鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第177回:7月30日~8月3日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード


7月31日

■■ 一ヶ谷兼乃のデジタルde GO! GO!
   光・IP通信網サービスからBフレッツへ乗り換え準備
   ~100Mbpsサービスで利用可能なルータは?
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010730/dgogo28.htm

●ONU(Optical Network Unit)

 光加入者線終端装置。光ファイバネットワークのユーザー側に設置する回線終端装置。

 光ファイバは、一端から入射した光をもう一端に伝えるファイバ状(繊維状)のメディアで、信号を電気ではなく光学的に伝送する。メタルケーブルを使った電気的な伝送に比べ、広帯域、低損失、電磁ノイズの影響を受けない(出さない)といった多くのメリットがあり、ネットワークのメディアとしてはもちろん、PCのデバイスインターフェイスとしても注目されている。

 ONUは、主に光通信網とユーザー側の設備とのインターフェイス変換を行なうデバイスで、一方に光ファイバを、もう一方にユーザー側の端末を接続するためのインターフェイスを備える(外部にコネクタが取り付けられているとは限らない)。ISDNなどで使用するDSU(Digital Service Unit)の光通信版であり、インターネットのアクセスライン用に提供されている製品では、ユーザー側のインターフェイスとしてEthernetを備えたものが一般的である。

【参考】
□DSU(Digital Service Unit)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980113/key13.htm#dsu
□POF(Plastic Optical Fiber~プラスチック光ファイバ)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000928/key137.htm#POF


●unnumbered
 アンナンバー(ド)

 ルータを使ったネットワーク間の接続で、ルータの外側のインターフェイスにIPアドレスを設定しない運用形態。

 ネットワーク間を接続し、TCP/IPなどのネットワーク層のプロトコルを使ってパケットの中継を行なうデバイスをルータという。ルータには、少なくとも2つのネットワークインターフェイスがあり、一方をLANに、もう一方をバックボーンのネットワークや通信回線などに接続し、この間で適切なパケットの配送を行なわせるのが主な役目である。この時、バックボーンのネットワークや通信回線につながるルータの外側のインターフェイスに、IPアドレスを割り当てて運用する形態を「numbered」、割り当てない運用形態を「unnumbered」という。

 複数のネットワークをバックボーンにつなげる場合……すなわち、複数のルータが対向するようなケースでは、ルータ間をパケット交換用のネットワークという形で運用する必要があるためnumberedになる。専用線などを使ったインターネット常時接続(※1)も、一般にはこのタイプである。

 LAN間を電話回線や専用線を使って接続する場合には、ルータは1対1で対向することになる。パケットは、全て対向するルータに配送するだけなので、このような場合にはunnumberedで運用することも可能である。unnumberedでの運用は、実質的には1台のルータを介して2つのネットワークを接続したのと同じ形になる。

※1 プロバイダのサブネットとして接続する本来の常時接続のことで、CATVやADSLなどで提供されているホームユース向けの常時接続(ISPのネットワークにクライアントとして接続するタイプ)ではない。

【参考】
□ローカルルータ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20001207/key146.htm#local
□ルータ、ブリッジ、ハブ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20001019/key140.htm#bridge
□ダイヤルアップルータ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980930/key48.htm#dialup_router


8月1日

■■ Maxtor、次世代HDD規格Ultra ATA/133を発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010801/ata133.htm

●Ultra ATA/133
 ウルトラエーティーエーいちさんさん
●Fast Drives
 ファーストドライブ

 Maxtor Corporationが2001年に発表した、最大転送レート133MB/SecをサポートするATAインターフェイスの拡張規格。

 ATAは、Compaqが中心となって開発したディスクインターフェイス「IDE(IntegratedDevice~またはDrive~ Electronics)」をもとに、ANSIで標準化が進められているもので、現在は、NCITS(National Committee on Information Technology Standards)のT13技術委員会で標準化作業が行なわれている。

 Ultra ATAは、'96年にQuantumとIntelが提唱した、ATA用の新しい転送方式で、'98年にANSIの標準規格となったATA/ATAPI-4(ANSI NCITS 317-1998)に、「Ultra DMA」という転送モードとして盛りこまれている。

 ATAの転送モードの1つに、ストローブ信号でタイミングをとりながら、データを連続転送するDMAモードがある(※1)。従来のDMAモードが、ストローブ信号を上げるタイミングでデータを転送していたのに対し、Ultra DMA(Ultra ATA)では下げるタイミングも利用。クロックを上げずに、2倍の転送レートを確保した。

 '96年に発表された最初の規格では、最小クロックサイクルに240ns、160ns、120nsの3タイプを規定。バスは16bitなので、最小の120ns時には(120nsは従来のDMAの最小サイクルと同じ)、「1000÷120ns×2byte×2回=33.33...MB/s」の転送速度となり、これを「Ultra ATA/33」と呼んだ。

 '98年、Quantumはさらなる高速化に向けて、特性を改善した新しい80コンタクトのケーブル(※2)と、90ns、60nsの2つのクロックサイクルを提唱。60ns時には、従来の2倍の66.666...MB/sを達成。これを「Ultra ATA/66」と呼んだ(ATA/ATAPI-5で採用)。

 2000年には、100MB/sを達成する「Ultra ATA/100」を提唱。最小クロックサイクルが40nsに短縮されたこのモードは、ATA/ATAPI-6に採用されることが決まっている。

 Ultra ATA/133(Fast Drives)は、クロックサイクルをさらに10ns縮めた30nsの転送モードで、転送レートは最大「1,000÷30ns×2byte×2回=133.33...MB/s」となる。

 なお、Quantumのハードディスク部門は、2001年にMaxtorに買収されたため、Ultra ATAは、この規格からMaxtorからの提唱となっている。

※1 DMA転送には、1回のリクエストに対し1回の転送を行なうSingle word DMAと複数回転送を行なうMulti word DMAがあったが、効率の悪いSingle word DMAは、ATA-3で廃止されている。

※2 ATAの物理インターフェイスは40ピンのままだが、ケーブルを2倍の80芯にし、1つおきにグラウンドを割り当てることによって伝送特性を改善している。

【参考】
□Ultra DMA
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971014/key2.htm#ultradma
□Ultra ATA/66
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980903/key44.htm#Ultra_ATA/66


8月6日

■■ アダプテック、ミッドレンジサーバー向けSCSI RAIDカード2機種
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010806/adaptec.htm

●JBOD(Just Bunch Of Disks)
 ジェイビーオーディー

 複数のハードディスクを1つの大容量ディスクとして利用できるようにする技術。

 ディスクを束ねる……と名付けられたJBODは、その名の通り、複数のディスクを1つに束ね、1台の大容量ディスクとして扱えるようにするもので、各社のRAIDアダプタが、その機能の1つとして提供。Windows 2000では、「スパンディスク」が同様の機能をソフトウェアで提供している。

 JBODが、一連のRAID(Redundant Arrays of Inexpensive [Independent] Disk)技術と異なるのは、単に記憶容量の拡張機能のみを提供する点にある。レベル1(RAID-1)以上のRAIDは、ディスクに何らかの冗長性(レベルによって異なる)を持たせることによって、信頼性を高めている。冗長性を持たないRAID-0の場合も、ディスクを並列に読み書きすることによって(ストライピング)、大容量化と同時に高速化も実現している。がJBODの場合には、これら信頼性(※1)や高速性に関しての拡張は一切無く、大容量化のみを追求している。

 例えばRAID-0では、ストライピングを行なうために、全てのディスクが同じ容量でなければいけない。容量が異なる場合には、もっとも容量の小さなディスクに合わせることになる。「20GB+20GB」は高速な40GBのディスクになるが、「10GB+20GB」は高速な20GBのディスクになってしまい、10GBの無駄が生ずる。JBODの場合には、前者は40GBの、後者は30GBの普通のディスクという様に、ディスクの総容量が無駄なく利用できる。

※1 複数のディスクを1つのディスクとして扱うため、どれか1台が故障すれば全体の機能が停止してしまう。したがって、構成するディスクの数が増えれば増えるほど、信頼性は低下することになる。

【参考】
□RAID
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980113/key13.htm#raid
□IDE RAID
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000824/key132.htm#IDE_RAID
□ストライピング(striping)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000608/key122.htm#striping

[Text by 鈴木直美]


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