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第8世代CoreやUSB Type-C搭載で魅力を高めたビジネスモバイル「レッツノート SV7」

パナソニック「レッツノート SV7」

 パナソニックは、ビジネスモバイルPC「レッツノート」シリーズ新モデルとなる「レッツノート SV7」を発表した。

 12.1型ディスプレイを搭載し光学式ドライブを内蔵する「レッツノート SZ」シリーズの後継として位置付けられており、SZシリーズの魅力を受け継ぎつつ進化を遂げている。

 今回は、レッツノート SV7の市販モデルの最上位となる「CF-SV7MFRQR」を取り上げる。なお、今回の試用機は発売前の試作機のため、製品版とは仕様面が異なる可能性がある点はご了承願いたい。

外観はSZシリーズからの大きな変化はない

 ではまず、レッツノート SV7(以下、SV7)外観からチェックしていこう。SV7は、レッツノート SZシリーズの後継として位置付けられている新モデルだが、外観はSZから大きな変更は見られない。

 本体サイズは283.5×203.8×24.5mm(幅×奥行き×高さ、突起部除く)となっており、フットプリントは従来モデルのSZ6と同じ。高さはSZ6の25.3mmからわずかに薄くなってはいるが、サイズはほとんど違いがないと言って良いだろう。

 サイズだけでなく、外観も同様だ。ひと目でレッツノートシリーズとわかるシルバーボディに、天板のボンネット構造など、デザインもほとんど変わっていない。このあたりは、レッツノートシリーズの一貫したこだわりだ。

 それに対し重量は、最も軽量なモデルで約999gと、従来モデルのSZ6よりもやや重くなっている。今回試用した最上位のCF-SV7MFRQRは、重量の重いバッテリーパック(L)が装着されていることもあって、公称重量が1,124gとやや重い。

 SZ6よりも重量が増えた要因の1つが、CPUに第8世代Coreプロセッサを採用するために、大型のヒートシンクとファンを備える高性能なCPUクーラーを採用している点だ。

 それでも、天板などを従来よりも0.05mm薄くしたり、搭載される光学式ドライブもケースに穴を開けるなどして軽量化し、最軽量モデルでは1kgを切る軽さを実現しており、モバイルノートとして重要な軽快さは大きく失われてない。なお、今回の試用機の実測重量は1,094gと、1.1kgを切っていた。

 そして、優れた堅牢性もしっかりと受け継がれている。

 天板は軽量化のため従来より0.05mm薄くなっているものの、ボンネット構造の一部を補強するなどして、従来と変わらない強度を維持。それにより、76cmからの動作時落下試験や非動作時自由落下試験、100kgfの天面加圧振動試験、局部加圧試験、キーボード打鍵試験などの各種試験が行なわれ、従来同様の優れた堅牢性が確認されている。安心して毎日持ち運べる点は、全く変わっていない。

天板部分。フットプリントは283.5×203.8mm(幅×奥行き)と、従来モデルのSZ6と同じで、デザインもほとんど変わっていない
天板にはシリーズおなじみのボンネット構造を採用。軽量化のため天板は厚さが従来より0.05mm薄くなっているが、構造の一部を補強し同様の強度を確保。堅牢性は従来モデル同様だ
本体正面
左側面。後方バッテリスロット部の足が高くなっており、後方がせり上がっている
背面
右側面
底面
標準搭載される光学式ドライブも、軽量化のためケースに多くの穴があけられている
CF-SV7MFRQRの重量は公称で1,124g。実測では1,094gと1.1kgを切っていた

4コアの第8世代Coreプロセッサ搭載に合わせ、高性能クーラー搭載

 SV7では、CPUとして第8世代Coreプロセッサを採用している。下位モデルではCore i5-8250U、上位モデルはCore i7-8550Uで、どちらも4コアの最新CPUとなっている。

 従来よりも処理能力が高まっている反面、高負荷時にはかなりの発熱となる。そのためSV7では、従来よりも大型のCPUクーラーを搭載している。

 CPUクーラーは、CPUから熱をヒートパイプでヒートシンクへと移し、ファンで冷却するという標準的なものだが、ヒートシンク部が従来よりも大型化するとともに、空気が均一に流れるような新形状を採用。ファンも厚さを増すだけでなく、ファンブレードを薄肉化してブレード枚数を増やすとともに、“位相反転形状”という独特な形状を採用することで、高回転数での動作音を低減している。

 そのほか、凡退底面に吸気口を用意するとともに、内部の空気の流れも最適化しているという。こういった工夫によって放熱性能を高めることで、従来同様ボディでも高性能CPUの性能を最大限引き出せるようにしている。

 実際に、高負荷時でも側面排気口から熱がしっかり放出されていることが確認できる。また、ファンの動作音もしっかりと耳には届くものの、うるさいと感じるほどではない。

 これなら、比較的静かな場所でもほぼ気にならないレベルで、安心して利用できるだろう。

SV7には、第8世代Coreプロセッサの性能を最大限に引き出せるよう、従来よりも放熱性能に優れる大型のCPUクーラーを搭載
上がSV7、下がSZ6のヒートシンク。SV7のヒートシンクが大幅に大型化されていることがわかる
ファンも大型化するとともに、“位相反転形状”で枚数を増やしたブレードを採用し、静音性と風量増を両立
CPUの熱は左側面から勢いよく排出されるが、高負荷時でもそれほどうるさくない
底面に吸気口を用意し、内部の空気の流れも最適化し、冷却性能を高めている

1,920×1,200ドット表示対応の12.1型液晶を搭載

 ディスプレイは、SZ6同様の、1,920×1,200ドット表示に対応する12.1型液晶を採用している。

 パネルの種類は非公開となっているが、上下/左右ともに視野角が170度確保されており、視認性は申し分ない。もちろん、パネル表面は非光沢処理となっているため、外光の映り込みが少なく、文字入力作業も快適に行なえる。

 発色の鮮やかさは光沢パネルに劣るという印象もあるが、表示品質はビジネスモバイルとして申し分ないレベルだ。

 なお、従来モデル同様にタッチ操作には非対応だ。ビジネスモバイルでは、タッチ対応が求められることは少ないようだが、タッチ対応による利便性はビジネスシーンでも活かせる場面が多く、できれば対応してもらいたかったように思う。

従来同様に1,920×1,200ドット表示対応の12.1型液晶を搭載
表面が非光沢処理となっており、外光の映り込みが少なく文字入力作業などは非常に快適だが、光沢液晶に比べると発色の鮮やかさは劣る印象
液晶パネルは180度をわずかに超える程度まで開く

キーボードやポインティングデバイスは従来同様

 キーボードは、従来モデルとほぼ同じ仕様のものを搭載している。キーは上部がやや切り取られているため、見た目はアイソレーションタイプのキーボードに近い。

 また、左上と右下がややなだらかなカーブに切り取られた、リーフ型のキーを採用する点も従来同様。この形状によって、指や爪がキーに引っかかりづらくなっており、軽快なキー入力が可能としている。

 キーピッチは、横が19mm、縦16mmとなっており、横長になっている点も従来同様。タッチはやや軽めだが、ストロークは約2mmと十分に深く、クリック感もしっかりしているので、打鍵感は良好だ。

 キー操作音は、カチャカチャと軽い音もするが、全体的には静かなほうで、強く叩かなければ静かな場所での操作も問題ないだろう。

 配列に関してはほぼ標準的だが、半角/全角キーがEscキーの右に配置されている点はやや気になる部分。これは、レッツノートシリーズのキーボードではおなじみの配列で、慣れている人なら問題ないと思うが、一般的なキーボードでは、半角/全角キーは数字の1の左に配置されており、そちらに慣れている人はやや戸惑うかもしれない。

 ポインティングデバイスも従来同様、円形のホイールパッドを採用。パッド周囲をくるくるなぞることでスクロール操作ができる点など、ホイールパッドは見た目以上に利便性が優れている。

 独立したクリックボタンが用意されている点と合わせて、操作性に不満はない。

キーボードは従来モデルとほぼ同じものを採用
キートップの左上と右下がなだらかなカーブに切り取られたリーフ型キーを採用
キーピッチが横19mm、縦16mmと横長となっている点も従来同様
ストロークは約2mmと深い。タッチは軽めだが、しっかりとしたクリック感もあり打鍵感は良好
半角/全角キーがEscキーの右に配置されている点は慣れが必要
円形のタッチパッド、ホイールパッドの搭載も従来同様。周囲をなぞるスクロール操作など、利便性は申し分ない

レッツノートシリーズ初、USB PD対応のUSB Type-Cポートを用意

 レッツノートシリーズの特徴として、ビジネスシーンで求められることの多い豊富なポートを用意している点がある。

 SV7ではその特徴をしっかりと受け継ぎつつ、レッツノートシリーズとして初となるUSB Type-Cポートを左側面に搭載している。

 このUSB Type-Cポートは、Thunderbolt 3/USB 3.1、DisplayPort Alt-Modeに対応しており、Thunderbolt 3対応のポートリプリケータやディスプレイ、高速外部ストレージなどを利用できる。さらにUSB PDにも対応しており、USB Type-C経由での給電も可能となっている。

 USB PDの仕様は、電源オン時には27W以上の入力、電源オフ時には15W以上の入力があれば、内蔵バッテリの満充電が可能。また電源オフ時には、7.5~15Wの入力でも、満充電手前で停止となるが、バッテリの充電が行なえるという。

 SV7には従来同様の丸形コネクタを利用する85W ACアダプタが付属しており、そちらを利用するのが基本とはなるが、USB PD対応のACアダプタを利用した給電も可能なため、電源周りの柔軟性が大きく高まっている。

 実際に、手持ちの出力45WのUSB PD対応ACアダプタを利用してみたが、問題なく給電およびバッテリの充電が可能だった。

 SV7付属のACアダプタは、出力が大きいため、ややサイズが大きく、付属電源ケーブル込みの重量も実測で310.5gとやや重い。しかし、外出時にはよりコンパクトで軽いUSB PD対応ACアダプタを持ち出すという手段もとれるため、機動性を高められる。

 また、USB PD対応の大容量モバイルバッテリを活用すれば、電源を取れない場所で長時間利用しなければならない場面にも、柔軟に対応できることになる。

 そういった意味で、USB PD対応のUSB Type-Cポートが追加された点は、周辺機器の利用だけでなく、モバイルシーンでの利便性も大きく高めてくれると言って良いだろう。

 USB Type-C以外のポートは、左側面に電源コネクタ、HDMI出力、USB 3.0、右側面にUSB 3.0×2、ミニD-Sub15ピン、Gigabit Ethernet、正面にSDカードスロットとオーディオジャックをそれぞれ用意。また、正面右にはスロット式のDVDスーパーマルチドライブを搭載している。

 そのほかのCF-SV7MFRQRの仕様は次のとおり。CPUはCore i7-8550Uで、メモリは標準で8GB搭載。内蔵ストレージは512GBのSATA SSDを搭載する。無線機能は、IEEE 802.11a/b/g/n/ac準拠無線LAN(2×2)とBluetooth 4.1を標準搭載。また、LTE対応のワイヤレスWAN機能も標準で搭載する。

 LTE通信時のデータ通信速度は受信最大300Mbps、送信最大50Mbpsで、対応LTEバンドはBand 1/3/8/18/19/21/28/41。対応SIMカードはNano SIMで、SIMカードスロットは背面のバッテリスロット内部に用意される。なお、SIMロックはフリーとなる。

 カメラは約207万画素のWebカメラをディスプレイ上部に搭載。加えて、顔認証用のIRカメラも搭載しており、Windows Hello対応の顔認証機能も利用可能となっているので、高度なセキュリティ機能も利用可能だ。

 さらに、これまでレッツノートシリーズではモノラルスピーカの搭載となっていたが、SV7では初めてステレオスピーカをキーボード上部左右に搭載している。

 音質は、低音が薄く高音の伸びも思ったほどではなく、あまり優れるものではない。音楽などの視聴には物足りないという印象だ。

 しかし、中音域はしっかりと再生され、かなりの音量まで上げられるようになっており、テレビ会議などで相手の声もしっかりと聞き取れる。このあたりの仕様も、ビジネスシーンでの利便性を優先したものだ。

左側面には、電源コネクタ、HDMI出力、USB 3.0、Thunderbolt3/USB 3.1 Gen2対応のUSB Type-Cポートを用意。内蔵無線機能のON/OFFスイッチもある
USB Type-CポートはUSB PD対応。USB PD対応ACアダプタ経由での給電が可能だ
フォースメディアの「世界超速」のような、USB PD対応の大容量モバイルバッテリを利用することで、駆動時間をさらに延ばせられる
付属ACアダプタは85Wと高出力のため、サイズはやや大きい
ACアダプタの重量は、付属電源ケーブル込みで実測310.5gだった
右側面には、USB 3.0×2、ミニD-Sub15ピン、Gigabit Ethernetの各ポートを用意
正面には、SDカードスロットとオーディオジャックを配置
正面右には、スロット式のDVDスーパーマルチドライブを搭載
バッテリは着脱式
バッテリスロット奥には、ワイヤレスWAN用のSIMカードスロットを用意。対応SIMはNano SIM
ディスプレイ上部には約207万画素のWebカメラと、Windows Hello対応の顔認証用IRカメラを搭載する
キーボード上部左右にステレオスピーカを搭載

第8世代Core i7の性能が十分に引き出せている

 では、ベンチマークテストの結果を見ていこう。

 利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark 10 v1.0.1457」、「PCMark 8 v2.8.704」、「3DMark Professional Edition v2.4.4418」、Maxonの「CINEBENCH R15.0」、スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」の5種類。

 また、比較用として、VAIOの「VAIO S13 ALL BLACK EDITION」の結果も加えてある。

製品仕様
製品Let'snote SV7 CF-SV7MFRQRVAIO S13 ALL BLACK EDITION TruePerformance適用時VAIO S13 ALL BLACK EDITION 標準動作時
CPUCore i7-8550U(4コア/8スレッド、1.8-4GHz)
チップセット
ビデオチップIntel UHD Graphics 620
メモリLPDDR3-1866 SDRAM 8GBLPDDR3-2133 SDRAM 16GB
ストレージ512GB SATA SSD512GB SATA SSD
OSWindows 10 Pro 64bit
ベンチマーク結果
製品Let'snote SV7 CF-SV7MFRQRVAIO S13 ALL BLACK EDITION TruePerformance適用時VAIO S13 ALL BLACK EDITION 標準動作時
PCMark 10バージョン1.0.1457バージョンv1.0.1413
PCMark 10 Score3,8914,0053,947
Essentials7,7828,1888,136
App Start-up Score9,1369,8349,617
Video Conferencing Score7,4027,4907,473
Web Browsing Score6,9697,4557,496
Productivity6,6706,8026,847
Spreadsheets Score7,8018,0918,106
Writing Score5,7045,7205,784
Digital Content Creation3,0803,1302,997
Photo Editing Score3,7723,7843,733
Rendering and Visualization Score1,9702,0901,867
Video Editting Score3,9343,8813,865
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.03,6283,5273,430
Creative accelarated 3.03,7643,7723,697
Work accelarated 2.04,9254,7104,637
Storage4,9595,0585,057
CINEBENCH R15.0
OpenGL (fps)54.6657.8651.72
CPU634643576
CPU (Single Core)166168169
3DMark Professional Edition v2.4.4180
Cloud Gate8,7429,5108,683
Graphics Score9,67610,8198,871
Physics Score6,5356,6835,981
Sky Diver4,7714,9694,555
Graphics Score4,4494,6444,267
Physics Score7,8588,1577,248
Combined score4,5684,6874,341
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク
1,280×720ドット 標準品質(ノートPC)4,2944,6704,485
1,920×1,080ドット 標準品質(ノートPC)2,3782,6442,574

 結果を見ると、VAIO S13と比べても、遜色のない結果が得られていることがわかる。

 テストによっては、VAIO S13 ALL BLACK EDITIONのTruePerformance適用時の結果を上回っている部分もあり、このことからもCPUの性能が十分に引き出せていると言える。

 これはやはり、冷却性能を高めたCPUクーラーを搭載していることによるものと考えられるが、軽量ボディながら、CPUの性能を過不足なく引き出せる点は大きな魅力だろう。

 続いてバッテリ駆動時間だ。CF-SV7MFRQRには、標準で容量64Whのバッテリーパック(L)が付属しており、公称のバッテリ駆動時間は約21時間(JEITAバッテリー動作時間測定法 Ver2.0での数字)とされている。

 それに対し、Windowsの省電力設定を「バランス」、電源モードを「(バッテリー)より良いバッテリー」、バックライト輝度を50%に設定し、無線LANを有効にした状態で、BBenchでキー入力とWeb巡回にチェックを入れて計測したところ、約15時間36分だった。

 ほかのモバイルPCと比べても圧倒的な駆動時間で、外出先で重い作業を行なったとしても、そう簡単にバッテリ切れになることはないだろう。また、文字入力などの作業が中心ならば、1泊2日の出張でもACアダプタは不要かもしれない。

 この長時間駆動は、モバイルPCとして圧倒的な魅力があると言って良いだろう。

圧倒的な魅力を備えるビジネスモバイル

 レッツノート SV7は、ビジネスユーザーから圧倒的な支持を集めているレッツノート SZシリーズの後継として、軽量、長時間駆動、優れた堅牢性といった魅力をしっかりと受け継いでいる。

 そのうえで、最新CPUの性能を最大限引き出せるように工夫されていたり、USB PD対応のUSB Type-Cポートを用意するなど、新たな魅力も盛り込み進化を遂げている。モバイルだからといって性能や利便性を犠牲にすることなく、ビジネスシーンで必要となる要素をしっかり盛り込み進化している。ビジネスシーンでの圧倒的な支持も納得だ。

 確かに、外観の変化は非常に少ないため進化が見えにくく、保守的な印象を受けるのも事実だろう。しかし、実際に手に取ると、その印象は大きく変わるはずだ。安心して外出先に持ち出し活用できるビジネスモバイルとして、圧倒的な魅力のある製品と言える。