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Core i7&SSD搭載で税別9万円台のコスパが光るユニットコム製14型ノート

ユニットコム「STYLE-14FH054-i7-UHSS」。税別99,980円~

 株式会社ユニットコムは、「iiyama PC」ブランドの「STYLE∞N(スタイル インフィニティ エヌ)」シリーズから、第8世代Core i7搭載14型フルHDノートPC「STYLE-14FH054-i7-UHSS」の販売を5月25日より開始した。

 「STYLE-14FH054」シリーズはローエンドからハイエンドまで計17モデルがラインナップされているが(記事執筆時点)、今回はCore i7/メモリ8GB/240GB SSD搭載とバランスの取れたスペックで税別99,980円と手頃な価格を実現したミドルレンジモデル「STYLE-14FH054-i7-UHSS」をユニットコムより借用した。

 そこで本記事ではスタンダードノートPCとしての使い勝手、AV性能、性能などについてレビューしていこう。

第8世代の「Core i7-8550U」を採用

 「STYLE-14FH054-i7-UHSS」は、CPUに第8世代(Kaby Lake R)の「Core i7-8550U(1.8~4GHz、4コア/8スレッド)」を採用。メモリは8GB(DDR4-2400 SDRAM 8GB×1、2スロット)、ストレージは240GB SSD(SATA 6Gbps)を搭載している。

STYLE-14FH054-i7-UHSSのおもな仕様
製品名STYLE-14FH054-i7-UHSS
OSWindows 10 Home 64 bit
CPUCore i7-8550U(1.8~4GHz、4コア/8スレッド)
GPUIntel UHD Graphics 620(300MHz~1.15GHz)
ディスプレイ14型非光沢フルHD液晶(1,920×1,080ドット)
メモリDDR4-2400 SDRAM 8GB(8GB×1、2スロット)
ストレージ240GB SSD(SATA 6Gbps)
光学ドライブ
通信有線LAN(1000BASE-T)、IEEE 802.11ac、Bluetooth 4.2
WWAN
インターフェイスUSB 3.1 Type-C(Thunderbolt 3兼用)、USB 3.0 Type-A×2、HDMI(4K対応)、Mini DisplayPort(4K対応)、SDメモリカードスロット、ヘッドフォン/スピーカー出力、マイク入力
カメラ100万画素
本体サイズ/重量約330×226×20mm(幅×奥行き×高さ)/約1.5kg
バッテリ駆動時間約6.3時間
Officeオプション
同梱品ACアダプタ、電源ケーブル、マニュアル、保証書、DSP版インストールメディア
価格99,980円(記事執筆時点)

 本製品のハードウェアカスタマイズ項目は、天板ロゴ(iiyama)の有無、メモリ容量(8GB/16GB)、SSD(SATA 240GB/SATA 250GB/M.2 SATA 240GB/M.2 NVMe 250GB)、HDD(なし/500GB/1TB/2TB)のみ。

 ちなみにメモリを16GB、SSDをM.2 NVMe 250GB、HDDを2TBにカスタマイズしたさいの本体価格は、税別132,920円となる。

 標準構成から低スペックなパーツに変更することはできないので、購入金額を低く抑えたい場合は「STYLE-14FH054」シリーズのなかから、低グレードな製品を選ぶことになる。

 ちなみに税別79,980円と、最も安価な「STYLE-14FH054-i5-UHE-KCOM」は、Core i5/メモリ8GB/1TB HDDという構成だ。

メーカーのアイデンティティーとも言える天板ロゴ(iiyama)の有無が選べるのは珍しい。しかも価格は変わらない。ただし、天板ロゴなしを選んでも、ディスプレイ下部にはロゴが入る点は留意しておこう

USB 3.1 Type-C端子はThunderbolt 3兼用だが充電非対応

本体を開いたところ

 本製品のサイズは約330×226×20mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.5kg。今どきの軽量薄型ノートPCと比べると軽いとは言えないが、アルミフレーム筐体は剛性がしっかりと確保されており、また質感も良好だ。

 インターフェイスは、USB 3.1 Type-C(Thunderbolt 3兼用)、USB 3.0 Type-A×2、HDMI(4K対応)、Mini DisplayPort(4K対応)、SDメモリカードスロット、ヘッドフォン/スピーカー出力、マイク入力を搭載。通信機能は、有線LAN(Gigabit Ethernet)、IEEE 802.11ac、Bluetooth 4.2に対応する。

 左側に「SIM」と描かれたMicro SIMカードサイズのスロットがあり、プッシュイン/プッシュアウト方式としては機能しているが、WWAN機能は利用できない。今後、WWAN対応製品がリリースされることに期待したい。

 USB 3.1 Type-C端子はThunderbolt 3兼用となっており、最大40Gbpsのデータ転送、対応ディスプレイへの映像出力をサポートしているが、充電機能は利用できないので注意してほしい。

本体天面。中央には「iiyama」のロゴが入っているが、購入時にロゴなしの天面を選択可能だ
本体底面。向かって右にはWindows 10 DSP版スクラッチシールが貼られている。底面カバーを開けるネジはすべて露出しているので、メンテナンス性はよさそうだ
本体前面。左側には電源ランプ、バッテリーランプ、機内モードランプ、HDDアクセスランプが配置されている
本体背面
本体右側面。左から、USB 3.1 Type-C(Thunderbolt 3兼用)、USB 3.0 Type-A、Mini DisplayPort(4K対応)、HDMI(4K対応)、SDメモリカードスロット、Gigabit Ethernet、セキュリティースロットが配置されている
本体左側面。左から電源端子、USB 3.0 Type-A、電源ボタン、マイク入力、ヘッドフォン/スピーカー出力が並んでいる。「SIM」と描かれたmicroSIMカードサイズのスロットがあるが、WWAN機能は利用できない
ディスプレイ面。14型非光沢フルHD液晶(1,920×1,080ドット)が搭載されている。ロゴなしの天面カバーを選択しても、ディスプレイ下の「iiyama」ロゴは残る
ディスプレイ上部には100万画素のWebカメラを搭載。スペック表には記載がないが、Webカメラ左右にあるのは指向性を備えたデュアルマイクと思われる
キーボード面。パームレスト部には、「Intel Core i7 8th Gen」と「Thunderbolt」のロゴシールが貼られている
箱のサイズは実測約460×280×80mm(同)、重量は実測2,123g。比較的かさばらないサイズだ
借用機のパッケージには本体、ACアダプタ、電源ケーブルのみが入っていたが、実際の製品にはマニュアル、保証書、DSP版インストールメディアが付属している
本体の実測重量は1,461g。メモリ、ストレージなどをカスタマイズすると、実測重量はわずかに増える
ACアダプタと電源ケーブルの合計重量は実測213g
ACアダプタのコード長は実測約150cm、電源ケーブルは実測約100cm
ACアダプタの仕様は、入力100-240V~1.0A、出力19V/2.1A、容量は40W
システム情報
主要なデバイス
初回起動時のディスク情報。空き容量は208.52GB
「powercfg /batteryreport」コマンドを実行したところ、DESIGN CAPACITYは35,340mWh、FULL CHARGE CAPACITYは36,298mWhと表示された

AVクオリティーには過剰な期待は禁物

 本製品には、14型非光沢フルHD液晶ディスプレイが採用されている。ディスプレイの詳細スペックは公表されていないが、ディスプレイキャリブレーション機器「i1Display Pro」で計測した最大輝度は、269cd/平方mだった。

 「i1Display Pro」で作成したICCプロファイルを、色度図作成ソフト「ColorAC」で確認してみたところ、sRGBカバー率が61.5%、sRGB比が61.7%、Adobe RGBカバー率が45.8%、Adobe RGB比が45.8%という計測結果となった。

 またサウンド面についても、物足りないというのが率直な感想だ。ボリューム自体はノートPCとしては標準的といったところか。筆者の基準で言えば、ニュース的なコンテンツなら本製品のスピーカーでも良いが、映画やミュージックビデオなどを鑑賞するなら、ヘッドフォンやBluetoothスピーカーを組み合わせたいと思う。

 とはいえ、本製品はAVクオリティーを売りにした製品ではない。また計測した色域自体は決して広くはないが、発色には癖がなく、視野角も1人で使うには十分な広さだ。

 写真現像などのクリエイティブワークには向かないが、Webブラウジングやオフィスワークなど、一般的な用途であれば不満を感じることはないはずだ。

色が少し淡く感じられるが、基本的には素直な発色だ
デフォルトではスケーリングは「150%」に設定されている。14型フルHDディスプレイで「150%」はデスクトップが狭く感じられる。筆者の場合は「125%」がちょうどよかった
本製品のsRGBカバー率は61.5%、sRGB比は61.7%
本製品のAdobe RGBカバー率は45.8%、Adobe RGB比は45.8%
45度の角度から画面を見ても、一定の視認性は確保される
ステレオスピーカーは底面左右に配置。底面スピーカー特有のこもりはそれほど気にならないが、低音が不足している
YouTubeで公開されている「前前前世 (movie ver.) RADWIMPS MV」を最大ボリュームで再生したさいの音圧レベルは、最大80.5dBA(50cmの距離で測定)

キーボードの打鍵感は良好

 「STYLE-14FH054」シリーズには87キーの日本語キーボードが採用されている。キーピッチは実測約19mm。正確なキーストロークは不明だが、標準的な深さが確保されている。

 アルミフレーム筐体のおかげか、強くタイピングしてもほとんどたわみは感じない。打鍵音も低めの音質で、打鍵感も良好。上質な部類に入るキーボードだと言える。

 タッチパッドは、Windows 10の高精度タッチパッドに対応。サイズは実測約90×47mm(幅×奥行き)とやや狭いが、快適にジェスチャー操作が可能だ。

 ただしクリックボタンには少々不満がある。クリック感が弱く、ストロークが浅いのだ。せっかく分離式のクリックボタンを採用しているなら、もう少し明確なクリック感を与えてほしかった。

アイソレーションキーボードを採用しているので、ふたつのキーを同時押ししてしまうような窮屈さはない
キーピッチは実測約19mm
タッチパッドのサイズは実測約90×47mm(幅×奥行き)。クリックボタンは分離式
タッチパッドはWindows 10標準の高精度タッチパッドに対応している

動作の安定性や静音性を重視したセッティングか

 最後にベンチマークのスコアを見てみよう。今回は下記のベンチマークを実施している。

  • 総合ベンチマーク「PCMark 10 v1.0.1493」
  • 3Dベンチマーク「3DMark v2.4.4264」
  • CPU、OpenGLのベンチマーク「CINEBENCH R15」
  • ゲーミングPCベンチマーク「モンスターハンターフロンティアベンチマーク大討伐.jpg」
  • ゲーミングPCベンチマーク「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」
  • ゲーミングPCベンチマーク「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」
  • ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 6.0.0」
  • 「BBench」連続動作時間を計測

 今回は比較用に「STYLE-14FH054-i7-UHSS」と同じCPUを搭載した「ThinkPad X1 Carbon」のベンチマークスコアを掲載している。下記が検証機の仕様と、ベンチマークの結果だ。

検証機の仕様
製品STYLE-14FH054-i7-UHSSThinkPad X1 Carbon
CPUCore i7-8550U(1.80~4.00GHz)Core i7-8550U(1.80~4.00GHz)
GPUIntel UHD Graphics 620(300MHz~1.15GHz)Intel UHD Graphics 620(300MHz~1.15GHz)
メモリDDR4-2400 SDRAM 8GB(8GB×1、2スロット)LPDDR3-2133 SDRAM 16GB
ストレージ240GB SSD(Serial ATA 3.0)512GB SSD(PCIe NVMe M.2)
OSWindows 10 Home 64 bitWindows 10 Pro 64bit
製品STYLE-14FH054-i7-UHSSThinkPad X1 Carbon
PCMark 10 v1.0.1493
PCMark 10 Score3,3633,729
Essentials6,7027,652
App Start-up Score7,4918,883
Video Conferencing Score6,3347,192
Web Browsing Score6,3457,014
Productivity5,9306,042
Spreadsheets Score7,3607,495
Writing Score4,7794,871
Digital Content Creation2,5983,044
Photo Editing Score3,0423,639
Rendering and Visualization Score1,7642,028
Video Editting Score3,2693,822
3DMark v2.4.4264
Time Spy342426
Fire Strike Ultra215283
Fire Strike Extreme409534
Fire Strike8631,128
Sky Diver3,9874,672
Cloud Gate7,1289,039
Ice Storm Extreme41,60955,421
Ice Storm59,50276,133
CINEBENCH R15
OpenGL39.52 fps55.54 fps
CPU546 cb607 cb
CPU(Single Core)164 cb164 cb
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】
1,280×720ドット3,941
ドラゴンクエストX ベンチマークソフト
1,280×720ドット7,041(とても快適)
FINAL FANTASY XV BENCHMARK
1,280×720ドット772(動作困難)
SSDをCrystalDiskMark 6.0.0で計測
Q32T1 シーケンシャルリード559.391 MB/s3375.746 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト525.945 MB/s1989.350 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード390.280 MB/s869.012 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト338.271 MB/s421.341 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード232.408 MB/s415.580 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト212.687 MB/s440.423 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード35.304 MB/s44.300 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト79.846 MB/s130.184 MB/s
BBenchにより連続動作時間を計測(ディスプレイの明るさ40%、電源モード:高パフォーマンス)
バッテリ残量5%まで5時間18分16秒11時間34分6秒

 SATA 6Gbps接続のSSDを搭載する「STYLE-14FH054-i7-UHSS」と、M.2 NVMe接続のSSDを搭載する「ThinkPad X1 Carbon」で、ストレージ速度に大差がつくのは当然のこと。もし高速なOS、アプリの起動、データの読み書き速度が必要であれば、「STYLE-14FH054-i7-UHSS」もカスタマイズでM.2 NVMe接続のSSDを選択すれば良い。

 気になったのは、PCMark 10、3DMark、CINEBENCH R15のスコアが、全体的に「STYLE-14FH054-i7-UHSS」が下回っていたこと。「STYLE-14FH054-i7-UHSS」は「ThinkPad X1 Carbon」に対して、PCMark 10のトータルスコアは90%、CINEBENCH R15のCPUスコアは89%の値に留まっている。

 動作の安定性や静音性を重視したのか設計の意図は不明だが、負荷または発熱に対するクロック周波数制御のしきい値が低い可能性が高い。

 バッテリ駆動時間はスペック通りではあるが、バッテリ残量5%まで5時間18分16秒と、モバイル用途には厳しい結果となった。モバイルバッテリによるUSB Type-C経由の充電にも対応していないので、基本的には、自宅やオフィスなどで利用するノートPCと捉えるべきだ。

室温26℃の部屋で「CINEBENCH R15」の「CPU」を連続で5回実行したさいのキーボード面の最大温度は49.1℃
底面の最大温度は52.9℃
ACアダプタの最大温度は45.6℃。
キーボードのヒンジ側に通気口が設けられている。サーマルカメラの温度分布から判断する限り、上の写真で見たときの左側から排気している

コストパフォーマンスに優れるスタンダードノートPC

 Core i7-8550U、8GBメモリ、240GB SSD、14型フルHDディスプレイという構成で、税別99,980円という価格設定はコストパフォーマンスが高い。

 アルミフレーム筐体の質感は高く、インターフェイスも充実している。バッテリ駆動時間がカタログスペックで約6.3時間というのは、モバイル用途には心許ないが、オフィスや自宅で利用するスタンダードノートPCとしては魅力的な選択肢と言えるだろう。