Hothotレビュー

まるで黒いMacBook Pro! GeForce GTX 1050搭載のASUS製15.6型ノート「ZenBook Pro UX550VD」

ASUS ZenBook Pro UX550VD
実売価格172,584円~

 4K動画の編集・書き出し、RAW画像の現像、最新3Dゲームなど負荷の高い用途は数あれど、高性能CPUと外部グラフィックスを組み合わせたモバイルノートPCは意外と選択肢が少ない。

 これら重たい処理をこなせるモデルとして開発されたのが、ASUS JAPANより6月21日に発表、8月上旬より販売が開始された15.6型ハイスペックモバイルノートPC「ZenBook Pro UX550VD」だ。

 ZenBook Proには、Core i5-7300HQを搭載した「UX550VD-7300」、Core i7-7700HQを搭載した「UX550VD-7700」の2モデルが用意されている。今回上位モデルのUX550VD-7700をASUS JAPANより借用したので、性能や使い勝手を中心にレビューしていこう。

高性能ノートPC向けのKaby Lake-HとGTX1050を搭載

 前述のとおり、ZenBook ProにはCore i5-7300HQ/メモリ16GB/ストレージ256GB/GeForce GTX 1050(4GB)/15.6型ディスプレイ(1,920×1,080ドット)を搭載するUX550VD-7300と、Core i7-7700HQ/メモリ16GB/ストレージ256GB/GeForce GTX 1050(4GB)/15.6型ディスプレイ(1,920×1,080ドット)を搭載するUX550VD-7700の2モデルがラインナップされている。

 両モデルの違いはCPUのグレードとストレージの容量のみ。メモリ容量、ディスプレイ解像度、GPUなどのスペックは同じだ。

 直販価格は、下位モデルのUX550VD-7300が172,584円、上位モデルのUX550VD-7700が215,784円となっている。

【表1】ASUS ZenBook Pro UX550VDの主要スペック
UX550VD-7300UX550VD-7700
OSWindows 10 Home 64bit
CPUCore i5-7300HQ(2.5~3.5GHz)Core i7-7700HQ(2.8~3.8GHz)
GPUGeForce GTX 1050(4GB)
メモリDDR4-2400 SDRAM 16GB
ストレージ256GB SSD(M.2 Serial ATA 6Gbps)512GB SSD(M.2 Serial ATA 6Gbps)
ディスプレイ15.6型IPS液晶(1,920×1,080ドット/141ppi/非光沢)
通信IEEE 802.11ac、Bluetooth 4.2
インターフェイスThunderbolt 3(USB 3.1 Type-C)×2、USB 3.0×2、HDMI、マイク/ヘッドフォンコンボジャック、microSDカードリーダ、30万画素Webカメラ
バッテリ容量73Wh
バッテリ駆動時間約11.9時間
バッテリ充電時間約3.1時間
本体サイズ/重量365×251×18.9mm(幅×奥行き×高さ)/約1.84kg
Microsoft Office-
直販価格172,584円215,784円

 スペックで気になる点は、SSDがSerial ATA 6Gbps接続であることと、ディスプレイ解像度の低さ。個人的には15.6型ディスプレイならフルHD(1,920×1,080ドット)解像度であれば十分だと考えるが、ハイスペックノートPCとして企画されたのであればNVMe PCI Express x4接続のSSDやWQHD(2,560×1,440ドット)以上の解像度を搭載してほしかった。

MacBook Proを強く意識した外観、質感はハイレベル

 ZenBook ProのデザインはAppleの「MacBook Pro」を強く意識している。しかしMacBook Proをたんにお手本にするだけでなく、濃いブルーメタリックの金属筐体、ダイヤモンドカットによる輝くエッジなどにより、独特の存在感が演出されている。

 本体サイズは365×251×18.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.84kg。Touch BarとTouch IDを搭載した15インチMacBook Proが349.3×240.7×15.5mm(同)/1.83kgなのでわずかに大きく、重いことになる。とはいえZenBook Proが15.6型、MacBook Proが15.4型ディスプレイを搭載していることを考慮すれば、納得できるサイズ差と重量差だ。

 ZenBook Proのインターフェイスは充実している。Thunderbolt 3(USB 3.1 Type-C)×2、USB 3.0×2 、HDMI端子、マイク/ヘッドフォンコンボジャック、microSDカードリーダを備えているので、従来のType-A、新しいType-C仕様のUSB機器を直接接続できる。しかし残念なのはカードリーダ。個人的にはデジタルカメラでいまだ利用されているフルサイズのSDカードを装着可能なスロットを搭載してほしかった。

 もう1つ欲を言えば、筐体の左側面にUSB 3.1 Type-Cが2つ、筐体右にUSB 3.0 Type-Aが2つ装備されているが、Type-CとType-A端子がそれぞれ左右に用意されていたほうが使い勝手がよかったと思う。

 ACアダプタは入力100-240V、出力19V/6.32A、容量120Wで、専用電源端子を利用する。USB PD(PowerDelivery)には対応していないので、USB Type-C経由では充電できない。

本体天面
本体底面。上方にあるのはスピーカー
認証情報
本体前面
左は電源インジケータ、右がバッテリインジケータ
本体背面
ヒンジ部左右に排気口が設けられている
本体右側面。左からマイクロフォン/ヘッドフォン・コンボ・ジャック×1、microSDカードリーダ、USB 3.0 Type-A×2
本体左側面。左から電源端子、HDMI端子、Thunderbolt 3(USB 3.1 Type-C Gen2)×2。ケンジントンロックは用意されていない
製品パッケージ
同梱品一覧。左上から本体、ACアダプタ、電源ケーブル、USB Ethernetアダプタ、ケーブルタイ、製品保証書、ユーザーマニュアル、「必ず始めにお読みください」、KINGSOFT Officeフライヤー、i-フィルターフライヤー
ACアダプタと電源ケーブル。ACアダプタのコード長は実測約175cm、電源ケーブルは実測約90cm。ACアダプタと電源ケーブルの合計重量は実測約553g
ACアダプタは入力100-240V、出力19V/6.32A、容量120W
USB Ethernetアダプタ。端子はType-A形状。実測重量は約19g
ケーブルタイ。ACアダプタと電源ケーブルにはケーブルタイが装着されている
本体の実測重量は約1840g
本体、ACアダプタ、電源ケーブルの合計重量は実測約2393g
スタート画面
システム情報
主要なデバイス
初回起動時のディスク情報。空き容量は438.12GB
「CrystalDiskInfo 7.0.5」で表示したストレージ情報。MicronのM.2形状Serial ATA 6Gbps接続SSD「MTFDDAV512TBN」が搭載されていた

実用十分なディスプレイ解像度、発色は実際の色合いに忠実

 ZenBook Proは15.6型ワイドIPS液晶(1,920×1,080ドット、141ppi、非光沢)ディスプレイを搭載している。画面解像度は最近のフラグシップスマートフォンと比較すると数値的には物足りなく感じるが、実際に使用してみると実用上では十分な解像度だ。色調については、借用機は実際の色合いに忠実に発色されていた。

 本製品のIPS液晶パネルはNTSC比72%と謳われている。ディスプレイキャリブレーション機器「i1Display Pro」で作成したICCプロファイルを、色度図を作成する「ColorAC」で確認したところ、NTSC比は70.0995%、sRGBカバー率は94.6%、sRGB比は99.0%、Adobe RGBカバー率は72.6%、Adobe RGB比は73.4%という結果だった。モバイルノートPCが搭載するIPS液晶パネルとしては良質な部類に入る。

 視野角については178度が謳われており、斜め45度、斜め60度から見ても、やや暗くなるものの、階調自体は失われておらず、一定の視認性が保たれていた。複数人で同じ画面を見ながらの作業でもとくにストレスは感じないはずだ。

 サウンド機能については米国のオーディオメーカーであるharman/kardonとコラボレーションしており、大容量チャンバーを持つスピーカーをキーボード面左右に2つ、底面に2つ搭載している。

 YouTubeにアップされているアーティスト公式動画(前前前世 (movie ver.) RADWIMPS MV)を最大ボリュームで再生したさいに、キーボード中心から約50cm離れた場所から簡易騒音計で計測したさいの音圧レベルは最大83.2dBA。この最大ボリュームでも音が割れたり、ビビリ音は発生していない。ノートPCのサウンド機能としては優秀だ。

15.6型ワイドIPS液晶の解像度は1,920×1,080ドット(141ppi)。50cm程度離れた距離から見ているかぎりは、とくに文字のジャギーなどは気にならない
発色は素直で、とくに不自然な色調補正は見受けられなかった
正面から見た場合
斜め45度から見た場合
斜め90度から見た場合。もちろん暗くはなるが、階調はそれほど失われていない
実測したNTSC比は70.0995%
実測したsRGBカバー率は94.6%、sRGB比は99.0%
実測したAdobe RGBカバー率は72.6%、Adobe RGB比は73.4%
スピーカーはキーボード面左右に2つ、底面に2つ搭載されている
YouTubeで公開されている「前前前世 (movie ver.) RADWIMPS MV」を最大ボリュームで再生したさいの音圧レベルは最大83.2dBA

キーボード、トラックパッドの操作性は良好、生体認証機能がないのは残念

 ZenBook Proのキーボード、タッチパッドの操作感はじつに快適だ。キーボードのキーピッチは実測約19mmと十分で、キーストロークも1.4mmと深めに確保されている。長時間最小限の疲れでタイピングできるキーボードだ。個人的には、Home、PageUp、PageDown、End、fnキーがEnterキーの右に配列されているのが好みではないが、Enterキーが大きめなのでそれほど使いにくさは感じなかった。

 タッチパッドはダイビングボード構造としては最高レベルに近い操作性だと感じた。ストロークは浅めで、適度なクリック感が与えられているので、画面上の小さなボタンをマウスカーソルで押さえていても、ずれて誤入力が発生することはなかった。

 またタッチパッドは必要十分な広さだ。Windows 10の高精度タッチパッドに対応しているので、OS標準のジェスチャーをすべて利用できるのもうれしいところだ。

 タッチパッドにあえて不満を述べるなら、日本仕様のZenBook Proで指紋認証センサーが省略されたことだ。じつは海外仕様にはタッチパッド右上に指紋認証センサーが内蔵されているモデルが用意されている。

 今日のスマートフォンやタブレットの多くで生体認証機能が搭載されている。ノートPCにおいても赤外線センサーや指紋認証センサーは重要性が高い機能だ。できるだけ安価に提供するための仕様だろうが、せめて上位モデルのUX550VD-7700には指紋認証センサーを残してほしかった。

ディスプレイは最大約138度まで開く
キーボードは92キー日本語仕様
筆者のように手の長さ20cm程度でもとくに窮屈に感じない
バックライトは3段階で明るさを調整可能
キーピッチは実測約19mm、キーストロークはカタログ値で1.4mm
タッチパッドは実測105×74mm
ダイビングボード構造のタッチパッドのストロークは浅めだが、クリック感はしっかりある。細かなマウスカーソル操作も快適だ
Windows 10の高精度タッチパッドに対応しており、OS標準のジェスチャーをすべて利用できる
海外仕様のZenBook Proにはタッチパッドに指紋認証センサーが用意されている。日本仕様で指紋認証センサーが省略されたのは残念だ ※ASUS JAPAN製品公式サイトから転載

4コア/8スレッドのCPUと外部グラフィックスの威力を発揮!

 最後にベンチマークのスコアを見てみよう。今回は下記のベンチマークを実施している。

  • 総合ベンチマーク「PCMark 10 v1.0.1275.0」
  • 総合ベンチマーク「PCMark 8 v2.7.613」
  • 総合ベンチマーク「PCMark 7 v1.4.0」
  • 3Dベンチマーク「3DMark v2.3.3732 64」
  • CPU、OpenCLのベンチマーク「Geekbench 4.1.1」
  • CPUのベンチマーク「Geekbench 3.4.1」
  • CPU、OpenGLのベンチマーク「CINEBENCH R15」
  • ゲーミングPCベンチマーク「モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】」
  • ゲーミングPCベンチマーク「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」
  • ゲーミングPCベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」
  • ゲーミングPCベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」
  • ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 5.2.2」
  • 「Adobe Photoshop Lightroom CC」RAW画像の現像時間を計測
  • 「Adobe Premiere Pro CC」フルHD動画の書き出し時間を計測
  • 「BBench」連続動作時間を計測

 比較用としては、日本HP「HP Spectre x2 パフォーマンスモデル 12-c002TU」の結果を加えている。薄型軽量ノートPC向けのKaby Lake-Uシリーズのプロセッサを搭載し、外部GPU非搭載の最新モデルとの性能差を見るため、HP Spectre x2を選択した。なおGeekbench とCrystalDiskMarkは異なるバージョンで計測しているので、それを踏まえて参考にしてほしい。

 さて下記が検証機の仕様とその結果だ。

【表2】検証機の仕様
ASUS ZenBook Pro UX550VD(UX550VD-7700)HP Spectre x2 パフォーマンスモデル 12-c002TU
CPUCore i7-7700HQ(2.8~3.8GHz)Core i7-7560U(2.4~3.8GHz)
GPUGeForce GTX 1050(4GB)Intel Iris Plus Graphics 640(300MHz~1.05GHz)
メモリDDR4-2400 SDRAM 16GBLPDDR3-1866 SDRAM 16GB
ストレージ512GB SSD(M.2 Serial ATA 6Gbps)1TB SSD(M.2 NVMe PCIe)
ディスプレイ15.6型、1,920×1,080ドット(141ppi)12.3型、3,000×2,000ドット(293ppi)
サイズ(幅×奥行き×高さ)365×251×18.9mm約294×207×8.0 mm
重量約1.84kg約775g
OSWindows 10 Home 64bitWindows 10 Pro 64bit
【表3】ベンチマーク結果
ASUS ZenBook Pro UX550VD(UX550VD-7700)HP Spectre x2 パフォーマンスモデル 12-c002TU
PCMark 10 v1.0.1275.0
PCMark 10 Score4,2273,543
Essentials7,3767,407
App Start-up Score9,0538,902
Video Conferencing Score6,0716,565
Web Browsing Score7,3036,956
Productivity6,3696,266
Spreadsheets Score7,5857,427
Writing Score5,3485,287
Digital Content Creation4,3652,602
Photo Editing Score4,2213,422
Rendering and Visualization Score4,4641,440
Video Editting Score4,4153,578
PCMark 8 v2.7.613
Home Accelarated 3.04,0963,606
Creative Accelarated 3.05,1695,031
Work Accelarated 2.04,8094,229
Storage4,8905,063
PCMark 7 v1.4.0
PCMark score6,0766,112
3DMark v2.3.3732 64
Time Spy1,795430
Fire Strike Ultra1,162289
Fire Strike Extreme2,736513
Fire Strike5,6301,077
Sky Diver17,4684,134
Cloud Gate20,0936,552
Ice Storm Extreme102,94041,531
Ice Storm108,14557,524
CINEBENCH R15
OpenGL103.87 fps49.01 fps
CPU685 cb312 cb
CPU(Single Core)158 cb129 cb
Geekbench 4.1.1
32-bit Single-Core Score4,1204,068
32-bit Multi-Core Score13,9497,935
64-bit Single-Core Score4,6214,564
64-bit Multi-Core Score14,6478,699
OpenCL計測不可28,113
CUDA76,159
Geekbench 3.4.1 Intel(32-bit)
Single-Core Score3,8153,732
Single-Core Score Integer3,8073,785
Single-Core Score Floating Point3,7273,724
Single-Core Score Memory4,0093,645
Multi-Core Score13,8367,702
Multi-Core Score Integer15,7398,677
Multi-Core Score Floating Point16,7188,636
Multi-Core Score Memory4,2703,885
Geekbench 3.4.1 Intel(64-bit)
Single-Core Score4,0163,942
Single-Core Score Integer4,0814,107
Single-Core Score Floating Point3,9353,913
Single-Core Score Memory4,0483,670
Multi-Core Score14,3588,029
Multi-Core Score Integer16,5489,331
Multi-Core Score Floating Point17,2358,821
Multi-Core Score Memory4,2273,843
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】
1,280×720ドット25,3405,967
ドラゴンクエストX ベンチマークソフト
1,280×720ドット9,35510,880
ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク
1,280×720ドット 高品質(ノートPC)3,6483,741
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク
1,280×720ドット 標準品質(ノートPC)2,6862,044
1,280×720ドット 高品質(ノートPC)2,7051,588
1,920×1,080ドット 標準品質(ノートPC)11,0191,633
1,920×1,080ドット 高品質(ノートPC)8,874
SSDをCrystalDiskMark 5.2.2で計測
Q32T1 シーケンシャルリード528.590 MB/s3,256.691 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト451.803 MB/s1,773.259 MB/s
4K Q32TI ランダムリード313.092 MB/s523.804 MB/s
4K Q32TI ランダムライト282.475 MB/s457.636 MB/s
シーケンシャルリード445.436 MB/s1,339.288 MB/s
シーケンシャルライト407.136 MB/s1,514.566 MB/s
4K ランダムリード25.632 MB/s47.449 MB/s
4K ランダムライト94.187 MB/s172.948 MB/s
Adobe Photoshop Lightroom CCで50枚のRAW画像を現像
4,912×3,264ドット、自動階調1分28秒092分36秒68
Adobe Premiere Pro CCで実時間5分のフルHD動画を書き出し
1,920×1,080ドット、30fps3分28秒517分15秒32
BBenchにより連続動作時間を計測(ディスプレイの明るさ40%)
バッテリ残量5%まで11時間2分33秒7時間49分5秒※7%まで

 総合ベンチマークであるPCMark 10/8/7ではそれほど大差が開かなかったが、CINEBENCH R15、Geekbench 4.1.1/3.4.1のCPUスコアではZenBook Proが圧倒的な性能差を見せつけている。ZenBook ProのCPUは4コア/8スレッド、HP Spectre x2は2コア/4スレッド。コア数/スレッド数の違いがそのまま表われているような結果だ。

 そして3DMarkでは外部グラフィックス搭載/非搭載の差が如実に表われている。昨今の内蔵グラフィックスの性能向上は著しい。しかし約2~5倍のスコア差を見ると、少なくともハイスペックノートPCを選ぶさいに外部グラフィックスは必須に思える。

 ちなみに、ドラゴンクエストX ベンチマークソフト、ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク、ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマークで、ZenBook Proのスコアが低く出ている。複数回計測してもほぼ同じ結果なので、なんらかの不具合、または相性問題が発生しているようだ。

 さて、逆にぶっちぎりにHP Spectre x2がZenBook Proを圧倒したのがCrystalDiskMark 5.2.2で、「Q32T1 シーケンシャルリード」ではHP Spectre x2が6.16倍の転送速度を記録している。最近各社のフラグシップノートPCはNVMe PCIe SSDを搭載し、Q32T1 シーケンシャルリードで1500MB/sオーバーを記録している製品が多い。繰り返しになるが、やはりZenBook Proの上位モデルでは、NVMe PCIe SSDモデルを用意してほしかったところだ。

 なお、高負荷時の発熱をサーモグラフィカメラ「FLIR ONE」でチェックしてみた。室温26℃の部屋で、「CINEBENCH R15」の「CPU」を連続で5回実行したさいの最大温度は、表面が47.5℃、裏面が47.1℃、ACアダプタが54.6℃だった。少々温度は高めだがTDP 45WのCPUを採用し、外部グラフィックスを搭載しているハイスペックノートPCとしては許容範囲と言える。

表面の最大温度は47.5℃
裏面の最大温度は47.1℃
ACアダプタの最大温度は54.6℃

ACアダプタなしで最大限にパワーを発揮するハイスペックモデル

 さらなる性能を求めるユーザー向けのノートPCとして、デスクトップPC用CPUとより上位の外部グラフィックスを搭載したゲーミングノートPCなどがあるが、最大限に性能を発揮するためにはACアダプタから電源を供給しなければならなかったり、そもそも連続動作時間が10時間に到底届かないモデルが多い。

 ZenBook Proは、ディスプレイ解像度やストレージ速度はほどほどで、指紋認証センサー非搭載など割り切られたスペックもある。しかし、そのぶん購入しやすい価格設定になっているのが魅力。どこにでも積極的に持ち歩いて、さまざまな場所でクリエイティブ系アプリを活用したり、最新3Dゲームに興じたいという方にはもってこいのハイスペックノートPCだ。