Hothotレビュー

世界最軽量761gの13.3型モバイルノートの使い勝手を確かめる。富士通「LIFEBOOK UH75/B1」

富士通「LIFEBOOK UH75/B1」
実売価格179,500円前後

 富士通は、13.3型で世界最軽量を謳うモバイルノートPC「LIFEBOOK UH75/B1」を1月17日に発表、2月16日に販売を開始した。

 本製品は当初重量を約777gと発表していたが、2月22日に開催された事業説明会「FCCLの匠 体験会」にて、「量産を開始してから、約300台の平均値をとっても、761gは確実に達成できる」との見解を示した(記事へのリンク『世界最軽量13.3型の座を譲らなかった「LIFEBOOK UH75/B1」、777gから761gに』)。

 これにより、LIFEBOOK UH75/B1発表後の2月7日に、世界最軽量の約769gを謳うモバイルノートPCとしてNEC PCからリリースされた「LAVIE Hybrid ZERO」を再び抜き去ったことになる。ただし、執筆時点ではLIFEBOOK UH75/B1の公式サイトでは発表当時の重量である約777gが公式値としてそのまま掲載されている。

富士通とNECのこれまでの発表の経緯

  • 1月17日 : 富士通が世界最軽量約777gを謳う「LIFEBOOK UH75/B1」を発表
  • 1月17日 : NECが「LAVIE Hybrid ZERO」の新製品を予告
  • 2月7日 : NECが世界最軽量約769gを謳う新型「LAVIE Hybrid ZERO」を発表
  • 2月22日 : 富士通が「LIFEBOOK UH75/B1」の実測重量として約761gを公表

 極めて僅差の争いではあるが、どちらもまるで身を削るようなパーツ単位での軽量化によって軽量筐体を実現している。堅牢性や連続動作時間、コストパフォーマンスを向上させつつ、さらなる軽量化の技術革新を見守っていきたい。

 さて今回、富士通からLIFEBOOK UH75/B1を借用する機会を得た。今回は従来通りのスペック、機能、外観、性能のチェックだけではなく、世界最軽量を実現するにあたってトレードオフになっている点があるのかという視点からレビューしていこう。

店頭モデルはCore i5オンリー、WebモデルはCore i7を選択可

 LIFEBOOK UHシリーズには店頭モデルとWebモデルが用意されている。

 店頭モデルには、Core i5-7200U/メモリ4GB/ストレージ128GB/バッテリ25Whを搭載する「UH75/B1」、Core i5-7200U/メモリ4GB/ストレージ256GB/バッテリ50Whを搭載する「UH90/B1」がある。

 一方Webモデルの「WU2/B1」は、CPUをCore i5-7200U(2.5~3.1GHz)/Core i7-7500U(2.7~3.5GHz)、メモリを4GB/8GB/12GB、ストレージを128GB/256GB/512GB、バッテリ容量を25Wh/50Whから選択可能だ。

 13.3型ワイドフルHD非光沢TFT液晶(1,920×1,080ドット、166dpi)のディスプレイ、IEEE 802.11ac/a/b/g/n、Bluetooth 4.1の通信規格、後述するインターフェイスについては全モデルで同じ構成だ。

【表1】LIFEBOOK UHシリーズの主要スペック
店頭モデルWebモデル
UH75/B1UH90/B1WU2/B1
OSWindows 10 Home 64bitWindows 10 Home 64bit/Windows 10 Pro 64bit
CPUCore i5-7200U(2.5~3.1GHz)Core i5-7200U(2.5~3.1GHz)/Core i7-7500U(2.7~3.5GHz)
GPUIntel HD Graphics 620(300MHz~1GHz)Intel HD Graphics 620(300MHz~1GHz)/Intel HD Graphics 620(300MHz~1.05GHz)
メモリDDR4-2133 SDRAM 4GBDDR4-2133 SDRAM 4GB/8GB/12GB ※Core i5-7200U搭載モデルは8GB/16GBを選択不可
ストレージ128GB SSD(SATA)256GB SSD(SATA)128GB/256GB/512GB SSD(SATA)
ディスプレイ13.3型ワイドフルHD非光沢TFT液晶(1,920×1,080ドット、166dpi)
通信IEEE 802.11ac/a/b/g/n、Bluetooth 4.1
インターフェイスUSB 3.1 Type-C×1(USB Power Delivery対応)、USB 3.0 Type-A×2(左側電源オフUSB充電機能付き)、720p Webカメラ、マイクロフォン/ヘッドフォンコンボジャック、SDカードスロット、HDMI、Gigabit Ethernet
バッテリ容量25Wh50Wh25Wh/50Wh
バッテリ駆動時間約8.3時間約17時間25Wh選択時約8.3時間/50Wh選択時約17時間
本体サイズ約309×212.5×15.5mm(幅×奥行き×高さ)
重量約777g約913g25Wh選択時約790g/50Wh選択時約916g
本体色ピクトブラック/サテンレッドピクトブラックピクトブラック/サテンレッド
Microsoft OfficeOffice Home & Business Premium プラス Office 365 サービス選択可
価格(※2月28日調べ)179,500円前後187,000円前後181,224円~

 LIFEBOOK UH75/B1の本体サイズは約309×212.5×15.5mm(幅×奥行き×高さ)、製品公式サイトに掲載されている重量は約777g。富士通から今回借用した貸し出し機の実測重量は、2月22日に新たに発表された数値とぴったり同じ761gだった。

 13.3型の筐体で実測761gという重量は掛け値なしに軽く感じる。電源がオンになっていなければ、中身が入っていないのではと疑いたくなるぐらいだ。

 本製品の軽量化は、液晶部材(ガラス、導光板、反射シート)、バッテリ樹脂ケースの薄型化、天板カバーへのマグネシウムリチウム合金の採用、キーボード面と底面カバーへのマグネシウム合金の薄肉成形などの総合的な施策により実現している。

 富士通によれば、ネジ1本にいたるまで細かなパーツを0.01g単位で調整しているとのこと。そこまで細かく積み上げなければ世界最軽量の座を獲得できない競争を富士通とNEC PCは繰り広げているわけだ。

 軽量化にあたってトレードオフになりがちな堅牢性については、高さ76cmからの落下試験、自転車を想定したZ軸方向の振動試験、加圧加重35kgfの1点加圧試験、加圧加重200kgfの全面加圧試験、キーボードのたわみ耐久試験、液晶開閉耐久試験などが実施されている。

安心の超軽量モバイル「LIFEBOOK U/UHシリーズ」製品品質評価試験

 実際、天面、キーボード面、底面を指で力強く押してみたり、パームレスト部を持って強く上下に振っても、多少のきしみやたわみは発生するが、たわんだまま元に戻らなかったり、断裂するような不安感はまったくなかった。

 カラーラインナップはピクトブラックとサテンレッドの2色を用意。マット状の質感のサテンレッドは、天面、底面だけでなく、キーの側面も赤く彩られており、デザイン上のアクセントとなっている。なお店頭モデルのUH90/B1で選べるのはピクトブラック1色だ。

 本製品の塗装、表面処理で特筆しておきたいのは手脂が比較的目立たないこと。天面、底面はやや手脂が付着するが、キートップ、パームレスト部は自分の顔を触ったばかりか、スナックを食べた直後でもなければほとんど手脂が付かない。

 どんなに美しい表面処理や塗装が施されていても、頻繁にクリーニングクロスで磨かなければ艶やかさを維持できないのであれば意味がない。特にパームレスト部の表面処理はほかのメーカーにもぜひ追従していただきたい。

 端子・ランプ・ボタン類は、右側面にSDカードスロット、USB 3.0 Type-A、Gigabit Ethernet、ケンジントンロック、左側面に電源、HDMI、USB 3.1 Type-C(USB Power Delivery対応)、USB 3.0 Type-A(電源オフUSB充電機能付き)、マイクロフォン/ヘッドフォンコンボジャック、パームレスト手前に電源ランプ、バッテリ充電ランプ、バッテリ残量ランプ、ディスクアクセスランプ、ワイヤレス通信ランプ、キーボード奥にF Lockランプ、Num Lockランプ、Caps Lockランプ、Scroll Lockランプ、電源ボタンが配置されている。

 モバイルノートPCは有線LAN端子が省略されアダプタで接続するモデルが多いが、展開式の端子とすることで本体に内蔵しているのは富士通らしいマジメさの表われだ。

本体天面
天面ロゴ部アップ。サテンレッドは、ブラック1層、シルバー2層、レッド1層の4層塗装が施されており、光の角度により赤の濃淡が変化する
本体底面。左下にあるのは吸気口
本体前面。中央にはディスプレイを開ける際に指をかける突起が設けられている
本体背面
本体背面排気口のアップ。排気口はキーボード面にも開けられており、ディスプレイ上部にも熱気を逃がしている
右側面。左からSDカードスロット、USB 3.0 Type-A、Gigabit Ethernet、ケンジントンロックが配置されている
有線LAN端子は、引き出して持ち上げることでLANケーブルを接続可能となる。精密な作りなので、LANケーブルを装着したまま本体を持ち上げるような乱暴な扱いは厳禁だ
左側面。左から電源、HDMI、USB 3.1 Type-C(USB Power Delivery対応)、USB 3.0 Type-A(電源オフUSB充電機能付き)、マイクロフォン/ヘッドフォンコンボジャックが配置されている
ディスプレイ面
ディスプレイ面Webカメラ部アップ。Webカメラ稼働時はランプが青く点灯する
キーボード面
キーボード面パームレスト右手前アップ。左から電源ランプ、バッテリ充電ランプ、バッテリ残量ランプ、ディスクアクセスランプ、ワイヤレス通信ランプが配置されている
キーボード奥には左からF Lockランプ、Num Lockランプ、Caps Lockランプ、Scroll Lockランプ、電源ボタンが配置されている
パームレスト部を持って強く上下に振っても、大きくきしんだり、たわんだりすることはない
LIFEBOOK UH75/B1の実測重量は約761g
ACアダプタと電源ケーブルの実測重量は200.5g。LIFEBOOK UHシリーズは本体と合わせて、ACアダプタも小型・軽量のものが新たに採用されている
付属のACアダプタは入力100-240V、出力19V、2.1A、容量39.9W

約166度開く画面と指紋認証の使い勝手良好、タッチパッドはカスタマイズ性が低い

 世界最軽量を謳うもののオーソドックスな作りのLIFEBOOK UHシリーズの使い勝手を見ていこう。

 電車や飛行機内でよく利用する方が気になるディスプレイ開度は約166度。ここまで開くなら欲を言えば180度まで倒れて欲しいが、現状のままでもテーブルや膝上など利用するポジションに合わせて幅広く調整可能だ。

 タッチ式の指紋認証センサーが主流の中、スライド式の指紋認証センサーは今や少数派だが使い勝手は決して悪くない。もちろんWindows 10の生体認証機能「Windows Hello」に対応しているし、複数の指を登録できる。また、指先全体をスライドさせる必要はなく、指先の3分の1ぐらいをスライドさせるだけで認証可能だ。イメージ的には指先で軽くセンサーをひっかくぐらいの感覚でOK。数回試せばタッチ式の指紋認証センサーと遜色ない使い勝手でログインできる。

 一方、今回試用していてどうしても慣れることができなかったのがタッチパッド。2本指でのスクロール、ピンチイン/ピンチアウトなど基本的なジェスチャーはLIFEBOOK UHシリーズでも利用できるが、3本指タップによるCortanaでの検索や、3本指スワイプでタスクビューを開くなどのジェスチャーを利用できない。

 Windows 10の高精度タッチパッドに対応していないWindows PCでも、ほとんどのモデルは独自の設定画面でジェスチャーごとに任意の機能を割り当てられる。タッチパッドのカスタマイズ性の低さは個人的には大きなマイナスポイントだ。

ディスプレイは最大約166度まで開く
LIFEBOOK UHシリーズはディスプレイを開けばスリープから復帰するので、指紋認証センサーをスライドするだけでWindowsにログイン可能だ。なお指をスライドする方向は、上から下でも、下から上でもOK
LIFEBOOK UHシリーズは、「設定→デバイス→マウスとタッチパッド→その他のマウスオプション→デバイス設定→設定」からタッチパッドの各種設定が可能。ただし、機能の有効/無効を設定したり、速度や感度を調整できるだけで、任意のジェスチャーに特定の機能を割り当てることはできない

配置、打ち心地とも完成形に近いキーボード、少々頼りない感触のタッチパッド

 LIFEBOOK UHシリーズのキーボードは86キー、JIS配列準拠で、キーピッチ約19mm、キーストローク約1.2mm。キーボード全体の大きさは約290×100mm(幅×奥行き)だ。指の力に合わせて、Tab、Caps Lock、左Shift、左Ctrl、Space、右Shift、Enterキーは軽く、そのほかのキーは重く2段階にチューニングされている。

 キーの配列に特に不自然なところはなく、モバイルノートPCでは幅を狭められがちな記号キーも含めてキーの幅が揃えられている。カーソルキーも縦幅を狭めたり、右Shiftキーの横幅を狭めることで無理矢理押し込むことが多いが、本製品ではカーソルキーのみ9mmほど下げて配置することで、押しやすい大きさが確保されている。デザイン性からは敬遠されがちなキー配置かもしれないが、実用性という点からは完成形に近いキーボードだ。

 キーボードの剛性感と打ち心地も申し分ない。よほど強く打ち込まない限りはタイピング時にたわみは生じず、タイピング音も小さく、高めの耳障りな音は発生しない。軽めのタッチでタイピングしていれば、喫茶店など静かな環境で利用していても隣のお客から苦情が来ることはほとんどないはずだ。

 なお、本製品のキーボードにバックライトは搭載されていない。おそらく世界最軽量を追求するにあたって、キーボードバックライトの搭載を断念したのだと思われる。タッチタイピングが苦手な方は、暗所ではディスプレイの明かりを頼りにキーを判別する必要がある。

 一方ちょっと不満を感じたのがタッチパッドのボタン。ボタンそれぞれの中央のクリック感は良好だが、ボタンの左右両端を押すとストロークが長く感じられる。押す位置によってクリック音が微妙に異なるのも気になった。実用上問題ないとは言え、キーボードの完成度が高いだけに、タッチパッドが少々残念に感じられたというのが正直なところだ。

筆者の手の長さは20cmと大きめだが、ホームポジションに指を置いても窮屈な印象はなく、また全てのキーに無理なく指を伸ばせる
キーピッチは約19mm
ボタンも含めたタッチパッドの広さは約91×59mm(幅×奥行き)
カーソルキーのみ9mmほど下げて配置されているので、手探りでも押しやすいスペースが確保されている
キーボードにバックライトは搭載されていないので、暗所ではディスプレイの明かりを頼りにキーを判別することになる
タイピングの強さを3段階に分けて動画を撮影してみた。音の大きさは再生環境によって異なるので、音質を参考にして欲しい

鮮やかさ重視のディスプレイ、好みの分かれるサウンドチューニング

 LIFEBOOK UHシリーズのディスプレイ解像度はフルHD(1,920×1,080ドット、166dpi)で、非光沢TFT液晶が採用されている。13.3型の大きなディスプレイとフルHD解像度の組み合わせは精細感に不満を感じる方もいるだろう。

 しかし、スマートフォンと違って離れた距離で使用するモバイルノートPCでは、166dpiの解像度があればよほどディスプレイに目を近付けない限りは文字のジャギーが気になることはない。

 本製品の色域は公表されていないが、筆者が常用している「Surface Pro 4」と色味を比べてみると、少し青味が強く、また赤が濃く発色されているようだ。LIFEBOOK UHシリーズの発色は記憶色を重視したものとして悪くはないが、もし再現性を優先するなら「設定→システム→ディスプレイ→ディスプレイの詳細設定→色調整」で微調整するといいだろう。

 サウンド面は好みによって評価が分かれそうだ。LIFEBOOK UHシリーズのサウンドは開放感を重視した設定のようで、音の解像感や伸びやかな高音が持ち味だが、低音がかなり細く感じられた。オーディオ補正に「Waves MaxxAudio」が搭載されており、ある程度の調整は可能だが、ガラリと印象を変えるまでには至らなかった。

 とは言え、筐体の共鳴やビビリ音はほとんど気にならないように抑えられており、全ての音が明瞭に聞き取れるサウンドチューニングはモバイルノートPCとしては十分高いレベルに達している。

 原音に近いサウンドにこだわらず、軽快な音質でポップな音楽を楽しみたい……という方には十分満足できる。なお本製品はハイレゾ音源に対応するヘッドフォン端子を搭載しているので、音にこだわりたい時は対応ヘッドフォンを用意するといい。

ディスプレイの左右ベゼルの幅は実測7.75mm。この狭額縁デザインのおかげで、13.3型ディスプレイは数値以上に大きく感じる
166dpiという解像度はスマートフォンの高解像度ディスプレイに慣れた方には物足りないかもしれないが、スマートフォンより離れた距離で利用するノートPCであれば十分実用的だ
左がLIFEBOOK UH75/B1、右がSurface Pro 4。どちらのディスプレイも色域は公表されていない。UH75/B1の方が、少し青味が強く、また赤が濃く発色されている
ステレオスピーカーは本体底面手前側に内蔵されている
オーディオ補正ソフトウェア「Waves MaxxAudio」は標準で有効になっているが、好みに合わせて微調整可能だ

ベンチマーク

 最後にベンチマークスコアを見てみよう。今回LIFEBOOK UH75/B1の比較対象としては、Kaby Lake-Uの「Core i7-7500U(2.7~3.5GHz)」を搭載する東芝の「dynabook V82」と、Skylake-Uの「Core i5-6200U(2.3~2.8GHz)」を搭載するASUSの「TransBook 3 T303UA」のスコアを使用した。dynabook V82はCore i7プロセッサーとの性能差、TransBook 3 T303UA はKaby Lake-UとSkaylake -Uの性能差を比較するために採用した。

 使用したベンチマークプログラムは下記の通り。

  • 総合ベンチマーク「PCMark 8 v2.7.613」
  • 総合ベンチマーク「PCMark 7 v1.4.0」
  • 3Dベンチマーク「3DMark v2.2.3509」
  • CPU、OpenCLのベンチマーク「Geekbench 4.0.3」
  • CPUのベンチマーク「Geekbench 3.4.1」
  • CPU、OpenGLのベンチマーク「CINEBENCH R15」
  • ゲーミングPCベンチマーク「モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】」
  • ゲーミングPCベンチマーク「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」
  • ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 5.2.1」
  • 「Adobe Photoshop Lightroom CC」RAW画像の現像時間を計測
  • 「Adobe Premiere Pro CC」フルHD動画の書き出し時間を計測
  • 「BBench」連続動作時間を計測

 なお、「dynabook V82」と「TransBook 3 T303UA」は一部バージョンの古いベンチマークソフトを利用しているので、今回の比較はあくまでも参考に留めていただきたい。

 下記がその検証機の仕様と、ベンチマークの結果だ。

【表2】検証機の仕様
LIFEBOOK UH75/B1dynabook V82TransBook 3 T303UA
CPUCore i5-7200U(2.5~3.1GHz)Core i7-7500U(2.7~3.5GHz)Core i5-6200U(2.3~2.8GHz)
GPUIntel HD Graphics 620(300MHz~1GHz)Intel HD Graphics 620(300MHz~1.05GHz)Intel HD Graphics 520(300MHz~1GHz)
メモリDDR4-2133 SDRAM 4GBLPDDR3-1600 SDRAM 8GBLPDDR3-1866 SDRAM 8GB
ストレージ128GB SSD(Serial ATA)512GB SSD(Serial ATA)512GB(Serial ATA)
OSWindows 10 Home 64bit Anniversary UpdateWindows 10 Home 64bit Anniversary UpdateWindows 10 Home 64bit Anniversary Update
【表3】ベンチマーク結果
LIFEBOOK UH75/B1dynabook V82TransBook 3 T303UA
PCMark 8 v2.7.613
Home Accelarated 3.02,9223,4762,749
Creative Accelarated 3.03,7054,3233,496
Work 2.04,1674,6273,565
PCMark 7 v1.4.0
PCMark score4,9105,5234,696
3DMark v2.2.3509
Fire Strike Ultra146220200
Fire Strike Extreme281400336
Fire Strike612868701
Sky Diver3,2173,8572,821
Cloud Gate5,1486,3404,954
Ice Storm Extreme31,93442,77332,168
Ice Storm44,27758,41043,759
CINEBENCH R15
OpenGL32.07 fps41.47 fps35.46 fps
CPU312 cb340 cb242 cb
Geekbench 4.0.3
32-bit Single-Core Score3,2023,699
32-bit Multi-Core Score6,1347,425
64-bit Single-Core Score3,5624,127
64-bit Multi-Core Score6,4487,858
OpenCL15,45319,655
Geekbench 3.4.1 Intel(32-bit)
Single-Core Score2,8373,2712,891
Single-Core Score Integer3,0533,4072,787
Single-Core Score Floating Point3,0853,2182,724
Single-Core Score Memory1,9123,1083,435
Multi-Core Score6,3466,1726,113
Multi-Core Score Integer7,1577,1666,652
Multi-Core Score Floating Point7,7136,6766,699
Multi-Core Score Memory1,9943,1793,863
Geekbench 3.4.1 Intel(64-bit)
Single-Core Score2,9993,6152,978
Single-Core Score Integer3,2973,7362,943
Single-Core Score Floating Point3,2293,6422,779
Single-Core Score Memory1,9433,3233,449
Multi-Core Score6,5737,8166,216
Multi-Core Score Integer7,4868,9177,013
Multi-Core Score Floating Point7,9458,9276,663
Multi-Core Score Memory2,0073,3953,730
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】
1,280×720ドット2,3014,1103,728
ドラゴンクエストX ベンチマークソフト
1,280×720ドット5,4217,188
SSDをCrystalDiskMark 5.2.1で計測
Q32T1 シーケンシャルリード551.464 MB/s548.312 MB/s549.047 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト506.749 MB/s280.191 MB/s485.771 MB/s
4K Q32TI ランダムリード265.583 MB/s320.352 MB/s258.384 MB/s
4K Q32TI ランダムライト135.647 MB/s207.849 MB/s234.606 MB/s
シーケンシャルリード463.977 MB/s452.206 MB/s463.465 MB/s
シーケンシャルライト402.040 MB/s275.576 MB/s422.632 MB/s
4K ランダムリード36.932 MB/s19.603 MB/s12.771 MB/s
4K ランダムライト91.355 MB/s92.934 MB/s70.228 MB/s
Adobe Photoshop Lightroom CCで50枚のRAW画像を現像
4,912☓3,264ドット、自動階調3分59秒042分41秒873分12秒69
Adobe Premiere Pro CCで実時間5分のフルHD動画を書き出し
1,920×1,080ドット、30fps8分2秒586分28秒837分53秒44
BBenchにより連続動作時間を計測(ディスプレイの明るさ40%)
バッテリ残量5%まで5時間18分35秒12時間59分42秒5時間20分28秒

 ほとんどのベンチマークではCPUの性能差が順当に現われた結果となっている。しかし、3DMarkの負荷の高い項目、モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】、Adobe Photoshop Lightroom CC、Adobe Premiere Pro CCでLIFEBOOK UH75/B1がもっとも低いスコアを記録している。

 そこで「CPUID HWMonitor」で高負荷時のCPU温度とクロック周波数を計測してみたところ、コア温度が80℃を超えると、クロック周波数が2,894MHz前後に低下する現象を確認できた。LIFEBOOK UH75/B1は高負荷時に冷却性能が追いついておらず、本来の性能を発揮できていないようだ。

 さて高負荷時の発熱をサーモグラフィーカメラ「FLIR ONE」でチェックしてみよう。

 今回は室温20℃の部屋で「CINEBENCH R15」の「CPU」を連続で5回実行してみたが、キーボード面の最大温度は44.7℃、底面の最大温度は41.8℃だった。キーボード面の発熱は高いが、底面の温度は低く抑えられている。膝上で利用していても不快さを感じることは少なそうだ。

高負荷時にクロック周波数が3092MHzから2894MHzへと低下する現象が見られた。クロック周波数の落差は小さいが、サーマルスロットリング現象が起きている
キーボード面の最大温度は44.7℃
底面の最大温度は41.8℃
ACアダプタの最大温度は44.1度

LIFEBOOK UH75/B1はレコードアタックモデル、選ぶべきはUH90/B1

 LIFEBOOK UH75/B1が世界最軽量を実現するために注ぎ込まれた技術は、まさに日本のモノ作りの粋を結集したものと言える。しかし、もし購入を検討しているなら、Core i5-7200U/メモリ4GB/ストレージ128GB/バッテリ25Whを搭載するUH75/B1ではなく、Core i5-7200U/メモリ4GB/ストレージ256GB/バッテリ50Whを搭載するUH90/B1を強く推したい。

 761gの世界最軽量は非常に魅力的だ。しかし、バッテリ残量5%まで5時間18分35秒という連続動作時間は、モバイルノートPCとしては少々短いと言わざるを得ない(JEITA2.0におけるカタログ値は8.3時間)。常に持ち歩きたくなる重量だからこそ、UH75/B1の連続動作時間を物足りなく感じることが多いはずだ。

 一方、バッテリ50Whを搭載するUH90/B1のJEITA2.0における連続動作時間は約17時間。ACアダプタを持ち歩かなくて済むことを考えれば、約913gの重量は気にならないはずだ。自分でバッテリを交換できないLIFEBOOK UHシリーズだからこそ、利用スタイル、用途を十分検討した上で、最適なモデルを選んで欲しい。