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インテル、ビッグデータ時代に向けた同社の取り組みを紹介

~5月の「組込みシステム開発技術展」のプレビュー

インテルクラウド・コンピューティング事業本部の安齋尊顕氏
4月19日 開催

 インテル株式会社は19日、都内で記者会見を実施。同社が進めてきたインテリジェントシステムの取り組みや方針を紹介した。この会見は、5月8日から東京ビッグサイトで行なわれる「組込みシステム開発技術展(ESEC)」に向け、その展示内容を補足、紹介するものとなる。

 登壇したインテルクラウド・コンピューティング事業本部インテリジェント・システムズ・グループ事業開発マネージャの安齋尊顕氏は、あらゆるモノがインターネットに接続される、いわゆる「モノのネットワーク」時代には、2015年までに150億台の機器がネットワークに接続され自身でデータを生み出すとした。そうした時代の数字として、データの総量は1.8ZB(ゼタバイト)に達するという調査会社のデータや、Intelの中国チームがシステムを構築した中国のスマート・シティ・プロジェクトでは1日に録画される映像データが6.7PB(ペタバイト)、2009年に製造業の産業機器が生み出したデータの量が966PB、米国の医療業界がビッグデータが実現する年間売り上げは3兆ドルに達する、といったデータを紹介し、予測される市場規模の大きさを強調。

 モノのネットワーク時代には、データは人間が作り出すものであったこれまでとは違い、エッジ(末端部)に接続されている組み込み機器/端末がデータを生み出すようになり、非常に大きな量のデータを作り出していく。そうしたビッグデータを集約し、分析し、価値あるデータにしていくのが、Intelが取り組むインテリジェントシステムである。

 アパレル店に設置された監視カメラの映像から、来店した顧客の性別、年齢などの属性を見分け、店内での行動をトラッキングする。そうした結果、8割の来店者は何も買わずに帰った、など、POSデータからは分からない情報を得られたという。そして、コンバージョンレート(来店者の購入率)を高める取り組みに繋げる例があるという。

 また、米国の電力インフラにおいては、元々脆弱な送電網に、太陽光や風力などの不安定な電力が加わることで、より厳密な監視が必要になったことから、スマートグリッドの必要性が高まっているという。ここでIntelのソリューションを使い、末端(家庭や町単位)に消費電力量や送電量のモニターを取り付け、高電力効率で高スケーラビリティなデータセンターに送らせる。そのビッグデータを処理しインフラ全体を監視、コントロールするソフトウェアを走らせる、といったスマートグリッドを実現しているという。

 このほか、Scientific Monitoring Incという企業を買収。この企業は、飛行機のジェットエンジンに取り付けた振動センサーからの情報を分析し、障害予知やメンテナンスの最適化などを行なうツールを提供している。

 こうした事例でIntelが強調したいのは、Intelであれば、末端の組み込み機器、ネットワーク機器、データセンター、セキュリティ、サービスなどのソリューションや、開発ツールなどのソフトウェアまで、全てを揃えることができるという点だ。これを「インテル・インテリジェント・システム・フレームワーク」と同社では呼んでいる。この中では、2月に発売したHadoopのIntel用パッケージや、買収したWind River Linux、McAfeeなどのソリューションも活用される。

150億台のデバイスがインターネットに接続されることで大きな市場を生み出す
その市場は300兆円規模と予測
150億台のデバイスが生み出したビッグデータを活用するIntelの技術の集合体がインテル・インテリジェント・システム・フレームワーク
モノのインターネット時代に必要とされる要件として「接続性」、「管理性」、「安全性(セキュリティ)」を挙げている
Intelであれば、データセンターから組み込み機器、開発ソフトウェアまで、全てを提供できることを説明した図

 ESECでは、このようなクラウド環境のエッジとしての組み込み機器にフォーカスし、そこで重要な構成要素とIntelが考えている「Connect(接続性)」、「Manage(管理性)」、「Secure(セキュリティ)」の観点で、クラウドプラットフォームの中でどうすればインテリジェントなシステムを構築できるかを、コンポーネントレベルからかみ砕いて展示を行なうとしている。

 また、インテルクラウド・コンピューティング事業本部データセンター事業開発部シニア・スペシャリストの田口栄治氏による講演も予定している。ここでは、上記のようなインテリジェントシステムが組み込み市場において果たす役割や標準化フレームワークの提案、ビッグデータから価値を生み出すための要件などを説明する。

 田口氏は「組み込みからデータセンターまで幅広いポートフォリオを持つIntelが果たす役割は大きくなっていくと思う」と述べたほか、「ビッグデータをデータとして意味あるものにするために、個別の最適化ではなく、標準技術を使ってビッグデータをうまく使えるようにしたい。そうしたエコシステムを育てて、共通化できる部分は共通化すべき」と、ビッグデータのためのクラウドプラットフォームの通信やOSなどの標準フレームワークの策定に意気込みを示している。

 組み込み向け開発ソフトウェアについても、2月にドイツで行なわれたEmbedded World 2013で「Intel System Studio」を発表。Intelアーキテクチャに最適化されたコンパイラのほか、組み込み機器向けソフトウェアの開発者からのニーズが高い、開発期間の短縮、信頼性/安定性の向上に必要な分析ツール、デバッグツールなどをパッケージ化している。

インテルクラウド・コンピューティング事業本部データセンター事業開発部シニア・スペシャリストの田口栄治氏
Intel System Studioの説明を行なった、インテル技術本部ソフトウェア開発製品部事業開発マネージャの田中智子氏
Intel System Studioは組み込み機器用ソフトウェア開発者が必要とする要件を満たすために、デバッガや分析ツール、コンパイラなどをパッケージにした開発ツールセット

(多和田 新也)