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32GBのタブレットで使いこなすWindows 8.1 第3回

~OneDriveの仕組みを理解して使い倒そう

レノボ・ジャパンの「Miix 2 8」

 本短期連載では、現在PC市場で最も熱い製品と言っていい8型のWindowsタブレットを使いこなすための基本知識や、使いこなし術について紹介している。3回目となる本記事では、そのクラウドストレージの選択肢の中で、Windowsユーザーには最もお勧めの選択であるOneDrive(旧SkyDrive)の仕組み、そしてWindowsタブレットにおける具体的な使い方について説明していきたい。

 OneDriveは、Microsoftが純正のクラウドストレージとして用意していることもあり、Windowsでの使い勝手が非常によく、上手に使えばユーザーはデータがローカルにあるのか、クラウドにあるのかをあまり意識しなくても利用できるというのが最大のメリットだ。

 なお、2月19日にOneDriveが正式にサービスインした。現在は、SkyDriveからOneDriveへの移行期といえ、同社のWebサイトやアプリ提供サイトでもSkyDriveとOneDriveの表記が混在している。また、Windowsやアプリ上にもSkyDriveという表記が多数ある。これらは今後順次、OneDriveに置き換えられていくものと思われるが、本稿では執筆時点での表記に従って記事を作成していることを、あらかじめご了承いただきたい。

Windows Explorerに統合されたOneDrive、3種類のオフライン利用方法をサポート

 クラウドストレージ活用の基本的な考え方については第2回で紹介した通りで、ローカルストレージに収まらない量のデータは、クラウドと呼ばれるインターネットの雲の向こう側にあるサーバー上のストレージに保存して、常時接続されているインターネットを経由してそれらのデータにアクセスするという使い方だ。

 外出時に常時インターネットに接続するスタイルは、以前は一部のユーザーだけが実践していたものだったが、現在では各携帯電話キャリアがモバイルWi-Fiルーターを提供しているだけでなく、スマートフォンには標準でテザリング機能が用意されており、PCやタブレットなどのデバイスを外出時にインターネットに接続して使うことはあたり前の光景になりつつある。そのため、こうしたクラウドストレージを組み合わせて使うという利用シーンも現実的になってきているのだ。

 さて、ここからはOneDriveの具体的な仕組みについて勉強していこう。Windows 8.1ではOneDrive(SkyDrive)は、Windows OSのファイルシステム(Explorer)に統合されており、アプリケーション(デスクトップアプリケーション、Windowsストアアプリに関わらず)から、まるでローカルストレージであるように見える。標準設定では「C:\Users\{ユーザー名}\SkyDrive」(以下SkyDriveフォルダと表す)になっており、Windows Explorerなどではこのフォルダを指定すると、ユーザーはOneDrive上のファイルにアクセスすることが可能になっている(なお、製品によってはC:\Usersだったり、C:\ユーザーだったりと、フォルダ名が英語ではなく日本語になっている場合もある)。

OneDriveのフォルダを見ているところ、物理的なフォルダのようにWindows Explorerからも見えるが、ディスク上のサイズは1GBとキャッシュだけが確保されている

 ただ、インターネットに接続されている状態で、このフォルダにアクセスすればOneDriveに保存してあるファイルにアクセスできるのは分かったが、インターネットに接続されていない時(オフライン時)はどうなのだろうか?

 その心配は無用だ。実はWindows 8.1のOneDriveは、オフラインの状態でも前述のSkyDriveフォルダにアクセスできるようにフォルダ構成やファイルのサムネールなどをローカルにキャッシュする機能を持っている。

 例えば、写真をOneDrive上に保存している場合には、SkyDriveフォルダに写真のサムネールなどが保存されており、どのようなファイルが保存されているのかを確認できる。また、オフラインで新規ファイルを作成してSkyDriveフォルダに保存された場合も、とりあえずはキャッシュとしてローカルストレージに保存され、インターネットに繋がった時に同期処理が実行され、キャッシュされていたデータがクラウドストレージにアップロードされるのだ。

 ただし、この状態では、ファイルの実体がローカルストレージには保存されないので、オフラインでデータを開こうと思った場合には開けない。そのため、オフラインでも作業したいと考えれば、OneDrive上のデータをローカルストレージにキャッシュとしてコピーする機能を利用するとよい。OneDriveでは、データ全てをローカルストレージにコピーする方法、一部をコピーする方法、あるいはまったくコピーしない方法の3つを選ぶことができる(ただし、すでに説明したフォルダ構造やサムネールなどは自動的にローカルに保存されることになる)。

OneDriveのオフライン時のキャッシュの状態

 オフライン時に全てのファイルにアクセスできる方法が、図で(1)として示している“全てのファイルにオフラインでアクセスする”設定だ。この設定をしておけば、例えば飛行機の中などインターネットに接続していない環境でもファイルにアクセスできる。使い勝手は最もよいが、ストレージは圧迫されるので、256GB以上の大容量ストレージを備えるノートブックPCなどであれば、この設定にするといいだろう。

 これに対して(2)で示している設定が一部のファイルのみにオフラインでアクセスする設定で、ある特定のフォルダだけを指定して同期させることができる。例えば、ドキュメントフォルダはオフラインでアクセスしたいので同期させるが、画像フォルダは同期させないといった設定が可能だ。こうした使い方は128GBなど、中容量のストレージを持つようなモバイルノートPCなどに向いている設定と言える。

 そして最後が(3)で、ファイルをオンラインのみで利用するという設定になる。この場合は、フォルダ構造や画像ファイルのサムネールだけがローカルにコピーされるだけになるので、ファイルを編集したい場合には常にインターネットに接続されている必要があるものの、内部ストレージへの影響は最小限にすることができる。

Windows 8.1でOneDriveを利用するためにはMicrosoft IDが必要になる

 こうしたOneDriveの仕組みを理解した上で、具体的に設定していこう。OneDriveを利用するには以下の4つのステップを経ていけばよい。

(1)Windows 8.1にMicrosoftアカウントを利用してログインする
(2)OneDriveの追加容量設定をする
(3)デスクトップPCやノートPCなどメインPCからデータをOneDriveにアップロードする
(4)クライアント側のOneDriveを設定する

 Windows 8.1でOneDriveを利用する場合には、Windows 8.1にMicrosoftアカウント(以下MSアカウント)を利用してログインする必要がある。Windows 8/8.1は、従来のWindows 7までと同じローカルアカウントと、MSアカウントの2つのログイン方法がサポートされているが、OneDriveを利用するには基本的にはMSアカウントでログインする必要がある。

 MSアカウントはWindows 8.1の初回起動時に作成できるほか、Microsoftの無料メールサービスである「Outlook.com」で過去に作成したアカウントも利用できる。このIDを1つ取れば、Windows 8.1へのログイン、Outlook.com、OneDrive、Skypeなど複数のMicrosoftが提供するクラウドサービスを利用できるので、まだ取得していない場合にはこれを機に取得しておくと良いだろう。

 すでにローカルアカウントでWindows 8.1をセットアップしている場合には、PC設定(チャームを出し、設定-PC設定の順で呼び出せる、Modern UI版コントロールパネル)からアカウントを切り換えることができる。PC設定を呼び出したら、アカウント-お使いのアカウントの順で選んでいき、“Microsoft IDへ関連付ける”からMSアカウントへアカウントを変更することができる。

 MSアカウントを利用してWindows 8.1にログインして表示される「SkyDriveを利用するか」というメッセージに「次へ」を選択した場合には、すでにOneDriveが利用できるようになっている。

Microsoftアカウントを取得するWebサイト
Microsoftアカウントへの切り替え
Microsoftアカウントを設定したときに表示されるSkyDriveを利用するかの確認メッセージ

 この状態で、7GBまでの領域をクラウドストレージとして利用できる。もし、同期したいデータの容量がそれを超えているユーザーは、別途追加領域を購入する必要がある。OneDriveでは3つのデータプランが用意されており、50GB追加で年額2,000円、100GB追加で年額4,000円、200GB追加で年額8,000円というプランになっている(2月18日現在、OneDriveへの移行に伴い月額払いにも対応することが表明されている)。なお、この追加容量に無料の7GBが足される形となるので、50GBを追加で申し込んだ場合には57GBのストレージが使える計算になる。

 このストレージの追加は、SkyDriveのWebサイトから左側に表示されている“ディスク容量を追加する”を選ぶと設定することができる。支払いにはクレジットカードやPayPalのアカウントをあらかじめMSアカウントに設定しておくか、クレジットカードを持っていない場合には大手家電量販店などで販売されている「Windowsストア ギフトカード」を利用して支払うこともできる

OneDriveの容量を追加するには、OneDriveにログインして設定する
OneDriveの容量設定画面。筆者の場合は無料の25GB(以前は25GBだった、今は7GB)に有料の200GBを契約して、2013年のBuildに参加したときに特典としてもらった100GB/1年間が追加されている

 十分なストレージ容量を確保できたら、現在利用しているデスクトップPCやノートブックPCなどのメインPCから、必要なデータをOneDriveにアップロードする。メインPCがすでにWindows 8.1になっている場合には、そのPCで前出のMSアカウントでログインするだけでよい。そして、先に紹介したSkyDriveフォルダ(C:\Users\{ユーザー名}\SkyDrive)に必要なファイルをコピーするだけ。これで終わりだ。あとは同期ツールが自動でOneDriveへファイルのアップロードを開始してくれる。なお、メインPCがWinodws 7である場合には、別途OneDriveのWindows 7用デスクトップアプリをダウンロードしてインストールする必要がある。インストールが終われば、自分で設定したSkyDriveフォルダにデータをコピーすれば、やはりOneDriveへのアップロードが開始される。

 なお、アップロードにかかる時間は個々人のデータ容量に依存するために、具体的にどのくらいとは表現しにくいのだが、100Mbpsの光ファイバー回線を利用している筆者宅で60GB近くをアップロードしてみたら、丸2日近くかかった。筆者宅の回線がというよりは、インターネット側の速度がそんなに速くない印象で、おそらく同じような容量をアップロードするなら数日レベルでアップロードには時間がかかることは覚悟しておくべきだろう。

利用するデバイスの種類に合わせて、OneDriveのオフライン設定を調整する

 アップロードが終了したら、本格的にOneDriveを利用できるが、最後の仕上げとしてクライアント側の設定をしておこう。具体的には、先ほど紹介した、オフライン時にローカルで利用できるようにキャッシュの扱いをどうするのかを設定しておく必要がある。

 図1で示した「(1)大容量ストレージを持つメインPC」の場合には、WindowsストアアプリのSkyDrive(OneDrive)アプリを利用して設定する。Windows 8.1のスタート画面からSkyDrive(OneDrive)を選んで起動し、チャームを出し設定-オプションの順で選んでいく。すると「全てのSkyDriveファイルにオンラインでアクセスする」というメニューがあるので、それがオフになっていればオンにする。これだけで終了だ。

 また、Windowsデスクトップからの設定も可能で、前述のSkyDriveフォルダをマウスで右クリックするか、タッチで長押しして表示されるサブメニューから「オフラインで利用する」をチェックする、これで同じことがWindowsデスクトップからも設定できる。ただ、OneDrive全体をローカルにコピーさせるなら、Windowsストアアプリの設定画面から設定した方が分かりやすいので、そちらを利用することをお勧めする。

WindowsストアアプリのSkyDriveアプリでオフラインで全てのファイルにアクセスするを設定する
Windowsデスクトップでもフォルダのプロパティから同じ設定が可能
WindowsストアアプリのSkyDriveアプリでオフラインで利用する設定が可能に

 図1での「(2)中容量ストレージを持つモバイルPC」の場合には、一部のデータだけをオフラインで利用できる設定にしておく。この設定もModern UIからも、Windowsデスクトップ、どちらからも設定ができる。Modern UIから行なう場合には、目的のフォルダを探し、そのフォルダをスワイプまたは右クリックすることで表示されるサブメニューから「オフラインで使う」を選択すれば、そのフォルダをオフラインでも利用できるようになる。Windowsデスクトップからは、前出の方法と同じだがSkyDriveフォルダ全体ではなく、そのサブフォルダ単位で「オフラインで利用する」を選択するだけだ。

WindowsストアアプリのSkyDrive(OneDrive)アプリでオフライン用キャッシュを全て削除する設定にできる

 図1での「(3)ローカルストレージが小さい場合」は、今回の主題であるWindowsタブレットなどが該当する。この場合は全てのファイルをオフラインで利用しない設定(標準ではそうなっている)にするか、オフラインで利用するフォルダがあっても最小限にすべきだろう。

 ちなみに、WindowsストアアプリのSkyDrive(OneDrive)アプリからファイルを参照した場合は、ローカルへのキャッシュは一時的なものとなるが、エクスプローラーからオンラインファイルを参照した場合は、その段階でファイルのキャッシュがローカルに置かれたままになってしまい、知らず知らずのうちにローカルストレージ容量を圧迫していることがある点に注意が必要だ。

 ローカルにキャッシュしたデータを削除してストレージの空き容量を空けたい場合には、Winodwsストアアプリ版SkyDrive(OneDrive)のオプション設定(チャーム-設定-オプション)にある「ファイルをオフラインでのみ利用する」というボタンをタッチ(またはクリック)すると、オフライン用のキャッシュデータが削除される仕組みになっている。いくつかのフォルダをオフラインで使えるようにしていたけど、キャッシュデータが大きくなってもう一度設定をゼロからやり直したいという場合も含め、この操作は覚えておこう。

既定のドキュメントフォルダへの設定、Windows設定の同期なども設定しておくべき

 OneDriveをより効率よく利用するためには、Winodws 8.1に用意されている詳細な設定項目を必要に応じて設定しておくとさらによい。Windows 8ではOneDrive関連の設定として以下のような設定が用意されている。

(1)OneDriveを既定のドキュメントフォルダにする
(2)タブレットで撮影した映像をOneDriveにアップロードする場合の画質設定
(3)PCの設定(Windowsストアアプリやスタートメニューなど)をほかのPCと共有する
(4)従量制課金ネットワークに接続されている時にSkyDriveの動作を停止する設定

 Windows OSでは既定のフォルダというのが定められていて、文書なら「My Documents」に、写真なら「My Picture」にと、標準でアプリケーションが保存するフォルダが設定さていた(Windows 7世代までは)。しかし、Windows 8.1では今回の例のように、OneDriveに標準でデータを保存する使い方が一般的になるので、この既定のフォルダをOneDrive上のフォルダにする設定が用意されている。

 具体的には「チャーム-設定-PC設定-SkyDrive-ファイルの保存」に用意される「ドキュメントを既定でSkyDriveに保存する」というメニューがそれで、これをオンにすると、Windowsデスクトップアプリケーションなどから文書を保存するフォルダをOneDrive上のフォルダに設定することができる。

 また、同じPC設定のSkyDrive-カメラロールでは、タブレットで撮影した画像をOneDriveに自動でアップロードしないか、アップロードはするが圧縮を加えることでやや画質を落とすことができ、「写真を高画質でアップロードする」、「画質をそのままでアップロードする」、「写真を最高画質でアップロードする」などの項目が用意されている。このほか、「ビデオを自動的にアップロードする」をオンにすると、撮影した動画も自動でOneDriveにアップロードされる。

OneDriveを既定のドキュメントフォルダに設定すると、アプリケーションは既定でOneDriveにファイルを保存するようになる
タブレットのカメラで撮影した画像を、OneDriveにアップロードするかどうかの設定

 さらに、PC設定の「SkyDrive-同期の設定」では、そのPCの設定を同じMSアカウントに紐付けられているほかのPCと同期させるかどうかを選択することができる。この項目をオンにしておくと、ほかのWindows 8.1が動作しているPCと、スタート画面、壁紙、色、ロック画面の写真、アカウントの写真などをOneDriveを通じて同期できるようになる。ここの設定を利用すると、Windowsストアアプリなどを自動でインストールしたり、Webブラウザ(Windows 8.1標準のInternet Explorer 11)の設定(ブックマークやパスワードなど)を同期することもできる。この同期の設定は、以下のような項目が用意されている。

【表】Windows 8.1のOneDriveの同期機能で用意されている設定項目
設定項目説明
このPCの設定を同期する以下の全ての項目(バックアップを除く)を有効にするか無効にするかを決定するスイッチ。
スタート画面Modern UIのスタート画面のタイルとそのレイアウトをほかのPCと同期するかを決定する。このスイッチが有効だとタイルの位置やストアアプリが自動で同期される。ただしストアアプリはタイルは表示されるがインストールは行なわれない、インストールを行なうかはユーザーが↓のアイコンをタッチして決定する。
デザインModern UIのスタート画面の背景、色、MSIDのアカウントの画像、ロック画面の壁紙などの設定を同期するかどうかを決定するスイッチ。
デスクトップの個人設定デスクトップのテーマ、壁紙などを同期するかを決定するスイッチ。
アプリユーザーのMSIDに紐付けられているほかのPCでインストールしたWindowsストアアプリをこのPCでスタート画面に表示するかを決定するスイッチ。ただしインストールは行なわれず、インストールしたい場合はユーザーがタイルをタッチしてインストールする必要がある。
アプリデータWindowsストアアプリの設定などを共有するかを決定するスイッチ。
パスワードWindowsストアアプリのアカウント設定、Webブラウザ(Internet Explorer11のみが対象)のパスワードなどを同期するかを決定する設定項目。
言語設定IME(MS-IMEのみが対象)やキーボードレイアウトなどの設定、ユーザー辞書などを同期するかを決定する項目。
簡単操作拡大鏡やナレーターの設定を同期する設定項目。
その他のWindows設定エクスプローラー、マウス、デフォルトプリンタの設定などを同期する設定項目。
バックアップの設定この項目をオンにしておくと、上記のPC設定が常にOneDriveのバックアップされるので、Modern UIの設定などは新しいPCを買った場合でも復元できる。
PC設定の同期設定画面

 これら全てをオンにしておけば、スタートメニューなどもメインのPCと揃えたりできるし、壁紙やロック画面なども自動で設定される。Windowsタブレットをリカバリから設定する際の時間も大幅に短縮できるので、ぜひともオンにしておきたい。

バッテリ駆動時にはWi-Fiルーターなどを従量制課金接続にすると消費電力節約

 最後に従量制課金接続の活用について説明しておきたい。従量制課金接続とは、無線接続(Wi-FiとワイヤレスWAN)に導入された概念で、現在接続しているネットワークをこの従量制接続課金に設定しておくと、Windows 8.1はネットワークに流れるデータ量を必要最小限になるように設定してくれる(ただし、コントロールできるのは、OS自体が行なうネットワーク通信とWindowsストアアプリであり、ほとんどのWindowsストアアプリはこの設定を無視する)。

 例えば、携帯電話キャリアのセルラー回線(LTEや3Gなど)を利用したモバイルブロードバンドをこの従量制課金接続に設定しておくと、Windows 8.1はできるだけネットワークに流れるデータを少なくする“節約モード”になるのだ。現在接続しているネットワークを従量制課金接続にしたい場合には、目的のアクセスポイントなどに接続している状態で、「チャーム-設定-PC設定-ネットワーク-接続」の順で選んでいき、目的のネットワークを選択して「従量制課金接続として設定する」をオンに設定すればよい。

ネットワークの従量制課金接続設定
従量制課金接続に設定されている場合はOneDriveの同期は停止する、Windowsのタスクバーに表示されているOneDriveのアイコンに「!」マークが付いて同期が停止していることが分かる
従量制課金接続時にOneDriveの同期を行なわないようにするには、この従量制課金接続でファイルのアップロードとダウンロードを行なうをオフにする

 OneDriveを利用する場合には、この従量制課金接続の仕組みをうまく利用したい。OneDriveは従量制課金接続に設定されているネットワークに接続されている状態ではキャッシュの更新作業を停止する仕組みになっており、出先でLTEや3Gなど容量に上限があるネットワークに接続している状態で従量制課金接続をオンにしておくことで、無駄なパケット量の増加を防ぎ、すぐに上限に達してしまうような事態を避けることができる。

 また、OneDriveはキャッシュを同期するときにはCPUの処理能力を必要とするため、同期が行なわれている時にはCPUへの負荷が高くなり、システムの消費電力が増えるようになる。このため、バッテリ駆動時にOneDriveの同期が行なわれる状態に設定しておくと、バッテリ駆動時間が同期を行なわない状態に比べて短くなる。理想を言えば、バッテリ駆動時にはOneDriveの同期は行なわないという設定があればいいのだが、現在のWindows 8.1にはそうした機能が用意されていない。

 そこで、バッテリ駆動時にOneDriveの同期を行なわないようにするには、WiMAXやWi-Fiホットスポットのようにデータ量に上限がないネットワークに接続している時でも“従量制課金接続”に設定しておけば、OneDriveの同期は停止され、多大なCPU処理が発生してバッテリ駆動時間が短くなる事態を避けることができる。

 OneDriveの同期を常にオンにしているとバッテリ駆動時間へのインパクトは小さくないので、少しでもバッテリ駆動時間を延ばしたいというユーザーであれば、バッテリ駆動時に接続されているWi-Fiアクセスポイント“従量制課金接続”に設定するということをしておくと良いだろう。

 これで、OneDriveの設定は一通り終わりになる。最終回となる次回は、Windows 8.1で、さらにメインストレージを節約して使える、よりディープな設定について解説していきたい。

(笠原 一輝)