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厚さ10mmを切る世界最薄の13.3型モバイルノート。日本エイサー「Swift 7 SF713-51-F58U/F」

日本エイサー 「Swift 7 SF713-51-F58U/F」

 日本エイサーは、モバイルノート新モデル「Swift 7 SF713-51-F58U/F」を日本で発売すると発表した。13.3型液晶搭載ノートPCとして世界最薄となる9.98mmの薄さを実現する点が最大の特徴で、約1.1kgの軽さと合わせ、携帯性を重視したモデルとなっている。

 今回、いち早く実機を試用する機会を得たので、ハード面を中心に紹介する。発売日は2月16日で、価格はオープンプライス、税別店頭予想価格は18万円前後の見込みだ。

圧倒的な薄さは驚異的

 「Swift 7 SF713-51-F58U/F」(以下、Swift 7)の最大の特徴となるのが、圧倒的な本体の薄さだろう。本体サイズは325.12×228.6×9.98mm(幅×奥行き×高さ)となっており、高さは10mmを切っている。実際に本体を見ると、液晶を閉じた状態でも一般的な薄型モバイルノートの本体側のみに近い高さしかないという、その薄さに圧倒される。この薄さなら、ブリーフケースなどの薄いカバンでも、余裕で収納し持ち運べるはずだ。

 また、これだけの薄さを実現しつつ、堅牢性も申し分ないという印象だ。筐体素材にはアルミニウム合金を採用し、一体成型によって強度を確保。また、液晶面ガラスには米Corning製の強化ガラス「Corning Gorilla Glass 5」を採用することで、液晶部の強度も高められている。実際に、液晶を閉じた状態で本体をやや強い力でひねってみても、本体が歪む印象はほとんど受けない。

 同様に、液晶部のみをひねっても、十分な強度が保たれており、不安はほとんどないと言える。耐圧性能などは公表されていないものの、約1.5mからの高さから荒い地面に落としたとしても最大80%の可能性で液晶の破損から免れるとしている。

 薄さに対し、フットプリントは13.3型液晶搭載モバイルノートとして一般的。ベゼル幅はそれほど狭くないものの、サイズとしては標準的と言えるもので、大きな不満はない。

 重量は、公称で約1.1kg、実測では1,148.5gだった。あまりにも本体が薄いため、手に持つと数字以上の重さを感じてしまう。とは言え、この重量なら毎日持ち歩くモバイル用途としても十分満足できるだろう。

 筐体色は、本体はゴールドで、天板にはブラックを採用。また、ファンレス仕様となっており、内部冷却用の空気を取り込んだり排出するスリットもないため、デザイン性にも優れる。シックながら主張のあるデザインで、高級感もあり、所有欲を十分に満たしてくれるはずだ。

本体正面
左側面。9.98mmと10mmを切る薄さで、前方から後方までほぼ均一だ
後部側面
右側面
液晶部は際立つ薄さとなっているが、表面に強化ガラス「Corning Gorilla Glass 5」を採用しており、強度の不安感はない
本体部も、一般的なノートPCの液晶部同等程度の高さしかない
天板。フットプリントは325.12×228.6mm(幅×奥行き)。カラーはシックなブラックを採用
底面もカラーはブラック。筐体はアルミニウム合金の一体成型で、吸気・排気口などのスリットがなくデザイン性に優れる
キーボード面はカラーにゴールドを採用しており、高級感がある
本体重量は実測で1148.5gと、モバイルPCとして十分満足できる軽さだ

13.3型フルHD液晶を搭載

 液晶パネルには、1,920×1,080ドット表示対応の13.3型液晶を採用しており、タッチ操作には非対応。パネルの種類はIPSで、広視野角かつ鮮やかな表示品質を実現。表示性能などは公表していないが、視点を大きく移動しても、発色や明るさの変化はほとんど感じられず、一般的なIPS液晶採用ノートPC同等以上の表示品質を確保していると感じる。

 パネル表面は光沢処理となっているため、発色は十分に鮮やかで、デジカメ写真や動画も十分満足できる品質で表示される。反面、外光の映り込みはやや激しく、天井の照明などが映り込む場面も多い。文字入力を多用する場合などは、やや気になることもありそうだ。タッチ非対応ということもあり、できれば非光沢処理を施してもらいたかったように思う。

1,920×1,080ドット表示対応の13.3型液晶を採用
IPS方式の液晶パネルを採用。視野角が広く、発色も十分鮮やかだ
液晶表面は光沢仕様のため、外光の映り込みが気になる
液晶は140度ほどまで開く

扱いやすいフルサイズキーボードを搭載

 キーボードには、キーの間隔が開いたアイソレーションタイプキーボード「Acer FineTip キーボード」を採用している。主要キーのキーピッチは実測で約19mmとフルピッチを確保しており、無理な配列もなく、タッチタイプも余裕で行なえる。

 反面、ストロークは1mmあるかないかといったほどで、やや浅い印象。それでも、タッチは適度な堅さで、クリック感もしっかりとしているので、ストロークの浅さをそれほど強く感じることなくタイピング可能だ。なお、キーボードバックライトは搭載しない。

 ポインティングデバイスには、クリックボタン一体型のタッチパッド「マルチジェスチャー・タッチパッド」を採用。このマルチジェスチャー・タッチパッドは、横幅が実測で約140mmと、一般的なノートPCに搭載されるタッチパッドの1.5倍ほどの横幅を備える、かなり大きなものとなっている。

 複数の指を利用したジェスチャー操作にも対応しており、この大型タッチパッドによって軽快な操作を可能にしているとしており、実際の使い勝手もまずまず良好という印象。サイズが大きいために、タイピング時に手のひらがパッド面に触れることも多くなるが、カーソルが移動するなどして誤動作するといったこともなかった。

 ただし、幅が大きいこともあって、左クリックを認識する領域も通常より広く、右クリックのつもりが左クリックになってしまうことが多々あった。このあたりは、ある程度慣れが必要かもしれない。

キーボードはアイソレーションタイプ。無理な配列はほとんどなく、安定してタッチタイプ可能
主要キーのキーピッチは約19mmフルピッチを確保
ストロークは1mmあるかないかの浅さだが、クリック感はしっかりしている
大型のポインティングデバイス「マルチジェスチャー・タッチパッド」を搭載
横幅は実測で140mmほど。ジェスチャー操作対応で扱いやすいが、クリックボタンの位置には慣れが必要

拡張ポートはUSB Type-Cが2系統のみ

 では、Swift 7のスペック面を確認していこう。

 搭載CPUにはCore i5-7Y54を採用しており、メインメモリにはDDR3L-1600 SDRAMを8GB標準搭載(増設は行なえない)。内蔵ストレージは容量256GBのSSDを採用している。無線機能は、IEEE 802.11a/b/g/n/ac準拠の無線LANとBluetooth 4.1を標準搭載。無線LANは2×2通信に対応しており、11ac時で最大867Mbpsの通信速度を発揮する。

右側面にオーディオジャックとUSB 3.1 Gen1対応USB Type-C×2ポートを備える

 ところで、Swift 7では超薄型筐体を実現する反面、犠牲になっている点もある。それは外部インターフェイスだ。Swift 7の外部インターフェイスは、USB 3.1 Gen1対応のUSB Type-Cポートが2ポートとオーディオジャックのみとなっている。USB Type-AポートやHDMIなどの映像出力端子、メモリカードスロットなどは用意されず、別途変換ケーブルなどを用意して接続し利用する必要がある。

 パッケージには、USB Type-C Type-A変換ケーブルが付属しているため、USB Type-C非対応USB周辺機器の利用に大きな支障はない。ただ、映像出力用の変換ケーブルは付属しないため、オプションの変換ケーブルを別途購入する必要がある点は少々残念だ。

 加えて、内蔵バッテリの充電には、2つあるUSB Type-Cポートの一方を利用することになるため、バッテリ充電中にはUSB Type-Cを1ポートしか利用できない。このように、拡張性に関してはある程度の割り切りが必要と言える。

液晶上部にはHD Webカメラを搭載
USB Type-C Type-A変換ケーブルが付属
一般的なUSB周辺機器の利用には変換ケーブルが必要。メモリカードスロットもなくやや不便
付属のACアダプタはUSB Type-Cポートに接続するタイプ
奥のUSB Type-Cポートが充電対応ポートとなる
ACアダプタの重量は、付属電源ケーブル込みで実測269.5gだった

Core i5 Yプロセッサ採用も、性能面に大きな不満はない

 では、ベンチマークテストの結果を見ていこう。利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark 8 v2.7.613」、「3DMark Professional Edition v2.2.3509」、Maxonの「CINEBENCH R15」の3種類。比較用として、パナソニックの「レッツノートXZ6 CF-XZ6HFBQR」の結果も加えてある。

Swift 7 SF713-51-F58U/FレッツノートXZ6 CF-XZ6HFBQR
CPUCore i5-7Y54(1.20/3.20GHz)Core i5-7200U(2.50/3.10GHz)
チップセット--
ビデオチップIntel HD Graphics 615Intel HD Graphics 620
メモリDDR3L-1600 SDRAM 8GBLPDDR3-2133 SDRAM 8GB
ストレージ256GB SSD256GB SSD
OSWindows 10 Home 64bitWindows 10 Pro 64bit
PCMark 8 v2.7.613
Home Accelarated 3.031793276
Creative accelarated 3.037114196
Work accelarated 2.042644211
Storage49184985
CINEBENCH R15.0
OpenGL (fps)29.5738.44
CPU203316
CPU (Single Core)109125
3DMark Professional Edition v2.2.3509
Cloud Gate43515894
Graphics Score56837299
Physics Score23913522
Sky Diver24923544
Graphics Score24263436
Physics Score31724668
Combined score22303155

 結果を見ると、Cinebenchや3DMarkではレッツノートXZ6に比べて結果が劣っていることが分かる。これは、Swift 7では低消費電力のCore i5-7Y54を採用する点が大きく影響していると考えられる。CPU自体の動作クロックが大きく異なっていることや、内蔵グラフィックス機能も仕様が異なっているため、この結果自体はほぼスペック通りの結果と言っていいだろう。

 ただ、PCMark 8の結果で分かる通り、それほど大きなスコアの落ち込みとはなっていない。また、実際にいくつかのアプリケーションを使ってみた印象でも、動作が重いと感じる場面はほとんどなく、Core i5 Uプロセッサ搭載のノートPCと比べて非力という印象を受けることはなかった。

 さすがに、ゲームや画像・映像処理といった負荷の大きいアプリケーションを利用する場合には、動作の重さを感じる場面もあるとは思うが、そう言った用途に活用することをメインターゲットとした製品ではなく、文字入力やちょっとしたデジカメ写真のレタッチといった、いわゆるビジネスモバイル用途として利用する場面で、性能に不満を感じる場面は多くないはずだ。

 Swift 7はファンレス仕様のため、念のため高負荷時の本体の温度を計測してみたが、本体後方のキーボード奥や裏面部分がやや高温になることを確認した。とは言え、実測で40℃程度であり、触れないほどに熱くなるといったことはなかった。タイピング時に、上方のキーを利用する場合には、やや温かいと感じる場面もありそうだが、高負荷の作業を長時間続けない場合には、本体が高温になることもなく、基本的には熱を気にせずに利用できるだろう。

高負荷時にはキーボード後方や裏面が40℃ほどになる

 次に、バッテリ駆動時間だ。Swift 7の公称バッテリ駆動時間は約9時間(測定方法は非公開)となっている。それに対し、Windowsの省電力設定を「バランス」、バックライト輝度を50%に設定し、無線LANを有効にした状態で、BBenchでキー入力とWeb巡回にチェックを入れて計測したところ、約8時間16分の駆動時間を計測した。

 バックライト輝度を高めに設定していることを考えると、8時間を超える駆動時間は十分に満足できる数字だ。バックライト輝度を下げれば、より長い駆動も可能となるはずで、1日程度の外出で利用する場合なら、ACアダプタを携帯せずとも問題なく利用可能だ。

携帯性重視のモバイルノートとしてお勧め

 Swift 7は、10mmを切る薄さや、スタイリッシュで十分な堅牢性を備える筐体、必要十分なバッテリ駆動時間と、モバイルノートPCとして十分な魅力を備える製品に仕上がっている。タッチパッドはややクセがあるものの、キーボードは十分軽快に利用でき、文字入力中心のビジネス用途にも、安心して利用できると言っていい。

 唯一割り切りが必要となるのが拡張性だ。今後、USB Type-C対応のUSB周辺機器も増えていくとは思うが、現時点ではUSB Type-Aや映像出力端子、メモリカードスロットがないという点はどうしても不便に感じてしまう。個人的には、USB Type-A対応周辺機器やSDカードを利用することが多いため、この点はかなり残念に感じる。

 もちろん、そういった周辺機器の利用がないということなら、ほぼ気にならないとは思うが、拡張性を割り切れるかどうかで、評価は大きく分かれそうだ。

 ただ、そうは言っても1cmを切る薄さと約1.1kgの軽さを実現した優れた携帯性、ファンレスによる無音は大きな魅力となるだろう。拡張性よりも携帯性を重視してモバイルノートPCを探しているなら、選択肢として十分考慮すべき製品と言える。