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Core i7-8550Uや512GB SSD搭載で税別10万円切りの高コスパノート「m-Book B504H」を検証
2017年12月20日 11:00
マウスコンピューターから、メインストリームノートPC新モデル「m-Book B504H」が登場。第8世代Core i7や512GBの大容量SSDを搭載しつつ、税別ながら99,800円からと10万円を切る低価格を実現する、高コストパフォーマンスが大きな特徴となっている。
今回、実際に試用する機会を得たので、ハードウェア面を中心に見ていこう。
【お詫びと訂正】初出時に、誤ったCPU名を載せておりました。お詫びして訂正させていただきます。
ホワイトをベースとした落ち着いたデザイン
マウスコンピューターが扱う15.6型液晶搭載ノートPCには、エントリークラスからゲーミングモデルまで、幅広いラインナップがそろっているが、m-Book B504Hは4,000台限定で販売される、台数限定モデルとなる。
筐体デザインは、メインストリームノートPCとしてオーソドックスなものとなっている。筐体カラーは天板とキーボード面にホワイトを採用。クリアなホワイトは清潔感があり、落ち着いた印象を受ける。
天板にはマウスコンピューターのトレードマークがプリントされている。文字などをプリントしているものと比べるとあまり目立たず、カラーがシルバーということもあって、ブランドアピール度はどちらかというと低い。この程度であれば、雰囲気を壊すこともないはずだ。
ただ、どうしても樹脂の素材感が直接感じられるため、それほど高級感はない。とはいえ、あまりにも安っぽいということもないので、自宅のリビングルームや書斎で使っていて違和感を感じることはないはずだ。
本体サイズは、377×259×22.8~32.5mm(幅×奥行き×高さ)。ディスプレイは極端な狭額縁ではないが、左右ベゼルは比較的せまくなっており、15.6型液晶搭載のメインストリームノートPCとしては標準的なサイズだ。重量は公称で約2kg、実測では1,903gと、こちらも標準的。もともとモバイル用途ではないため、この程度の重量でも大きな問題はなく、家庭内モバイルも面倒と感じることはないだろう。
フルHD表示対応の15.6型液晶を搭載
液晶ディスプレイには、1,920×1,080ドット表示対応の15.6型パネルを採用している。このクラスのノートPCでは、表示解像度がHD(1,366×768ドット)という場合も少なくないが、しっかりフルHD表示対応液晶パネルを採用している点はうれしい。
採用する液晶パネルの種類は非公開。視野角は、IPSパネルなどと比べるとやや狭いものの、TNパネルよりは広いという印象。上下左右に大きく視点を動かすと、やや明るさの変化は感じるが、それに比べると色合いの変化は少ない。ノートPCでは利用時に視点が大きく動くことはほとんどなく、これだけの視野角が確保されていればTNパネルのような視野角の狭さを感じることはないはずだ。
それに対し、発色はやや淡いという印象だ。パネル表面は光沢仕様のため、もう少しメリハリがあってもいいと思うが、全体的に鮮烈さが欠けているという印象。とはいえ、このクラスのノートPCとしては標準的な表示品質で、低価格ノートPCのような表示品質の不満はない。なお、個人的には外光の映り込みが激しい点がやや気になった。
ストローク1.8mmのテンキー付きキーボードを採用
キーボードは、キーの間隔の開いたアイソレーションタイプのものを採用している。キー配列は、m-Book Fシリーズに搭載されているものに近く、テンキーも備わっている。
ただ、主要キーのキーピッチは約18mmと、15.6型ノートPCとしてはややせまくなっている。これは、テンキーを搭載したことによるものだが、19mmフルピッチのキーボードと比べると、わずかだが窮屈な印象を受ける。また、Enterキーとテンキーとの間にスペースが取られていない点も、少々気になる部分。15.6型ノートPCでテンキー付きキーボードを搭載する製品は、どちらかというと少数派だが、それもサイズ的にテンキーを加えるとフルピッチを確保しにくくなるという判断からだろう。
ゆったりとしたキーピッチを取るか、テンキーの利便性を取るかで判断は変わってくる。メインマシンとして利用するなら、テンキーがあったほうが利便性で有利となる。また、ピッチが狭いとは言っても、極端な狭さではないため、とくに違和感なくタッチタイプも可能だった。そういった意味で、m-Book B504Hでテンキー付きキーボード採用という判断も、悪くないと感じる。
キーピッチはやや狭いが、ストロークは約1.8mm深い。タッチはやや柔らかめだが、しっかりとタイピングできる。また、キーボードバックライトを搭載する点も、大きな特徴だ。このクラスでキーボードバックライトを搭載するものは少なく、この点は大きな魅力と言える。合わせて、液晶ディスプレイを開くと後部がリフトアップし、キーボード面に適度な角度が加わる点も、快適なキー入力を実現できるという意味で歓迎できる仕様だ。
ポインティングデバイスは、クリックボタンが独立して用意されているタッチパッドを採用。パッド面は面積が広く、ジェスチャー操作にも対応しており、操作性は申し分ない。独立したクリックボタンで、確実にクリック操作が可能な点もうれしい部分だ。
Core i7-8550Uや512GB SSDなど、かなり贅沢な仕様を実現
m-Book B504Hは、税別で10万円を切る価格ながら、贅沢なスペックを備える点が大きな特徴。
まず、CPUには最新の第8世代Core i7-8550Uを採用。4コア8スレッド処理に対応しており、第7世代Core i7と比べても大幅な処理能力向上を実現している。また、メインメモリも標準でDDR4-2400を8GBと、必要十分の容量を搭載。このクラスの製品では、メインメモリが標準で4GBという製品が多数を占めているが、それらと比べてもかなりの優位点となるだろう。
さらに、内蔵ストレージも標準で容量512GBのSATA仕様M.2 SSDを採用している。SSDの採用は、比較的低価格のノートPCでも広がっているが、この価格帯で512GBと大容量のSSDを採用するというのはかなりの驚きだ。もちろん、HDD搭載のノートPCと比べると、圧倒的に快適な利用が可能で、その点でも大きな魅力となるだろう。このように、CPU、メモリ容量、SSD容量だけを見ても、m-Book B504Hの優れたコストパフォーマンスが実感できるはずだ。
このほかの仕様も申し分ない、ネットワーク機能としては、IEEE 802.11a/b/g/n/ac準拠無線LANとBluetooth 4.2+LEを標準搭載。無線LANは最大通信速度が433Mbpsと1×1通信対応となるが、このクラスなら速度的にも不満はないだろう。
そして、これらスペック面は購入時にカスタマイズも可能だ。たとえば、メインメモリは最大32GBまで拡張でき、内蔵ストレージはPCIe SSDに変更したり、SSDとHDDの同時搭載も可能。予算に応じてスペックを強化できる点も、マウスコンピューターの製品らしい魅力だ。
外部ポートは、左側面にHDMI出力、USB 3.0×1、USB 3.0準拠USB Type-C×1、マイクジャック、ヘッドフォン/S-PDIF共用ジャックを、右側面にUSB 2.0×2、SDカードスロット、ミニD-Sub15ピン出力、Gigabit Ethernetポートをそれぞれ用意。ポートも十分豊富に用意されており、周辺機器の利用も大きな問題はないと言える。
付属のACアダプタは、このクラスのノートPCとしてはかなりコンパクトなものとなっている。出力は40Wで、高負荷のベンチマークテストも動作に問題はなかったため、不安はないだろう。
メインメモリをデュアルチャネルに増設すれば、さらに性能を引き出せそう
では、ベンチマークテストの結果を見ていこう。利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark 10 v1.0.1403」、「PCMark 8 v2.7.613」、「3DMark Professional Edition v2.4.4163」、Maxonの「CINEBENCH R15.0」、スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」の5種類。比較として、Surface Book 2の結果も加えてある。
m-Book B504H | Surface Book 2 | Surface Book 2 ディスプレイ部のみ | LIFEBOOK UH75/B3 | |
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CPU | Core i7-8550U(1.8/4GHz) | Core i7-8650U(1.9/4.2GHz) | Core i7-8650U(1.9/4.2GHz) | Core i5-8250U(1.6/3.4GHz) |
チップセット | - | |||
ビデオチップ | Intel UHD Graphics 620 | GeForce GTX 1050(2GB) | ||
メモリ | DDR4-2400 SDRAM 8GB | LPDDR3-1866 SDRAM 16GB | DDR4-2400 SDRAM 4GB | |
ストレージ | 512GB SSD(SATA) | 1TB SSD(PCIe) | 128GB SSD(SATA) | |
OS | Windows 10 Home 64bit | Windows 10 Pro 64bit | Windows 10 Home 64bit | |
PCMark 10 v1.0.1403 | PCMark 10 v1.0.1275 | |||
PCMark 10 Score | 3,553 | 4,089 | 3,617 | 3,240 |
Essentials | 7,336 | 7,689 | 7,870 | 6,814 |
App Start-up Score | 9,671 | 10,044 | 9,991 | 8,541 |
Video Conferencing Score | 6,248 | 6,795 | 7,149 | 5,977 |
Web Browsing Score | 6,535 | 6,663 | 6,827 | 6,198 |
Productivity | 6,121 | 5,860 | 6,219 | 5,769 |
Spreadsheets Score | 7,518 | 7,650 | 8,163 | 7,073 |
Writing Score | 4,984 | 4,490 | 4,849 | 4,706 |
Digital Content Creation | 2,711 | 4,120 | 2,595 | 2,591 |
Photo Editing Score | 3,400 | 4,260 | 3,330 | 3,137 |
Rendering and Visualization Score | 1,813 | 4,198 | 1,496 | 1,782 |
Video Editting Score | 2,711 | 3,912 | 3,510 | 3,112 |
PCMark 8 v2.7.613 | ||||
Home Accelarated 3.0 | 3,570 | 3,596 | 3,448 | 3,456 |
Creative accelarated 3.0 | 4,594 | 5,125 | 4,769 | 4,444 |
Work accelarated 2.0 | 4,552 | 4,451 | 3,771 | 4,574 |
Storage | 4,956 | 5,061 | 5,030 | 4,866 |
CINEBENCH R15.0 | ||||
OpenGL (fps) | 41.42 | 86.74 | 53.32 | 39.12 |
CPU | 571 | 672 | 679 | 534 |
CPU (Single Core) | 169 | 173 | 177 | 144 |
3DMark Professional Edition v2.4.4163 | 3DMark Professional Edition v2.4.3819 | |||
Cloud Gate | 7,531 | 17,571 | 5,188 | 6,971 |
Graphics Score | 7,968 | 29,421 | 5,808 | 7,455 |
Physics Score | 6,320 | 7,292 | 3,779 | 5,683 |
Sky Diver | 3,982 | 16,155 | 3,890 | 動作せず |
Graphics Score | 3,672 | 18,900 | 3,666 | 動作せず |
Physics Score | 7,321 | 8,922 | 6,184 | 動作せず |
Combined score | 3,794 | 18,509 | 3,545 | 動作せず |
Time Spy | 360 | 1,794 | 369 | - |
Graphics Score | 313 | 1,647 | 322 | - |
CPU Score | 2,699 | 3,643 | 2,193 | - |
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク | ||||
1,280×720ドット 標準品質(ノートPC) | 2,722 | - | 4,057 | 2,358 |
1,920×1,080ドット 標準品質(ノートPC) | 2,621 | - | 2,244 | 1,324 |
1,280×720ドット 標準品質(最高品質) | - | 10,634 | - | - |
1,920×1,080ドット 標準品質(最高品質) | - | 6,208 | - | - |
結果を見ると、ディスクリートGPUが動作する、キーボード装着のSurface Book 2との比較では、さすがに結果が大きく劣っている。しかし、Surface Book 2のタブレット部単体との比較ではいい勝負となっている。Surface Book 2のほうが、上位のCPU(Core i7-8650U)を搭載しているため、基本的にスコアが下回るのは当然だが、なかには結果が上回っている部分も見られ、CPU性能は十分に引き出せていると言える。製品の価格を考えると、これだけの性能が発揮されるなら、まったく不満はないと言える。
ところで、m-Book B504Hの標準仕様では、メインメモリはシングルチャネル動作となっている。そのため、CPU、とくに内蔵グラフィックス機能の性能はフルに引き出せていないことになり、メモリを増設してデュアルチャネル動作にすると、より性能が高まると考えられる。もし予算に余裕があるなら、メインメモリを増設してデュアルチャネル動作にすることをおすすめする。
次にバッテリ駆動時間だ。公称のバッテリ駆動時間は、約4.4時間(JEITAバッテリ動作時間測定法 Ver2.0での数字)となっている。それに対し、Windowsの省電力設定を「バランス」、電源モードを「(バッテリー)より良いバッテリー」、バックライト輝度を50%に設定し、無線LANを有効にした状態で、BBenchでキー入力とWeb巡回にチェックを入れて計測したところ、約5時間11分と、公称を上回る駆動時間を確認した。BBenchでの計測は比較的低負荷ではあるが、それでも公称を上回る駆動時間はなかなか優秀。もちろん、m-Book B504Hはモバイルノートではないものの、これだけの駆動時間なら宅内モバイルも安心だろう。
高コストパフォーマンスのメインストリームノートPCを探している人におすすめ
このようにm-Book B504Hは、税別10万円を切る非常に安価な価格ながら、上位のノートPCに匹敵するスペックが詰め込まれており、コストパフォーマンスは競合製品を圧倒していると言える。
唯一気になるのは、液晶ディスプレイの表示品質だが、それも我慢できないほどではなく、欠点は非常に少ない。はっきり言って、現時点でこの価格帯のノートPCのなかで頭ひとつ飛び抜けた魅力を備える製品と言っていいだろう。家庭で利用するメインノートを探している人や、コストパフォーマンスに優れるノートPCを探している人など、幅広い層におすすめしたい。
なお、m-Book B504Hは販売台数が4,000台の限定となっている。そのため、購入を考えている場合には早めに決断したほうがいいだろう。