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Core i7-8700搭載で税別9万円切りのユニットコム製ミニタワー「STYLE-M1B6-i7-UHS」

ユニットコム「STYLE-M1B6-i7-UHS」。税別88,980円~

 株式会社ユニットコムは、4月26日より「iiyama PC」ブランド「STYLE∞(スタイル インフィニティ)」シリーズのミニタワー型デスクトップPC「M-Class」のケースデザインを一新した。

 インダストリアルデザイナーの横井康秀氏がデザインを担当。前面パネル両端に丸みのある形状が採用され、質感にこだわったというマットブラックに変更されている。

 「M-Class」には、税別47,980円のローエンドから228,980円のハイエンドモデルまで、旧型筐体を含めて現在81モデルがラインナップされているが、今回はユニットコムより「Core i7-8700」を搭載しつつ税別で9万円切りを実現した「STYLE-M1B6-i7-UHS」を借用した。そこで詳細スペック、ベンチマークなどに加えて、メンテナンス性や拡張性などについてもチェックしていこう。

ビデオカードの追加を前提にした素材的マシン

 「STYLE-M1B6-i7-UHS」は、第8世代(Coffee Lake)の「Core i7-8700」を採用したミニタワー型デスクトップPC。メモリは8GB(DDR4-2400 SDRAM)、ストレージは240GB SSD、光学ドライブはDVDスーパーマルチドライブを搭載している。

 注意いただきたい点が1つある。それは本製品には、標準でビデオカードが搭載されていないこと。「Core i7-8700」という処理能力の高いCPUを搭載していても、ビデオカードなしだと、全体的な性能がアンバランスだ。本製品はビデオカードをカスタマイズで装着することを前提にしたマシンと捉えるべきだ。

【表】STYLE-M1B6-i7-UHSのおもな仕様
製品名STYLE-M1B6-i7-UHS
OSWindows 10 Home 64 bit
CPUCore i7-8700(3.20~4.60GHz、6コア12スレッド)
GPUIntel UHD Graphics 630(350MHz~1.20GHz)
メモリDDR4-2400 SDRAM 8GB(4GB×2、2スロット)
ストレージ240GB SSD(SATA 6Gbps)
光学ドライブDVDスーパーマルチドライブ
通信有線LAN(1000BASE-T)
インターフェイスUSB 3.1 Gen2×4(背面×4)、USB 3.0×2(前面×2)、USB 2.0×2(背面×2)、
PS/2コネクター(キーボード/マウス兼用)×1、
DVI-I×1、DisplayPort×1、
ライン出力×1、ライン入力×1、
マイク入力×2(背面×1、前面×1)、ヘッドフォン出力×1(前面×1)、
有線LAN(1000BASE-T)
本体サイズ/重量約175×360×387mm(幅×奥行き×高さ)/実測約7kg
同梱品電源ケーブル、有線式キーボード、
有線式マウス、Windows 10インストールメディア、
各種マニュアル、保証書
価格88,980円※6月16日調べ

 本製品のカスタマイズ項目は、Windows Mixed RealityヘッドセットやMicrosoft Officeなどを含めると多岐に渡るが、ここでは主要パーツのみご紹介しよう。

主要パーツのカスタマイズ項目

CPU

・Core i7-8700(標準)
・Core i7-8700T(プラス980円)
・Core i7-8700K(プラス7,980円)

メモリ

・DDR4-2400 SDRAM 4GB×2(標準)
・DDR4-2666 SDRAM 8GB×1(プラス1,980円)
・DDR4-2666 SDRAM 8GB×2(プラス10,480円)

SSD

・240GB SATA 6Gbps SSD(標準)
・250GB SATA 6Gbps SSD(プラス2,280円)※「Samsung SSD 850 EVO」を使用
・250GB NVMe M.2 SSD(プラス4,980円)

HDD

・なし(標準)
・1TB HDD(プラス6,980円)
・2TB HDD(プラス9,980円)
・2TB HDD(プラス12,480円)※「WD Red」を使用

ビデオカード

・なし(標準)
・GeForce GT 1030(プラス10,980円)
・GeForce GTX 1050 2GB GDDR5(プラス18,980円)
・GeForce GTX 1060 3GB GDDR5 (プラス28,980円)
・GeForce GTX 1060 6GB GDDR5 (プラス37,980円)

電源

・350W 80PLUS BRONZE(標準)
・450W 80PLUS(プラス980円)
・500W 80PLUS SILVER(プラス2,980円)
・700W 80PLUS BRONZE(プラス6,980円)
・700W 80PLUS GOLD(プラス8,980円)

 本製品をビデオカードの搭載を前提にしたマシンだとお伝えしたが、製品カスタマイズ画面でGeForce GTX 1050/1060を選択すると電源を500W以上に変更するようにメッセージが表示され、また500W以上の電源を選択しなければ「カートに入れる」ボタンが表示されない。つまり「GeForce GTX 1050 2GB GDDR5」を選択すると、「500W 80PLUS SILVER」以上を選ぶことが必須となるので、この場合の本体価格は110,940円となる。

選んだビデオカードに応じて、電源の変更も指示される。指定以上の容量の電源を選択しなければ「カートに入れる」ボタンは表示されない

ミニタワー型デスクトップPCとしてはオーソドックスなデザイン

 本製品の本体サイズは約175×360×387mm(幅×奥行き×高さ)、重量は実測約7kg。前面パネルは、従来の映り込みのあるクリアブラックから、マットブラックに変更されている。新旧デザインのどちらがいいかは好みがわかれるが、少なくともマットブラックの前面パネルは手脂などの付着が目立たない。

 前面上部には5.25インチベイが3つ並んでいるように見えるが、最下段は開閉式のカバーとなっており、なかには3.5インチベイ、USB 3.0×2、マイク入力×1、ヘッドフォン出力×1が隠れている。最上段にはDVDスーパーマルチドライブが装着されているので、5.25インチベイの空きは1つとなる。

 本体背面には、USB 3.1×4、USB 2.0×2、PS/2コネクター(キーボード/マウス兼用)×1、DVI-I×1、DisplayPort×1、ライン出力×1、ライン入力×1、マイク入力×1、有線LAN(1000BASE-T)が配置されている。一般的な用途であれば十分な端子を備えている。

 拡張カードスロットのフタは4枚あるが、マザーボードに用意されているスロットはPCI Express3.0 x16×1、PCI Express3.0 x1×2の3つ。最下段の拡張カードスロットは使用できない。

本体前面。従来シリーズは映り込みのあるクリアブラックの前面パネルが採用されていたが、デザインを一新した「M-Class」はマットブラックが採用された
本体背面。使うときには見えない部分だが、できれば本体色に合わせて黒系に塗装してほしかった
本体右側面
本体左側面。実測約11×21cm(幅×高さ)の吸気口が設けられている
本体天面。背面側(写真下部)には、Windows 10 DSP版スクラッチシールが貼られている。コインなどで削るとプロダクトキーの25文字がすべて見えるようになる
本体底面。樹脂製の足の直径は実測約4cm。底面に吸気口は開けられていない
本体背面端子部アップ。USB 3.1 Gen2×4、USB 2.0×2、PS/2コネクター(キーボード/マウス兼用)×1、DVI-I×1、DisplayPort×1、ライン出力×1、ライン入力×1、マイク入力×1が用意されている
本体前面最下段のカバーは下向きに開く。なかには3.5インチベイ、USB 3.0×2、マイク入力×1、ヘッドフォン出力×1が用意されている
本体前面最上段にはDVDスーパーマルチドライブを搭載。ボタンを押せばトレイが出てくるが、開いた状態ではボタンを押せない。光学メディアを挿入するためにはトレイを押さなければならない
本体天面前部に電源ボタンとアクセスランプを配置。電源ボタンのマーク部分は青く、アクセスランプは白く点灯する。前面上部右側にあるのはDVDスーパーマルチドライブのトレイを開くためのボタン
これは「STYLE-M1B6-i7-UHS」を収めた段ボール箱。サイズは実測約57.6×49.4×28cm(幅×奥行き×高さ)、重量は実測10.2kg
段ボール内には本体、有線キーボード、有線マウス、電源ケーブルが同梱。なお製品版には、これに加えてWindows 10インストールメディア、各種マニュアル、保証書が同梱されている
同梱される有線キーボード。重量は実測約514g。ケーブルの長さは実測約150cm
同梱される有線マウス。重量は実測約65g。ケーブルの長さは実測約155cm
同梱される電源ケーブル。重量は実測約145g。ケーブルの長さは実測約150cm

ミニタワー型デスクトップPCに必要十分な拡張性

 この章では内部を見ていくが、使用されているパーツは2018年6月に借用した製品に搭載されていたものだ。パーツは出荷時期によって異なる可能性がある点に留意してほしい。

 ミニタワー型デスクトップPCの本製品には、もちろんmicroATX規格のマザーボードが採用されている。新筐体を採用した「STYLE-M1B6-i7-UHS」には、ASRock製OEMマザーボード「B360M」が搭載されていた。基板の構成はASRock自身が販売している「B360M-HDV」に非常に近いが、映像端子が「B360M」はDisplayPort、DVI-I、「B360M-HDV」はHDMI、D-Sub、DVI-Iと構成が異なっている。

 使用されているおもなパーツは、メモリがKingston製「CBD24D4U7S8MB-4」、SSDはWestern Digital製「WDS250G2B0A-00SM50」、CPUクーラーがCooler Master製「CM12V」、電源ユニットがAcBel製「PCB029」。本製品のメモリスロットは2スロット構成で、すでに4GBのメモリが2枚刺さっているので、メモリを増設する際にはまるごと交換する必要がある。

 拡張カードスロットはPCI Express3.0 x1、PCI Express3.0 x16、PCI Express3.0 x1の3基が縦に並ぶ。最下段のPCI Express3.0 x1の横にはNVMe M.2スロットが用意されている。2スロットぶんの大型グラフィックスボードを装着したさいには、最下段のPCI Express3.0 x1は使用できず、またNVMe M.2スロットへのSSDの脱着もスペース的に不可能となる。

 SATA 6Gbps端子は6つ用意されている。ドライブベイは上から5.25インチベイ×2、3.5インチベイ×1、3.5インチシャドウベイ×2、3.5インチ/2.5インチ兼用シャドウベイ×1という構成。なお「STYLE-M1B6-i7-UHS」では、5.25インチベイと3.5インチ/2.5インチ兼用シャドウベイが1基ずつ使用済みだ。

 電源ケーブルはSATA電源コネクタ×3、6ピンPCI Expressコネクタ、4ピンペリフェラル電源コネクタが未使用。ただしこれはAcBel製電源ユニット「PCB029」の場合。カスタマイズで容量の大きい電源ユニットを選択したさいには、電源ケーブルの数が増えるはずだ。ケーブルはすべてマザーボード表面に配線されており、使われてない余分な電源ケーブルはドライブベイにストラップで固定されている。

本体左側面内部。使われていない余分な電源ケーブルはドライブベイにストラップで固定されている
本体右側面内部
マザーボードにはASRock製OEMマザーボード「B360M」が使われている。基板の構成はASRock自身が販売する「B360M-HDV」に近い。ただし「B360M-HDV」には、DisplayPortではなくD-Sub、HDMI端子が搭載されている
拡張カードスロットはPCI Express3.0 x1、PCI Express3.0 x16、PCI Express3.0 x1が並ぶ。最下段のPCI Express3.0 x1の横には、NVMe M.2スロットが用意されている
CPUクーラーにはCooler Master製「CM12V」を使用
メモリスロットは2つ
SATA 6Gbps端子は6つ用意されている
背面ファンは9cm角サイズ
電源ユニットにはAcBel製「PCB029」を使用
ドライブベイは上から、5.25インチベイ×2、3.5インチベイ×1、3.5インチシャドウベイ×2、3.5インチ/2.5インチ兼用シャドウベイ×1という構成。「STYLE-M1B6-i7-UHS」では、5.25インチベイと3.5インチ/2.5インチ兼用シャドウベイが1基ずつ使用済みだ
前面には放熱口が開けられているが、吸気用のファンは内蔵されていない
電源ケーブルは、Serial ATA電源コネクター×3、6ピンPCI Expressコネクター、4ピンペリフェラル電源コネクターが余っている
SSDに接続されている電源ケーブル、Serial ATAケーブルはテープで固定されていた。運搬時にはずれにくいはずだ
ケース本体、両側面のカバーは端が折り込まれている。指を切る心配はなさそうだ
メモリはKingston製「CBD24D4U7S8MB-4」を使用
SSDはWestern Digital製「WDS250G2B0A-00SM50」を使用

ベンチでビデオカードは必須と実感

 最後にベンチマークスコアを見てみよう。今回は総合ベンチマーク「PCMark 8 v2.10.901」、3Dグラフィックスベンチマーク「3DMark v2.4.4264」、CPU/OpenGLベンチマーク「CINEBENCH R15」、ゲーミングPC向けベンチマーク「モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】」、「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」、「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」、ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 6.0.0」を実施した。下記が検証機の仕様とその結果だ。

【表2】検証機の仕様
STYLE-M1B6-i7-UHS
CPUCore i7-8700(3.20~4.60GHz)
GPUIntel UHD Graphics 630(350MHz~1.20GHz)
メモリDDR4-2400 SDRAM 8GB(4GB×2)
ストレージ240GB SSD(SATA 6Gbps)
OSWindows 10 Home 64bit
【表3】ベンチマーク結果
PCMark 8 v2.10.901
Home Accelarated 3.04345
Creative Accelarated 3.05679
Work Accelarated 2.05415
Storage4966
3DMark v2.4.4264
Time Spy465
Fire Strike Ultra286
Fire Strike Extreme541
Fire Strike1207
Sky Diver5075
Cloud Gate10862
Ice Storm Extreme33552
Ice Storm46053
CINEBENCH R15
OpenGL60.82 fps
CPU1226 cb
CPU(Single Core)188 cb
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】
1,280×720ドット7743
ドラゴンクエストX ベンチマークソフト
1,280×720ドット12899(すごく快適)
FINAL FANTASY XV BENCHMARK
1,280×720ドット1060(動作困難)
SSDをCrystalDiskMark 6.0.0で計測
Q32T1 シーケンシャルリード557.828 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト521.864 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード392.546 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト318.709 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード244.605 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト174.242 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード34.773 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト71.649 MB/s

 ベンチマークスコアは予想通りだが、やはりビデオカードを搭載していない点が非常に惜しく感じられる結果となった。とくに「3DMark」は、「GeForce GTX 1050」を搭載していれば5~6倍のスコアを記録していたはず。当然、今回「動作困難」という評価が下された「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」のスコアも大幅に改善されただろう。

 とは言え、一般用途向けのベンチマークである「PCMark 8」では、ビデオカード搭載、非搭載で2倍、3倍にスコアが変わることはない。3Dゲームをしないオフィス用途であれば、標準構成のままで十分快適に運用できるだろう。

投資に見合うだけ性能が向上する素性のいいマシン

 コストパフォーマンスを売りにしている「STYLE-M1B6-i7-UHS」で、そもそもパーツをアップグレードするべきかという点はたしかに悩ましい。しかしビデオカードを搭載したさいの上げ幅は、ゲームだけでなくクリエイティブアプリケーションでも大きいので、筆者としては強くオススメしたい。

 もし予算的に厳しいのであれば、電源だけでも将来のビデオカード搭載を見据えて500Wタイプ(プラス2,980円)にアップグレードしておこう。ビデオカードの装着は比較的容易だが、電源ユニットの交換はケーブルの抜き差しが多くて、かなりの手間がかかるからだ。

 カスタマイズを強く勧めるレビューとなったが、それは「STYLE-M1B6-i7-UHS」が素性のいいデスクトップPCだからだ。ビデオカードを「GeForce GTX 1050」、電源を「500W 80PLUS SILVER」にアップグレードすると本体価格は88,980円から21,960円アップの110,940円となる。しかし、その投資に見合うだけ性能が向上することは間違いない。