Hothotレビュー

ハイスペックでもコスパずば抜けの12.3型ペン付き高級2in1「HP Spectre x2」

~10万円以上差があるSurface Proに見劣りせず

日本HP「HP Spectre x2」
税別直販価格159,800円~

 日本HPは、キーボードカバー着脱式の2in1「HP Spectre x2」を7月13日より販売開始した。

 本製品はグローバル向けにはフランスで開催されたカンヌ国際映画祭で5月22日(現地時間)に発表されたモデル。発表された舞台からもわかるとおり、PCとしてのスペックだけではなく、デザイン、細部の仕上げ、質感などの造形美も追求したモデルとして作られている。

 今回、日本HPより本製品の上位モデルを借用したので、デザイン、使い勝手、機能性、性能などについてレビューしていこう。

Core i7/メモリ16GB /1TB SSD搭載モデルが20万円切り

 本製品最大の魅力は他社製品を圧倒するコストパフォーマンス。キーボードカバーとスタイラスを標準で同梱しているにもかかわらず、Core i5/メモリ8GB/512GB SSDを搭載するスタンダードモデル(12-c001TU)が税別直販価格159,800円、Core i7/メモリ16GB /1TB SSDを搭載するパフォーマンスモデル(12-c002TU)が税別直販価格199,800円と、非常に戦略的な価格に設定されている。

 たとえば、Core i7/メモリ16GB /1TB SSDを搭載する新型Surface Proの税別直販価格は315,800円。キーボードカバー(19,400円)とスタイラス(11,800円)を合計すれば347,000円となるので、それらが標準で付属するHP Spectre x2とは147,200円の価格差がある。

 詳しくは後述するが、Surface Proのほうが上位のCPUを搭載し、スタイラスにも性能差があるが、それを踏まえても本製品のコストパフォーマンスはずば抜けている。

 非常に安価なHP Spectre x2だが、カタログスペック的にはSurface Proに見劣りしないどころか、上回っている点もある。ディスプレイはSurface Proより高解像度な3,000×2,000ドットの12.3型IPS液晶を採用し、インターフェイスはUSB 3.0 Type-Cを2基搭載。さらに背面カメラには、Surface Proを500万画素上回る1,300万画素のイメージセンサーが採用されている。

 ただしカタログスペック的に気になる点もある。それはバッテリ駆動時間。Surface Proは最大13.5時間のバッテリ駆動時間が謳われているが、HP Spectre x2は約8時間に留まっている。計測条件が異なるので単純に比較はできないが、購入を検討するにあたって留意しておきたいポイントだ。

【表1】主要スペック ※価格は7月21日調べ
製品番号スタンダードモデル 12-c001TUパフォーマンスモデル 12-c002TU
OSWindows 10 Pro 64bit
CPUCore i5-7260U(2.2~3.4GHz)Core i7-7560U(2.4~3.8GHz)
GPUIntel Iris Plus Graphics 640(300MHz~950MHz)Intel Iris Plus Graphics 640(300MHz~1.05GHz)
メモリLPDDR3-1866 SDRAM 8GBLPDDR3-1866 SDRAM 16GB
ストレージ512GB SSD(PCIe NVMe M.2)1TB SSD(PCIe NVMe M.2)
ディスプレイ12.3型IPS液晶(3,000×2,000ドット、293ppi、タッチパネル、Gorilla Glass4、450cd/平方m、光沢)
通信IEEE 802.11ac/a/b/g/n、Bluetooth 4.2
インターフェイスUSB 3.0 Type-C×2、マイクロフォン/ヘッドフォン・コンボ・ジャック×1、microSDカードリーダ(トレイタイプ)、500万画素前面カメラ、1,300万画素背面カメラ
バッテリ駆動時間約8時間
本体サイズ(幅×奥行き×高さ)/重量タブレット: 約294×207×8.0 mm/約775g、タブレット+キーボードドック: 約294×213×13.2mm/約1.14kg
セキュリティ赤外線カメラ(Windows Hello対応)
ペンアクティブペン
Microsoft OfficeOffice Home and Business Premium プラス Office 365 サービス(または3年間引き取り修理サービスを選択可能)
直販価格159,800円199,800円

特徴的なU字型のキックスタンドは軽量化にも貢献

 機能美と造形美の追求を謳うSpectreシリーズにラインナップされているだけに、HP Spectre x2のデザイン性は高く評価できる。

 筐体はCNC精密加工が施されたアルミニウム/マグネシウム合金素材で、質感は非常に高い。アッシュブラックとゴールドを組み合わせたカラーリングは好みが分かれそうだが、まるで高級アクセサリのような独特な存在感はほかのPCと一線を画している。

 本製品のデザインにおける最大の特徴はU字型のキックスタンド。一見華奢に見えるが、ステンレス素材を削り出したキックスタンドは十分な剛性感が確保されている。真似しないでほしいが、キックスタンド部を掴んで持ち上げても、剛性感に不安はない。ほかのメーカーのキックスタンドと異なり、U字型にくり抜かれた構造なので、軽量化にも一役買っているはずだ。

 細部も見ていこう。

 本体前面には500万画素前面カメラ、赤外線カメラ、デュアルマイク、ステレオスピーカー、背面には1,300万画素背面カメラ、右側面にはボリュームボタンとUSB 3.0 Type-C×1、左側面にはマイクロフォン/ヘッドフォンコンボジャック×1、microSDカードリーダ(トレイタイプ)、USB 3.0 Type-C×1が配置されている。HDMI端子や電源端子は存在しないので、側面がスッキリとしている。

 USB 3.0 Type-C端子は、電源オフ時のUSBチャージも可能。左右両側面にUSB 3.0 Type-C 端子が1つずつ配置されているので、どちらからも充電できる点は使い勝手がいい。なお、USB Type-A端子は搭載されていないが、「USB Type-C to USB A変換アダプタ」が標準で同梱されている。

 使い勝手に疑問を感じたのがトレイタイプのmicroSDカードスロット。microSDカードを着脱するさいにはイジェクトピンが必要なので、ひんぱんに出し入れする用途には向いていない。

 microSDカードスロットはストレージ増設用に利用されることが多いが、512GBまたは1GBのSSDを搭載するHP Spectre x2に必要だとは思えない。デザイン性を優先させてトレイタイプを採用したのだろうが、使い勝手の観点からプッシュブル方式のmicroSDカードスロットを採用してほしかったところだ。

本体前面。画面下にあるのはHPのロゴマーク。もちろんWindowsのホームボタンのような機能は割り当てられていない
本体前面には500万画素前面カメラ、カメラランプ、赤外線カメラ(Windows Hello対応)、赤外線カメラランプ、周辺光センサー、デュアルマイクが並んでいる
本体背面。上部には1,300万画素背面カメラが搭載されている。U字型のキックスタンドが採用されているので、背面はスッキリとしたデザインだ
ヒンジのメカニカル部分は筐体内部にあるので外観はスマートだ
技適などの認証情報やシリアル番号はキックスタンドの接地部分に刻印されている
本体上面。向かって左には電源ボタンが配置されている。また背面側には、吸気、排気用のスリットが設けられている
本体底面。中央にあるのはキーボードカバー用の金属接点。右に見えるのは認証情報
本体右側面。USB 3.0 Type-C端子とボリュームボタンが並ぶ
本体左側面。マイクロフォン/ヘッドフォン・コンボ・ジャック×1、microSDカードリーダ(トレイタイプ)、USB 3.0 Type-Cが配置されている
ステンレス素材を削り出したU字型のキックスタンドは十分な剛性が確保されている
キックスタンドは最大165度まで無段階で調整できる。キックスタンドを165度まで開いたときのディスプレイ面の角度は、実測約15度
製品パッケージ。製品自体のデザインに合わせて、高級アクセサリが入っているかのような外箱に仕上げられている
同梱物一覧。左上から本体、キーボードカバー、専用ケース、ACアダプタ、電源コード、アクティブペン、単6電池、USB Type-C to USB A変換アダプタ、microSDカードトレイイジェクトピン、説明書など
説明書は、セットアップ手順、サービスおよびサポートの案内、HP Service & Support パソコン生活まるごとガイドブック、プレミアムキャッシュバックの案内、アンケートご協力のお願い、製品の仕様に関する注意事項、HP MYステッカーサービスの案内、速効!HPパソコンナビ特別版、アクティブペンのマニュアルなどで構成されている
ACアダプタ。端子形状はUSB Type-C。ケーブルの長さは実測約180cm
ACアダプタは入力100-240V、出力5V/3A、9V/3A、10V/5A、12V/5A、15V/4.33A、20V/3.25A、容量65W
電源コードの長さは実測約100cm
アクティブペン。使用する電池は単6電池1本
USB Type-C to USB A変換アダプタ。USB Type-A端子を必要とする周辺機器用に用意されている
microSDカードトレイイジェクトピン。スマートフォン用SIMトレイイジェクトピンと形状は変わらない
microSDカードを脱着するさいにmicroSDカードトレイイジェクトピンが必要となる。基本的にストレージ増設用のスロットと考えたほうがいい

キーボードの打鍵感は硬め、スタイラスは旧型Surfaceペンと同等

 本製品のキーボードカバー(HPはキーボードドックと呼称している)は、キーボード面にはアルミニウム素材、背面はシボ加工を施した合成樹脂素材が使われている。

 キーボード面にアルミニウム素材のパネルが用いられているおかげで、Surface Proのキーボードカバーより剛性が高い。パームレスト部にもほとんどたわみを感じないので、テーブルに置いて使用しているとクラムシェル型のノートPCと錯覚するほどだ。

 キーボードカバーのキーピッチは18.7mm、キーストロークは1.5mm。Surface Proのキーボードカバーはキーピッチが19mmなので、ほんのわずかに狭いことになるが、体感できるほどの差ではない。

 キーボードに変則的な配置はないが、「-」、「^」、「」の3つのキーは横幅が狭められている。「-」キーは外来語(カタカナ語)を入力するさいに多用するので、ほかのキーと横幅を揃えてほしかった。

 タッチパッドは実測121×56mm(幅×奥行き)とSurface Proより横幅が広く確保されている。Windows 10の高精度タッチパッドには対応していないが、「Elan Clickpad」により各種ジェスチャーを利用できる。

 タッチパッドのストロークはSurface Proのキーボードカバーよりやや深め。筆者はSurface Pro 4のキーボードカバーに慣れているせいか、スライダーを動かすような細かな操作がやりにくく感じた。

キーボードはJIS標準準拠(84キー)配列
キーピッチは約18.7×18.7mm、キーストロークは約1.5mm。Surface Proの約19mmよりキーピッチはわずかに狭いが、並べて打ち比べても体感できないレベルだ
タッチパッドは実測約121×56mmと広め
本製品はWindows 10の高精度タッチパッドには対応していないが、「Elan Clickpad」により各種ジェスチャーを利用できる。Elan Clickpadの設定画面は「設定→デバイス→マウス→その他のマウスのオプション→ELAN→オプション」から呼び出せる
キーボードバックライトは消灯と点灯のみ。明るさを調整できないが、比較的抑えめなので、眩しくて困ることはない

 HP Spectre x2に付属するスタイラス「アクティブペン」は、筆圧感知1,024段階で傾き検知機能なし。旧型Surfaceペンをそのまま利用できたので、「Microsoft Pen」プロトコルを採用したスタイラスなのは間違いない。

 ASUS「TransBook T304UA」のレビューでも述べたが、もし本製品でも新型Surfaceペンの筆圧感知4,096段階、傾き検知機能をファームウェアアップデートなどで利用可能にできるのなら、ぜひとも対応してほしい。

 アクティブペンのペン先をSurfaceペンの替え芯と比較してみたが、筆者の感覚では「2H」相当とかなり硬めに感じた。保証外の利用方法となるが、もっと摩擦感のある書き味が好みなら、旧型Surfaceペンのほうがよさそうだ。

 描線の追従性は新型Surface Proや新型iPad Proと比較すると物足りなく感じる。しかし20~21msのレイテンシが必要なのはレアケースだ。

 とはいえ、一度素速いレスポンスを体験してしまうと、旧型の反応に不満を感じてしまうのも事実。Microsoftが新型「Microsoft Pen」プロトコルをほかのメーカーに早く提供することを強く期待する。それはOSとハードを両方開発しているメーカーの責務だ。

左側のボタンには消しゴム機能、右側のボタンには右クリック機能が割り当てられている
アクティブペンのペン先は硬め。Surfaceペンの替え芯と比較すると「2H」相当
アクティブペンには「Microsoft Pen」プロトコルが採用されているので、保証外の利用となるがSurfaceペンを利用可能だ。Surfaceペンには2H、H、HB、Bの4種類の替え芯が用意されている。書き味にこだわるなら自己責任でご利用いただきたい
Surface Proは本体側面にスタイラスを取りつけられるが、HP Spectre x2はキーボード横にホルダーが用意されている。少々野暮ったいが、意図せずはずれてしまう心配はSurface Proより少ない
HP Spectre x2とアクティブペンの組み合わせによる描線の追従性を動画で撮影した。新型Surface ProやiPad Proと比べると描線の遅れが気になるが、実際の用途ではこの動画のように長い線を描くことは少ないので実用上は問題ない

解像度はSurface Pro超え、色域は2in1としては実用十分

 HP Spectre x2が採用している12.3型IPS液晶ディスプレイは、解像度が3,000×2,000ドット(293ppi)、輝度は450cd/平方m。色域は公表されていないが、ディスプレイキャリブレーション機器「i1Display Pro」で作成したICCプロファイルを、色度図を作成する「ColorAC」で確認したところ、sRGB比は94.5%、Adobe RGB比は73.1%という結果だった。

 広色域を売りにしているわけではない2in1のディスプレイとしては、一定の基準はクリアしていると言える。

 しかし、工場出荷状態の発色傾向は偏っていた。スマートフォンでよく見られるが、発色が鮮やかに誇張されており、赤色がピンクがかって発色されていた。写真現像など忠実な発色が要求される用途に利用するなら、ディスプレイの発色の調整を強くオススメする。

 本製品はサウンド面も注力されている。デンマークのオーディオブランドであるバング&オルフセンの音響技術が盛り込まれており、「Bang & Olufsen Audio Control」がプリインストールされている。

 このサウンド設定アプリケーションではソースに合わせて「音楽」、「映画」、「ボイス」の3つのモードを素速く切り替えたり、イコライザで細かく音の傾向をチューニング可能だ。

 スピーカー自体も余裕のある設計がされているようだ。最大ボリュームではデジタル騒音計で83.8dBAに達していたが、音が割れたり、ビビリ音などが発生することはなかった。

12.3型IPS液晶ディスプレイの解像度は3,000×2,000ドット(293ppi)。スケーリングは200%と高いパーセンテージが推奨される
貸し出し機のディスプレイのsRGB比は94.5%
Adobe RGB比は73.1%
これは貸し出し機のデフォルトの発色。鮮やかさが際立っているが赤色がピンクがかって見える
これは「i1Display Pro」でディスプレイキャリブレーションしたあとの発色。自然な色合いで赤色が発色されており、グラデーションも滑らかだ
スピーカーは本体前面の左右上部に内蔵されている
これはサウンド設定アプリケーション「Bang & Olufsen Audio Control」。音楽、映画、ボイスでモードを切り替えるだけでなく、イコライザで細かく音質をチューニング可能だ

冷却効率が低いため、本来の性能を発揮できず

 最後にベンチマークスコアを見てみよう。

 今回は比較用に平澤寿康氏のSurface Proの記事のスコアを流用している((2in1としての完成度が高まった新「Surface Pro」。ペンや静音性、バッテリ性能が大きく進化)参照)。

 また、筆者が本連載HotHot REVIEW!でこれまで実施してきたベンチマークも追加している。追加したベンチマークについてはSurface Proのスコアを掲載していない。しかし、それぞれのベンチマークアプリは公式サイトから入手可能なので、皆さんが自分のマシンとHP Spectre x2の性能を比較するさいに参考にしてほしい。

  • 総合ベンチマーク「PCMark 10 v1.0.1275.0」
  • 総合ベンチマーク「PCMark 8 v2.7.613」
  • 総合ベンチマーク「PCMark 7 v1.4.0」
  • 3Dベンチマーク「3DMark v2.3.3732 64」
  • CPU、OpenCLのベンチマーク「Geekbench 4.1.0」
  • CPUのベンチマーク「Geekbench 3.4.1」
  • CPU、OpenGLのベンチマーク「CINEBENCH R15」
  • ゲーミングPCベンチマーク「モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】」
  • ゲーミングPCベンチマーク「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」
  • ゲーミングPCベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」
  • ゲーミングPCベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」
  • ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 5.2.1」
  • 「Adobe Photoshop Lightroom CC」RAW画像の現像時間を計測
  • 「Adobe Premiere Pro CC」フルHD動画の書き出し時間を計測
  • 「BBench」連続動作時間を計測

 下記が検証機の仕様とその結果だ。

【表2】検証機の仕様
HP Spectre x2 パフォーマンスモデル 12-c002TUSurface Pro 2017年モデル
CPUCore i7-7560U(2.4~3.8GHz)Core i7-7660U(2.5~4GHz)
GPUIntel Iris Plus Graphics 640(300MHz~1.05GHz)Intel Iris Plus Graphics 640(300MHz~1.1GHz)
メモリLPDDR3-1866 SDRAM 16GBLPDDR3-1866 SDRAM 8GB
ストレージ1TB SSD(NVMe PCIe M.2)512GB SSD(NVMe PCIe)
ディスプレイ12.3インチ、3,000×2,000ドット(293ppi)12.3インチ、2,736×1,824ドット(267ppi)
OSWindows 10 Pro 64bit
サイズ(幅×奥行き×高さ)約294×207×8.0 mm292×201×8.5mm
重量約775g約782g
【表3】ベンチマーク結果
HP Spectre x2 パフォーマンスモデル 12-c002TUSurface Pro 2017年モデル
PCMark 10 v1.0.1275.0
PCMark 10 Score3,5433,530
Essentials7,4076,715
App Start-up Score8,9029,160
Video Conferencing Score6,5655,298
Web Browsing Score6,9566,241
Productivity6,2666,210
Spreadsheets Score7,4277,591
Writing Score5,2875,081
Digital Content Creation2,6022,864
Photo Editing Score3,4223,541
Rendering and Visualization Score1,4401,741
Video Editting Score3,5783,811
PCMark 8 v2.7.613
Home Accelarated 3.03,6063,373
Creative Accelarated 3.05,0314,897
Work Accelarated 2.04,2294,342
Storage5,0635,008
PCMark 7 v1.4.0
PCMark score6,112
3DMark v2.3.3732 64
Time Spy430502
Fire Strike Ultra289
Fire Strike Extreme513
Fire Strike1,077
Sky Diver4,1345,103
Cloud Gate6,5528,642
Ice Storm Extreme41,531
Ice Storm57,524
CINEBENCH R15
OpenGL49.01 fps65.46 fps
CPU312 cb417 cb
CPU(Single Core)129 cb157 cb
Geekbench 4.1.0
32-bit Single-Core Score4,068
32-bit Multi-Core Score7,935
64-bit Single-Core Score4,564
64-bit Multi-Core Score8,699
OpenCL28,113
CUDA
Geekbench 3.4.1 Intel(32-bit)
Single-Core Score3,732
Single-Core Score Integer3,785
Single-Core Score Floating Point3,724
Single-Core Score Memory3,645
Multi-Core Score7,702
Multi-Core Score Integer8,677
Multi-Core Score Floating Point8,636
Multi-Core Score Memory3,885
Geekbench 3.4.1 Intel(64-bit)
Single-Core Score3,942
Single-Core Score Integer4,107
Single-Core Score Floating Point3,913
Single-Core Score Memory3,670
Multi-Core Score8,029
Multi-Core Score Integer9,331
Multi-Core Score Floating Point8,821
Multi-Core Score Memory3,843
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】
1,280×720ドット5,967
ドラゴンクエストX ベンチマークソフト
1,280×720ドット10,880
ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク
1,280×720ドット 高品質(ノートPC)3,741
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク
1,280×720ドット 標準品質(ノートPC)2,0444,466
1,280×720ドット 高品質(ノートPC)1,588
1,920×1,080ドット 標準品質(ノートPC)1,6333,244
SSDをCrystalDiskMark 5.2.1で計測
Q32T1 シーケンシャルリード3,256.691 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト1,773.259 MB/s
4K Q32TI ランダムリード523.804 MB/s
4K Q32TI ランダムライト457.636 MB/s
シーケンシャルリード1,339.288 MB/s
シーケンシャルライト1,514.566 MB/s
4K ランダムリード47.449 MB/s
4K ランダムライト172.948 MB/s
Adobe Photoshop Lightroom CCで50枚のRAW画像を現像
4,912☓3,264ドット、自動階調2分36秒68
Adobe Premiere Pro CCで実時間5分のフルHD動画を書き出し
1,920×1,080ドット、30fps7分15秒32
BBenchにより連続動作時間を計測(ディスプレイの明るさ40%)
バッテリ残量7%まで7時間49分5秒

 予想以上にスコア差が開いているというのが率直な感想だ。

 今回計測に使用したHP Spectre x2のプロセッサは「Core i7-7560U(2.4~3.8GHz)」、Surface Proのプロセッサは「Core i7-7660U(2.5~4GHz)」。両プロセッサはどちらも第7世代(Kaby Lake)の製品だ。性能に関係するスペックで異なるのは、プロセッサベース動作周波数、ターボ・ブースト利用時の最大周波数、グラフィックス最大動的周波数、Intel TSX-NIぐらいだ。

 それにしてはスコア差が開きすぎているので、CINEBENCH R15実行中のクロック周波数を確認したところ、HP Spectre x2でTurbo Boostが働いてクロック周波数が3,791MHzに達するのはほんの一瞬で、数秒でコア温度が80℃を超えて、以降は2,992~3,192MHzに留まっていた。

 PCMark 10やPCMark 8では部分的にHP Spectre x2のスコアが勝っているにもかかわらず、CINEBENCH R15や3DMark、ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマークなど負荷の高いベンチマークでSurface Proに差をつけられていることから推測すると、プロセッサが効率よく冷却されていないことが原因で、本来の性能が発揮できていないと思われる。

CINEBENCH R15を実行後数秒でコアの温度が80℃を超えて、以降はベンチマークが終了するまでクロック周波数が2,992~3,192MHzに留まってしまう
「CINEBENCH R15」の「CPU」を連続で5回実行したさいの最大温度は表面が46.2℃
一方、裏面は52.7℃とかなり高め。この裏面の高温も効率的に冷却されていない裏付けとなる

HP Spectre x2は安価だが所有感が満たされるマシン

 ベンチマークは少々期待外れに終わったものの、それを差し引いてもHP Spectre x2のコストパフォーマンスはずば抜けている。また、Spectreシリーズならではの高級アクセサリのようなデザインや筐体の質感も独特の佇まいで魅力的だ。

 高負荷なアプリケーションを多用するのには正直向いていないが、2in1をそのような用途に酷使する人は多くないはず。安くても所有感が満たされるマシンがほしいという人には、HP Spectre x2は絶好の製品と言える。

【お詫びと訂正】記事初出時、Type-CポートについてThunderbolt 3に対応としておりましたが、正しくはUSB 3.0のみサポートとなります。お詫びして訂正させていただきます。