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デスクトップ向けCore i7搭載の15.6型ノート、マウス「m-Book G570SN-M2SH5」

マウスコンピューター「m-Book G570SN-M2SH5」

 マウスコンピューターから、15.6型液晶搭載のスタンダードノートPC「m-Book G570」シリーズが登場した。

 CPUにデスクトップ向けCore i7を採用することで、一般的なノートPCよりも優れた性能を発揮する点が大きな特徴となっている。

 今回は、このm-Book G570シリーズの中で最上位となる「m-Book G570SN-M2SH5」を取り上げる。すでに発売中で、税別直販価格は116,800円から。

メインストリーム向けノートPCとして標準的な外観

 「m-Book G570SN-M2SH5」(以下、G570SN-M2SH5)は、マウスコンピューターのメインストリーム向けノートPCシリーズの中でも、手ごろな価格を維持しつつ、性能を重視したモデルとして位置付けられている。それもあって、外観は比較的シンプルなものとなっている。

 コスト性能重視の製品ということもあって、筐体素材は樹脂を採用。ある程度樹脂の素材感が伝わってくるため、さすがに金属製筐体のノートPCのような高級感はない。ただ、天板やキーボード面はガンメタリック調の塗装が施されていることもあって、いかにも低価格PCといった安っぽさもない。

 天板のロゴもそれほど目立つものではなく、全体的に落ち着いた印象で、書斎やオフィスで利用するのであれば、違和感はないだろう。

 サイズは380×252×36.7mm(幅×奥行き×高さ)となる。ディスプレイのベゼルは比較的幅が広く、高さも比較的あるため、やや大きいという印象もあるが、メインストリーム向けの15.6型ノートPCとしては、標準的なサイズだ。

 重量は公称約2.4kg、実測では2,345gだった。基本的にはデスクに置いて利用するメインノートとして位置付けられており、家庭やオフィス内で持ち歩いて利用する程度であれば、この程度の重量でも大きな問題はないだろう。

天板。デザインはシンプル。樹脂製で高級感はないが、ガンメタリック調の塗装で明らかな安っぽさもない
正面
左側面。手前よりも奥が高くなっている
背面
右側面
底面。フットプリントは380×252mm(幅×奥行き)と、15.6型ノートPCとしては標準的なサイズだ
重量は実測で2,345gだった

デスクトップ向けCore i7を搭載

 競合となるメインストリーム向けノートPCの上位モデルでは、CPUにCore i7-8565UやCore i7-8750Hを採用するものが多い。

 それに対しG570SN-M2SH5では、CPUとしてデスクトップ向けのCore i7-8700を搭載する点が大きな優位点となっている。これよって、一般的なノートPCよりもさらに高い性能が発揮される。

 Core i7-8700は、6コア/12スレッド処理に対応しており、4コア/8スレッド処理対応のCore i7-8565Uに比べて、大きく性能が優れる。

 また、同じ6コア/12スレッド処理に対応するCore i7-8750Hと比べても、ベースとなる動作クロックが3.2GHzと1GHz高く、キャッシュも12MBと3MB多い。加えて、CPU内蔵グラフィックスのUHDグラフィックス630も、最大周波数が1.2GHzと0.1GHz高く、処理能力、描画能力ともに優れる。

 のちほど紹介するベンチマークテストでも見て取れると思うが、とくに重い作業を行なう場合には、この点がかなり優位となるだろう。

 なお、m-Book G570シリーズでは、Core i7-8700以外に、Core i3-8100、Core i5-8500搭載モデルも用意される。もちろんいずれもデスクトップ向けのCPUであり、性能面で競合製品に対し優位性があると言える。

 ところで、デスクトップ向けCPUを採用しているため、G570SN-M2SH5ではCPUの交換が可能だ。本体底面を外すとCPUクーラーとCPUソケットが見え、CPUクーラーを外すことでCPUの交換が可能となっていることがわかる。

 たとえば、Core i3-8100搭載モデルを購入後に、Core i7-8700に交換することでパワーアップが可能というわけだ。そのほかにも、メモリの交換や増設、内蔵ストレージの換装も可能だ。

 もちろん、底面を外したり、搭載パーツの交換といった行為は保証外となるのはもちろん、その時点で保証も失われるため、行為自体を推奨できるものではない。ただ、自己責任で行なうというのであれば、購入後のパワーアップが目指せるという意味で魅力となりそうだ。

本体底面カバーを開けた状態。カバーを開けると保証は失われるが、自己責任でCPUの交換やメモリ増設、内蔵ストレージの換装などを行える
デスクトップPC同様のCPUソケットが用意され、CPUクーラーを外すことでCPUを交換可能。デスクトップ向けCPU搭載ということで、ヒートパイプ2本を利用した大型CPUクーラーが採用されている
メモリやM.2 SSD、2.5インチHDDの交換も可能だ

フルHD表示対応の15.6型液晶を搭載

 ディスプレイは、1,920×1,080ドット表示対応の15.6型液晶を搭載している。パネルの種類は非公開だが、視点を大きく移動させると明るさや色合いの変化を感じることから、TNパネルを採用しているものと思われる。

 広視野角のIPSパネルやVAパネルを採用していない点は残念だが、コスト性能重視ということを考えると納得の範囲内だ。

 パネル表面は非光沢処理となっているため、外光の映り込みは少なく、文字入力作業などは快適だ。反面、発色の鮮やかさは光沢液晶にやや劣る印象で、全体的に淡い色合いとなっている。とはいえ、表示品質が大きく劣っているということはなく、このクラスのノートPCに搭載される液晶ディスプレイとしては標準的だろう。

フルHD表示対応の15.6型液晶を搭載。視野角がやや狭いためTNパネル採用と思われる
パネルの表面は非光沢処理となり外光の映り込みは少ないが、淡い発色で、光沢液晶に比べると鮮やかさはやや劣る印象だ
ディスプレイは130度ほどまでしか開かない

テンキー付きキーボードを搭載

 キーボードは、キーの間隔が開いたアイソレーションタイプとなる。標準でテンキーも備わっているため、とくに数字入力を多用する用途などはかなり快適にこなせるだろう。

 主要キーのキーピッチは約18mmと、フルピッチに届いていない。これは、テンキーを搭載することによる影響だろう。それでも、配列は標準的で、実際にタイピングしてみてもフルピッチのキーボードと大きな違和感なくタイピングが可能だった。

 ストロークは約1.8mmと十分な深さがあり、クリック感もしっかりしている。キーボード面の剛性も十分で、打鍵感は良好だ。

 ただし、カーソルキー付近の配置はやや気になる。カーソルの↑キーが右Shiftの横に配置されていることで右Shiftキーが小さくなっている点は、個人的に右Shiftを多用することもあって、かなり扱いにくく感じた。可能であれば、カーソルキーは1段下がった位置に配置してもらいたかったように思う。また、右Shiftキー付近の一部キーのピッチが短くなっている点も少々残念だ。

 ポインティングデバイスは、クリックボタン独立型のタッチパッドを搭載。タッチパッドの面積は十分に広く、ジェスチャー操作にも対応。独立したクリックボタンで、確実なクリック操作が行なえる点も合わせて、申し分ない扱いやすさと言える。

キーボードはアイソレーションタイプで、テンキーも標準で搭載している
キーピッチは約18mmとフルピッチには届いていないが、配列が標準的で違和感なくタッチタイプが可能だった
ストロークは約1.8mmと深く、クリック感もしっかりしており、打鍵感は良好
カーソルキーの位置や、右Shiftキーのサイズ、その付近の一部キーのピッチが狭くなっている点は残念だ
クリックボタン一体型のタッチパッドを搭載。パッドは面積が広くジェスチャー操作もサポート。クリック操作も確実に行なえ、扱いやすい

CPU以外のスペックも充実

 先に紹介したように、G570SN-M2SH5ではCPUにデスクトップ向けのCore i7-8700を搭載している。しかし、CPU以外のスペックが充実している点も大きな特徴だ。

 メモリは標準でDDR4-2400を16GB(8GB×2)と余裕の容量を搭載。また、内蔵ストレージも容量512GBのSATA SSDと容量1TBの2.5インチHDDを同時に搭載。シリーズ内のハイエンドモデルということもあるが、11万円台という価格帯を考えると、この充実したスペックはかなり大きな魅力となるだろう。

 そして、このスペックは固定ではなく、直販サイトでの購入時にはさらなる強化も可能。たとえばメモリは最大32GBまで搭載できるのはもちろん、より高速なDDR4-2666も選択できる。またストレージは、最大2TBのM.2 SSDを選択したり、HDDも2.5インチSSDに変更可能だ。

 このように、購入時にスペックを自由に強化できる点も、マウスコンピューター製PCの魅力の1つだろう。

 無線機能は、IEEE 802.11a/b/g/n/ac準拠無線LAN(1×1)とBluetooth 5.0を標準搭載。無線LANが1×1となる点は少々残念だが、それでも最大433Mbpsの速度となるため、実用上で大きな不満はない。また、ディスプレイ上部中央には100万画素のWebカメラを搭載する。生体認証機能は非搭載となっている。

 側面ポートは、左側面にミニD-Sub15ピン、HDMI、USB 3.0 Type-C、USB 3.0、USB 2.0を、右側面にSDカードスロット、ヘッドホンジャック、マイクジャック、USB 2.0、Gigabit Ethernet、電源の各ポートを備える。価格帯を考えると、ポートの種類や数は十分に豊富で、拡張性も申し分ない。

 付属ACアダプタは、デスクトップ向けCPUを搭載することもあって、出力90Wのやや大型のものが付属する。ACアダプタの重量は、付属電源ケーブル込みで実測433.5gだった。

左側面にアナログRGB、HDMI、USB 3.0 Type-C、USB 3.0、USB 2.0を用意
右側面にはSDカードスロット、ヘッドホンジャック、マイクジャック、USB 2.0、Gigabit Ethernet、電源の各ポートを用意
ディスプレイ上部中央には100万画素のWebカメラを搭載
付属ACアダプタは出力90Wのやや大型のものとなっている
ACアダプタの重量は、付属電源ケーブル込みで実測433.5g

デスクトップ向けCore i7-8700はさすがの高性能

 では、ベンチマークテストの結果を紹介していこう。

 今回利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark 10 v1.1.1739」、「PCMark 8 v2.8.704」、「3DMark Professional Edition v2.7.6296」、Maxonの「CINEBENCH R15.0」、スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」の5種類。比較用として、LGエレクトロニクス・ジャパンの「gram 17Z990-VA76J」の結果も加えてある。

 なお、PCMark 10では「Digital Content Creation」の「Rendering and Visualization」テストでエラーが発生し、トータルのスコアが得られていないため、測定できたテストの結果のみを紹介している。

モデル m-Book G570SN-M2SH5 LG gram 17Z990-VA76J
CPU Core i7-8700(3.20/4.60GHz) Core i7-8565U(1.80/4.60GHz)
チップセット
ビデオチップ Intel UHD Graphics 630 Intel UHD Graphics 620
メモリ DDR4-2400 SDRAM 16GB DDR4-2400 SDRAM 8GB
ストレージ 512GB SSD(SATA) + 1TB HDD 512GB SSD(SATA)
OS Windows 10 Home 64bit
PCMark 10 v1.1.1739
PCMark 10 Score -
Essentials 9,028 7,549
App Start-up Score 11,944 9,208
Video Conferencing Score 7,709 6,571
Web Browsing Score 7,993 7,111
Productivity 7,334 6,348
Spreadsheets Score 8,926 7,795
Writing Score 6,026 5,171
Digital Content Creation -
Photo Editing Score 4,671 3,982
Rendering and Visualization Score -
Video Editting Score 3,419 3,522
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.0 3,998 3,241
Creative accelarated 3.0 3,946 3,550
Work accelarated 2.0 5,265 4,530
Storage 4,967 4,938
CINEBENCH R15.0
OpenGL (fps) 59 45
CPU 1,130 557
CPU (Single Core) 187 174
3DMark Professional Edition v2.8.6427
Cloud Gate 10,820 7,466
Graphics Score 11,473 8,191
Physics Score 9,025 5,702
Night Raid 6,153 4,104
Graphics Score 5,912 3,858
CPU Score 8,011 6,518
Sky Diver 5,068 3,816
Graphics Score 4,583 4,648
Physics Score 12,523 4,652
Combined score 4,618 4,878
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク
1,280×720ドット 標準品質(ノートPC) 5,106 2,000
1,920×1,080ドット 標準品質(ノートPC) 2,761 1,293

 結果を見ると、G570SN-M2SH5はさすがの結果となっていることがわかる。

 比較として掲載しているgram 17Z990-VA76Jは、メモリがシングルチャネルでCPUの性能が最大限に引き出せていないということもあるが、いずれの結果もG570SN-M2SH5が大きく上回っている。

 とくにCINEBENCH R15.0のCPUスコアは、gram 17Z990-VA76Jの2倍近いスコアとなっており、性能の高さが確認できる。これなら、動画編集などの高負荷作業も快適にこなせるはずだ。

 次にバッテリ駆動時間だ。G570SN-M2SH5はモバイル向けではなため、バッテリ駆動時間はそれほど重視されないと思うが、念のため検証してみた。

 G570SN-M2SH5では容量47Whの着脱式リチウムイオンバッテリを採用しており、駆動時間は公称で約8.5時間(JEITAバッテリ動作時間測定法 Ver2.0での数字)とされている。それに対し、Windowsの省電力設定を「バランス」、電源モードを「(バッテリ)より良いバッテリ」、バックライト輝度を50%に設定し、無線LANを有効にした状態で、BBenchでキー入力とWeb巡回にチェックを入れて計測したところ、約6時間23分だった。

 CPUが低負荷の状態での検証のため、作業内容によってはかなり短くなることも考えられるが、モバイル用途としての利用はほぼないと考えられることからも、十分な駆動時間が確保されていると言える。オフィスや家庭で他の部屋に持ち出して利用する場合でも、ACアダプタは不要だろう。

容量47Whの着脱式リチウムイオンバッテリを採用

性能重視のメインノートを探している人にお勧め

 G570SN-M2SH5は、見た目こそ価格重視のメインノートといった雰囲気だが、その中身はデスクトップ向けのCore i7-8700の採用だけでなく、メモリ、内蔵ストレージなど非常に充実しており、まさにハイエンドクラスのPCに匹敵する内容となっている。それでいて税別価格は116,800円なのだから、コストパフォーマンスはかなり高い。

 筐体や内蔵無線LANなど、コストダウンによる影響が見られる部分もあるが、それも価格を考えると十分に納得できるだろう。コストを抑えつつ、高性能なノートPCを探している人にお勧めしたい。