Hothotレビュー
外観を自分好みに変えられるコンパクトゲーミングPC「LEVEL∞ C-Class」
~3Dプリンタを使ってAIR VENT部分のカスタマイズが可能
2016年12月10日 06:00
ユニットコムの「LEVEL∞」は、高性能なゲーミングPCブランドとして知られており、ケースのタイプに応じてG-ClassやR-Class、M-Class、S-Class、F-Class、N-Classなど充実したラインナップを誇る。その中でも、コンパクトケースを採用したC-Classは、省スペース性と高スペックを両立させていることで人気の製品だ。
今回、そのC-Classが新設計のケースを採用して生まれ変わった。この新型C-Classは、ケースの前面に「AIR VENT」と呼ばれる円形の吸気口を備えており、その部分のパーツが自由に交換できるように設計されていることが最大の特徴だ。
新型C-Classの登場に合わせて、AIR VENT部分のカスタムパーツのデザインコンテスト「LEVEL∞ AIR VENT HACKデザインコンテスト」が開催され、144作品の中から最優秀賞を含む16作品が優秀作品として選出された。「LEVEL∞ AIR VENT HACKデザインコンテスト」については、こちらの記事『総額100万円の3Dプリントデザイン審査「LEVEL∞ AIR VENT HACKデザインコンテスト」の優秀作品が決定』を見ていただきたいが、カスタムパーツを装着することで、ケースの雰囲気ががらりと変わる。これまで、PCの仕様のカスタマイズは比較的自由にできたが、デザインのカスタマイズができる製品はなかった。そういった意味で、新型C-Classは、非常に意欲的な製品と言えるだろう。
ケース前面のAIR VENTと水冷クーラーにより高い冷却性能を実現
今回新登場したLEVEL∞ C-Class(以下C-Class)は、GeForce GTX 1080を搭載可能な高性能ゲーミングPCでありながら、178×388×296mm(幅×奥行き×高さ)というコンパクトな筐体を実現していることが魅力だ。正面から見たサイズは、A4用紙よりも一回り小さく、奥行きは15.6型ノートPCの横幅とほぼ同等だ。このケースのデザインは、カブクのインダストリアルデザイナーである横井康秀氏が手がけたもので、AIR VENTの形を活かした、個性的でスタイリッシュなデザインとなっている。
ケースがコンパクトだと排熱の面では不利となるが、C-Classでは側面パネルが両側ともメッシュになっているため、前面のAIR VENTから外気を取り込み、背面と側面から排気を行なうことで、効率の良い排熱が可能である。また、Core i7搭載システムでは、標準で密閉構造の水冷クーラーが採用されているため(Core i5搭載システムでは水冷をオプションとして選択可能)、静音性と冷却性能を両立させている。
C-Classは、CPUやGPU、ストレージなどを自由にカスタマイズ可能で、いくつかのセレクトモデルも用意されているが、今回の試用機では、CPUとしてCore i7-6700Kが搭載されていた。メモリは8GBで、ストレージとしては、M.2対応のSamsung SSD 960 PRO 256GBと、2TBのHDDを搭載するというハイエンド仕様だ。さらに、グラフィックス面では、NVIDIAのハイエンドGPUであるGeForce GTX 1080(ビデオメモリ8GB)採用ビデオカードを搭載しており、最新ゲームはもちろん、高いスペックを要求するHTC ViveやOculus RiftなどのVR HMDの利用にも余裕がある。
マザーボードはコンパクトなMini-ITX仕様のECS「Z170IU-C43」を採用している。裏側にM.2スロットが用意されており、SATA接続のSSDまたはHDDを最大2台内蔵できるため、M.2 SSDと合わせると最大3台のストレージを搭載可能だ。
インターフェイスも、USB 3.1×2、USB 3.0×4、USB 2.0、Gigabit Ethernetなどと充実しており、本体右側面の手前側に電源ボタンやUSB 3.0×2が用意されているので、USBメモリなどを使う際にも便利だ。
電源ユニットやキーボード、マウスも選択可能
側面パネルは手回し式のローレットスクリューで固定されており、ドライバーなどの工具を使わずに着脱できる。ケースの底面にも穴が多数空いており、ビデオカードへのエアフローを確保できる設計となっている。また、底面には防塵用フィルタが装着されているが、このフィルタも手で簡単に引き出して掃除できるようになっているなど、細かい点までよく考えられた設計である。
電源ユニットは、標準では80PLUS Silver認定の500W電源ユニットが採用されているが、より効率が高い80PLUS Gold認定の500W電源ユニットの選択も可能だ。キーボードやマウスは、有線式の一般的なものが付属するが、BTOでロジクールのゲーミングキーボードやゲーミングマウス、マウスパッドなどに変更することもできる。
AIR VENT部分のカスタマイズも容易
本製品の最大の特徴であるAIR VENT部分のカスタマイズだが、手で回すだけで標準パーツを外せるようになっている。標準のAIR VENTは2つのパーツから構成されているが、カスタムパーツ用のひな形の3Dデータは無償で公開されているため、その3Dデータを元に3D CADでカスタマイズを行ない、3Dプリンタで出力することでオリジナルパーツを作り出せる。
ここでは、サンプルとして提供されたカスタマイズパーツを装着してみたが、AIR VENT部分のデザインを変更するだけで、ケース全体から受ける印象がかなり変わってくる。カスタマイズパーツを複数用意して、気分に応じて変更するのもいいだろう。前述したコンテストの優秀作品の3Dデータも、rinkakでダウンロード販売される予定だ。
ベンチマークスコアも非常に高い
参考のためにベンチマークテストを行なってみた。利用したベンチマークソフトは、「PCMark 8」、「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト Ver.1.4K」、「ファイナルファンタジー XIV 蒼天のイシュガルドベンチマーク」、「CrystalDiskMark 3.0.3b」、「CrystalDiskMark 5.1.2」である。比較用として、レノボ・ジャパン「ThinkPad X1 Carbon」と日本マイクロソフト「Surface Book」の値も掲載した。比較用に挙げた2機種はゲーミングPCではなく一般的なノートPCと2in1であり、同じ土俵で比べるものではないが、あくまで参考にしていただきたい。
高速なCPUとGPU、SSDを搭載したC-Classは、全てのベンチマークテストにおいて、非常に高いスコアを叩き出している。特に、2つのゲームベンチのスコアは非常に高く、フルHD解像度の最高品質でも軽すぎるほどだ。4K解像度はもちろん、VRでも十分な性能を発揮するだろう。NVMe対応の高速SSDを搭載しているため、CrystalDiskMarkの結果も非常に高速だ。性能については、現時点のゲーミングPCとしてトップクラスと言える。
LEVEL∞ C-Class | ThinkPad X1 Carbon | Surface Book(キーボード装着時) | |
---|---|---|---|
CPU | Core i7-6700K(4GHz) | Core i7-6600U(2.6GHz) | Core i7-6600U(2.6GHz) |
GPU | GeForce GTX 1080 | Intel HD Graphics 520 | GeForce |
PCMark 8 | |||
Home conventional | 4,613 | 2,635 | 2,481 |
Home accelerated | 5,174 | 3,176 | 2,908 |
Creative conventional | 5,673 | 2,691 | 2,666 |
Creative accelerated | 8,209 | 3,890 | 3,753 |
Work conventional | 3,857 | 2,928 | 2,719 |
Work accelerated | 5,647 | 4,063 | 3,793 |
ドラゴンクエストX ベンチマークソフト Ver.1.4K | |||
1,280×720ドット 最高品質 | 20,882 | 6,796 | 11,424 |
1,280×720ドット 標準品質 | 20,489 | 6,844 | 12,913 |
1,280×720ドット 低品質 | 21,148 | 6,851 | 15,010 |
1,920×1,080ドット 最高品質 | 20,665 | 3,109 | 6,409 |
1,920×1,080ドット 標準品質 | 20,984 | 4,256 | 7,777 |
1,920×1,080ドット 低品質 | 21,512 | 5,835 | 9,053 |
ファイナルファンタジーIXV 蒼天のイシュガルドベンチマーク | |||
1,280×720ドット 最高品質 | 22,281 | 1,713 | 3,746 |
1,280×720ドット 最高品質(DirectX 9相当) | 22,528 | 2,284 | 4,727 |
1,280×720ドット 高品質(デスクトップPC) | 21,777 | 1,975 | 4,229 |
1,280×720ドット 高品質(ノートPC) | 22,612 | 2,288 | 5,407 |
1,280×720ドット 標準品質(デスクトップPC) | 24,092 | 3,280 | 7,785 |
1,280×720ドット 標準品質(ノートPC) | 24,287 | 3,273 | 7,779 |
1,920×1,080ドット 最高品質 | 18,135 | 未計測 | 未計測 |
1,920×1,080ドット 最高品質(DirectX 9相当) | 20,420 | 未計測 | 未計測 |
1,920×1,080ドット 高品質(デスクトップPC) | 18,647 | 未計測 | 未計測 |
1,920×1,080ドット 高品質(ノートPC) | 20,108 | 未計測 | 未計測 |
1,920×1,080ドット 標準品質(デスクトップPC) | 23,472 | 未計測 | 未計測 |
1,920×1,080ドット 標準品質(ノートPC) | 23,665 | 未計測 | 未計測 |
CrystalDiskMark 3.0.3b | |||
シーケンシャルリード | 1,413MB/s | 1,648MB/s | 954.8MB/s |
シーケンシャルライト | 963.2MB/s | 1,539MB/s | 598.8MB/s |
512Kランダムリード | 855.9MB/s | 1,224MB/s | 535.5MB/s |
512Kランダムライト | 946.8MB/s | 1,452MB/s | 598.5MB/s |
4Kランダムリード | 43.38MB/s | 51.05MB/s | 42.93MB/s |
4Kランダムライト | 152.9MB/s | 139.8MB.s | 115.8MB/s |
4K QD32ランダムリード | 718.9MB/s | 555.6MB/s | 612.7MB/s |
4K QD32ランダムライト | 334.7MB/s | 418.7MB/s | 511.8MB/s |
CrystalDiskMark 5.1.2 | |||
シーケンシャルリードQ32T1 | 1,641MB/s | 2,592MB/s | 1,632MB/s |
シーケンシャルライトQ32T1 | 965.0MB/s | 1,533MB/s | 602.7MB/s |
4KランダムリードQ32T1 | 716.4MB/s | 545.9MB/s | 605.2MB/s |
4KランダムライトQ32T1 | 335.3MB/s | 251.7MB/s | 516.7MB/s |
シーケンシャルリード | 1,428MB/s | 1,854MB/s | 931.7MB/s |
シーケンシャルライト | 963.5MB/s | 1,528MB/s | 602.3MB/s |
4Kランダムリード | 48.51MB/s | 53.99MB/s | 44.85MB/s |
4Kランダムライト | 175.2MB/s | 164.5MB/s | 166.0MB/s |
コンパクトで高性能なゲーミングPCが欲しい人に最適
C-Classは、新設計のコンパクトケースを採用したことで、省スペース性と性能を両立させただけでなく、AIR VENTによるデザイン面でのカスタマイズも可能にした魅力的なゲーミングPCである。水冷クーラーを採用したことで高い静音性を実現しており、CPUやGPUに高い負荷をかけても、騒音はほとんど気にならないレベルであった。高性能なゲーミングPCが欲しいが、あまり大きいタワーマシンはいらないという人や、最近話題のVRを存分に楽しみたいという人には特にお勧めしたい。BTOメニューも充実しているため、予算や用途に応じて最適な構成を選べることも魅力だ。