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GTX 1050 Tiを搭載したハイエンドノートの理想型「ThinkPad X1 Extreme」実機レビュー

レノボ・ジャパン「ThinkPad X1 Extreme」230,850円~

 レノボ・ジャパンは9月11日、ディスクリートGPU「GeForce GTX 1050 Ti」を内蔵した15.6型ディスプレイ搭載モバイルノートPC「ThinkPad X1 Extreme」を発表、同日より販売を開始した。

 同じ筐体で、外部グラフィックスに「Quadro P2000/P1000」を採用し、Xeonプロセッサを選択可能なISV認証取得モバイルワークステーション「ThinkPad P1」が8月21日に先行発売されているが、X1 Extremeはコンシューマ向けのプレミアムモデルという位置づけだ。

 今回レノボ・ジャパンよりX1 Extremeの実機を借用したので、詳細スペック、外観、使い勝手、AV品質、性能などについてレビューしていこう。

Core i9、4Kディスプレイは記事執筆時点で選択不可

 すでに販売が開始されているX1 Extremeだが、標準構成モデルのスペックと、カスタマイズ項目が少々ややこしい状況になっている。

 CPUは第8世代(Coffee Lake)の「Core i5-8300H(4コア、2.3~4GHz)」、「Core i5-8400H(4コア、2.5~4.2GHz)」、「Core i7-8750H(6コア、2.2~4.1GHz)」、「Core i7-8850H(6コア、2.6~4.3GHz)」を現在選択可能だが、後日Core i9が提供される予定だ。

 メモリはDDR4-2666(PC4-21300 SDRAM)が採用されており、8GB、16GB、32GB、64GBのいずれかの容量を選べる。なお16GBと32GBの場合は1枚差しと2枚差しのいずれかを選択可能だ。

 ストレージはデュアル搭載に対応しており、ファーストドライブには256GB SATA SSD、256GB/512GB/1TB NVMe PCIe SSD、セカンドドライブには256GB/512GB/1TB NVMe PCIe SSDを選択できる。

 外部グラフィックスは全モデル共通で「GeForce GTX 1050 Ti」が搭載されている。より上位のGPUは用意されていない。

 ディスプレイは15.6型フルHD IPS液晶と、15.6型4K UHDマルチタッチ対応IPS液晶が用意されており、後者はAdobe RGBカバー率100%が謳われ、スタイラス「Lenovo Pen Pro」を別途入手すればペン操作が可能だ。ただし記事執筆時点(9月27日)で4K UHDパネルは納期未定のために購入できない。

 Core i9、4K UHDパネルの提供開始時期をレノボ・ジャパンに問い合わせたところ、数週間以内に販売を開始する予定だが、納期は受注状況によって変わるとの回答を得られた。具体的な日時が発表されないことは、購入を検討している方を悩ませるし、同社としても販売機会を失っていると思う。早期にCore i9、4K UHDパネルの販売が開始されることを強く望みたい。

 現在、直販モデルとしては下記の表の「パフォーマンス」、「プレミアム」、「VRセット」、「プレミアム(Pro OS選択可能)」の4種類が用意されており、最廉価の「パフォーマンス」は230,850円から購入可能だ。

 そして今回レノボ・ジャパンからは、Core i7-8850H/16GBメモリ/512GB SSD/15.6型4K UHDマルチタッチ対応IPS液晶/Windows 10 Pro 64bitという、現時点で購入できない構成のマシンを借用している。ディスプレイのスペックを混同しないように注意してほしい。

【表1】ThinkPad X1 Extremeのモデル一覧 ※9月27日調べ
モデル名<100台限定>ThinkPad X1 Extreme:パフォーマンス<100台限定>ThinkPad X1 Extreme:プレミアム<100台限定>ThinkPad X1 Extreme:VRセットThinkPad X1 Extreme:プレミアム (Pro OS選択可能)
OSWindows 10 Home 64bitWindows 10 Pro 64bit
CPUCore i5-8300H(2.3~4GHz、4コア8スレッド)Core i7-8750H(2.2~4.1GHz、6コア12スレッド)
GPUIntel 4K Graphics 630(350MHz~1.15GHz)、GeForce GTX 1050 Ti
メモリDDR4-2666 SDRAM 16GBDDR4-2666 SDRAM 8GB
ストレージ256GB SSD(SATA)512GB SSD(NVMe PCIe)
ディスプレイ15.6型フルHD IPS液晶(1,920×1,080ドット、141ppi、縦横比16:9、輝度300cd/平方m、コントラスト比非公表、色域非公表、マルチタッチ非対応、非光沢)
通信IEEE 802.11ac、Bluetooth 5.0
インターフェイスUSB 3.1 Type-C(Thunderbolt 3、映像出力機能付き)×2、USB 3.0×2(1基は常時給電)、HDMI、有線LANコネクタ、マイクロフォン/ヘッドフォンコンボジャック、4-in-1メディアカードリーダ、セキュリティキーホール、電源ジャック、スマートカードリーダ(オプション)
カメラ720p Webカメラ
セキュリティ指紋センサー指紋センサー、赤外線カメラ指紋センサー
SIMカードスロットなし
バッテリ容量4セルリチウムイオンバッテリ(80Wh)
バッテリ駆動時間最大15.6時間(JEITA2.0)
バッテリ充電時間非公表
本体サイズ/重量361.8×245.7×18.4mm(幅×奥行き×高さ)/1.71kg
ペンオプション(Lenovo Pen Pro)
Microsoft Officeオプション
カラーブラック
価格307,800円352,080円405,540円339,120円
キャンペーン価格230,850円264,060円270,000円-

高い堅牢性を備えた薄型筐体に豊富なインターフェイスを実装

 X1 Extremeは15.6型ディスプレイを搭載しているが、サイズは361.8×245.7×18.4mm(幅×奥行き×高さ)、重量は1.71kgと外部グラフィックスを内蔵するノートPCとしてはスリム、軽量に仕上げられている。

 本製品は、TDP 45WのHプロセッサが使われており、レノボによるとTDP 15WのUプロセッサの約5倍の熱を発するという。だが、同じくHプロセッサを搭載していた従来モデル「ThinkPad P52」と比較して、フットプリントが-6%、厚みが-25%、そして重量-36%の低減を実現した。スリム化、軽量化にあたっての詳細については既報(性能を犠牲にしない熱対策と薄型軽量化を施した15.6型ノート「ThinkPad X1 Extreme」)で解説されているので参照してほしい。

 薄型化・軽量化のために、天面にはカーボンファイバーとグラスファイバーのハイブリッド素材、キーボード面にはマグネシウム・アルミニウム合金、底面にはアルミニウムと3種類の素材を使い分け、高い剛性が確保されている。8角からの自由落下、重りの落下、1,000回のねじり、プレスと振動の複合試験など、レノボ・ジャパン社内で「拷問」と称される耐久試験をクリア。

 またこれらを含めて200種類以上のハードウェア検証テストと、700種類以上のソフトウェア互換テスト、ユーザーエクスペリエンス評価が実施されているという。実際にパームレスト部を握って上下に振ってもたわみ、きしみはほとんど感じない。ThinkPadの名にふさわしい堅牢性は継承されていると言える。

 インターフェイスは現時点での実用性を重視した構成で、USB 3.1 Type-C(Thunderbolt 3、映像出力機能付き)×2、USB 3.0 Type-A×2(1基は常時給電対応)、HDMI、Gigabit Ethernet用の拡張コネクタ、マイク/ヘッドフォンコンボジャック、4-in-1メディアカードリーダ、セキュリティキーホール、電源コネクタ、スマートカードリーダ(オプション)を用意。

 4-in-1メディアカードリーダはMMC、SD、SDXC、SDHCなどのメディアカードに対応。スマートカードリーダは認証、データストレージ、アプリケーション処理などに使用する。

 充電には従来の角形コネクタを備える「135W ACアダプタ」を使うが、USB 3.1 Type-C端子から給電することも可能。またThunderbolt 3で接続したさいには最大40Gbpsでデータ転送できる。USB 3.0 Type-Aの伝送速度は最大5Gbpsなので、ストレージなどはThunderbolt 3経由で接続するべきだ。

 今回の借用機にはWindows Helloの顔認証に対応したIR(赤外線)カメラが搭載されているが、非搭載モデルには720p Webカメラを物理的にふさげるスライド式のカバー「ThinkShutter」が備わる。

 X1 Extremeは筐体が大きいだけに、USB 3.1 Type-C、USB 3.0 Type-A、HDMI、フルサイズのSDカードを挿せるカードリーダとバランスよくインターフェイスが搭載されている。Gigabit Ethernetの端子が本体に備わっていればほぼ完璧な布陣となるが、利用頻度を考えれば納得できる仕様だ。

本体天面(下がヒンジ部)。表面処理はマットブラック
本体底面(下がヒンジ部)。ヒンジ部からは下側に向かって熱気が排気されるが、長いリアラバーフットが吸気口に回り込むのを防ぐ設計。中央やや右の小さな穴は緊急用リセットスイッチだ
本体前面
本体背面
本体右側面。左からスマートカードスロット、4-in-1メディアカードリーダ、USB 3.1 Gen1 Type-A×2(右が常時給電)、セキュリティキーホールを配置
本体左側面。左から電源ジャック、USB 3.1 Type-C(Thunderbolt 3、映像出力機能付き)×2、HDMI、イーサネット拡張コネクタ(RJ45拡張コネクタを使用)、マイクロフォン/ヘッドフォンコンボジャックを用意
ディスプレイ面。フルHDパネルはマルチタッチ非対応で非光沢仕様、4K UHDパネルはマルチタッチ対応で光沢仕様
キーボード面。購入時にプラス1,080円で英語キーボードも選択できる
4-in-1メディアカードリーダはプッシュイン/プッシュアウト方式。メモリーカードはほぼ全体を収納できる
借用機にはWindows Helloの顔認証に対応したIR(赤外線)カメラと720p Webカメラが搭載されていた。ベゼル上部の小さな穴はマイクだ
指紋認証センサーは全モデルに搭載されている
天面の「ThinkPad」の赤丸はシステム状況インジケータ。起動しているときは赤く点灯、電源に接続すると3回連続点灯、スリープ状態ではゆっくり点滅など電源関連のステータスを判別できる
X1 Extremeのパッケージ。サイズは約500×320×80mm(幅×高さ×奥行き)。なお表面のビニールは保護用にメーカーが貼ったもの。実際の製品パッケージには貼られていない
パッケージには本体、135W ACアダプタ、電源ケーブル、RJ45拡張コネクタ、説明書が入っている
説明書は、セットアップガイド、安全上の注意と保証についての手引き、PCリサイクルマークについての案内、サポートのしおりで構成。ユーザーガイドやメンテナンスマニュアルはサポートサイトから入手する
135W ACアダプタのケーブル長は実測約170cm、電源ケーブルの長さは実測約90cm。フットプリントは大きいが、そのぶん薄いのでバッグのなかに収納しやすい
135W ACアダプタの仕様は入力100-240V~2.5A、出力20V/6.75A。USB Power Deliveryで規定されている100W(20V/5A)を超えているので、従来のACアダプタが採用されている
独自形状の角形コネクタ。サイズは大きいが抜き差しはスムーズだ
13インチMacBook Proに同梱されている「61W USB-C電源アダプタ」で給電されることを確認したが、高負荷時はバッテリ残量が減っていく。USB 3.1 Type-C端子から充電するさいは、基本的にスリープ状態で行なうことになる
RJ45拡張コネクタ
RJ45拡張コネクタのオス端子は「ミニ・イーサネット・コネクター」を採用
本体の実測重量は約1,819g。なおカタログ値は、フルHD液晶モデルが約1.71kg、4K UHD液晶モデルが約1.84kgとなっている
135W ACアダプタと電源ケーブルの合計重量は実測約385.5g
RJ45拡張コネクタの実測重量は約13.4g
システム情報
主要なデバイス
Windows 10のバージョン1803適用後、初期状態に戻したさいのCドライブの空き容量は448.39GB
「powercfg /batteryreport」コマンドを実行したところ、DESIGN CAPACITYは80,400mWh、FULL CHARGE CAPACITYは77,380mWhと表示された

キーボード、タッチパッドの操作感は文句なし

 X1 Extremeの製品公式サイトにキーボードやタッチパッドについての言及はまったくない。これは、いまさらThinkPadの入力インターフェイスが優れていることをアピールするまでもないというレノボ・ジャパンの自信の表われかもしれない。

 筐体が薄くなったX1 Extremeだが打鍵感は上質だ。キーボードのアルミニウムベースプレートに穴を設け、その上のメンブレンシートを沈み込ませることで底打ちしたさいの衝撃をやわらげる「ソフトランディング構造」を採用。かなり強くタイピングしても、よくできたフルサイズキーボードのように指の骨に伝わる衝撃を吸収してくれる。このソフトランディング構造は、打鍵音もマイルドにする効果もはたしているようだ。

 ThinkPad伝統の曲面キーキャップは当然踏襲。キーストロークは1.8mm、キーピッチは19.05mmが確保され、パームレストの広さも相まって長時間の文字入力も快適にこなせる。

 同じように静音キーボードが採用されていても、タッチパッドのクリック音が大きいノートPCが多いが、X1 Extremeは「QMD(Quiet Metal Dome)スイッチ」が採用されており、操作音がほとんどしない。タッチパッドの奥のTrackPointボタンも静音設計が施されているので、飛行機や列車での移動中に使っていても周囲に迷惑をかけることはなさそうだ。

借用機は日本語キーボードを搭載。パームレスト部が広いので、ゆったりと手首を預けてタイピングできる
薄型筐体ながらキーストロークは1.8mm、キーピッチは19.05mmが確保されている
キーボードのアルミニウムベースプレートに穴を設け、その上のメンブレンシートを沈み込ませることで衝撃をやわらげる「ソフトランディング構造」が採用されている
タッチパッドのサイズは実測約101×68mm(TrackPointボタンを除く)。高級感のあるガラスパネルが採用され、触感も心地よくなるように表面形状が最適化されている
バックライトは2段階に調整可能
4K IPS液晶搭載モデルはスタイラス「Lenovo Pen Pro」に対応。今回はLenovo Pen Proを借用していないので、導電性タッチペンでイラストを描いてみた
キーボード、タッチパッド使用時の様子を録画した。音量は再生環境によって異なるので、叩く力による音の変化や、音の質を参考にしてほしい

クリエイティブワークに活用できるディスプレイ品質

 改めてお伝えするが、今回レノボ・ジャパンからは15.6型4Kマルチタッチ対応IPS液晶ディスプレイを搭載したモデルを借用している。現在購入可能なのはフルHD IPS液晶ディスプレイ搭載モデルのみという点に留意してほしい。

 15.6型フルHD IPS液晶は1,920×1,080ドット、141ppi、縦横比16:9、輝度300cd/平方m、コントラスト比非公表、色域非公表、マルチタッチ非対応、非光沢仕様。15.6型4K IPS液晶は3,840×2,160ドット、282ppi、縦横比16:9、輝度非公表、コントラスト比非公表、色域Adobe RGBカバー率100%、マルチタッチ対応、光沢仕様となっている。

 借用機の色域をディスプレイキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で確認したところ、輝度は370cd/平方m、sRGBカバー率が100.0%、sRGB比が145.1%、Adobe RGBカバー率が99.9%、Adobe RGB比が107.6%と非常に高い数値が出た。

 ICCプロファイルをColor ACにインポートするさいに「注意:このICCプロファイルのLUT Green Blackにクリップ(値が飽和)の可能性が見られます」という警告メッセージが表示されたので、計測された色域に誤差の可能性があるが、プロフェッショナル向けのP1と共通して使われる4K IPS液晶だけに、ノートPC用ディスプレイとしては最上位クラスの画質を備えていることは間違いない。

 一方サウンド面については、大型ノートPCとしては少々物足りない。YouTubeで公開されている「前前前世 (movie ver.) RADWIMPS MV」を最大ボリュームで再生したさいの音圧レベルは最大78.4dBA(50cmの距離で測定)とやや低め。スピーカー自体が小さく、開口部が下を向いているせいか、音に伸びやかさがない。ディスプレイ画質のレベルが高いだけに、サウンド品質にも注力してほしいところだ。

4K IPS液晶ディスプレイのスケーリングは250%に設定されている。たとえば「PC Watch」のトップページを「Edge」で開くと、このとおりかなり文字が大きく表示される。個人的にはスケーリングは200~225%がちょうどよく感じた
Adobe RGBの色域で撮影した写真を表示してみると、赤と緑のグラデーションがよりきめ細かく発色されているのがわかる
sRGBカバー率は100.0%、sRGB比は145.1%
Adobe RGBカバー率は99.9%、Adobe RGB比は107.6%
デフォルトでカラープロファイル「Laptop Internal LCD Monitor」が設定されている
「HDRビデオのストリーミング」は有効化可能
ステレオスピーカーは底面左右側面に内蔵されている
YouTubeで公開されている「前前前世 (movie ver.) RADWIMPS MV」を最大ボリュームで再生したさいの音圧レベルは最大78.4dBA(50cmの距離で測定)
左がX1 Extreme、右が2018年版13インチMacBook Pro。マグネットビューワーで磁場を見たかぎりでは、筐体の小さいMacBook Proのほうがスピーカーは大きいようだ。ちなみにX1 Extremeと同条件で測定したMacBook Proの音圧レベルは最大85.2dBAだった
MacBook Proには側面中央付近にもう1つスピーカーが内蔵されている(※マグネットビューワーが小さいため、写真を合成しています)

高クロック寄りのチューニングによって高い性能を安定して発揮

 最後にベンチマークスコアを見てみよう。今回は下記のベンチマークを実施している。

  • 総合ベンチマーク「PCMark 10 v1.1.1739」
  • 3Dベンチマーク「3DMark v2.5.5029」
  • CPU/OpenGLベンチマーク「CINEBENCH R15.0」
  • ゲーミングPCベンチマーク「モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】」
  • ゲーミングPCベンチマーク「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」
  • ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 6.0.1」
  • 「Adobe Lightroom Classic CC」で100枚のRAW画像を現像
  • 「Adobe Premiere Pro CC」で実時間5分の4K動画を書き出し
  • バッテリベンチマーク「BBench」で連続動作時間を計測
  • バッテリベンチマーク「BBench」で充電時間を計測

 比較対象としてはCore i7-8550Uを搭載する「ThinkPad X1 Carbon」の2018年モデルのスコアを採用した。下記が検証機の仕様とその結果だ。

【表2】検証機の仕様
ThinkPad X1 ExtremeThinkPad X1 Carbon
CPUCore i7-8850H(6コア、2.6~4.3GHz)Core i7-8550U(4コア、1.8~4GHz)
GPUIntel UHD Graphics 630(350MHz~1.15GHz)、GeForce GTX 1050 TiIntel UHD Graphics 620(300MHz~1.15GHz)
メモリDDR4-2666 SDRAM 16GBLPDDR3-2133 SDRAM 16GB
ストレージ512GB SSD「MZVLB512HAJQ-000」(NVMe PCIe)512GB SSD(NVMe PCIe)
OSWindows 10 Pro 64bitWindows 10 Pro 64bit
ディスプレイ15.6型、3,840×2,160ドット(282ppi)14.0型、2,560×1,440ドット(210ppi)
サイズ361.8×245.7×18.7mm(幅×奥行き×高さ)323.5×217.1×15.95mm(同)
重量約1.84kg約1.13kg
【表3】ベンチマーク結果
PCMark 10 v1.1.1739
PCMark 10 Score4,3803,729
Essentials7,7177,652
App Start-up Score9,8648,883
Video Conferencing Score7,5157,192
Web Browsing Score6,2007,014
Productivity6,2226,042
Spreadsheets Score7,7057,495
Writing Score5,0264,871
Digital Content Creation4,7493,044
Photo Editing Score5,7903,639
Rendering and Visualization Score5,3212,028
Video Editting Score3,4773,822
3DMark v2.5.5029
Time Spy2,351426
Fire Strike Ultra1,683283
Fire Strike Extreme3,260534
Fire Strike6,1331,128
Sky Diver14,6904,672
Cloud Gate14,6109,039
CINEBENCH R15.0
OpenGL90.81 fps55.54 fps
CPU1,187 cb607 cb
CPU(Single Core)182 cb164 cb
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】
1,280×720ドット32,571
3,840×2,160ドット4,925
FINAL FANTASY XV BENCHMARK
1,280×720ドット、標準品質、フルスクリーン3,147(普通)
3,840×2,160ドット、標準品質、フルスクリーン1,377(動作困難)
SSDをCrystalDiskMark 6.0.1で計測
Q32T1 シーケンシャルリード3,377.236 MB/s3,375.746 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト1,894.433 MB/s1,989.350 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード1,015.840 MB/s869.012 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト1,588.485 MB/s421.341 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード351.619 MB/s415.580 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト276.488 MB/s440.423 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード42.626 MB/s44.300 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト113.902 MB/s130.184 MB/s
Adobe Lightroom Classic CCで100枚のRAW画像を現像
7,952☓5,304ドット、カラー - 自動設定8分44秒12
Adobe Premiere Pro CCで実時間5分の4K動画を書き出し
3,840×2,160ドット、30fps6分12秒99
BBenchにより連続動作時間を計測(ディスプレイの明るさ40%、電源モード:高パフォーマンス)
バッテリ残量5%まで8時間31分33秒11時間34分6秒
BBenchにより充電時間を計測(ディスプレイの明るさ40%、電源モード:もっとも高いパフォーマンス)
バッテリ残量5%から100%まで2時間8分31秒
バッテリ残量5%から80%まで1時間11分11秒
バッテリ残量5%から50%まで42分16秒

 X1 Extreme のPCMark 10のトータルスコアは、X1 Carbonの1.17倍にとどまっている。「Digital Content Creation」は約1.56倍を記録し、とくにそのなかの「Rendering and Visualization Score」は約2.62倍の大差をつけているが、ほかの項目はほぼ横並びだ。

 明確に性能差が表われたのがCINEBENCH R15.0。X1 Extremeは「CPU」で約1.96倍、「OpenGL」で1.63倍のスコアを記録している。そして外部グラフィックスの威力をおおいに発揮したのが、やはり3DMark。X1 Extremeは「Time Spy」、「Fire Strike Ultra」、「Fire Strike Extreme」、「Fire Strike」で5.43~6.10倍のスコアを叩き出している。多くのVRコンテンツや3Dゲームを快適に楽しめるはずだ。

 いい意味で予想を裏切ったのがバッテリ駆動時間。電力消費が激しい4K IPS液晶を搭載しているにもかかわらず、8時間31分33秒とモバイル用途にも十分活用できる連続動作時間を記録した。カタログスペックで最大15.6時間が謳われているフルHDモデルであれば、同条件でも10時間を超える可能性が高い。

 なお、X1 Extremeには、Intelが提供する電力制御のためのソフトウェアフレームワーク「Intel Dynamic Platform and Thermal Framework(Intel DPTF)」に対して、100を超えるパラメータを追加。CPUの表面温度がターゲット値に達するまで最大限の性能をキープするようにチューニングされており、最大40%性能が向上しているという。

 そこでCINEBENCH R15.0実行中のCPUクロックとパッケージ温度を計測してみたが、4.2GHz、3.9~4GHz、3.6~3.7GHzと段階的にクロックが低下したものの、高クロックをキープする挙動を確認できた。外部グラフィックスを同時に酷使するような処理をした場合にはまた違った動作となる可能性はあるが、少なくともCPUがおもに働くアプリにおいては、安定した性能を発揮することを期待できる。

 さらに最後にCINEBENCH R15.0のみバッテリ駆動時のベンチマークを実施してみたが、OpenGLが62.48 fps、CPUが669 cbとスコアが大幅に低下した。重い作業を実行する場合にはACアダプタに接続するべきだ。

パッケージ温度の上昇に応じて4.2GHz、3.9~4GHz、3.6~3.7GHzと段階的にクロックが下がっているが、その上下の幅はせまく、小刻みに制御されていることがわかる
バッテリ駆動時はOpenGLが62.48 fps、CPUが669 cbに低下した
CINEBENCH R15のCPUを連続で5回実行したさいのキーボード面の最大温度は47.9℃
底面の最大温度は53.6℃。ただしこれは吸気口から見える基板上の表面温度だ
ACアダプタの最大温度は39.4℃

実用本位のハイエンドノートPCとしてほぼ理想のスペック

 ThinkPad X1 Extremeは15.6型ディスプレイを搭載しつつ、薄型化、軽量化も追求。そしてTDP 45WのHプロセッサーとディスクリートGPUでクリエイティブ系ワークもこなせる性能を備えたうえで、就業時間を十分カバーできるバッテリ駆動時間も実現。インターフェイスも実用性重視で新旧端子が網羅されている。

 だからこそ、Core i9、4K UHDパネルという上位パーツを現時点で選べないのが非常に惜しいが、選択できるようになれば、ハイエンドノートPCを求めるユーザーに非常に魅力的なモデルであることは間違いないだろう。