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Ryzen搭載で約810gの高性能モバイルノート「富士通 UH75/E3」を検証。最新Core i7との性能差などを比較してみた

LIFEBOOK UH75/E3は、あの最軽量モデルと同一シリーズのRyzen 7 4700U搭載モデル。気になる性能や発熱などをチェックした

 富士通クライアントコンピューティング(FCCL)のLIFEBOOK UHシリーズは、13.3型液晶ディスプレイを搭載する超軽量のモバイルノートだ。

 約634gの世界最軽量を謳うLIFEBOOK UH-X/E3が有名だが、ここでは同一シリーズのRyzen 7 4700U搭載モデル「LIFEBOOK UH75/E3」をレビューする。

50Whバッテリ搭載で約810gの超軽量かつ堅牢な筐体

【表1】FMV LIFEBOOK UH75/E3のおもなスペック
CPURyzen 7 4700U(8コア8スレッド)
CPU周波数2GHz(最大4.1GHz)
メモリ8GB(LPDDR4X-4266)
SSD256GB SSD(PCI Express/NVMe)
グラフィックス機能Radeon Graphics (CPU内蔵)
ディスプレイ13.3型IPS液晶ディスプレイ、非光沢
表示解像度1,920×1,080ドット
カメラスライドカバーつきWebカメラ(約92万画素)
インターフェイスUSB 3.1 Type-C(USB PD対応、DisplayPort Alt Mode対応)×2、USB Type-A(3.2 Gen 1)×2、ヘッドフォン/マイク兼用、SDカードスロット(SDXC対応)、HDMI、セキュリティロック・スロット
通信機能Wi-Fi 6、Bluetooth 5
バッテリ駆動時間約15.8時間(JEITA 2.0)
サイズ307×197×15.5mm
重量約810g
OSWindows 10 Home
価格20万8,780円
(※執筆時点ではクーポン適用で18万6,780円)

 筐体の具体的なサイズは、307×197×15.5mmで、約634gの最軽量モデル(LIFEBOOK UH-X/E3)と共通だ。

 本製品の重量は約810gだが、重量の差はバッテリ容量によるところが大きい。最軽量モデルはバッテリ容量が25Whで、公称のバッテリ駆動時間が約11時間であるのに対し、このRyzenモデルは50Whと2倍の容量のバッテリを搭載しており、公称バッテリ駆動時間も約15.8時間と長い。

 もちろん、約810gでも13型クラスの画面を搭載したノートパソコンとしては最軽量クラスで、軽々と持ち運ぶことができる。

 実際に手に持ってみると、インパクトのある軽さと同時に、堅牢性も感じることができる。中身が入っていないような、独特の空洞感があるのだが、その一方で外郭は非常に硬質。片手であえて端のほうだけを持ってみてもたわみや、きしむような感触は皆無だ。

 本製品は、開発段階でさまざまな耐久テストを実施。約200kgfの全面加圧試験、約35kgfの一点加圧試験、自動車振動試験、約76cmからの落下試験などをクリアしていることが明らかにされているが、実物に触ればそれも納得できる。

軽量だが硬質さを感じる筐体。具体的なサイズは、307×197×15.5mmだ
裏面もシンプルだ
公称の重量は約810gだが、実測では781gと公称値よりも軽かった
USB Power Deliveryに対応した最大45W仕様のACアダプタが付属する。実測サイズは、約92×40×29mm(幅×奥行き×高さ)
表面はマットな仕上げでざらっとした手触りが印象的だ。指紋もつきにくい。
バッテリは50Whと十分な容量を搭載する。公称バッテリ駆動時間は約15.8時間だ

ディスプレイ出力、7.5W充電も可能なType-Cを2基搭載

 筐体側面には、USB 3.1対応のType-Cポートを2基装備。2基ともディスプレイ出力(DisplayPort Alt Mode)とUSB Power Delivery(PD)での充電/給電に対応しており、ACアダプタ接続用端子も兼ねている。付属のACアダプタもUSB PD対応で、出力仕様は最大45W(20V/2.25A)となっている。

 USB PD対応なので、市販されているUSB PD対応の汎用ACアダプタ/モバイルバッテリの利用も可能(動作保証は純正品のみ)。パソコンを利用しながらの充電は45W(20V/2.25A)以上、パソコンを使用しない状態であれば、7.5W(5V/1.5A)以上の出力があれば、充電可能だ。いざというときには汎用品、しかもスマートフォンなど出力の低いACアダプタ/モバイルバッテリでも充電できるのは非常に心強い。

 さらに、USB 3.0のType-Aを2基、HDMI出力、ヘッドフォン/マイク兼用端子に加えて、Gigabit EthernetやSDカードスロットまで備える。SDカードスロットの対応速度は明記がないが、手持ちのUHS-IIカードでテストしてみた結果から、UHS-I(SDR50)対応と思われる。UHS-I(SDR104)やUHS-IIに対応していない点はやや惜しいが、筐体のサイズと重量からは、驚くほどの充実の装備だ。

前面部。とくに端子類は、中央部にはカバーを開けやすいよう突起がある
背面。排気口が見える
左側面。2基のType-Cはともにディスプレイ出力(DisplayPort Alt Mode)、USB Power」 Deliveryに対応している。盗難防止用のセキュリティロックスロットも装備している
右側面。USB Type-A(USB 3.2 Gen 1)のほか、有線LAN、SDカードスロットと最近では省かれがちな端子もしっかり装備する
有線LANポートはガルウイングのように開いて使う
最大280MB/s、UHS-IIに対応したSanDisk Extreme PRO(SDSDXPB-064G)を使って計測したCrystalDiskMark 8.0.0(ひよひよ氏・作)のスコア。このスコアからするとUHS-I(SDR50)までの対応のようだ

カバーつきのWebカメラ、指紋センサーも搭載

 さらに、画面の上には約92万画素のWebカメラ、デジタルマイクを搭載する。Webカメラは物理シャッターつきで、使わないときには物理的にカメラを隠せる。リモートで盗撮されている不安を防げる。

 また、電源ボタンにWindows Hello対応の指紋センサーが内蔵されており、一度指紋を登録しておけば、ロックされた状態からパスワード入力なしでスピーディにログインできる。試用してみた印象ではセンサーの感度も非常に良く、登録も認証もスムースでストレスをまったく感じることがなかった。

画面の上にはWebカメラを搭載している
開閉式シャッターでカメラのレンズを隠せる
電源ボタンにWindows Hello対応の指紋センサーが内蔵されている。感度が良くストレスなくスピーディなログインができる

8コア8スレッドのRyzen 7 4700Uを搭載

 CPUはRyzen 7 4700Uを搭載している。モバイル向けのTDP 15Wモデルながら8コア8スレッド、最大周波数4.1GHzのパワフルな仕様を持ち、モバイル向けとしては随一のマルチスレッド性能を持つ。

 自作パソコン市場を席巻しているRyzenシリーズだが、モバイルでの採用例はまだ少なく、採用されていても低価格モデルが中心で、重量も重めの製品が多い。IntelのTiger Lakeと同じ世代の超軽量筐体を搭載した本製品は非常に貴重な存在だ。

 実際にどの程度の性能が発揮できるかは熱設計などに左右される部分もあるが、そのあたりは後ほどベンチマークテストでチェックしたい。

Ryzen 7 4700Uを搭載している。モバイル向けのTDP 15Wモデルながら8コア8スレッド、最大周波数4.1GHzのパワフルな仕様を持つ
HWiNFO64の詳細表示。PL1は22W、PL2は33.6Wと表示されている

8GBのメモリと256GBのストレージ構成

 グラフィックス機能はCPU内蔵のRadeon Graphicsを利用する。IntelのIris Xe Graphicsほどではないものの内蔵GPUとしては高い性能を持っている。

 内蔵GPUの性能はメモリ性能にも左右されるが、メモリもデュアルチャネル対応のLPDDR4X-4266を採用しているため、GPUのポテンシャルは最大限発揮できるだろう。

 メモリ容量は8GB固定。オンボードのために増設はできない。ストレージはPCIe 3.0x4(NVMe)対応のSSDを256GB搭載する。カスタムメイドには対応しておらず、仕様はこれで固定となっている。せっかく高性能なCPUを搭載しているのに、この仕様では用途がビジネス向けに限定されてしまう。この点は少し残念だ。

 なお、本製品は「川崎フロンターレ One Four KENGOモデル」のベースモデルとなっており、そちらはカスタムメイドに対応しており、メモリ16GBやストレージ512GBの構成を選ぶことができる。

ストレージは256GBのPCI Express SSDを搭載する。評価機ではSamsungのPM991が搭載されていた。公称シーケンシャルリード2,050MB/s、シーケンシャルライト1,000MB/sの普及価格帯モデルだ
CrystalDiskMark 8.0.0(ひよひよ氏・作)の結果。ほぼ公称値に近いスコアだ

液晶ディスプレイの表示品質も良好

 13.3型液晶ディスプレイの表示解像度は1,920×1,080ドットに対応している。表面は映り込みの少ない非光沢仕様だ。「高輝度、高色純度、広視野角のIGZO液晶」と記載されているが、このほかの具体的な仕様は公開されていない。

 エックスライトのカラーキャリブレーションセンサー「i1 Display Pro」で計測したところ、輝度が412cd/平方m、コントラスト比が約1,270:1、sRGBカバー率97.1%(面積比100.1%)と良好な結果を示した。

 目視でも明るくくっきりした表示でとても印象が良い。画面のヒンジは180度まで開くので、見やすい角度に調整できる。ビジネスや学習も捗りそうだ。

 底部の前面側にステレオスピーカーを搭載する。最大の音圧は最近のノートパソコンとしては低い。エンターテイメント用途では少し物足りないと思われる。外付けスピーカーやヘッドフォンなどで補うと良いだろう。

1,920×1,080ドット表示に対応する13.3型のIGZO液晶ディスプレイを搭載している。表面は映り込みにくい非光沢仕様だ。詳細なスペックは公開されていないが、視野角は上下左右とも広く、目視の印象はとても良い
画面は水平まで開くので見やすい角度に調整できる
エックスライトのカラーキャリブレーションセンサー「i1 Display Pro」の測定結果
Phonon氏制作の色度図作成ツール「Color AC」で実測の色域を表示した。実戦で示した本製品は、sRGBの色域(点線)とほぼ重なる。
底部にステレオスピーカーを搭載する。最近の製品としては最大音圧が低く迫力に欠ける

打ちやすさに配慮したフルサイズキーボードを搭載

 ゆとりのあるフルサイズキーボードを搭載しているのも見逃せない。主要キーのキーピッチは縦横とも約19mmを確保している。配列も工夫されており、右Altキーを省く一方、BackSpaceキーとEnterキーなど小指で操作する両端のキーを大きく確保し、さらにカーソルキーを一段下げて配置するなど、日本人にとって使いやすい配列を採用している。

 キーストロークは約1.5mmと薄型軽量ノートパソコンとしては十分な深さがあり、スイッチの感触も、クリック感がありながら反発が強すぎない程度に調整されており、長文入力しても疲れにくいだろう。筐体が軽いためか押下時に少しスカスカとした音がするが、特別静かなところでなければとくに気にならないだろう。これだけの薄型軽量筐体でこれだけの入力環境を用意しているのは見事だ。

 キーボード手前のタッチパッドは、入力ミスのしにくい2ボタン式だ。高精度タッチパッドに対応しており、OS標準の便利なジェスチャー機能も利用できる。

縦横ともに約19mmのピッチを確保している。右Altキーを省く一方、BackSpaceキーとEnterキーなど小指で操作する両端のキーを大きく確保し、さらにカーソルキーを一段下げて配置している。とても使いやすい配列だ
キーボード手前には2ボタン式のタッチパッドを搭載する

最軽量クラス随一のマルチスレッド性能

 ベンチマークテストの結果を掲載する。参考までに、以前にレビューした日本HPのZBook Firefly 14 G7 Mobile Workstation(以下ZBook Firefly 14 G7)、筆者所有のThinkPad T480s(2018年発売)の結果も合わせて掲載するとともに、平澤寿康氏がレビューしたLIFEBOOK UH-X/E3(634gの最軽量モデル)の結果も転記した。

【表2】検証環境
UH75/E3UH-X/E3HP ZBook Firefly 14 G7
Mobile Workstation
ハイパフォーマンスモデル
ThinkPad T480s
メーカーFCCLFCCL日本HPレノボジャパン
CPURyzen 7 4700UCore i7-1165G7Core i7-10810UCore i5-8250U
メモリ8GB(LPDDR4X-4266)8GB(LPDDR4X-3733)32GB(DDR-2400 16GB×2)4GB+16GB(DDR4-2400)
ストレージSamsung PM991(256GB、PCIe 3.0x4)SSD(1TB、PCIe 3.0x4)キオクシア KXG60PNV2T04(2TB、PCI Express 3.0x4)WD Blue 3D NAND SATA SSD(1TB、SATA 6Gb/s)
グラフィックス機能Radeon Graphics (CPU内蔵)Iris Xe Graphics(CPU内蔵)Quadro P520(4GB)UHD Graphics 620(CPU内蔵)
OSWindows 10 Pro 64bit(20H2)Windows 10 Pro 64bitWindows 10 Pro 64bit(2004)Windows 10 Pro 64bit(20H2)
備考-平澤寿康氏のレビューからの転記2020年10月掲載のレビューで計測2019年2月購入(2018年発売モデル)
メモリ増設、SSD交換
【表3】ベンチマーク結果
UH75/E3UH-X/E3HP ZBook Firefly 14 G7
Mobile Workstation
ThinkPad T480s
Cinebench R20
CPU2,4151,9801,9671,201
CPUシングルコア476550428348
Cinebench R23
CPU(Duration Off)6,7173,160
CPU(10 minutes)5,8704,7953,138
CPUシングルコア(Duration Off)1,207893
CPUシングルコア(10 minutes)1,2101,415895
PCMark 10
PCMark 104,9944,9613,9653,590
Essential8,79310,1057,8857,322
Productivity7,4566,8976,6065,785
Digital Content Creation5,1574,7563,2472,964
PCMark 10 MODERN OFFICE BATTERY LIFE
SCORE11時間51分6時間11分7時間14分
Battery Life Performance4,6615,715
3DMark
Time Spy1,1491,771
Graphics1,0121,608
CPU4,9824,177
FireStrike3,1012,9511,054
Graphics3,4293,1781,127
Physics13,87015,1228,384
Combined1,0771,077377
Night Raid13,32716,5005,214
Graphics14,07421,3275,326
CPU10,2467,2994,663
FINAL FANTASY XIV : 漆黒のヴィランズベンチマーク
1,280×720/ノートPC標準/ウィンドウ6,79912,9843,758
ローディングタイム(秒)21.87613.14847.158
1,920×1,080/ノートPC標準/フルスクリーン46177446
ローディングタイム(秒)25.35112.446
Premiere Pro(秒)
4Kプロジェクト書き出し(HW、H.264)7335801,643
Lightroom Classic(秒)
RAW→JPEG235425
動作音(dB、室温22℃、前面から5cmで測定)
暗騒音31.8
アイドル時31.8
Premiere Pro書き出し時38.4

【お詫びと訂正】初出時に、比較対象のUH-X/E3のCPU名を間違って記載しておりました。お詫びして訂正させていただきます。

 Cinebench R20のCPUスコアは、2,415pts。6コア12スレッドのCore i7-10810U搭載のZBook Firefly 14 G7、Tiger Lakeの主力モデルであるCore i7-1165G7搭載のUH-X/E3のスコアを大きく上回っており、最軽量クラス随一のマルチスレッド性能を実証している。

 ただ、CPUシングルコアのスコアは逆に最新のIntel CPU搭載機にはおよばない結果となっている。もっとも、約3年弱前のモデルであるThinkPad T480sにはCPU、CPUシングルコアともに大差をつけている。

 Cinebench R23は、10分間実行し続けてスコアを出す標準のテスト(10 minutes)のほかに、1回だけ実行するオプションを有効にした場合(Duration Off)でも実行してみた。

 マルチスレッド性能を見るCPUスコアは、10分間負荷をかけ続けた状態のほうが14%ほどスコアが低いが、それでもCore i7-1165G7搭載のUH-X/E3には完勝だ。一方、CPUシングルコアでは負荷時間による差はないが、こちらはUH-X/E3には少しおよばない結果となっている。

 システムの総合性能を見るPCMark 10のスコアは、総合スコアで見るとCore i7-1165G7を搭載するUH-X/E3とほぼ同じだが、Webブラウズやビデオチャットなど日常操作系のEssentialsで強いUH-X/E3に対し、オフィス作業を想定したテストであるProductivity、クリエイティブアプリを利用してコンテンツ制作を行なうDigital Content Creationでは本製品が完勝している。

 ここでもマルチスレッド性能に強いRyzen Mobile、シングルスレッド性能に優れるTiger Lakeといった傾向が反映されているが、ZBook Firefly 14 G7やThinkPad T480sには3項目ともに完勝しており、シングルスレッド性能も優秀であり、日常操作系のアプリも快適に利用できることには違いない。

 また、3DMarkのスコアを見ると、やはり3D描画系のテストではTiger LakeのIris Xe Graphicsが強い。それでもThinkPad T480sの3倍前後のスコアをマークしており、モバイルノートとしては高いレベルのグラフィックス性能を持っていることには違いない。

 Lightroom Classic CCでは、ソニーのα7RIIIのRAWデータ(4,240万画素)を100枚使用。現像パラメータのプリセットを適用し、長辺3,000ピクセルのJPEGファイルに書き出す時間を計測した。ビデオ編集ソフトのPremiere Pro CCでは4Kの8本のビデオクリップを編集した約5分間のプロジェクトを書き出した。本製品のメモリは8GBなので不利ではあるが、いずれもThinkPad T480sには大差をつけて勝っている。

バッテリ駆動時間は実働12時間弱、静音性、放熱設計も優秀

 バッテリのテストとしては、PCMark 10/Modern Office Battery Lifeを実行した。バッテリの設定は「よりよいバッテリー」、ディスプレイの輝度は50%としている。結果は11時間51分と十分な駆動時間だ。

 なお、Battery Life Performanceのスコアは4661と、ZBook Firefly 14 G7に比べて低い。このテストはIntel CPUが強いEssentialsに含まれるテスト中心に構成されているので、そのあたりが出ている面もあるだろう。

 静音性も優秀だ。アイドル時はほぼ無音。高負荷時も穏やかに上昇する程度にとどまる。筐体の発熱は排気口があるヒンジ奥は熱くなるが、Fキーのキートップの温度は35.7℃と体温程度。パームレストは全域25℃以下とクールなままだった。放熱設計も優秀と言える。

PCMark 10/Modern Office Battery Lifeのスコア
Premiere Proでのプロジェクト出力中(開始から約7分後)にFLIR ONEで撮影したサーモグラフィ(室温22℃)。

ビジネスモバイルとして見事な完成度

 FCCLの直販サイトでの販売価格は、20万8,780円(現在クーポン配布中で18万6,780円で購入可能)となっている。Tiger Lake(Core i7-1165G7)搭載のUH-Xが21万9,780円(クーポン利用時)である。性能は一長一短ではあるが、コストパフォーマンスが高いのは間違いないところだろう。

 薄型軽量を追求したモデルであるにも関わらず、充実のインターフェイスや入力環境を兼ね備えており、さらにベンチマークテストでは高い性能、長時間のバッテリ駆動時間も実証した。

 顔認証カメラやSDカードスロットがUHS-IIに対応していればなおよかったが、いずれも許容できるものだろう。ビジネスモバイルノートとしての完成度の高さは見事というほかにない。

 メモリ8GB、ストレージ256GBという標準構成で、川崎フロンターレ特別モデル以外はカスタムメイドにも対応していないという点は少々残念だが、このあたりはユーザーの声次第でどうとでもなることだろう。

 前述したように、Ryzen Mobileは採用例がまだ少なく、採用されていても低価格モデルが中心で、重量も重めの製品が多い。IntelのTiger Lakeと同じ世代の超軽量筐体を搭載した本製品は非常に貴重な存在だ。これをきっかけとして、今後の展開にもおおいに期待したいところだ。