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税別10万円切りでCore i7搭載! 仕事にも使えるLEVEL∞のゲーミングパソコン

安価なゲーミングパソコンの価値はどこにある?

LEVEL-M046-iX7-RJSX

 ユニットコムのiiyama PCブランド「LEVEL∞」より、ミニタワー型ゲーミングパソコン「LEVEL-M046-iX7-RJSX」が発売された。

 本機は「LEVEL∞」のラインナップのなかで、microATXマザーボードを採用したM-Classの製品となる。スペックはゲーミングパソコンとしてはエントリークラスで、税別価格は9万9,980円(税込10万9,978円)となっている。

 ゲーミングパソコンというと、高性能で高価なほどよいという印象を持つ人もいると思う。しかし遊びたいゲームが決まっているなら、必要十分な性能を持つパソコンがあればいい。本機のターゲットはどのあたりになるのか、という点も考えながら実際の製品を見ていきたい。

最新のCore i7を搭載した軽量ミニタワー

 「LEVEL-M046-iX7-RJSX」のスペックは下記のとおり。

【表1】LEVEL-M046-iX7-RJSXのスペック
CPUCore i7-10700(8コア/16スレッド、2.9~4.8GHz)
チップセットIntel B460
GPUGeForce GTX 1660 SUPER(6GB GDDR6)
メモリ8GB DDR4-2666(4GB×2)
SSD500GB(M.2 NVMe)
光学ドライブなし
電源500W(80PLUS Bronze)
OSWindows 10 Home
汎用ポートUSB 3.0×6
カードスロットなし
映像出力HDMI、DisplayPort
有線LANGigabit Ethernet
その他音声入出力など
本体サイズ(幅×奥行き×高さ)約190×410×356mm
重量約7.1kg(試用機の実測値)
税別価格9万9,980円

 CPUは最新で8コアのCore i7-10700、GPUはGeForce GTX 1660 SUPERを採用。GeForce GTX 16xx系のアーキテクチャはレイトレ向けのRTコアがないのを除いてGeForce RTX 20xx系と同じTuringなので、GPUの世代的には最新のGeForce RTX 30xxから見て1つ前ということになる。

 メインメモリが8GBとゲーミング向けとしてはやや少ないが、カスタマイズで最大32GBまで増量可能。16GBなら3,480円でアップグレードできるので、ゲーム用途を視野に入れるなら積極的にアップグレードしたい。またストレージは500GBのM.2 NVMe SSDのみとなっているが、こちらも容量アップやHDDの追加が可能となっている。

 ケースはInWin製の「EM058」で、前面には「LEVEL∞」のロゴが入っている。全体重量はスペックシートには書かれていないが、試用機の実測で約7.1kgだった。

 ちなみにキーボードとマウスも標準で付属する。いずれもとくにゲーミング向けというわけではなく、マウスも3ボタンのシンプルなものなので、とりあえず使えるものという程度で考えておくといい。

ゲームによっては4Kでの動作もあり

 次は実機を見ていこう。最初にベンチマークテストを試していく。利用したのは、「PCMark 10 v2.1.2506」、「3DMark v2.16.7113」、「VRMark v1.3.2020」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」、「ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 EPISODE4」、「Cinebench R23」、「CrystalDiskMark 8.0.0」。

【表2】ベンチマークスコア
「PCMark 10 v2.1.2506」
PCMark 106,333
Essentials10,166
Apps Start-up score13,509
Video Conferencing Score8,438
Web Browsing Score9,218
Productivity7,850
Spreadsheets Score9,119
Writing Score6,759
Digital Content Creation8,637
Photo Editing Score8,964
Rendering and Visualization Score11,858
Video Editing Score6,062
「3DMark v2.16.7113 - Time Spy」
Score6,102
Graphics score5,747
CPU score9,389
「3DMark v2.16.7113 - Port Royal」
Score1,529
「3DMark v2.16.7113 - Fire Strike」
Score13,964
Graphics score14,927
Physics score23,990
Combined score6,617
「3DMark v2.16.7113 - Night Raid」
Score45,395
Graphics score72,338
CPU score14,594
「3DMark v2.16.7113 - Sky Diver」
Score37,773
Graphics score48,962
Physics score18,629
Combined score32,221
「VRMark v1.3.2020 - Orange Room」
Score9,436
Average frame rate205.71FPS
「VRMark v1.3.2020 - Cyan Room」
Score5,837
Average frame rate127.24FPS
「VRMark v1.3.2020 - Blue Room」
Score1,847
Average frame rate40.27FPS
「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」(高品質)
3,840×2,160ドット2,535
1,920×1,080ドット6,018
「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」(最高品質)
3,840×2,160ドット4,677
1,920×1,080ドット14,970
「ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 EPISODE4」(簡易設定6)
1,920×1,080ドット78,390
「Cinebench R23」
CPU(Multi Core)9,717pts
CPU(Single Core)1,259pts

 「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」では、フルHDでは「快適」評価だが、4Kだと「やや重い」となる。また「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」では、フルHDで「非常に快適」、4Kで「快適」となった。

 フルHDであればおおむね快適に動かせるゲームは多そうで、4Kはあまりヘビーでないものなら可という印象。遊びたいゲームが決まっているなら4Kにチャレンジしてみてもいいが、複数のゲームに手を出すなら4Kより低い解像度での利用を想定しておくほうがいいだろう。

 「3DMark」のリアルタイムレイトレーシングを使ったベンチマーク「Port Royal」は、実行はできるものの、結果はかなり低速。GeForce GTX 1660 SUPERはTuringアーキテクチャだが、レイトレーシングを使いたいならGeForce RTXシリーズを選ぶほうがいい。

 「VRMark」を見ると、もっとも重い「Blue Room」はターゲットフレームレートに届かなかったものの、「Orange Room」ではかなり余裕があり、Oculus Riftのミニマムスペックとの比較ではおよそ2.5倍のフレームレートとなっている。パソコン向けのVRヘッドセットにもある程度は対応できそうだ。

 ストレージはWestern Digital製のWD Blue SN550 NVMe SSD「WDS500G2B0C」が使われていた。シーケンシャルリードで約2.5GB/sと高速で、読み込みの多いゲームでも快適なプレイができそうだ。

Western Digital WDS500G2B0C

シンプルな外見を採用し、静音性も高い

正面はブラックのベースにレッドの枠というカラーリング。形状はフラット

 次は実機の使用感を見ていきたい。ケースは「LEVEL∞」ではおなじみとなった、ブラックのベースにレッドのラインが入ったデザインのもの。装飾用のLEDはなく、形状もほぼ直方体でシンプルだ。

 電源ボタンや端子類は正面向かって右側の側面にある。そのため正面がほぼ完全にフラットで、デザイン的に優れている。しかし、本機を使用者の右側に設置すると、電源ボタンや各種端子が本体の向こう側に位置することになり、使いにくくなる。左側面パネルには空気口も空けられているので、本機は左側に設置する前提で考えておくほうがいいだろう。

電源ボタンは右側面前方にある。端子部もその下に並ぶ
天面は完全にフラット。前方にアクセスランプがあるのみ

 ほかにはアクセスランプが天面手前にあるくらい。背面パネルもオーソドックスな配置だ。ちなみにビデオカードはスペックシート上ではHDMIとDisplayPortを1つずつ搭載とされているが、実際の製品では今時めずらしくDVI端子も備えていた(今後の製品は使用するパーツが変わる可能性もあるので注意)。

左側面は空気穴が空けられている
右側面はフラットなパネル

 電源を入れると、電源ボタンが青く光る。電源ボタンは少しくぼんだ位置にあり、正面からは見えないため、右側から見ないと電源ボタンの光は見えない。また動作音はかなり静かで、近づくとファンの音がわずかに聞こえる程度。リビングに置いて動画鑑賞などに使っても邪魔にならない。

 ゲームなどで高負荷にすると、ファンの回転音が聞こえてくる。ホワイトノイズのような風切り音で、音量もかなりひかえ目。音量・音質ともスピーカーから出るゲームの音を邪魔するほどではない。神経質な人でも、ヘッドフォンをしてしまえばまず気にならないはずだ。

 本体背面から出る風量も少なく、向かい側の人や物への排熱の影響は考えなくてもよさそう。コンパクトかつ軽量なミニタワー型だけに、設置場所は融通が利きそうだ。そういう意味では、電源ボタンや端子類が右側面にあるのが、利便性の点では余計に惜しい。

背面はmicroATXのオーソドックスなデザイン
底面は4カ所にプラスチック製の足が着けられている

 続いて内部も見ていこう。2つのネジを外して左側面パネルを開けると、これまたシンプルな中身が見える。

 microATXサイズのマザーボードに、Cooler Master製のトップフロー型CPUファン。ASUS製のビデオカードはシングルファンでかなり短い。ストレージはM.2 SSDのみなのでSATAケーブルもなし。ケースの奥行きには余裕があるので、配線をマザーボードのない部分へ回してまとめてある。

左側面パネルを開けたところ

 ケースファンは背面の12cmファンのみ。側面前方にある赤い部分と、左側面パネルの穴から吸気、背面のケースファンとビデオカード、電源から排気で、吸気は自然に任せるかたちだ。

CPUファンはCooler Master製
ビデオカードはASUS製
後方に12cmファンがある

 見た目にも構造的にも飾りっ気も何もないが、とくに大きな熱源もないならこれでよい、という判断であろう。実際、動作音も排熱も気にならないレベルなのだから、なんら問題はない。

電源はFSP製の「500A-SAB1」
前方に5インチと3.5インチのドライブベイを備える
右側面パネルを開けても、とくにスロットや配線系は見当たらない

 ちなみにケース内部には5インチベイが2つ、3.5インチベイが4つ空いている。カスタマイズではHDDを2基追加できる(うち1基はSSDも可能)ほか、内蔵の光学ドライブも追加できる。小型ながらそのあたりの融通が利くのもいい。

ゲーミングにとどまらない汎用性が魅力。カスタマイズで自分好みの構成に

シンプルかつ軽量でカスタマイズの幅も広いミニタワーパソコン

 本機はゲーミングパソコンでありながら税別10万円を切る低価格が魅力だが、ただ安いだけではなく、いろいろな魅力がある。

 まず性能面では、8コアのCore i7-10700を搭載している。オフィスワークではオーバースペックなほどだし、ゲームの裏で配信など別の作業をしても十分カバーできる処理能力を持っている。

 GPUのGeForce GTX 1660 SUPERは、最新世代でもなければハイエンドでもないが、そのぶん価格は抑えられている。また昨今のGPUは4Kゲーミングがターゲットになりつつあるが、ゲームはフルHDでいいとか、解像度よりもリフレッシュレートが重要という志向もある。4Kが不要で、リアルタイムレイトレーシングも不要なら、多くのゲームで十分な性能を発揮できる。

 メインメモリやストレージは標準仕様ではやや心もとないが、カスタマイズでそれほど金額を上げることなく拡張が可能だ。標準仕様はあくまでベースモデルと考えて、必要なものを追加していくつもりでいるのがいい。

 柔軟なカスタマイズを実現してくれるケースは、内部に余裕がありつつもコンパクト。GPUがミドルクラスなので動作音も小さく、外見の主張もひかえめなので、置き場所を選ばない。見た目のわりにかなり軽量なので移動も簡単だ。

 本機は「LEVEL∞」ブランドの製品であり、ビデオカードを搭載したゲーミングパソコンではあるのだが、ゲームはもちろん、静かな環境で利用したい動画再生やテレワークなど、幅広い用途に対応できる。それでいて安価でカスタマイズ幅も広いのが、本機の真の魅力だ。