Hothotレビュー
Coffee Lake-SにモデルチェンジしたゲーミングPC「LEVEL∞ R-Class」
~Core i7-8700KとGeForce GTX 1080 Tiによる最新ハイエンドマシン
2017年12月7日 06:00
パソコン工房のゲーミングPCブランド「LEVEL∞」から、最新CPUの「Coffee Lake-S」こと第8世代Coreプロセッサ搭載モデルが登場した。
今回は「LEVEL∞」のラインナップの中で、ミドルタワーケースを採用したR-ClassのPC「LEVEL-R037-i7K-XN」をお借りした。CPUはCoffee Lake-Sの中でも最上位の、Core i7-8700Kを採用している。
Core i7-8700Kのスペックは、6コア/12スレッド、ベースクロック3.7GHz、Turbo Boost時最大4.7GHzとなっている。前世代(Kaby Lake-S)の最上位であるCore i7-7700Kは、4コア/8スレッド、ベースクロック4.2GHz、Turbo Boost時最大4.5GHzで、クロックの違いもあるが、コア数が1.5倍に増えたことが最大の注目点であろう。
CPUには現在、最大18コアのCore i9シリーズや、最大16コアのRyzen Threadripperシリーズが存在するため、最新世代とはいえ、6コアのCore i7-8700Kをハイエンドと呼ぶべきかは判断の分かれるところだと思う。
あえて言うなら、「ゲーミングPCとして多くの人が現実的と思える価格帯のハイエンド」だろうか。……そんな定義はひとまず横に置いておき、ゲーミングPCとしてのCoffee Lake-Sがどうなのかを見ていきたい。
オーソドックスにまとめられたハイエンドマシン
LEVEL-R037-i7K-XNのスペックは下記のとおり。
LEVEL-R037-i7K-XN | |
---|---|
CPU | Core i7-8700K |
チップセット | Intel Z370 Express |
GPU | GeForce GTX 1080 Ti(11GB) |
メモリ | 16GB DDR4-2400(8GB×2) |
HDD | 1TB |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチ |
電源 | 700W 80PLUS BRONZE |
OS | Windows 10 Home 64bit |
税別価格 | 206,980円 |
前述のとおり、CPUはCoffee Lake-Sで最上位のCore i7-8700K。ビデオカードにはGeForce GTX 1080 Tiを搭載していながら、税抜価格が20万円程度に収まっているというのが、本機の売りの1つだろう。
そのほかのスペックは、メインメモリ16GB、HDDは1TBと、現時点でのゲームプレイにひとまず必要な分だけ用意したという印象。もちろんカスタマイズにも対応しており、今回お借りしたマシンには、PCIe接続のM.2 SSDが装着されていた。
筐体はミドルタワーだけあって、拡張性には余裕があり、USB端子はUSB 3.1×2、USB 3.0×5、USB 2.0×2と十分。前部の端子は本体上部にあり、上から挿す形になる。ヘッドフォン端子やマイク端子も前部に用意されている。
本体サイズは、190×477×432mm(幅×奥行き×高さ)。
4Kでも「非常に快適」なゲーミング環境
続いて各種ベンチマークソフトのスコアを見ていきたい。
利用したのは、「3DMark v2.4.3819」、「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」、「ドラゴンズドグマ オンライン ベンチマーク」、「バイオハザード6 ベンチマーク」、「ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 EPISODE4」、「CINEBENCH R15」、「CrystalDiskMark 5.5.0」。
CPUに関しては、本機のCore i7-8700Kと、こちらの記事にて使われているCore i7-7700Kと比較してみる。
3DMarkのTime SpyにあるCPU testでは7,730対4,953、CINEBENCH R15のCPUでは1,441対950で、どちらも1.5倍強の差がついた。またCINEBENCH R15のCPU(Single Core)を見ると、204対186で、約1割の差がある。
環境が異なるので単純比較はできないが、コアの増加分がマルチスレッド性能向上に順当に効いているのは間違いない。
続いて、グラフィックス面も含めたゲーミング性能も見ていこう。
印象的なのは「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」の4K(3,840×2,160ドット)で、最高評価の「非常に快適」を獲得している。ゲームタイトルによって負荷はまちまちではあるが、かなりの高画質でも4Kゲーミングを楽しめそうだ。
ベンチマークスコア | |
---|---|
「3DMark v2.4.3819 - Time Spy」 | |
Score | 9,478 |
Graphics score | 9,873 |
CPU test | 7,730 |
「3DMark v2.4.3819 - Fire Strike」 | |
Score | 23,016 |
Graphics score | 28,827 |
Physics score | 19,606 |
Combined score | 10,225 |
「3DMark v2.4.3819 - Sky Diver」 | |
Score | 48,746 |
Graphics score | 86,713 |
Physics score | 17,297 |
Combined score | 31,320 |
「3DMark v2.4.3819 - Cloud Gate」 | |
Score | 45,434 |
Graphics score | 166,731 |
Physics score | 12,812 |
「3DMark v2.4.3819 - Ice Storm Extreme」 | |
Score | 190,764 |
Graphics score | 404,840 |
Physics score | 66,917 |
「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」(DirectX 11/最高品質) | |
3,840×2,160ドット | 8,717 |
1,920×1,080ドット | 18,374 |
「ドラゴンズドグマ オンライン ベンチマーク」(最高品質) | |
1,920×1,080ドット | 15,563 |
「バイオハザード6 ベンチマーク」 | |
1,920×1,080ドット | 28,960 |
「ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 EPISODE4」(簡易設定6) | |
1,920×1,080ドット | 89,927 |
「CINEBENCH R15」 | |
OpenGL | 147.22fps |
CPU | 1,441cb |
CPU(Single Core) | 204cb |
HDDはSeagate製「ST1000DM010」が使われていた。HDDとしては十分に高速な部類だが、最近のゲームは大容量なものが多いため、読み込み時間の短縮のためにもSSDは追加しておきたい。
今回のマシンにはPLEXTOR製SSD「PX-256M8PeGN」が追加されており、こちらも参考までにテスト結果を掲載しておく。
ベーシックな高品質を求めた1台
次は使用感について。騒音面では、ハイエンドゲーミングPCだけあって電源投入時からファンノイズが聞こえる。筐体の左側面には大きなメッシュ加工が施されているため、騒音は漏れやすい。
ただ、音質はホワイトノイズのような音が一定した大きさで出ており、耳障りな高音や響く低音はあまり感じられず、不快感は少ない。ハイエンドなゲーミングPCであることを思うと、十分静かな部類だ。
さらに評価したいのは、ベンチマーク中などの高負荷時。ファンノイズの音量は僅かに大きくなるものの、音質はさほど変化がなく、アイドル時との違いがほとんどわからない。筆者は思わず背面に手をやってファンが回転しているか確認してしまった。
ゲームプレイ時も、ゲームのサウンドが出てしまえば気になる人はまずいないだろう。
もちろん排熱はしっかりなされており、背面からはおとなしいファンノイズからは想像できないくらいの排気がある。
特に高負荷時には、ビデオカードから結構な熱気が排出される(本機に限らず、ゲーミングPCの大半はそうだが)ので、背面を壁に密着させるような配置を避ける等の配慮はした方がいい。
外見は「LEVEL∞」ブランドではおなじみの、黒をベースに赤いラインをアクセントに加えたデザイン。正面にはインジケーター類がほとんどなく(光学ドライブのランプだけが見える)、凹凸が少なくシンプルな外見は、派手な光り物を乗せがちなゲーミングPCとしては珍しい。
各種インジケータが正面ではなく上部にあるのは、デザイン的な差異だけでなく、正面から見た時にLEDがまぶしいといった不満が出にくいのもいい。
本体側面は左側がメッシュ、右側は隙間のないプレートとなっている。背面の端子は、ATXではオーソドックスな配置。カラーリングはGPU部分を除き、電源やI/Oパネルに至るまで黒で統一されている。
左のサイドパネルを開けて内部を見ると、ケースの内部パネルやドライブベイまできっちりと黒に塗られている。電源ユニットも黒、SATAケーブルも黒で、パーツも可能な限り黒系統のものを選んでいる。
せっかく全体のデザインを黒で統一しても、サイドメッシュからのぞき見える内部が雑な色合いだと高級感を損ねる。「LEVEL∞」のマシンは、一見するとシンプルだが、徹底して黒で統一しようというこだわりが感じられるのがいい。
CPUクーラーは、Cooler Master製の大型ヒートシンクファンを搭載。実は筆者は内部を確認するまで、「高負荷でもファンが急激に回らないということは、もしかしてCPUの冷却が簡易水冷にカスタマイズされているのではないか」と思ったが、無事空冷で安心した(笑)。内部配線もすっきりとまとめられている。
6コアになったCore i7-8700Kに高負荷を与えても、ファンノイズが最小限に抑えられているのは、Core i7-8700K自身の発熱量の小ささと、優秀なCPUクーラー、加えてケース内の良好なエアフローに起因すると思われる。CPUクーラーのすぐ横に大型の12cmケースファンがあり、静かながらも強力に排気しているのが冷却に効いているようだ。
Coffee Lake-SはゲーミングPCに有用か否か
Coffee Lake-SについてゲーミングPCを前提に考えると、やはりゲームではCPUよりGPUの方が性能への影響度が大きいため、CPUコアの増加がそのままゲームの快適さに繋がるとは限らない。とはいえ、騒音が大きくなるなどのデメリットも特に感じない、というのが実際に使ってみての感想だ。
たとえゲームの性能への直接的な影響は小さくとも、裏で別のプロセスが走っている時の性能低下を防ぎやすくなるなどの間接的なメリットはあるだろうし、録画したゲーム動画の編集処理の際など、ゲーム以外の用途には間違いなくプラスになる。CPUのコアが増えても目立ったデメリットがないなら、あえて選ばない理由もない。
もちろん、Coffee Lake-Sを搭載しても快適な環境が実現できたのは、「LEVEL∞」のマシンの完成度が高いからだ、とも言えるだろう。質実剛健で無駄がなく、それでいて細部で手を抜いているわけでもないという、機能美にあふれた1台だ。