鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第188回:10月29日~11月2日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード


10月30日

■■ カシオ、カラー表示に対応した“腕時計デジカメ”「WQV-10」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20011030/casio.htm

●パンフォーカス

 近景から遠景まで焦点が合っているように見えること。または、そのような撮影技法やカメラの機能。

 撮影した画像のピントが合っているかどうかは、解像度との兼ね合いである程度の許容範囲がある。これを許容錯乱円といい、ズレがこの許容範囲内に収まっている部分はシャープに、外れれば外れるほどボケて見える。被写体にピントを合わせた際に、ズレが許容錯乱円内に収まる被写体側の前後の奥行きのことを被写界深度という。この被写界深度は、レンズの焦点距離が短いほど、レンズ絞りを絞るほど深くなるので、焦点距離の短いレンズを絞って撮影すると、広範囲に渡ってピントが合った画像が得られる。

 さらに被写界深度は、被写体との距離が遠いほど深くなるので(被写体に対しては後方の方が深い)、被写体焦点をうまく調節しておくと、近景から遠景までが許容錯乱円に収めることができ、ピント合わせのいらないカメラを作ることができる。このようなカメラの機能をパンフォーカス、フォーカスフリー、固定焦点、全焦点などという。製品によっては、撮影モードとして備えているものもあるが、安価なデジタルカメラやコンパクトカメラ、使い捨てカメラなどは、パンフォーカスのみという製品が多い。

【参考】
□F値
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000224/key109.htm#F
□絞り優先AE
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990527/key77.htm#AE
□ワイドコンバータ/テレコンバータ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000302/key110.htm#W_T


■■ Maxtorとアダプテック、Ultra320 SCSI対応製品を発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20011030/adaptec.htm

●ゼロチャンネルRAID (Zero Channel Redundant Arrays of Independent [Inexpensive] Disk~ZCR
 ぜろちゃんねるレイド

 マザーボードなどに搭載されているものを使ってRAID機能を実現するコントローラ(カード)。

 RAIDは、複数のディスクドライブを利用して、ディスクの容量や高速性、信頼性を向上させる技術である。製品には、ディスクインターフェイスを備えコントローラカードにディスクを接続するタイプ。RAIDコントローラとディスクインターフェイスを備えた外付けユニットで、外部的にはそれ自身が1台のディスクドライブとして見えるタイプ。同様の構成で、専用のコントローラカードに接続するタイプ。特別なハードウェアを使わず、ソフトウェアだけで実現するタイプなどがある。

 RAIDのチャンネルは、一般的には用意されているディスクインターフェイスや接続できるディスクの数ではなく、複数のディスクを連携させて1つのRAIDシステムとして運用できる、個々の系統数のことを指す。1チャンネルなら、何台かのドライブを使って1系統、2チャンネルなら、さらに同様のものをもう1系統構築できるということだ。

 ゼロチャンネルRAIDは、それ自身はディスクコントローラやディスクインターフェイスを持たず、マザーボードに搭載されたSCSIインターフェイスなどを、RAIDチャンネルとして利用できるようにするコントローラ機能のみを提供する。

【参考】
□RAID
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980113/key13.htm#raid
□IDE RAID
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000824/key132.htm#IDE_RAID
□ストライピング(striping)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000608/key122.htm#striping
□ミラーリング(mirroring)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000608/key122.htm#mirroring
□JBOD(Just Bunch Of Disks)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010809/key177.htm#JBOD


11月1日

■■ ECS、SiS645搭載のDDR対応Pentium 4マザーボード
   ~ATX電源に対応
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20011101/vertex.htm

●ATX12V

 Intelが2000年にリリースした、12Vの電源コネクタが追加されたATX用のPSU(Power Supply Unit)。

 ATXは、Intelが'95年に発表したマザーボードのフォームファクタで、のちのMini-ATXやNLX、MicroATX、FlexATXともに、PCのマザーボードに広く採用されている。これらの規格は、主にマザーボードの寸法や各種コネクタ、ネジ穴の位置などを規定し、マザーボードに汎用性を持たせたもので、マザーボードに給電するための電源の仕様も含まれている。

 ATX(Mini-ATXも含む)用の電源は、メインの2列20ピンのコネクタを使って、給電用の+3.3V、±5V、±12V、スタンバイ電源用の+5V、ソフトパワーオフ用の信号線などを接続していたが、Pentium 4のリリースに先立ち、IntelはATX電源の仕様を改訂。 消費電力の大きなシステム向けに、+3.3Vと+5Vを供給する6ピンのAUXコネクタを追加。Pentium 4システム用には、さらに+12Vを給電する2列4ピンのコネクタを追加した。この電源仕様をATX12Vと呼んでいる。

 なお、MicroATXとFlexATXでは、SFXという小型の電源が用意されており、こちらにも、SFX12Vが追加されている(AUXコネクタの規定は無い)。

□Desktop Form Factor
http://www.formfactors.org/
【参考】
□ATX
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971118/key7.htm#atx
□NLX
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981029/key52.htm#NLX
□MicroATX
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980526/key31.htm#microATX
□FlexATX
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990715/key84.htm#FlexATX


■■ 後藤弘茂のWeekly海外ニュース
   なぜHammerは最強のx86プロセッサなのか ~図説hammer その1
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20011101/kaigai01.htm

●x86-64

 AMD(Advanced Micro Devices, Inc.)が2000年に発表し、将来のCPU(コード名Hammer)で採用を予定している64bitアーキテクチャ。

 PCに使われているCPUの命令セットは、Intelが'78年にリリースした16bit CPU 8086がベースになっている(※1)。当時の命令セットは、現在もサポートされており、歴代のCPUを総称してx86と呼んでいる。'85年にリリースされた32bit CPU 80386(後にIntel 386に改称)からは、32bitに拡張された命令セットを搭載。これをIA-32(IntelArchitecture-32)と呼んでいる。その後、MMXやSSE、SSE2などの拡張命令が追加されているが、基本的な命令セットは、このIA-32をそのまま継承している。

 Intelは、2001年にリリースしたItaniumで、64bitの新しい命令セットアーキテクチャIA-64を採用する。CPU自体が、従来のプログラムもそのまま実行できるように設計されている点は、IA-32の時と同じだが、16bitのアーキテクチャをそのまま継承しつつ32bit化したIA-32と異なり、レジスタや命令セットは全く異なる仕様になっている。そんなIA-64に対し、AMDが提唱したのがx86-64で、IA-32時代と同様、これまでの32bitのアーキテクチャを継承しつつ、64bitに拡張するというアプローチをとっている。

 IA-32では、レジスタは従来の16bitレジスタに継ぎ足す形で32bit化していた。例えば、32bitのアキュームレータ(※2)「EAX」は、16bitのアキュームレータ「AX」の上位に16bitを継ぎ足したもの…… すなわち、EAXの下位16bitはAXそのものだった。64bit化も同様に、EAXの上位に32bitを継ぎ足したのが、64bitのアキュームレータ「RAX」である(※3)。演算を行なう場合も、16bitレジスタを指定すれば16bitで、32bitレジスタを指定すれば32bitの演算になったIA-32と同様に、64bitレジスタを指定すれば64bit演算を行なう(※4)。x86-64では、これまでのスタイルもそのまま通用する。CPUが従来のIA-32として動作するモードをレガシーモード、拡張された64bitのモードをロングモードというが、レガシーモードならこれまでどおり16bitと32bitのコードが、ロングモードならさらに64bitのコードも、プログラムの中で共存できるのである。

※1 IBMが'81年にリリースした最初のIBM PCには、8086の外部バスを8bitに縮小した8088('79年リリース)が使われた。
※2 被演算値(引かれる値とか割られる値)や、演算の結果などが格納されるレジスタ。
※3 汎用レジスタの数は、従来の8本から16本に拡張されている。
※4 実は、x86はそれ以前の8bit時代のプログラミングスタイルが通用するようになっており、AXレジスタならAHとALというように8bit単位で扱え、8bitの演算も行なえる。

□AMD x86-64テクノロジ(AMD)
http://www3pub.amd.com/japan/products/cpg/64bit/index.html
□The Source:x86-64
http://www.x86-64.org/
【参考】
□IA-32
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010727/key175.htm#IA32
□IA-64
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010727/key175.htm#IA64

[Text by 鈴木直美]


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