Hothotレビュー
税別10万円切りでCore i7搭載! 仕事にも使えるLEVEL∞のゲーミングパソコン
2020年12月24日 06:50
安価なゲーミングパソコンの価値はどこにある?
ユニットコムのiiyama PCブランド「LEVEL∞」より、ミニタワー型ゲーミングパソコン「LEVEL-M046-iX7-RJSX」が発売された。
本機は「LEVEL∞」のラインナップのなかで、microATXマザーボードを採用したM-Classの製品となる。スペックはゲーミングパソコンとしてはエントリークラスで、税別価格は9万9,980円(税込10万9,978円)となっている。
ゲーミングパソコンというと、高性能で高価なほどよいという印象を持つ人もいると思う。しかし遊びたいゲームが決まっているなら、必要十分な性能を持つパソコンがあればいい。本機のターゲットはどのあたりになるのか、という点も考えながら実際の製品を見ていきたい。
最新のCore i7を搭載した軽量ミニタワー
「LEVEL-M046-iX7-RJSX」のスペックは下記のとおり。
【表1】LEVEL-M046-iX7-RJSXのスペック | |
---|---|
CPU | Core i7-10700(8コア/16スレッド、2.9~4.8GHz) |
チップセット | Intel B460 |
GPU | GeForce GTX 1660 SUPER(6GB GDDR6) |
メモリ | 8GB DDR4-2666(4GB×2) |
SSD | 500GB(M.2 NVMe) |
光学ドライブ | なし |
電源 | 500W(80PLUS Bronze) |
OS | Windows 10 Home |
汎用ポート | USB 3.0×6 |
カードスロット | なし |
映像出力 | HDMI、DisplayPort |
有線LAN | Gigabit Ethernet |
その他 | 音声入出力など |
本体サイズ(幅×奥行き×高さ) | 約190×410×356mm |
重量 | 約7.1kg(試用機の実測値) |
税別価格 | 9万9,980円 |
CPUは最新で8コアのCore i7-10700、GPUはGeForce GTX 1660 SUPERを採用。GeForce GTX 16xx系のアーキテクチャはレイトレ向けのRTコアがないのを除いてGeForce RTX 20xx系と同じTuringなので、GPUの世代的には最新のGeForce RTX 30xxから見て1つ前ということになる。
メインメモリが8GBとゲーミング向けとしてはやや少ないが、カスタマイズで最大32GBまで増量可能。16GBなら3,480円でアップグレードできるので、ゲーム用途を視野に入れるなら積極的にアップグレードしたい。またストレージは500GBのM.2 NVMe SSDのみとなっているが、こちらも容量アップやHDDの追加が可能となっている。
ケースはInWin製の「EM058」で、前面には「LEVEL∞」のロゴが入っている。全体重量はスペックシートには書かれていないが、試用機の実測で約7.1kgだった。
ちなみにキーボードとマウスも標準で付属する。いずれもとくにゲーミング向けというわけではなく、マウスも3ボタンのシンプルなものなので、とりあえず使えるものという程度で考えておくといい。
ゲームによっては4Kでの動作もあり
次は実機を見ていこう。最初にベンチマークテストを試していく。利用したのは、「PCMark 10 v2.1.2506」、「3DMark v2.16.7113」、「VRMark v1.3.2020」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」、「ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 EPISODE4」、「Cinebench R23」、「CrystalDiskMark 8.0.0」。
【表2】ベンチマークスコア | |
---|---|
「PCMark 10 v2.1.2506」 | |
PCMark 10 | 6,333 |
Essentials | 10,166 |
Apps Start-up score | 13,509 |
Video Conferencing Score | 8,438 |
Web Browsing Score | 9,218 |
Productivity | 7,850 |
Spreadsheets Score | 9,119 |
Writing Score | 6,759 |
Digital Content Creation | 8,637 |
Photo Editing Score | 8,964 |
Rendering and Visualization Score | 11,858 |
Video Editing Score | 6,062 |
「3DMark v2.16.7113 - Time Spy」 | |
Score | 6,102 |
Graphics score | 5,747 |
CPU score | 9,389 |
「3DMark v2.16.7113 - Port Royal」 | |
Score | 1,529 |
「3DMark v2.16.7113 - Fire Strike」 | |
Score | 13,964 |
Graphics score | 14,927 |
Physics score | 23,990 |
Combined score | 6,617 |
「3DMark v2.16.7113 - Night Raid」 | |
Score | 45,395 |
Graphics score | 72,338 |
CPU score | 14,594 |
「3DMark v2.16.7113 - Sky Diver」 | |
Score | 37,773 |
Graphics score | 48,962 |
Physics score | 18,629 |
Combined score | 32,221 |
「VRMark v1.3.2020 - Orange Room」 | |
Score | 9,436 |
Average frame rate | 205.71FPS |
「VRMark v1.3.2020 - Cyan Room」 | |
Score | 5,837 |
Average frame rate | 127.24FPS |
「VRMark v1.3.2020 - Blue Room」 | |
Score | 1,847 |
Average frame rate | 40.27FPS |
「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」(高品質) | |
3,840×2,160ドット | 2,535 |
1,920×1,080ドット | 6,018 |
「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」(最高品質) | |
3,840×2,160ドット | 4,677 |
1,920×1,080ドット | 14,970 |
「ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 EPISODE4」(簡易設定6) | |
1,920×1,080ドット | 78,390 |
「Cinebench R23」 | |
CPU(Multi Core) | 9,717pts |
CPU(Single Core) | 1,259pts |
「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」では、フルHDでは「快適」評価だが、4Kだと「やや重い」となる。また「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」では、フルHDで「非常に快適」、4Kで「快適」となった。
フルHDであればおおむね快適に動かせるゲームは多そうで、4Kはあまりヘビーでないものなら可という印象。遊びたいゲームが決まっているなら4Kにチャレンジしてみてもいいが、複数のゲームに手を出すなら4Kより低い解像度での利用を想定しておくほうがいいだろう。
「3DMark」のリアルタイムレイトレーシングを使ったベンチマーク「Port Royal」は、実行はできるものの、結果はかなり低速。GeForce GTX 1660 SUPERはTuringアーキテクチャだが、レイトレーシングを使いたいならGeForce RTXシリーズを選ぶほうがいい。
「VRMark」を見ると、もっとも重い「Blue Room」はターゲットフレームレートに届かなかったものの、「Orange Room」ではかなり余裕があり、Oculus Riftのミニマムスペックとの比較ではおよそ2.5倍のフレームレートとなっている。パソコン向けのVRヘッドセットにもある程度は対応できそうだ。
ストレージはWestern Digital製のWD Blue SN550 NVMe SSD「WDS500G2B0C」が使われていた。シーケンシャルリードで約2.5GB/sと高速で、読み込みの多いゲームでも快適なプレイができそうだ。
シンプルな外見を採用し、静音性も高い
次は実機の使用感を見ていきたい。ケースは「LEVEL∞」ではおなじみとなった、ブラックのベースにレッドのラインが入ったデザインのもの。装飾用のLEDはなく、形状もほぼ直方体でシンプルだ。
電源ボタンや端子類は正面向かって右側の側面にある。そのため正面がほぼ完全にフラットで、デザイン的に優れている。しかし、本機を使用者の右側に設置すると、電源ボタンや各種端子が本体の向こう側に位置することになり、使いにくくなる。左側面パネルには空気口も空けられているので、本機は左側に設置する前提で考えておくほうがいいだろう。
ほかにはアクセスランプが天面手前にあるくらい。背面パネルもオーソドックスな配置だ。ちなみにビデオカードはスペックシート上ではHDMIとDisplayPortを1つずつ搭載とされているが、実際の製品では今時めずらしくDVI端子も備えていた(今後の製品は使用するパーツが変わる可能性もあるので注意)。
電源を入れると、電源ボタンが青く光る。電源ボタンは少しくぼんだ位置にあり、正面からは見えないため、右側から見ないと電源ボタンの光は見えない。また動作音はかなり静かで、近づくとファンの音がわずかに聞こえる程度。リビングに置いて動画鑑賞などに使っても邪魔にならない。
ゲームなどで高負荷にすると、ファンの回転音が聞こえてくる。ホワイトノイズのような風切り音で、音量もかなりひかえ目。音量・音質ともスピーカーから出るゲームの音を邪魔するほどではない。神経質な人でも、ヘッドフォンをしてしまえばまず気にならないはずだ。
本体背面から出る風量も少なく、向かい側の人や物への排熱の影響は考えなくてもよさそう。コンパクトかつ軽量なミニタワー型だけに、設置場所は融通が利きそうだ。そういう意味では、電源ボタンや端子類が右側面にあるのが、利便性の点では余計に惜しい。
続いて内部も見ていこう。2つのネジを外して左側面パネルを開けると、これまたシンプルな中身が見える。
microATXサイズのマザーボードに、Cooler Master製のトップフロー型CPUファン。ASUS製のビデオカードはシングルファンでかなり短い。ストレージはM.2 SSDのみなのでSATAケーブルもなし。ケースの奥行きには余裕があるので、配線をマザーボードのない部分へ回してまとめてある。
ケースファンは背面の12cmファンのみ。側面前方にある赤い部分と、左側面パネルの穴から吸気、背面のケースファンとビデオカード、電源から排気で、吸気は自然に任せるかたちだ。
見た目にも構造的にも飾りっ気も何もないが、とくに大きな熱源もないならこれでよい、という判断であろう。実際、動作音も排熱も気にならないレベルなのだから、なんら問題はない。
ちなみにケース内部には5インチベイが2つ、3.5インチベイが4つ空いている。カスタマイズではHDDを2基追加できる(うち1基はSSDも可能)ほか、内蔵の光学ドライブも追加できる。小型ながらそのあたりの融通が利くのもいい。
ゲーミングにとどまらない汎用性が魅力。カスタマイズで自分好みの構成に
本機はゲーミングパソコンでありながら税別10万円を切る低価格が魅力だが、ただ安いだけではなく、いろいろな魅力がある。
まず性能面では、8コアのCore i7-10700を搭載している。オフィスワークではオーバースペックなほどだし、ゲームの裏で配信など別の作業をしても十分カバーできる処理能力を持っている。
GPUのGeForce GTX 1660 SUPERは、最新世代でもなければハイエンドでもないが、そのぶん価格は抑えられている。また昨今のGPUは4Kゲーミングがターゲットになりつつあるが、ゲームはフルHDでいいとか、解像度よりもリフレッシュレートが重要という志向もある。4Kが不要で、リアルタイムレイトレーシングも不要なら、多くのゲームで十分な性能を発揮できる。
メインメモリやストレージは標準仕様ではやや心もとないが、カスタマイズでそれほど金額を上げることなく拡張が可能だ。標準仕様はあくまでベースモデルと考えて、必要なものを追加していくつもりでいるのがいい。
柔軟なカスタマイズを実現してくれるケースは、内部に余裕がありつつもコンパクト。GPUがミドルクラスなので動作音も小さく、外見の主張もひかえめなので、置き場所を選ばない。見た目のわりにかなり軽量なので移動も簡単だ。
本機は「LEVEL∞」ブランドの製品であり、ビデオカードを搭載したゲーミングパソコンではあるのだが、ゲームはもちろん、静かな環境で利用したい動画再生やテレワークなど、幅広い用途に対応できる。それでいて安価でカスタマイズ幅も広いのが、本機の真の魅力だ。