Hothotレビュー

そつなく使える税別10万円のマウス製ビジネスノート「MousePro-NB530Z」。BTOでさらに低価格化可能

マウスコンピューター「MousePro-NB530Z」10万4,800円(税別)~

 マウスコンピューターから、法人向けスタンダードノートパソコン「MousePro NB5」が登場した。コストパフォーマンスを追求しつつも、ビジネスシーンで必要とされる機能を網羅し、幅広いカスタマイズ性を備えることで、さまざまな業種に対応できる製品に仕上がっている。

 今回は、CPUにCore i7-1065G7を採用する「MousePro-NB530Z」を取り上げる。すでに発売中で、直販価格は10万4,800円(税別)から。

幅広いビジネスシーンをターゲットとしたスタンダードノート

 MousePro-NB530Z(以下、NB530Z)は、マウスコンピューターの法人向けパソコン「MousePro」シリーズそのなかでも、幅広い用途に対応できるメインストリーム向けノートパソコンとして位置付けられている。そのため、NB530Zも個人向けパソコンのような派手さは一切なく、文字どおりスタンダードなビジネスノートという印象を強く受ける。

 筐体は直線的でフラットなデザインを採用しており、見た目に非常にシンプルだ。筐体素材は樹脂製で、外観はお世辞にも高級感は感じられない。マット調のブラックで塗装された筐体からは比較的重厚な印象が伝わってくるが、無骨で無個性なデザインと言ってもいいだろう。

ディスプレイを開いて正面から見た様子
天板部分。デザインはビジネスモバイルノートらしく非常にシンプル。マット調のブラックで重厚な印象もあるが、樹脂製筐体からは高級感は感じられない

 ただ、オフィスで利用するパソコンはこういったシンプルで無個性な見た目のほうが間違いなくマッチするはずで、用途を考えるとこのデザインは逆に好感が持てる。

 サイズは、361×256×24.1mm(幅×奥行き×高さ)。ディスプレイは左右が狭額ベゼル仕様となっているため、筐体サイズは15.6型ノートパソコンとしては比較的コンパクトだ。重量は約2.03kg。実測では1,992gと2kgを切っていたが、さすがに軽いということはない。

 とは言え、もともとモバイル用途をターゲットとしていないため、この重量でもとくに問題はないはずだ。会議などでオフィス内で持ち運ぶ場合でも苦にはならないだろう。

本体正面
左側面。高さは24.1mmと特別薄いわけではない
背面
右側面
底面。フットプリントは361×256mm(幅×奥行き)と、15.6型ノートパソコンとしてはまずまずコンパクトだ
重量は実測で1,992gと2kgを切っていた。モバイル用途には向かないが、オフィス内モバイルは苦にならないだろう

フルHD表示対応の15.6型液晶を搭載

 NB530Zでは、標準で1,920×1,080ドット(フルHD)表示対応の15.6型液晶パネルを採用している。法人向けのスタンダードノートパソコンでは、HD(1,366×768ドット)など比較的解像度の低い液晶パネルを搭載する例も多く見られるが、標準でフルHD液晶を採用している点は十分な魅力と言える。

 パネルの種類は非公開。実際に表示される映像を見るとあまり視野角は広くなく、IPSパネルではないと思われる。ただ、TNパネルほど視野角は狭くない印象。デスクワークでは視点が大きく移動することがあまりないため、この視野角の狭さが大きな問題となることはないだろう。

 また、パネル表面が非光沢処理となっているため、外光の映り込みはほとんど気にならない。オフィスの天井の照明が映り込むこともないため、文字入力が中心の作業も快適にこなせるだろう。

 反面、光沢液晶のような発色の鮮やかさは感じられないスタンダードノートパソコンとして標準的という印象だ。とは言え、一般ビジネス用途としては必要十分で、こちらも大きな不満はない。

フルHD表示対応の15.6型液晶を採用。IPSパネルではないようで視野角はやや狭いものの、デスクワークではとくに支障はないだろう
ディスプレイ表面は非光沢処理で外光の映り込みはほとんど感じられず、オフィスワークも快適だが、発色の鮮やかさはやや劣る印象
ディスプレイは135度ほどまで開く

テンキーつきフルサイズキーボードは非常に快適

 キーボードは、キーの間隔が開いたアイソレーションタイプのキーボードを搭載している。主要キーのキーピッチは約19mmフルピッチを確保。Enterキー付近の「¥」キーと「BackSpace」キーはわずかにピッチが狭くなっており、カーソルキーもやや小さいが、標準の日本語キーボード配列となっており、タッチタイプも余裕で行なえる。

 ストロークは実測で約1.5mmと十分に深い。キータッチはどちらかというと柔らかめだが、しっかりとしたクリック感が感じられるため、打鍵感も悪くない。個人的には柔らかめのタッチが好みなので、かなり快適なキー入力が可能だった。

 また、NB530Zのキーボードは標準でテンキーも搭載。ビジネスシーンでは数字の入力も多く行なわれることを考えると、テンキーの搭載はうれしい部分だ。加えてこのテンキーは、Enterキーからやや間を開けて配置されている。適度な間隔を空けてテンキーを配置しているため、通常の入力時でもタイプミスが発生することはほぼないと言える。

 なお、キーボードバックライトは搭載しないが、ターゲットとする用途を考えると問題とはならないはずだ。

 ポインティングデバイスは独立したクリックボタンを備えるタッチパッドを搭載。物理クリックボタンの用意で確実なクリック操作が行なえるのはもちろん、パッド自体も十分な面積が確保されており、扱いやすさは申し分ない。

 また、キーボードのホームポジションを中心に配置されている点も扱いやすいと感じる部分だ。おそらく通常は外付けマウスを接続して利用する場合が多いとは思うが、タッチパッドだけでも操作性にそれほど不満は感じないだろう。

キーボードはアイソレーションタイプで、標準的な日本語配列。テンキーも備えている
主要キーのキーピッチは約19mmフルピッチを確保
ストロークは約1.5mmと十分な深さ。タッチはやや軽めだが、クリック感はしっかりと感じられる
Enterキーとテンキーの間隔が空けられているため、ミスタイプの心配がない。カーソルキーは小さいが1段下に配置されている点もうれしい
独立したクリックボタンを備えるタッチパッドは面積が広く、ジェスチャー操作にも対応しており操作性は申し分ない

CPUはIce Lakeを採用しカスタマイズ性に優れる

 NB530Zでは、CPUにIce LakeことCore i7-1065G7を採用している。最新のTiger Lakeこと第11世代Coreプロセッサではないものの、スタンダードノートパソコンとして必要十分な性能を発揮するため、とくに不満はない。なお、NB530ZではCore i7-1065G7以外に、Core i3-1005G1、Core i5-1035G1搭載モデルも用意している。

 メモリは、標準でDDR4-2666 SDRAMを8GB備えており、最大64GBまで搭載可能。試用機では標準仕様の8GBで、8GBのSO-DIMMを1枚のみ搭載となっていた。標準ではメモリがシングルチャネル仕様となり、CPUの性能を最大限に引き出せない状態となっているため、予算の余裕があれば購入時に16GBに増設した上で購入したい。

 内蔵ストレージは、容量256GBのSATA仕様M.2 SSDを標準搭載。こちらも購入時のカスタマイズで容量は最大2TBまで搭載でき、SATA仕様だけでなくPCIe/NVMe仕様のSSDも選択可能となっている。さらに2.5インチドライブも同時搭載ができ、1TBのHDDを選ぶことも可能だ。

 このほか、DVDスーパーマルチドライブも標準搭載となっている。近年では光学式ドライブを搭載しないノートパソコンが標準となりつつあるが、ビジネスシーンではまだ利用される場面も少なくないため、こちらもうれしい仕様と言える。

右側面には標準でDVDスーパーマルチドライブを搭載。カスタマイズでBlu-rayドライブやDVD-ROMドライブの搭載、光学式ドライブ非搭載も選択できる

 なお、Blu-rayドライブや、書き込みの行なえないDVD-ROMドライブの選択も可能。合わせて光学式ドライブ非搭載も選択できるので、光学式ドライブが不要という場合には非搭載にすることでコストを削減可能だ。

 通信機能は、標準でIEEE 802.11ac準拠無線LANとBluetooth 5.0を搭載しているが、購入時にIEEE 802.11ax準拠の無線LANも選択できるため、より高速かつ安定した無線LAN通信を実現できる。また、LTE対応のワイヤレスWAN搭載モデルも用意される。試用機には搭載されていなかったが、ワイヤレスWAN対応モデルが必要な場合にはそちらを選べばいいだろう。

 Webカメラは約100万画素で、ディスプレイ上部中央に搭載。またデュアルアレイマイクも搭載しており、正面の人の声をしっかりキャッチするため、リモート会議への対応も申し分ない。

ディスプレイ上部には約100万画素のWebカメラとデュアルアレイマイクを搭載

 ポート類は、左側面に電源コネクタ、Gigabit Ethernet、ミニD-Sub15ピン出力、USB 3.0 Type-C、HDMI、USB 3.0を、右側面にヘッドフォンジャック、マイクジャック、USB 2.0×2、本体正面にSDカードスロットをそれぞれ配置。

左側面には、電源コネクタ、Gigabit Ethernet、ミニD-Sub15ピン出力、USB 3.0準拠USB Type-C、HDMI、USB 3.0の各ポートを用意
右側面にはヘッドフォンジャック、マイクジャック、USB 2.0×2を用意
正面にはSDカードスロットを用意

 このうちUSB Type-CはUSB PDに対応しており、45W(20V/2.25A)以上の出力を備えるUSB PD準拠ACアダプタを接続して電力の供給やバッテリの充電が可能。ただしDisplayPort Altanate Mode対応には非対応だ。

USB Type-CはUSB PD対応で、45W以上のUSB PD準拠ACアダプタを接続して給電が可能
出力45Wの小型ACアダプタが付属する
ACアダプタの重量は、付属電源ケーブル込みで実測202gだった

 このように仕様はスタンダードノートパソコンとして申し分なく、カスタマイズ性も優れるが、唯一残念なのが生体認証機能を搭載せず、カスタマイズでも選べない点だ。コストパフォーマンスを追求した製品ではあるが、できればカスタマイズで指紋認証センサーぐらいは搭載できるようにしてもらいたかったように思う。

スタンダードビジネスノートパソコンとして申し分ない性能を発揮

 では、ベンチマークテストの結果を見ていこう。今回利用したベンチマークソフトは、UL Benchmarksの「PCMark 10 v2.1.2506」、「3DMark Professional Edition v2.15.7113」、Maxonの「Cinebench R20.060」と「Cinebench R23.200」の4種類。比較としてレノボ・ジャパンの「ThinkPad X1 Nano」の結果も加えてある。

【表1】検証環境
MousePro-NB530ZThinkPad X1 Nano
CPUCore i7-1065G7
(1.3~3.9GHz)
Core i7-1160G7
(ターボブースト時最大4.4GHz)
ビデオチップIris Plus GraphicsIris Xe Graphics
メモリDDR4-2666 SDRAM 8GB×1LPDDR4X-3733 SDRAM 16GB
ストレージ256GB SSD(SATA)256GB SSD(NVMe/PCIe)
OSWindows 10 ProWindows 10 Pro
【表2】ベンチマーク結果
MousePro-NB530ZThinkPad X1 Nano
PCMark 10v2.1.2506
PCMark 10 Score3,7434,200
Essentials7,7529,043
App Start-up Score9,75911,147
Video Conferencing Score6,5077,470
Web Browsing Score7,3368,883
Productivity5,3975,211
Spreadsheets Score4,9075,625
Writing Score5,9364,829
Digital Content Creation3,4034,266
Photo Editing Score4,6136,529
Rendering and Visualization Score2,3922,652
Video Editting Score3,5744,484
CINEBENCH R20.060
CPU1,3372,133
CPU (Single Core)426536
CINEBENCH R23.200
CPU3,3734,136
CPU (Single Core)1,1801,356
3DMark Professional Editionv2.15.7113
Night Raid6,65914,564
Graphics Score6,96016,932
CPU Score5,3498,126
Sky Diver6,13211,847
Graphics Score5,91111,793
Physics Score8,05911,053
Combined score5,68813,813
Time Spy6321,407
Graphics Score5561,256
CPU Score2,9234,476

 結果を見ると、Tiger Lake UP4ことCore i7-1160G7搭載のThinkPad X1 Nanoに比べて大多数のスコアが劣っている。こればかりはCPUの世代が異なるため仕方がないが、Tiger Lake UP4を下回ってしまうという点はやはり残念に感じる。

 なお、試用機はメモリが8GBのシングルチャネル構成となっていたため、CPUの処理能力がフルに引き出せていないことは考慮する必要があるだろう。とくに、内蔵グラフィックス機能のIris Pro Graphicsの性能は、メモリを増設してデュアルチャネル構成とすることでかなり向上するはずだ。そういった意味で、ベンチマーク結果についてはさらに向上する余地があるだろう。

 そう考えると、NB530Zがターゲットとする一般ビジネス用途であれば、これだけの性能が発揮されていれば処理能力不足と感じる場面はほぼないと言える。少なくとも、ExcelやWord、PowerPointなどのOffice系アプリや、Web会議アプリなどは、申し分なく快適に利用できるはずだ。

 なお、高負荷時のCPUクーラーの動作音は、ゲーミングパソコンのようなうるささはないものの、風切り音がやや大きい印象。ただ通常時にはファンの動作音はほとんど聞こえず、十分静かに利用できる。

 続いてバッテリ駆動時間だ。NB530Zはモバイル用途をターゲットとしていないものの、念のため検証してみた。NB530Zは標準で容量31Whの着脱式リチウムイオンバッテリを採用しており、公称で約5時間の駆動が可能(JEITAバッテリ動作時間測定法 Ver2.0での数字)とされている。

 それに対し、Windowsの省電力設定を「バランス」、電源モードを「より良いバッテリー」、バックライト輝度を50%に設定し、無線LANを有効にした状態で、PCMark 10のBatteryテスト「PCMark 10 Battery Profile」の「Modern Office」を利用して計測したところ、4時間34分を記録した。それほど長時間ではないものの、電源の取れない会議室などで1時間程度の会議を行なう場合でも安心して利用できるだろう。

着脱式のリチウムイオンバッテリを採用。容量は31Whだ

コストパフォーマンスに優れるノートパソコンを探している法人ユーザーにおすすめ

 NB530Zは、コストパフォーマンスに優れるスタンダードビジネスノートであり、どちらかというとこれと言って個性がない製品だ。無骨で無個性なデザインと合わせて、個人で利用するパソコンとしてみると物足りないと感じるかもしれない。

 しかし、メインターゲットである法人用途では、こういったシンプルかつ無個性なパソコンのほうが好まれる。その上で、必要十分なスペックに、フルHD液晶や光学式ドライブを標準搭載し、キーボードもかなり扱いやすいため、快適に利用できるスタンダードビジネスノートパソコンに仕上がっていると言っていいだろう。

 また、用途に応じて細かな部分まで仕様をカスタマイズできるため、幅広いビジネス用途に柔軟に対応できる点もうれしい部分だ。

 NB530Zの直販価格は10万4,800円(税別)からだが、搭載CPUをCore i3やCore i5することでさらに価格を抑えられるため、コストパフォーマンスも申し分ない。そのため、性能や利便性を犠牲にすることなくコストを抑えたスタンダードノートを探している法人ユーザーにおすすめしたい。