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16:10でビジネスにもピッタリの16型ゲーミングノート「Legion 560 Pro」をレビュー

「Legion 560 Pro」21万円~

 レノボ・ジャパンは16型ゲーミングノートPC「Legion 560 Pro」を3月22日に発表、3月26日より販売開始した。本製品はCPUに「Ryzen 7 5800H」、ディスクリートGPUに「GeForce RTX 3070」を採用しているが、ゲーミングノートとしてはめずらしくアスペクト比16:10のWQXGA(2,560×1,600ドット)のディスプレイを搭載。Word、Excelなどの作業にも適したマシンとして仕上げられているのだ。

CPUに「Ryzen 7 5800H」、ディスクリートGPUに「GeForce RTX 3070」を採用

ストレージ容量、Officeの有無が異なる4モデルがラインナップ

 「Legion 560 Pro」は、OSに「Windows 10 Home 64bit バージョン20H2」、CPUに「Ryzen 7 5800H(8コア16スレッド、3.2~4.4GHz)」、ディスクリートGPUに「GeForce RTX 3070(8GB)」を採用。メモリは16GB(DDR4-3200 SDRAM SO-DIMM、8GB×2、最大32GB)、ストレージは512GBまたは1TBのPCIe NVMe SSDを搭載している。

 また、オフィスアプリ「Microsoft Office Home & Business 2019」搭載、非搭載モデルを用意。つまり店頭販売モデルは、ストレージ、Officeの有無が異なる4モデルがラインナップされているわけだ。

 それ以外のスペックはすべて共通。ディスプレイは16型WQXGA IPS液晶 (2,560×1,600ドット、189ppi、16:10、165Hz、500cd/平方m、sRGBカバー率100%、Dolby Vision対応、非光沢、タッチ非対応、スタイラス非対応)を搭載し、通信機能はWi-Fi 6(11ax)、Bluetooth 5.2、有線LAN(1000BASE-T)をサポートしている。

 インターフェイスや外観的な特徴については次の章で解説する。

【表1】Legion 560 Proのスペック
型番82JQ005MJP82JQ005PJP82JQ005NJP82JQ005QJP
OSWindows 10 Home 64bit バージョン20H2
CPURyzen 7 5800H(8コア16スレッド、3.2~4.4GHz)
GPUGeForce RTX 3070(8GB)、Radeon Graphics(2GHz)
メモリDDR4-3200 SDRAM SO-DIMM 16GB(8GB×2、最大32GB)
ストレージ512GB PCIe NVMe SSD1TB PCIe NVMe SSD
ディスプレイ16型WQXGA IPS液晶(2,560×1,600ドット、189ppi、16:10、165Hz、500cd/平方m、sRGBカバー率100%、Dolby Vision対応、非光沢、タッチ非対応、スタイラス非対応)
通信Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2
WWAN
インターフェイスUSB 3.1 Type-C(DisplayPort対応、背面のみUSB PD対応)×2、USB 3.0×4、HDMI、Gigabit Ethernet、3.5mmコンボジャック
カメラHD 720p
バッテリ容量80,000mAh(Battery reportコマンドで確認)
バッテリ駆動時間約3.9時間(JEITA2.0準拠)
バッテリ充電時間約1.3時間
本体サイズ約356×264×21.7~26.85mm(幅×奥行き×高さ)
重量約2.45kg
セキュリティ
オフィスアプリMicrosoft Office Home & Business 2019Microsoft Office Home & Business 2019
同梱品ACアダプタ、電源ケーブル、説明書、Microsoft Officeプロダクトキーパック(Office搭載モデルのみ)
カラーストームグレー
実売価格25万円前後23万円前後26万円前後24万円前後

USB Type-C端子はUSB PDに対応

 本体サイズは約356×264×21.7~26.85mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約2.45kg。80,000mAh(Battery reportコマンドで確認)のバッテリが内蔵されており、バッテリ駆動時間は約3.9時間、バッテリ充電時間は約1.3時間と謳われている。

 インターフェイスは、USB 3.1 Type-C(DisplayPort対応、背面のみUSB PD対応)×2、USB 3.0(内1つがPowered USB対応)×4、HDMI、Gigabit Ethernet、3.5mmコンボジャックという構成で、おもに背面に集中している。

 本製品はゲーミングノートPCではあるがディスプレイ上部にHD 720pカメラが搭載されており、Web会議などに利用できる。また電子式プライバシーシャッターが搭載されており、右側面のスイッチをずらすとWebカメラへの通電が遮断され、無効化される。セキュリティ上、安心感の高い装備だ。

 同梱品は、ACアダプタ、電源ケーブル、説明書、Microsoft Officeプロダクトキーパック(Office搭載モデルのみ)とシンプルな構成。300WのACアダプタは本体が約900g、電源ケーブルが約190gとそれなりの重さだ。

 前述のとおり背面のUSB 3.1 Type-CのみUSB PDによる充電に対応しているので、フルパワーが必要ないときには小型化が急速に進むUSB PD対応充電器を利用するといい。

本体天面はアルミニウム素材
本体底面。インテリジェント吸気システム、ターボチャージデュアルファン設計、キーボード下の吸気口、4チャンネル排気システムが盛り込まれた冷却システム「Legion Coldfront 3.0」により、高いクロック周波数を維持できると謳われている
ディスプレイ面。ディスプレイ上部にはHD 720pカメラ、ディスプレイ下部にはデジタルアレイマイクが内蔵
テンキーつきの日本語キーボードを採用
本体前面(上)と本体背面(下)。本体背面にはGigabit Ethernet、USB 3.1 Type-C(DisplayPort、USB PD対応)、USB 3.0×2、HDMI、USB 3.0(Powered USB対応)、電源端子を用意
本体右側面には電子式プライバシーシャッタースイッチ、USB 3.0、本体左側面にはUSB 3.1 Type-C(DisplayPort対応)、3.5mmコンボジャックを配置
ディスプレイの最大展開角度は実測136度
パッケージには本体以外にACアダプタ、電源ケーブル、説明書類が同梱
ACアダプタのコードと電源ケーブルの長さはどちらも実測179cm
ACアダプタの型番は「ADL300SDC3A」。仕様は入力100-240V~4.5A、出力20V 15A、容量300W
説明書類には、クイックスタートガイド、サポートのしおり、安全上の注意、PCリサイクルマークシールお申し込みについてのご案内、Lenovoパソコン全国出張サービス、ステッカーが含まれる
本体の実測重量は2587g
ACアダプタと電源ケーブルの合計重量は実測1071g
システム情報
主要なデバイス
初期化直後のCドライブの空き容量は435.54GB(512GBモデルの場合)
「powercfg /batteryreport」コマンドを実行したところ、DESIGN CAPACITYは80,000mWh、FULL CHARGE CAPACITYは83,890mWhと表示された

キーの打鍵感は良好だが一部キーが密着しており慣れが必要

 キーボードのキーピッチは実測19mm前後、キーストロークは実測1.8mm前後。キーボード全体の剛性はしっかりと確保されている。また、「TrueStrikeキーボード」と名づけられたキーボードにはソフトランディングスイッチが採用されており、打鍵感は良好だ。

 ただ非常に残念なのがキー配置。「スペースキー」に、「無変換キー」と「変換キー」が密着しているのはいいとして、「¥キー」と「Back Spaceキー」、「Enterキー」と「]キー」、「右Shiftキー」と「\キー」が密着しているのは非常に使いづらく感じた。正直、この日本語キーボードを使うぐらいなら英語キーボードを選びたいと思ったぐらいだ。

 一方、タッチパッドは全体が沈み込むダイビングボード構造を採用しているが、比較的ストロークが浅く、クリック感も軽め。また、スペースも実測120×75mm(幅×奥行き)と広めに確保されている。ゲームではゲーミングマウスがほしいところだが、ビジネスアプリを使うさいにはタッチパッドで十分快適に作業できるはずだ。

 Webカメラは解像度が720pだが、室内でも明るく、自然な発色で撮影できる。とくにHDRを有効にすると、少し赤みが強くなり、健康的な肌色で記録できた。Web会議用途なら十分な画質だ。

 使い勝手において1つ注意しておきたいのが、USB Type-C端子の違い。背面はDisplayPortとUSB PDに対応しているが、左側面はUSB PD非対応だ。

 実際に、左側面のUSB Type-C端子の挙動を試したところ、モバイルディスプレイを接続したさいにはケーブル1本で給電と映像出力できたが、USB PD対応充電器を接続しても充電できなかった。端子が多いので困ることは少ないだろうが、USB PD対応充電器を使用するさいには留意してほしい。

キーピッチは実測19mm前後
キーストロークは実測1.8mm前後
文字キー(Fキー)の押圧力は0.55N
キーボードバックライトは4つのゾーンに異なるカラーを設定できる。明るさは2段階で調節可能だ
「スペースキー」と「無変換/変換キー」、「¥キー」と「Back Spaceキー」、「Enterキー」と「]キー」、「右Shiftキー」と「\キー」が密着している
タッチパッドは実測120×75mm(幅×奥行き)と前世代より約20%大型化されている
キーボード上部にはHD 720pカメラを搭載
右側面の電子式プライバシーシャッターを手前にずらすと、Webカメラが無効化される
Windows 10の「カメラ」アプリで撮影(HDRオフ)
Windows 10の「カメラ」アプリで撮影(HDRオン)。HDRオンのほうが赤みが強く健康的な肌色で撮影できる
背面のUSB Type-C端子はUSB PD対応充電器でチャージできる
左側面のUSB Type-CはUSB PD非対応だが、モバイルディスプレイにケーブル1本で給電、映像出力できた

平均以上の色域を備えたディスプレイ、ボリューム感あるスピーカー

 「Legion 560 Pro」は全モデルに16型WQXGA IPS液晶 (2,560×1,600ドット、189ppi、16:10、165Hz、500cd/平方m、sRGBカバー率100%、Dolby Vision対応、非光沢、タッチ非対応、スタイラス非対応)を搭載している。

 カラーキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で計測したところ、sRGBカバー率98.5%、sRGB比105.3%、Adobe RGBカバー率77.5%、Adobe RGB比78.0%、DCI-P3カバー率77.1%、DCI-P3比77.6%という値が出た。ノートPCの非光沢ディスプレイとしては平均以上の色域を備えている。

 一方サウンドについては、ステレオスピーカーが本体底面に内蔵されているものの、全域でボリュームのある音を出力してくれる。サウンドユーティリティ「Nahmic」をオフにしても極端に音質が低下しないので、元々のスピーカーの性能がよいと思われる。

 ゲームを本気でプレイするならゲーミングヘッドセットを装着するべきだが、映画やミュージックビデオを鑑賞するなら本機のステレオスピーカーで十分満足感を得られるはずだ。

実測したsRGBカバー率は98.5%、sRGB比は105.3%
Adobe RGBカバー率は77.5%、Adobe RGB比は78.0%
DCI-P3カバー率は77.1%、DCI-P3比は77.6%
デフォルトのカラープロファイルではやや赤みが強いが、合計4つのカラープロファイルを選択することで、用途、好みに応じた色に変更できる
とくに広視野角は謳われていないが、ご覧のとおり真横近くからでも画面に何が映っているのか判別できる
最大リフレッシュレートは165Hz。滑らかな映像でゲームを堪能できる
YouTubeで公開されている「前前前世(movie ver.) RADWIMPS MV」を最大ボリュームで再生したさいの音圧レベルは最大81.2dBA(50cmの距離で測定)
サウンドユーティリティ「Nahmic」をプリインストール。音楽、映画、コミュニケーション、ゲームと目的に応じたプリセットが使用できるほか、バーチャルサラウンド機能を用意。またゲーム内で発生する音を視覚化する「サウンドトラッカー」機能も利用できる

リフレッシュレート165Hzを活かすならゲームは1080pがおすすめ

 最後に性能をチェックしよう。今回は下記のベンチマークを実施した。

  • 総合ベンチマーク「PCMark 10 v2.1.2506」
  • 3Dベンチマーク「3DMark v2.16.7117」
  • CPUベンチマーク「Cinebench R23.200」
  • CPUベンチマーク「Cinebench R20.060」
  • CPUベンチマーク「Cinebench R15.0」
  • 3Dゲームベンチマーク「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」
  • ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 8.0.1」

 下記が検証機の仕様とその結果だ。

ベンチマークは「Lenovo Vantage」の「サーマル・モード設定」を「パフォーマンス・モード」に設定して実施している
【表2】検証機の仕様
Legion 560 Pro
CPURyzen 7 5800H(8コア16スレッド、3.2~4.4GHz)
GPUGeForce RTX 3070(8GB)、Radeon Graphics(2.00GHz)
メモリDDR4-3200 SDRAM SO-DIMM 16GB
ストレ-ジ512GB PCIe NVMe SSD(WDC PC SN730 SDBPNTY-512G-1101)
ディスプレイ16型、2,560×1,600ドット(189ppi)
TDP45W
OSWindows 10 Home 64bit バージョン20H2
サイズ約356×264×21.7~26.85mm(幅×奥行き×高さ)
重量約2.45kg
【表3】ベンチマ-ク結果
PCMark 10 v2.1.2508
PCMark 10 Score6,817
Essentials9,609
App Start-up Score12,795
Video Conferencing Score7,393
Web Browsing Score9,382
Productivity8,942
Spreadsheets Score10,823
Writing Score7,388
Digital Content Creation10,006
Photo Editing Score15,423
Rendering and Visualization Score13,460
Video Editting Score4,826
PCMark 10 Modern Office Battery Life3時間39分
3DMark v2.17.7137
Time Spy Extreme5,177
Time Spy10,634
Port Royal6,441
Fire Strike Ultra6,922
Fire Strike Extreme12,934
Fire Strike24,351
Wild Life60,335
Night Raid54,672
CINEBENCH R23.200
CPU(Multi Core)12,849 pts
CPU(Single Core)1,427 pts
CINEBENCH R20.060
CPU4,974 pts
CPU(Single Core)557 pts
CINEBENCH R15.0
OpenGL157.36 fps
CPU2,128 cb
CPU(Single Core)233 cb
FINAL FANTASY XV BENCHMARK
1,280×720ドット、標準品質、フルスクリ-ン15,014(非常に快適)
1,920×1,080ドット、標準品質、フルスクリ-ン13,298(非常に快適)
2,560×1,440ドット、標準品質、フルスクリ-ン9,941(とても快適)
3,840×2,160ドット、標準品質、フルスクリ-ン5,541(やや快適)
SSDをCrystalDiskMark 8.0.1で計測
1M Q8T1 シーケンシャルリード3,423.494 MB/s
1M Q8T1 シーケンシャルライト2,723.686 MB/s
1M Q1T1 シーケンシャルリード2,525.847 MB/s
1M Q1T1 シーケンシャルライト2,712.287 MB/s
4K Q32T1 ランダムリ-ド449.890 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト375.231 MB/s
4K Q1T1 ランダムリ-ド48.096 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト156.854 MB/s

 CPU性能については、Cinebench R23.200のCPU(Multi Core)で12849 pts、Cinebench R20.060のCPUで4974 pts、Cinebench R15.0のCPUで2128 cbを記録している。これらはAMD Ryzen 7 5800H搭載機としては順当な結果だ。

 3Dグラフィックス性能については、3DMarkのTime Spyで「Estimated game performance」(ゲームパフォーマンスの推定値)を見てみると、下記のように算出された。3Dグラフィックス性能自体はGeForce RTX 3070搭載機として妥当なスコアだが、リフレッシュレート165Hzのディスプレイを活かすのなら、1080pでプレイしたほうがよさそうだ。

  • 「Battlefield V」
     1440p Ultra 105+ FPS
     1080p Ultra 125+ FPS
  • 「Apex Legends」
     1440p Ultra 115+ FPS
     1080p Ultra 140+ FPS
  • 「GTA V」
     1440p Ultra 65+ FPS
     1080p Ultra 95+ FPS
  • 「Fortnite」
     1440p Ultra 110+ FPS
     1080p Ultra 155+ FPS
  • 「Red Dead Redemtion 2」
     1440p Ultra 40+ FPS
     1080p Ultra 50+ FPS
Cinebench R23.200のCPU(Multi Core)を10分間連続で実行したところ、CPU温度はジリジリと上昇して最大で96℃に達したが、ベンチマークが再スタートするとき以外、クロック周波数は3815MHz前後で推移していった(室温23.7℃で測定)
FINAL FANTASY XV BENCHMARK実行中のキーボード面の最大温度は49.1℃(室温24.1℃で測定)
底面の最大温度は56.4℃
ACアダプタの最大温度は39.2℃

ゲームだけでなくビジネスワークも快適にこなせる1台だ

 ゲーミングノートPCとしてはめずらしく16:10のアスペクト比のディスプレイ、電子式プライバシーシャッター機能を備えたWebカメラを搭載している「Legion 560 Pro」。バッテリ駆動時間は正直物足りないが、USB PD対応充電器を携帯すれば、外出先でこまめに充電可能だ。ゲームだけでなく、オフィス&クリエイティブワークも快適にこなせる1台と言えよう。