山田祥平のRe:config.sys

ゴールデンウィーク直前対策、海外データ通信は現地SIMよりローミング

 もうすぐゴールデンウィーク。旅行を計画している方も多いかもしれない。スマートフォンやタブレットがあれば旅行をよりスマートに楽しむことができる。日本国内はもちろん、海外に行ってもいつもと同じように、そしていつも以上にデータ通信を楽しもう。

現地SIM入手より安上がりになるかもしれないローミングプラン

 昔はよく聞いた海外におけるパケ死。海外でデータ通信をしてしまい、従量制のデータ通信料金が発生し、場合によっては何十万円もの課金をされてしまうという話だ。

 今は、無条件に定額プランが適用されるようになっているし、キャリアごとに個別のプランも用意されている。たとえば、ドコモの場合は、「海外パケ・ホーダイ」と「海外1dayパケ」の2種類のプランがある。

 前者は、最大1日2,980円で無制限でデータ通信ができるプランだ。2段階定額だが、24.4MBがしきい値なので話にならない。1日2,980円は必ずかかると思っておいたほうがいいだろう。

 国内でのパケット定額サービスの利用者であれば申し込み不要で、スマートフォンの海外ローミングをオンにすればすぐに使える。それでも2,980円、さらに、現地時間ではなく、日本時間の午前0時から24時間なので時差の計算をうまくしないと、数時間で1日分の料金が発生するので注意が必要だ。ローミングをオンにした状態で現地の電波をつかんだ途端にプラン適用となる。

 後者はあらかじめ申し込みが必要なプランだが、地域ごとに980円、1,280円、1,580円という価格が設定され、現地時間で開始すると、そこから24時間の間30MBのパケットを使えるようになるというものだ。

 30MBというのは人によっては飛行機が着陸してゲートに到着するまでの間に使いはたしてしまうような容量なので、これまた話にならないのだが、日本人がよく行くアジアの一部各国については980円で使いホーダイ、さらに、夏休み期間として9月末までは、対象国も広がり、アメリカやタイ、フィリピン、シンガポールなどが加わった

 これらの国では980円/24時間でデータ通信が使いホーダイの定額になる。つまり、2,980円の海外パケ・ホーダイの3分の1の価格でデータ通信ができるわけだ。能動的に開始をしない限りは、ローミングがオンでも課金はないのも安心だ。

 一方、auでは、海外利用の場合、auの「世界データ定額」サービスが提供されている。大手3キャリアの中ではこのプランがもっともリーズナブルだ。980円/24時間で世界中のほとんどの国でのデータ通信ができる。ただし使い放題ではない。国内で使っているプランのデータ容量を消費するという仕組みになっている。

 ドコモの場合はヨーロッパ圏では割高な海外パケ・ホーダイを使わざるを得ないが、auの場合は、これまたキャンペーン中で、世界中ほとんどの国でこのプランを使うことができる。ただしキャンペーンは6月末までなのでゴールデンウィークは有効だが、夏休みはどうなるかわからない。ここは注意しておいたほうがよさそうだ。

MVNOは海外でデータ通信できない

 ドコモの海外1dayパケも、auの世界データ定額も、スマートフォンの海外ローミングをオンにしていても、能動的に自分でプラン適用を開始しない限りパケット通信料は発生しない。これは安心だ。両サービスともに開始用アプリが用意されているが、ドコモの場合なら「*135*1#」をダイヤルすれば開始、auなら任意のページをブラウザで開くだけで開始ページにリダイレクトされる。

 一方、ソフトバンクではドコモやauのような世界各国で使えるリーズナブルなプランがなく、定額プランの「海外パケットし放題」は、どこの国でも2,980円/24時間の定額だ。ただし、アメリカだけ「アメリカ放題」が利用でき、料金無料、申し込み不要でデータ通信、日本との通話ができる。これまた終了未定のキャンペーン中のサービスだ。

 昨今は、MVNOを使ってスマートフォンのデータ通信をまかなっている方も少なくないだろう。以前は、2台目、3台目の端末用にMVNOを使うケースが多かったが、今は、1台目のメイン回線としてMVNOの通話つきプランを選ぶユーザーも増えているという。

 海外の利用において注意したいのは、今のところ、MVNOでデータ通信ローミングをサポートしている事業者が皆無であるという点だ。つまり、海外で端末のローミングをオンにしても、MVNOのSIMが装着された端末ではデータ通信ができない。できるのは通話だけという点は覚えておきたい。理想的には、MVNO各社がMNOのプランをそのまま適用としてほしいところだ。通話ローミングはOKなのだからできて不思議はないのにとも思う。

「ローミングしたら負け」も今は昔

 こうしたプランを使うことで、現地でわざわざ現地事業者のSIMを調達するよりも、ローミングで十分という雰囲気になりつつある。実際、1週間の旅行で現地での宿泊が5泊だったと仮定して、980円/24時間なら5日分4900円だ。長期の出張や頻繁に同じ国にでかけるということでもない限りは、レンタルルーターを借りたり、現地でSIMを買うといった手間と時間を考えれば、ローミングを利用したほうが手っ取り早そうだ。

 ローミングにはもう1つメリットがある。現地でSIMを調達した場合、当たり前のことだがそのキャリアにしかつながらない。だが、ローミングの場合は、自動的に最適なキャリアが選ばれるのに加えて、速度などに不満があれば別のキャリアに手動でつなぐこともできる。

 先日も、中国・深センに旅行したが、現地の最大手キャリアであるChina Mobileが、あまりに遅いので、手動で2番手のChina Unicommに切り替えたりした。現地では現地のキャリアに対応した周波数をサポートする端末を用意して、それを使うのを原則としていたが、ローミングであれば、キャリアが自動的に切り替わるので、ある程度のバンドをカバーしている日本の端末でも、特に不自由なく使える点でも便利だ。

 ただし、ローミングの金額をかなり下回る一部の国はその限りではない。台湾などはその代表で、旅行者向けのリーズナブルなプランがローミング料金を大幅に下回る格安で提供されているので、現地でSIMを調達したほうがいい。空港で簡単に購入できるほか、最近は、ホテルのフロントでも手に入るようになっている。

積極的なプラン変更が功を奏する

 データ通信が頼りになるのは海外だけではない。日本国内の旅行でも、データ通信は大活躍だ。特に旅行中は、食事処を調べたり、名所旧跡の観光情報を見たりすることも多ければ、地図に頼ることも頻繁にある。また、写真もきっとたくさん撮るだろうから、それを都度、クラウドにアップロードしておきたいなど、日常の生活よりもパケットをたくさん消費しがちだ。

 旅先でのデータ通信を快適に、そして、余裕をもって楽しみたいなら、旅行期間の月だけパケットプランをより大容量のものに変更し、旅行から戻ってきたら翌月以降の倹約のために元のプランに戻すようにするといい。それで端末割り引きなどの額が変動するわけではない。

 ただし、auとソフトバンクは20GBや30GBの大容量プランについてテザリング無料の施策を4月末に終了する予定なので注意が必要だ(ドコモは2018年3月末まで施策が続く)。せっかく大容量のプランにしたのに、併用しているタブレットやPCを接続するのに1000円の別料金が発生してしまう。自分が買ったプランの枠内にあるパケットを、どんなふうに使おうが勝手だと思うのだが、テザリングがオプション扱いになってしまうというのは、どうにも納得ができない。

 いずれにしても、各社、料金プランの確認や変更などは、Webやスマートフォンのアプリで簡単にできるようにしてあるのだから、翌月の行動パターンに応じて、うまくプランを切り替えて、安上がりに大容量を楽しむようにしたいものだ。

 とはいえ、プランの変更は原則として翌月からの適用なので、ゴールデンウィークの利用を考えているなら、今月中に手続きをしておきたい。そうでなければ二重課金になってしまうので注意が必要だ。またくりこし容量などもチャラになってしまう点も覚悟がいる。