Hothotレビュー

外観を自分好みに変えられるコンパクトゲーミングPC「LEVEL∞ C-Class」

~3Dプリンタを使ってAIR VENT部分のカスタマイズが可能

LEVEL∞ C-Class

 ユニットコムの「LEVEL∞」は、高性能なゲーミングPCブランドとして知られており、ケースのタイプに応じてG-ClassやR-Class、M-Class、S-Class、F-Class、N-Classなど充実したラインナップを誇る。その中でも、コンパクトケースを採用したC-Classは、省スペース性と高スペックを両立させていることで人気の製品だ。

 今回、そのC-Classが新設計のケースを採用して生まれ変わった。この新型C-Classは、ケースの前面に「AIR VENT」と呼ばれる円形の吸気口を備えており、その部分のパーツが自由に交換できるように設計されていることが最大の特徴だ。

 新型C-Classの登場に合わせて、AIR VENT部分のカスタムパーツのデザインコンテスト「LEVEL∞ AIR VENT HACKデザインコンテスト」が開催され、144作品の中から最優秀賞を含む16作品が優秀作品として選出された。「LEVEL∞ AIR VENT HACKデザインコンテスト」については、こちらの記事『総額100万円の3Dプリントデザイン審査「LEVEL∞ AIR VENT HACKデザインコンテスト」の優秀作品が決定』を見ていただきたいが、カスタムパーツを装着することで、ケースの雰囲気ががらりと変わる。これまで、PCの仕様のカスタマイズは比較的自由にできたが、デザインのカスタマイズができる製品はなかった。そういった意味で、新型C-Classは、非常に意欲的な製品と言えるだろう。

ケース前面のAIR VENTと水冷クーラーにより高い冷却性能を実現

 今回新登場したLEVEL∞ C-Class(以下C-Class)は、GeForce GTX 1080を搭載可能な高性能ゲーミングPCでありながら、178×388×296mm(幅×奥行き×高さ)というコンパクトな筐体を実現していることが魅力だ。正面から見たサイズは、A4用紙よりも一回り小さく、奥行きは15.6型ノートPCの横幅とほぼ同等だ。このケースのデザインは、カブクのインダストリアルデザイナーである横井康秀氏が手がけたもので、AIR VENTの形を活かした、個性的でスタイリッシュなデザインとなっている。

 ケースがコンパクトだと排熱の面では不利となるが、C-Classでは側面パネルが両側ともメッシュになっているため、前面のAIR VENTから外気を取り込み、背面と側面から排気を行なうことで、効率の良い排熱が可能である。また、Core i7搭載システムでは、標準で密閉構造の水冷クーラーが採用されているため(Core i5搭載システムでは水冷をオプションとして選択可能)、静音性と冷却性能を両立させている。

 C-Classは、CPUやGPU、ストレージなどを自由にカスタマイズ可能で、いくつかのセレクトモデルも用意されているが、今回の試用機では、CPUとしてCore i7-6700Kが搭載されていた。メモリは8GBで、ストレージとしては、M.2対応のSamsung SSD 960 PRO 256GBと、2TBのHDDを搭載するというハイエンド仕様だ。さらに、グラフィックス面では、NVIDIAのハイエンドGPUであるGeForce GTX 1080(ビデオメモリ8GB)採用ビデオカードを搭載しており、最新ゲームはもちろん、高いスペックを要求するHTC ViveやOculus RiftなどのVR HMDの利用にも余裕がある。

 マザーボードはコンパクトなMini-ITX仕様のECS「Z170IU-C43」を採用している。裏側にM.2スロットが用意されており、SATA接続のSSDまたはHDDを最大2台内蔵できるため、M.2 SSDと合わせると最大3台のストレージを搭載可能だ。

 インターフェイスも、USB 3.1×2、USB 3.0×4、USB 2.0、Gigabit Ethernetなどと充実しており、本体右側面の手前側に電源ボタンやUSB 3.0×2が用意されているので、USBメモリなどを使う際にも便利だ。

AIR VENT部分のアップ
LEVEL∞ C-Classの前面。丸いAIR VENTが目立つ、個性的でスタイリッシュなデザインだ
LEVEL∞ C-Classの背面。オンボードのインターフェイスとビデオカードのインターフェイスが並んでいる。背面ファンとして直径90mmのファンが装着されている
オンボードのインターフェイス部分のアップ。USB 3.1×2とUSB 3.0×2、USB 2.0×2、Gigabit Ehternet、DVI-D、HDMI出力、DisplayPort、サウンド関係の端子が用意されている
ビデオカードのインターフェイス部分のアップ。DisplayPort×3とHDMI出力、DVI-Dが用意されている
左側面。側面パネルは大部分がメッシュになっており、通気性を確保している
左側面の側面パネルを外したところ。下にビデオカードがあり、右側にHDD、左側に水冷システムのファンが配置されている
水冷システムのファン。騒音はかなり小さい
左側面の側面パネルを外し、水冷システムのファンを外せば、HDDマウンタパネルを持ち上げることができる
HDDマウンタパネルには、2TBのHDDが装着されていた
HDDマウンタパネルを外したところ。ECSのMini-ITXマザーボード「Z170IU-C43」が採用されている。ビデオカードはMSI製である
CPUには標準で水冷クーラーが装着されており、高い静音性と冷却性能を両立。密閉構造なのでメンテナンスも不要だ
AIR VENT用のLEDファンをオプションで追加可能。LEDファンの直径は8cmで、LEDの色は、レッド、ブルー、グリーンの3色から選べる
右側面には、電源ボタンやUSB 3.0×2、マイク端子、ヘッドフォン端子が用意されている
右側面のインターフェイス部分のアップ
左側面の側面パネルを外したところ。左側に電源ユニットがあり、右側はマザーボードの裏側となっており、M.2スロットが用意されている
試用機のM.2スロットには、256GBのSamsung SSD 950 PROが装着されていた

電源ユニットやキーボード、マウスも選択可能

 側面パネルは手回し式のローレットスクリューで固定されており、ドライバーなどの工具を使わずに着脱できる。ケースの底面にも穴が多数空いており、ビデオカードへのエアフローを確保できる設計となっている。また、底面には防塵用フィルタが装着されているが、このフィルタも手で簡単に引き出して掃除できるようになっているなど、細かい点までよく考えられた設計である。

 電源ユニットは、標準では80PLUS Silver認定の500W電源ユニットが採用されているが、より効率が高い80PLUS Gold認定の500W電源ユニットの選択も可能だ。キーボードやマウスは、有線式の一般的なものが付属するが、BTOでロジクールのゲーミングキーボードやゲーミングマウス、マウスパッドなどに変更することもできる。

側面パネルの固定には、手回し式のローレットスクリューが使われており、ドライバーなどを使わずに着脱が可能
底面からも空気を取り入られる構造になっており、防塵用フィルタが装着されている
底面の防塵用フィルタは引っぱるだけで取り外すことができ、掃除も楽だ
付属のキーボード。アイソレーションタイプのテンキー付きキーボードで、配列も標準的だ
光学式マウスが付属する。ホイール付きのオーソドックスなタイプだ

AIR VENT部分のカスタマイズも容易

 本製品の最大の特徴であるAIR VENT部分のカスタマイズだが、手で回すだけで標準パーツを外せるようになっている。標準のAIR VENTは2つのパーツから構成されているが、カスタムパーツ用のひな形の3Dデータは無償で公開されているため、その3Dデータを元に3D CADでカスタマイズを行ない、3Dプリンタで出力することでオリジナルパーツを作り出せる。

 ここでは、サンプルとして提供されたカスタマイズパーツを装着してみたが、AIR VENT部分のデザインを変更するだけで、ケース全体から受ける印象がかなり変わってくる。カスタマイズパーツを複数用意して、気分に応じて変更するのもいいだろう。前述したコンテストの優秀作品の3Dデータも、rinkakでダウンロード販売される予定だ。

試用機のAIR VENT部分にはオプションのLEDファンが内蔵されており、電源を入れるとこのように赤く点灯する
AIR VENT部分は手で回すことで取り外しが可能
標準のAIR VENT用パーツは2つのパーツから構成されている
3Dプリンタで作成したAIR VENT用カスタマイズパーツ
カスタマイズパーツをAIR VENTに取り付けたところ
カスタマイズパーツを取り付けたAIR VENT部分のアップ

ベンチマークスコアも非常に高い

 参考のためにベンチマークテストを行なってみた。利用したベンチマークソフトは、「PCMark 8」、「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト Ver.1.4K」、「ファイナルファンタジー XIV 蒼天のイシュガルドベンチマーク」、「CrystalDiskMark 3.0.3b」、「CrystalDiskMark 5.1.2」である。比較用として、レノボ・ジャパン「ThinkPad X1 Carbon」と日本マイクロソフト「Surface Book」の値も掲載した。比較用に挙げた2機種はゲーミングPCではなく一般的なノートPCと2in1であり、同じ土俵で比べるものではないが、あくまで参考にしていただきたい。

 高速なCPUとGPU、SSDを搭載したC-Classは、全てのベンチマークテストにおいて、非常に高いスコアを叩き出している。特に、2つのゲームベンチのスコアは非常に高く、フルHD解像度の最高品質でも軽すぎるほどだ。4K解像度はもちろん、VRでも十分な性能を発揮するだろう。NVMe対応の高速SSDを搭載しているため、CrystalDiskMarkの結果も非常に高速だ。性能については、現時点のゲーミングPCとしてトップクラスと言える。

【表】LEVEL∞ C-Classのベンチマーク結果
LEVEL∞ C-ClassThinkPad X1 CarbonSurface Book(キーボード装着時)
CPUCore i7-6700K(4GHz)Core i7-6600U(2.6GHz)Core i7-6600U(2.6GHz)
GPUGeForce GTX 1080Intel HD Graphics 520GeForce
PCMark 8
Home conventional4,6132,6352,481
Home accelerated5,1743,1762,908
Creative conventional5,6732,6912,666
Creative accelerated8,2093,8903,753
Work conventional3,8572,9282,719
Work accelerated5,6474,0633,793
ドラゴンクエストX ベンチマークソフト Ver.1.4K
1,280×720ドット 最高品質20,8826,79611,424
1,280×720ドット 標準品質20,4896,84412,913
1,280×720ドット 低品質21,1486,85115,010
1,920×1,080ドット 最高品質20,6653,1096,409
1,920×1,080ドット 標準品質20,9844,2567,777
1,920×1,080ドット 低品質21,5125,8359,053
ファイナルファンタジーIXV 蒼天のイシュガルドベンチマーク
1,280×720ドット 最高品質22,2811,7133,746
1,280×720ドット 最高品質(DirectX 9相当)22,5282,2844,727
1,280×720ドット 高品質(デスクトップPC)21,7771,9754,229
1,280×720ドット 高品質(ノートPC)22,6122,2885,407
1,280×720ドット 標準品質(デスクトップPC)24,0923,2807,785
1,280×720ドット 標準品質(ノートPC)24,2873,2737,779
1,920×1,080ドット 最高品質18,135未計測未計測
1,920×1,080ドット 最高品質(DirectX 9相当)20,420未計測未計測
1,920×1,080ドット 高品質(デスクトップPC)18,647未計測未計測
1,920×1,080ドット 高品質(ノートPC)20,108未計測未計測
1,920×1,080ドット 標準品質(デスクトップPC)23,472未計測未計測
1,920×1,080ドット 標準品質(ノートPC)23,665未計測未計測
CrystalDiskMark 3.0.3b
シーケンシャルリード1,413MB/s1,648MB/s954.8MB/s
シーケンシャルライト963.2MB/s1,539MB/s598.8MB/s
512Kランダムリード855.9MB/s1,224MB/s535.5MB/s
512Kランダムライト946.8MB/s1,452MB/s598.5MB/s
4Kランダムリード43.38MB/s51.05MB/s42.93MB/s
4Kランダムライト152.9MB/s139.8MB.s115.8MB/s
4K QD32ランダムリード718.9MB/s555.6MB/s612.7MB/s
4K QD32ランダムライト334.7MB/s418.7MB/s511.8MB/s
CrystalDiskMark 5.1.2
シーケンシャルリードQ32T11,641MB/s2,592MB/s1,632MB/s
シーケンシャルライトQ32T1965.0MB/s1,533MB/s602.7MB/s
4KランダムリードQ32T1716.4MB/s545.9MB/s605.2MB/s
4KランダムライトQ32T1335.3MB/s251.7MB/s516.7MB/s
シーケンシャルリード1,428MB/s1,854MB/s931.7MB/s
シーケンシャルライト963.5MB/s1,528MB/s602.3MB/s
4Kランダムリード48.51MB/s53.99MB/s44.85MB/s
4Kランダムライト175.2MB/s164.5MB/s166.0MB/s

コンパクトで高性能なゲーミングPCが欲しい人に最適

 C-Classは、新設計のコンパクトケースを採用したことで、省スペース性と性能を両立させただけでなく、AIR VENTによるデザイン面でのカスタマイズも可能にした魅力的なゲーミングPCである。水冷クーラーを採用したことで高い静音性を実現しており、CPUやGPUに高い負荷をかけても、騒音はほとんど気にならないレベルであった。高性能なゲーミングPCが欲しいが、あまり大きいタワーマシンはいらないという人や、最近話題のVRを存分に楽しみたいという人には特にお勧めしたい。BTOメニューも充実しているため、予算や用途に応じて最適な構成を選べることも魅力だ。