Hothotレビュー
Core i7&SSD搭載で税別9万円台のコスパが光るユニットコム製14型ノート
2018年7月3日 11:00
株式会社ユニットコムは、「iiyama PC」ブランドの「STYLE∞N(スタイル インフィニティ エヌ)」シリーズから、第8世代Core i7搭載14型フルHDノートPC「STYLE-14FH054-i7-UHSS」の販売を5月25日より開始した。
「STYLE-14FH054」シリーズはローエンドからハイエンドまで計17モデルがラインナップされているが(記事執筆時点)、今回はCore i7/メモリ8GB/240GB SSD搭載とバランスの取れたスペックで税別99,980円と手頃な価格を実現したミドルレンジモデル「STYLE-14FH054-i7-UHSS」をユニットコムより借用した。
そこで本記事ではスタンダードノートPCとしての使い勝手、AV性能、性能などについてレビューしていこう。
第8世代の「Core i7-8550U」を採用
「STYLE-14FH054-i7-UHSS」は、CPUに第8世代(Kaby Lake R)の「Core i7-8550U(1.8~4GHz、4コア/8スレッド)」を採用。メモリは8GB(DDR4-2400 SDRAM 8GB×1、2スロット)、ストレージは240GB SSD(SATA 6Gbps)を搭載している。
製品名 | STYLE-14FH054-i7-UHSS |
---|---|
OS | Windows 10 Home 64 bit |
CPU | Core i7-8550U(1.8~4GHz、4コア/8スレッド) |
GPU | Intel UHD Graphics 620(300MHz~1.15GHz) |
ディスプレイ | 14型非光沢フルHD液晶(1,920×1,080ドット) |
メモリ | DDR4-2400 SDRAM 8GB(8GB×1、2スロット) |
ストレージ | 240GB SSD(SATA 6Gbps) |
光学ドライブ | - |
通信 | 有線LAN(1000BASE-T)、IEEE 802.11ac、Bluetooth 4.2 |
WWAN | - |
インターフェイス | USB 3.1 Type-C(Thunderbolt 3兼用)、USB 3.0 Type-A×2、HDMI(4K対応)、Mini DisplayPort(4K対応)、SDメモリカードスロット、ヘッドフォン/スピーカー出力、マイク入力 |
カメラ | 100万画素 |
本体サイズ/重量 | 約330×226×20mm(幅×奥行き×高さ)/約1.5kg |
バッテリ駆動時間 | 約6.3時間 |
Office | オプション |
同梱品 | ACアダプタ、電源ケーブル、マニュアル、保証書、DSP版インストールメディア |
価格 | 99,980円(記事執筆時点) |
本製品のハードウェアカスタマイズ項目は、天板ロゴ(iiyama)の有無、メモリ容量(8GB/16GB)、SSD(SATA 240GB/SATA 250GB/M.2 SATA 240GB/M.2 NVMe 250GB)、HDD(なし/500GB/1TB/2TB)のみ。
ちなみにメモリを16GB、SSDをM.2 NVMe 250GB、HDDを2TBにカスタマイズしたさいの本体価格は、税別132,920円となる。
標準構成から低スペックなパーツに変更することはできないので、購入金額を低く抑えたい場合は「STYLE-14FH054」シリーズのなかから、低グレードな製品を選ぶことになる。
ちなみに税別79,980円と、最も安価な「STYLE-14FH054-i5-UHE-KCOM」は、Core i5/メモリ8GB/1TB HDDという構成だ。
USB 3.1 Type-C端子はThunderbolt 3兼用だが充電非対応
本製品のサイズは約330×226×20mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.5kg。今どきの軽量薄型ノートPCと比べると軽いとは言えないが、アルミフレーム筐体は剛性がしっかりと確保されており、また質感も良好だ。
インターフェイスは、USB 3.1 Type-C(Thunderbolt 3兼用)、USB 3.0 Type-A×2、HDMI(4K対応)、Mini DisplayPort(4K対応)、SDメモリカードスロット、ヘッドフォン/スピーカー出力、マイク入力を搭載。通信機能は、有線LAN(Gigabit Ethernet)、IEEE 802.11ac、Bluetooth 4.2に対応する。
左側に「SIM」と描かれたMicro SIMカードサイズのスロットがあり、プッシュイン/プッシュアウト方式としては機能しているが、WWAN機能は利用できない。今後、WWAN対応製品がリリースされることに期待したい。
USB 3.1 Type-C端子はThunderbolt 3兼用となっており、最大40Gbpsのデータ転送、対応ディスプレイへの映像出力をサポートしているが、充電機能は利用できないので注意してほしい。
AVクオリティーには過剰な期待は禁物
本製品には、14型非光沢フルHD液晶ディスプレイが採用されている。ディスプレイの詳細スペックは公表されていないが、ディスプレイキャリブレーション機器「i1Display Pro」で計測した最大輝度は、269cd/平方mだった。
「i1Display Pro」で作成したICCプロファイルを、色度図作成ソフト「ColorAC」で確認してみたところ、sRGBカバー率が61.5%、sRGB比が61.7%、Adobe RGBカバー率が45.8%、Adobe RGB比が45.8%という計測結果となった。
またサウンド面についても、物足りないというのが率直な感想だ。ボリューム自体はノートPCとしては標準的といったところか。筆者の基準で言えば、ニュース的なコンテンツなら本製品のスピーカーでも良いが、映画やミュージックビデオなどを鑑賞するなら、ヘッドフォンやBluetoothスピーカーを組み合わせたいと思う。
とはいえ、本製品はAVクオリティーを売りにした製品ではない。また計測した色域自体は決して広くはないが、発色には癖がなく、視野角も1人で使うには十分な広さだ。
写真現像などのクリエイティブワークには向かないが、Webブラウジングやオフィスワークなど、一般的な用途であれば不満を感じることはないはずだ。
キーボードの打鍵感は良好
「STYLE-14FH054」シリーズには87キーの日本語キーボードが採用されている。キーピッチは実測約19mm。正確なキーストロークは不明だが、標準的な深さが確保されている。
アルミフレーム筐体のおかげか、強くタイピングしてもほとんどたわみは感じない。打鍵音も低めの音質で、打鍵感も良好。上質な部類に入るキーボードだと言える。
タッチパッドは、Windows 10の高精度タッチパッドに対応。サイズは実測約90×47mm(幅×奥行き)とやや狭いが、快適にジェスチャー操作が可能だ。
ただしクリックボタンには少々不満がある。クリック感が弱く、ストロークが浅いのだ。せっかく分離式のクリックボタンを採用しているなら、もう少し明確なクリック感を与えてほしかった。
動作の安定性や静音性を重視したセッティングか
最後にベンチマークのスコアを見てみよう。今回は下記のベンチマークを実施している。
- 総合ベンチマーク「PCMark 10 v1.0.1493」
- 3Dベンチマーク「3DMark v2.4.4264」
- CPU、OpenGLのベンチマーク「CINEBENCH R15」
- ゲーミングPCベンチマーク「モンスターハンターフロンティアベンチマーク大討伐.jpg」
- ゲーミングPCベンチマーク「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」
- ゲーミングPCベンチマーク「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」
- ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 6.0.0」
- 「BBench」連続動作時間を計測
今回は比較用に「STYLE-14FH054-i7-UHSS」と同じCPUを搭載した「ThinkPad X1 Carbon」のベンチマークスコアを掲載している。下記が検証機の仕様と、ベンチマークの結果だ。
製品 | STYLE-14FH054-i7-UHSS | ThinkPad X1 Carbon |
---|---|---|
CPU | Core i7-8550U(1.80~4.00GHz) | Core i7-8550U(1.80~4.00GHz) |
GPU | Intel UHD Graphics 620(300MHz~1.15GHz) | Intel UHD Graphics 620(300MHz~1.15GHz) |
メモリ | DDR4-2400 SDRAM 8GB(8GB×1、2スロット) | LPDDR3-2133 SDRAM 16GB |
ストレージ | 240GB SSD(Serial ATA 3.0) | 512GB SSD(PCIe NVMe M.2) |
OS | Windows 10 Home 64 bit | Windows 10 Pro 64bit |
製品 | STYLE-14FH054-i7-UHSS | ThinkPad X1 Carbon |
---|---|---|
PCMark 10 v1.0.1493 | ||
PCMark 10 Score | 3,363 | 3,729 |
Essentials | 6,702 | 7,652 |
App Start-up Score | 7,491 | 8,883 |
Video Conferencing Score | 6,334 | 7,192 |
Web Browsing Score | 6,345 | 7,014 |
Productivity | 5,930 | 6,042 |
Spreadsheets Score | 7,360 | 7,495 |
Writing Score | 4,779 | 4,871 |
Digital Content Creation | 2,598 | 3,044 |
Photo Editing Score | 3,042 | 3,639 |
Rendering and Visualization Score | 1,764 | 2,028 |
Video Editting Score | 3,269 | 3,822 |
3DMark v2.4.4264 | ||
Time Spy | 342 | 426 |
Fire Strike Ultra | 215 | 283 |
Fire Strike Extreme | 409 | 534 |
Fire Strike | 863 | 1,128 |
Sky Diver | 3,987 | 4,672 |
Cloud Gate | 7,128 | 9,039 |
Ice Storm Extreme | 41,609 | 55,421 |
Ice Storm | 59,502 | 76,133 |
CINEBENCH R15 | ||
OpenGL | 39.52 fps | 55.54 fps |
CPU | 546 cb | 607 cb |
CPU(Single Core) | 164 cb | 164 cb |
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】 | ||
1,280×720ドット | 3,941 | - |
ドラゴンクエストX ベンチマークソフト | ||
1,280×720ドット | 7,041(とても快適) | - |
FINAL FANTASY XV BENCHMARK | ||
1,280×720ドット | 772(動作困難) | - |
SSDをCrystalDiskMark 6.0.0で計測 | ||
Q32T1 シーケンシャルリード | 559.391 MB/s | 3375.746 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 525.945 MB/s | 1989.350 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 390.280 MB/s | 869.012 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 338.271 MB/s | 421.341 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 232.408 MB/s | 415.580 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 212.687 MB/s | 440.423 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 35.304 MB/s | 44.300 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 79.846 MB/s | 130.184 MB/s |
BBenchにより連続動作時間を計測(ディスプレイの明るさ40%、電源モード:高パフォーマンス) | ||
バッテリ残量5%まで | 5時間18分16秒 | 11時間34分6秒 |
SATA 6Gbps接続のSSDを搭載する「STYLE-14FH054-i7-UHSS」と、M.2 NVMe接続のSSDを搭載する「ThinkPad X1 Carbon」で、ストレージ速度に大差がつくのは当然のこと。もし高速なOS、アプリの起動、データの読み書き速度が必要であれば、「STYLE-14FH054-i7-UHSS」もカスタマイズでM.2 NVMe接続のSSDを選択すれば良い。
気になったのは、PCMark 10、3DMark、CINEBENCH R15のスコアが、全体的に「STYLE-14FH054-i7-UHSS」が下回っていたこと。「STYLE-14FH054-i7-UHSS」は「ThinkPad X1 Carbon」に対して、PCMark 10のトータルスコアは90%、CINEBENCH R15のCPUスコアは89%の値に留まっている。
動作の安定性や静音性を重視したのか設計の意図は不明だが、負荷または発熱に対するクロック周波数制御のしきい値が低い可能性が高い。
バッテリ駆動時間はスペック通りではあるが、バッテリ残量5%まで5時間18分16秒と、モバイル用途には厳しい結果となった。モバイルバッテリによるUSB Type-C経由の充電にも対応していないので、基本的には、自宅やオフィスなどで利用するノートPCと捉えるべきだ。
コストパフォーマンスに優れるスタンダードノートPC
Core i7-8550U、8GBメモリ、240GB SSD、14型フルHDディスプレイという構成で、税別99,980円という価格設定はコストパフォーマンスが高い。
アルミフレーム筐体の質感は高く、インターフェイスも充実している。バッテリ駆動時間がカタログスペックで約6.3時間というのは、モバイル用途には心許ないが、オフィスや自宅で利用するスタンダードノートPCとしては魅力的な選択肢と言えるだろう。