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これで必要十分! ビジネスで使える税別8万円台のパソコン工房製ノート。第11世代Core搭載で1kg切り
2021年2月27日 06:55
パソコン工房は、SOLUTION by iiyamaのビジネスノートPC「SOLUTION-14FH057-i3-UCEX」を発売した。10万円を下回る安価な価格ながら、14型液晶搭載で薄さ19mmで1kgを切る薄型軽量筐体を実現するとともに、CPUに第11世代Coreプロセッサを採用しており、コストパフォーマンスに優れるモバイルノートとなっている。すでに発売中で、直販価格は8万4,980円(税別)から。
堅牢性に優れる薄型軽量筐体
ではまず、SOLUTION-14FH057-i3-UCEXの外観を見ていこう。
SOLUTION-14FH057-i3-UCEXの最大の特徴は、モバイル性を追求した薄型軽量筐体を実現している点だ。そのなかでもとくに注目となるのが、14型ディスプレイ搭載ながら重量が約0.98kgと1kgを下回っていること。
しかも、今回の試用機では実測の重量が947gと、公称をかなり下回る軽さだった。実際に筐体を持ってみてもかなり軽く、片手でも楽々持ち運べるという印象だ。
また、筐体の薄さも申し分ない。サイズは322×218×19mm(幅×奥行き×高さ)。高さは19mmとあるが、これは2mmほどの高さのあるゴム足を含んでいる。つまり、本体自体で考えると約17mmとなるわけで、十分にスリムな筐体と言える。
加えて、筐体の堅牢性も優れている。筐体の天面と底面の素材にはマグネシウム合金を採用しており、軽さと堅牢性を両立。それも、衝撃テストや振動テストなど、国防総省が定める調達基準「MIL-STD-810G」に準拠した10種類の堅牢性試験をクリアしているという。実際に本体をひねったりしても、かなり頑丈という印象が手に伝わってくる。これなら、安心して毎日持ち歩けそうだ。
ところで、このように14型モバイルノートで重量が1kgを切り、優れた堅牢性を実現する製品は、大手メーカーからもいくつか登場しているが、SOLUTION-14FH057-i3-UCEXはそれらと比べても、筐体の軽さや薄さ、堅牢性などでまったく見劣りしないと感じる。それでいて販売価格が10万円を下回っているのは驚きだ。
本体デザインはビジネス向けということもあってか、非常にシンプルで落ち着いた印象となっている。カラーはマット調のブラックで、天板はフラットかつ側面も直線的なデザインを採用。天板にはiiyamaロゴがあるが、そちらもかなりひかえめだ。BTOでロゴなしを選ぶこともできる。
全体的に高級感はあまり感じられないものの、低価格ノートPCのような安っぽい印象もなく、ビジネスモバイルノートとして十分納得のデザインと言っていいだろう。
フルHD表示の14型液晶を搭載
ディスプレイは、フルHD(1,920×1,080ドット)表示に対応する14型液晶を採用。パネルの種類は非公開だが、上下、左右ともIPSパネル相当の十分な広視野角を確保しており、視点を大きく移動しても色合いや明るさの変化はほとんど感じられない。
パネルの表面は非光沢処理となっており、外光の映り込みの影響はない。ExcelやWordなどを利用した文字入力が中心の一般ビジネス用途でも、外光の映り込みがなく快適な作業が行なえる。
発色については、さすがに広色域パネルと比べるとやや鮮やかさが劣る印象だが、このクラスのノートPCに搭載される液晶パネルとしては十分に満足できるものとなっている。プロから見るとやや物足りないかもしれないが、写真のレタッチ作業やムービー鑑賞なども十分に堪えられると感じる。
ディスプレイのベゼル幅は、左右が約5.7mmとなかなかのスリム仕様。上部ベゼルはWebカメラを搭載することもあって左右よりはやや広いが、こちらも十分にスリムとなっており、本体サイズの小型化にも貢献している。
ただし、下部ベゼルは左右や上部に比べるとかなり厚くなっている。ここがもう少し狭ければ筐体のさらなる小型軽量化も可能だと思うだけに、少々残念ではあるが、価格を考えると十分納得できる。
キーボードは一部ピッチが狭いものの十分扱いやすい
キーボードは、キーの間隔が開いたアイソレーションタイプの日本語キーボードを搭載している。
主要キーのキーピッチは約19mmフルピッチを確保。Enterキー上の一部キーのピッチがやや狭くなっているが、配列は標準的で、タッチタイプも問題なく行なえる。ただし、カーソルキーはキー1つ分の高さのなかに上下を2分割して押し込んでいるため、やや扱いづらく感じる。
キートップはフラットとなっており、ストロークは1.2mmほど。タッチはやや固めの印象で、しっかりとしたクリック感も感じられる。タイピング時の打鍵音はなかなか静かで、少々強めにタイピングしてもカチャカチャと耳障りな音が発生することはない。
キーボードバックライトは搭載しないが、その点は価格を考えると仕方がないだろう。とは言え、全体的にはキーボードは十分に扱いやすいと言える。
ポインティングデバイスは、クリックボタン一体型のタッチパッドを搭載。面積は十分に広く、ジェスチャー操作も対応しており、こちらも十分に扱いやすい。個人的には、タッチパッドの搭載位置がキーボードのホームポジションからわずかに右にずれている点が気になるが、この程度なら大きな問題とはならないだろう。
低価格ながら必要十分なスペックを搭載
CPUは、Tiger Lakeこと第11世代Coreプロセッサ・シリーズのCore i3-11154Gを採用。Tiger Lake UP3ではもっとも下位となり、CPUコアは2コア4スレッド仕様、内蔵グラフィックスもUHD Graphicsとなる。
メモリはDDR4-3200を標準で8GBオンボード搭載となる。また、購入時のカスタマイズで最大24GBまで増設可能。8GBでも必要十分な容量ではあるが、標準ではシングルチャネル仕様のため、CPUの性能を最大限引き出せるようになる点も合わせて、購入時に増設することをおすすめしたい。
内蔵ストレージは、容量250GBのPCIe 3.0 x4/NVMe SSDを搭載する。こちらも購入時のカスタマイズで最大2TBのSSDを搭載できるため、コストと必要な容量に合わせて選択すればいいだろう。
無線機能は、IEEE 802.11ax(Wi-Fi 6)準拠の無線LANとBluetooth 5.0を標準搭載。無線LANは2×2通信に対応しており、最大2.4Gbpsの高速通信に対応する。
外部ポートは、左側面に電源コネクタ、HDMI、USB 3.1、Thunderbolt 4を、右側面にmicroSDカードスロット、3.5mmオーディオジャック、USB 3.0、USB 3.0の各ポートを用意。
このほか、右側面には電源ボタンも配置している。この価格帯の製品ながら標準でThunderbolt 4を備える点は、かなり大きな魅力となるだろう。また、Thunderbolt 4はUSB PD対応で、汎用のUSB PD準拠ACアダプタなどを接続することで給電およびバッテリの充電が可能だ。
ディスプレイ上部には、100万画素のWebカメラを搭載する。
ところで、本機は生体認証機能を搭載しない。TPM 2.0準拠のセキュリティチップは搭載するものの、できれば指紋認証センサーだけでも搭載してもらいたかったように思う。
付属ACアダプタは、出力65Wの薄型軽量のものとなっている。ACアダプタの重量は、付属電源ケーブル込みで実測187.3gとまずまずの軽さだが、携帯する場合に軽さを追求したいなら、小型軽量の汎用USB PD準拠ACアダプタを利用してもいいだろう。
性能は必要十分だが、メモリ増設でさらに上を目指せる
では、簡単にベンチマークテストの結果を紹介しよう。今回利用したベンチマークソフトは、UL Benchmarksの「PCMark 10 v2.1.2506」、「3DMark Professional Edition v2.15.7117」、Maxonの「Cinebench R20.060」と「Cinebench R23.200」の4種類だ。
【表】SOLUTION-14FH057-i3-UCEXのベンチマーク結果 | |
---|---|
CPU | Core i3-1115G4(ターボブースト時最大3.90GHz) |
ビデオチップ | Intel UHD Graphics |
メモリ | DDR4-3200 SDRAM 8GB |
ストレージ | 250GB SSD(NVMe/PCIe) |
OS | Windows 10 Home 64bit |
PCMark 10 | v2.1.2506 |
PCMark 10 Score | 3,958 |
Essentials | 8,454 |
App Start-up Score | 11,203 |
Video Conferencing Score | 7,088 |
Web Browsing Score | 7,610 |
Productivity | 6,237 |
Spreadsheets Score | 5,606 |
Writing Score | 6,940 |
Digital Content Creation | 3,193 |
Photo Editing Score | 4,654 |
Rendering and Visualization Score | 1,832 |
Video Editting Score | 3,821 |
Cinebench R20.060 | |
CPU | 644 |
CPU (Single Core) | 343 |
Cinebench R23.200 | |
CPU | 1,784 |
CPU (Single Core) | 1,081 |
3DMark Professional Edition | v2.15.7117 |
Night Raid | 6,316 |
Graphics Score | 7,491 |
CPU Score | 3,344 |
Wild Life | 4,192 |
Time Spy | 675 |
Graphics Score | 605 |
CPU Score | 1,962 |
結果を見ると、PCMark 10はTiger Lakeの上位となるCore i7やCore i5と比べるとややスコアが低くなっているが、2コア4スレッド仕様のCore i3-11154Gということを考えるとかなり健闘していると感じる。Cinebenchの結果も、R20、R23ともにマルチコアのスコアはさすがにあまり伸びていないが、シングルコアのスコアは十分なものとなっており、Core i5やi7とほぼ同等レベルだ。
対する3DMarkは、ややスコアが低いという印象。これは、内蔵グラフィックスがUHD Graphicsとなることと、メモリがシングルチャネルのため性能が最大限引き出せていないためだ。おそらく、メモリを増設してデュアルチャネル動作とすれば、スコアが大きく伸びるはず。
つまり、ベンチマークテストの結果はメモリ増設によってさらに上が目指せるわけだ。当然ベンチマークだけでなく通常のアプリを利用した場合の快適度も高まるため、やはり可能なかぎり購入時にメモリを増設したい。
また、高負荷時のCPUクーラーの動作音は、やや大きな風切り音が耳に届く。ただ、通常時にはほとんど動作音が聞こえないため、よほど高負荷な作業を行なわないかぎり、図書館などの静かな場所での利用もそれほどためらわれないはずだ。
ちなみに、実際にExcelやWordをインストールして利用したり、Zoomを利用したWeb会議にも使ってみたが、不満を感じるほどに動作が重いということはなかった。もちろん、さすがにCore i5やi7を搭載する上位モデルと比べると、全体的な快適度が劣るのは間違いないが、ターゲットとするビジネスモバイル用途であれば、まったく問題ないレベルと言える。
続いてバッテリ駆動時間だ。公称のバッテリ駆動時間は約5.7時間(JEITAバッテリ動作時間測定法 Ver2.0での数字)。それに対し、Windowsの省電力設定を「バランス」、電源モードを「より良いバッテリー」、バックライト輝度を50%に設定し、無線LANを有効にした状態で、PCMark 10のBatteryテスト「PCMark 10 Battery Profile」の「Modern Office」を利用して計測したところ、6時間23分と公称を超える駆動時間を記録した。
ただ、それでもモバイルノートとしてはやや駆動時間は短めだ。おそらく通常の利用では3時間程度でバッテリが尽きる可能性が高い。これは、バッテリ容量を少なくして重量を軽くしているためで、長時間の外出時には充電器やモバイルバッテリの同時携帯が不可欠だろう。
コストパフォーマンスに優れるモバイルノートを探している人におすすめ
SOLUTION-14FH057-i3-UCEXは、公式にはモバイルノートとは謳われていない。これはおそらく、軽さ追求のためバッテリ容量が少なく、駆動時間がそれほど長くないため、あえてモバイルノートと謳っていないものと考えられる。
ただ、14型ディスプレイ搭載で1kgを切る軽さを実現するとともに、十分に優れた堅牢性も確保しているため、当然だがモバイルノートとして十分な魅力を備えていると言っていい。バッテリ駆動時間についても、外出時にカフェなどで簡単に電源を確保できることを考えても、1日中バッテリ駆動で利用できないと困るという場合でなければ、それほど大きな問題とはならないだろう。
また、現在はテレワークなどで外出せずにPCを利用するシーンが増えていると思うが、そういった場合でも一般的なモバイルノートより大型の14型ディスプレイで快適に作業が行なえる。
確かに、性能面では上位製品に敵わない部分もあるが、ビジネスPCとしては必要十分で、実際に使ってみた印象も申し分ない。それでいて、価格は10万円を切るのだから、コストパフォーマンスは非常に優れると言える。トップクラスの性能は不要だが、ビジネスシーンで十分快適に作業をこなせ、軽快に持ち出すことも可能なコストパフォーマンスに優れるノートPCを探している人にお勧めしたい。