおり背面のUSB 3.1 Type-CのみUSB PDによる充電に対応しているので、フルパワーが必要ないときには小型化が急速に進むUSB PD対応充電器を利用するといい。
キーの打鍵感は良好だが一部キーが密着しており慣れが必要
キーボードのキーピッチは実測19mm前後、キーストロークは実測1.8mm前後。キーボード全体の剛性はしっかりと確保されている。また、「TrueStrikeキーボード」と名づけられたキーボードにはソフトランディングスイッチが採用されており、打鍵感は良好だ。
ただ非常に残念なのがキー配置。「スペースキー」に、「無変換キー」と「変換キー」が密着しているのはいいとして、「¥キー」と「Back Spaceキー」、「Enterキー」と「]キー」、「右Shiftキー」と「\キー」が密着しているのは非常に使いづらく感じた。正直、この日本語キーボードを使うぐらいなら英語キーボードを選びたいと思ったぐらいだ。
一方、タッチパッドは全体が沈み込むダイビングボード構造を採用しているが、比較的ストロークが浅く、クリック感も軽め。また、スペースも実測120×75mm(幅×奥行き)と広めに確保されている。ゲームではゲーミングマウスがほしいところだが、ビジネスアプリを使うさいにはタッチパッドで十分快適に作業できるはずだ。
Webカメラは解像度が720pだが、室内でも明るく、自然な発色で撮影できる。とくにHDRを有効にすると、少し赤みが強くなり、健康的な肌色で記録できた。Web会議用途なら十分な画質だ。
使い勝手において1つ注意しておきたいのが、USB Type-C端子の違い。背面はDisplayPortとUSB PDに対応しているが、左側面はUSB PD非対応だ。
実際に、左側面のUSB Type-C端子の挙動を試したところ、モバイルディスプレイを接続したさいにはケーブル1本で給電と映像出力できたが、USB PD対応充電器を接続しても充電できなかった。端子が多いので困ることは少ないだろうが、USB PD対応充電器を使用するさいには留意してほしい。
平均以上の色域を備えたディスプレイ、ボリューム感あるスピーカー
「Legion 560 Pro」は全モデルに16型WQXGA IPS液晶 (2,560×1,600ドット、189ppi、16:10、165Hz、500cd/平方m、sRGBカバー率100%、Dolby Vision対応、非光沢、タッチ非対応、スタイラス非対応)を搭載している。
カラーキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で計測したところ、sRGBカバー率98.5%、sRGB比105.3%、Adobe RGBカバー率77.5%、Adobe RGB比78.0%、DCI-P3カバー率77.1%、DCI-P3比77.6%という値が出た。ノートPCの非光沢ディスプレイとしては平均以上の色域を備えている。
一方サウンドについては、ステレオスピーカーが本体底面に内蔵されているものの、全域でボリュームのある音を出力してくれる。サウンドユーティリティ「Nahmic」をオフにしても極端に音質が低下しないので、元々のスピーカーの性能がよいと思われる。
ゲームを本気でプレイするならゲーミングヘッドセットを装着するべきだが、映画やミュージックビデオを鑑賞するなら本機のステレオスピーカーで十分満足感を得られるはずだ。
リフレッシュレート165Hzを活かすならゲームは1080pがおすすめ
最後に性能をチェックしよう。今回は下記のベンチマークを実施した。
- 総合ベンチマーク「PCMark 10 v2.1.2506」
- 3Dベンチマーク「3DMark v2.16.7117」
- CPUベンチマーク「Cinebench R23.200」
- CPUベンチマーク「Cinebench R20.060」
- CPUベンチマーク「Cinebench R15.0」
- 3Dゲームベンチマーク「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」
- ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 8.0.1」
下記が検証機の仕様とその結果だ。
【表2】検証機の仕様 | |
---|---|
Legion 560 Pro | |
CPU | Ryzen 7 5800H(8コア16スレッド、3.2~4.4GHz) |
GPU | GeForce RTX 3070(8GB)、Radeon Graphics(2.00GHz) |
メモリ | DDR4-3200 SDRAM SO-DIMM 16GB |
ストレ-ジ | 512GB PCIe NVMe SSD(WDC PC SN730 SDBPNTY-512G-1101) |
ディスプレイ | 16型、2,560×1,600ドット(189ppi) |
TDP | 45W |
OS | Windows 10 Home 64bit バージョン20H2 |
サイズ | 約356×264×21.7~26.85mm(幅×奥行き×高さ) |
重量 | 約2.45kg |
【表3】ベンチマ-ク結果 | |
---|---|
PCMark 10 v2.1.2508 | |
PCMark 10 Score | 6,817 |
Essentials | 9,609 |
App Start-up Score | 12,795 |
Video Conferencing Score | 7,393 |
Web Browsing Score | 9,382 |
Productivity | 8,942 |
Spreadsheets Score | 10,823 |
Writing Score | 7,388 |
Digital Content Creation | 10,006 |
Photo Editing Score | 15,423 |
Rendering and Visualization Score | 13,460 |
Video Editting Score | 4,826 |
PCMark 10 Modern Office Battery Life | 3時間39分 |
3DMark v2.17.7137 | |
Time Spy Extreme | 5,177 |
Time Spy | 10,634 |
Port Royal | 6,441 |
Fire Strike Ultra | 6,922 |
Fire Strike Extreme | 12,934 |
Fire Strike | 24,351 |
Wild Life | 60,335 |
Night Raid | 54,672 |
CINEBENCH R23.200 | |
CPU(Multi Core) | 12,849 pts |
CPU(Single Core) | 1,427 pts |
CINEBENCH R20.060 | |
CPU | 4,974 pts |
CPU(Single Core) | 557 pts |
CINEBENCH R15.0 | |
OpenGL | 157.36 fps |
CPU | 2,128 cb |
CPU(Single Core) | 233 cb |
FINAL FANTASY XV BENCHMARK | |
1,280×720ドット、標準品質、フルスクリ-ン | 15,014(非常に快適) |
1,920×1,080ドット、標準品質、フルスクリ-ン | 13,298(非常に快適) |
2,560×1,440ドット、標準品質、フルスクリ-ン | 9,941(とても快適) |
3,840×2,160ドット、標準品質、フルスクリ-ン | 5,541(やや快適) |
SSDをCrystalDiskMark 8.0.1で計測 | |
1M Q8T1 シーケンシャルリード | 3,423.494 MB/s |
1M Q8T1 シーケンシャルライト | 2,723.686 MB/s |
1M Q1T1 シーケンシャルリード | 2,525.847 MB/s |
1M Q1T1 シーケンシャルライト | 2,712.287 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリ-ド | 449.890 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 375.231 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリ-ド | 48.096 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 156.854 MB/s |
CPU性能については、Cinebench R23.200のCPU(Multi Core)で12849 pts、Cinebench R20.060のCPUで4974 pts、Cinebench R15.0のCPUで2128 cbを記録している。これらはAMD Ryzen 7 5800H搭載機としては順当な結果だ。
3Dグラフィックス性能については、3DMarkのTime Spyで「Estimated game performance」(ゲームパフォーマンスの推定値)を見てみると、下記のように算出された。3Dグラフィックス性能自体はGeForce RTX 3070搭載機として妥当なスコアだが、リフレッシュレート165Hzのディスプレイを活かすのなら、1080pでプレイしたほうがよさそうだ。
- 「Battlefield V」
1440p Ultra 105+ FPS
1080p Ultra 125+ FPS - 「Apex Legends」
1440p Ultra 115+ FPS
1080p Ultra 140+ FPS - 「GTA V」
1440p Ultra 65+ FPS
1080p Ultra 95+ FPS - 「Fortnite」
1440p Ultra 110+ FPS
1080p Ultra 155+ FPS - 「Red Dead Redemtion 2」
1440p Ultra 40+ FPS
1080p Ultra 50+ FPS
ゲームだけでなくビジネスワークも快適にこなせる1台だ
ゲーミングノートPCとしてはめずらしく16:10のアスペクト比のディスプレイ、電子式プライバシーシャッター機能を備えたWebカメラを搭載している「Legion 560 Pro」。バッテリ駆動時間は正直物足りないが、USB PD対応充電器を携帯すれば、外出先でこまめに充電可能だ。ゲームだけでなく、オフィス&クリエイティブワークも快適にこなせる1台と言えよう。