鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第145回:11月20日~11月24日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード


11月20日

■■リコー、Just Link搭載の12/10/32倍速内蔵型CD-RWドライブ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20001120/ricoh.htm

オープンプライス(open price)

 メーカーなどが卸価格や小売価格を決めないで出荷する方法。

 商品を流通から小売店に、あるいは小売店から顧客に売る際の販売価格のことを再販価格という。メーカーがこれを指定して守らせる再販売価格維持行為は、一部の商品(※1)を除いて独占禁止法で禁止されている。したがって、ほとんどの商品に定価は存在しないのだが、商慣行上、希望卸価格や希望小売価格を設定し、それを基準に取り引きが行なわれるケースも多い。

 オープンプライス(オープン価格)は、このような建値無しで、メーカーが出荷価格だけで取り引きを行ない、後は卸や販売店に委ねるスタイルで、ある意味では市場本来の姿ともいえる。しかし、相場がわかりづらいという一面もあり、価格破壊の防止策として採られることも多く、オープンプライスに名を借りた再販売価格維持行為を行なうメーカーもある。

 一般にオープンプライスとなっているものは、需要と供給のバランスで価格変動が激しい商品、対抗商品や市場との兼ね合いで価格設定が変わる可能性の高い商品などに多い。また、恒常的なディスカウント販売のために不当表示になる恐れがある場合も、オープンプライス制が採られる。

(※1)再販売価格維持制度(再販制度)といい、書籍や雑誌、新聞、レコード盤、音楽テープ、音楽CDといった著作物(法定再販商品)がこれに該当する。


11月21日

■■米Intel、Pentium 4正式発表。P6以来5年ぶりの新アーキテクチャ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20001121/intel.htm

NetBurst
ネットバースト

 IntelがPentium 4に採用したマイクロアーキテクチャ。

 CPUのアーキテクチャは、命令セットやレジスタなどのプログラミングに関わる基本仕様と、実際にそれをチップ上に実装するためのCPUコアの内部構造に大別できる。

 前者は、32ビットCPUや64ビットCPUなどと言われている部分で、次世代の64ビットCPUのアーキテクチャである「IA-64(Intel Architecture-64)」に対し、現行の32ビットCPUは「IA-32」と呼ばれている。マイクロアーキテクチャは、後者のCPUコアの内部構造のことを差し、初代Pentiumは「P5」、現行のPentium(Pro以降)は「P6」と呼ばれている。

 NetBurstは、P6に続く新しい世代のマイクロアーキテクチャで、Intelが2000年8月に発表。11月にリリースされたPentium 4(コード名Willamette)に採用されており、以下のような新機能が搭載されている。

(※1)システムバスのベースクロックは100MHzで、データバスが×4の400MHz、アドレスバスは×2の200MHz。

(※2)連続する命令は、そのまま次々にパイプラインに乗せられるが、処理が分岐するようなケースでは、分岐命令から先をパイプラインに乗せることができない。そこで、フローを解析して実行可能な順番に並べ替えたり、分岐先を予測して要求されるであろう命令を先行して実行していく技術がP6から採り入れられた。これをダイナミックエグゼキューションといい、命令を予測して実行してくことを投機実行(speculative execution)という。

(※3)パイプライン処理は、1つの複雑な命令を複数の単純な作業に分解し、連続実行することが基本になっており、この分解されたオペレーション命令をマイクロオペレーション(μops)という。

デスクトップ用IA-32ファミリのマイクロアーキテクチャ
アーキテクチャプロセッサリリース
386386DX'85/10
386SX'88/06
486486DX'89/04
486SX'91/04
DX2'92/03
DX4'94/03
P5Pentium'93/03
Pentium with MMX Technology'97/01
P6Pentium Pro'95/11
Pentium II'97/05
Celeron'98/04
Pentium III'99/02
NetBurstPentium 42000/11

□Pentium 4プロセッサ(インテル株式会社)
http://www.intel.co.jp/jp/home/processors/pentium4/index.htm
□NetBurstホワイトペーパー(英文PDF:295KB)
ftp://download.intel.com/pentium4/download/netburst.pdf
【参考】
□パイプライン
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981021/key51.htm#pipeline
□アウトオブオーダー
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990416/key73.htm#OOO
□L2キャッシュ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971209/key10.htm#L2cache
□MMX
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980120/key14.htm#mmx
□SSE
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990225/key66.htm#SSE



ストリーミングSIMD拡張命令2(Streaming SIMD Extensions 2[SSE2])
すとりーみんぐシムドかくちょうめいれいツー、エスエスイーツー

 IntelのPentium 4に搭載された、マルチメディア向けに拡張された命令セット。

 複数のデータに対し、一度にまとめて同じ命令を実行して処理することをSIMD(Single Instruction Multiple Data~シムド)という。大量のデータに対して同じ処理を繰り返し実行するケースの多い、マルチメディア向けの命令セットとして、Intelは最初に「MMX」を開発。追加された57個の命令セットは、主に64bitのMMXレジスタを使い、8bit×8、16bit×4、32bit×2のデータをひとまとめに処理するもので、'97年にリリースされたPentium with MMX Technology(いわゆるMMX Pentium)以降のPentium II、III、Celeronをはじめ、AMDのプロセッサにも組み込まれている。

 整数用のSIMD演算が主体だったMMXに対し、'99年にリリースされたPentium IIIからは、新たな拡張命令セットとして「SSE」を搭載。追加された70個の命令セットは、浮動小数点演算向けのSIMD命令が主体で、128bitのXMMレジスタを使って4個の単精度浮動小数点データをまとめて処理することが可能となった。

 Pentium 4に搭載されたSSE2では、さらに144個の新しい命令セットを追加。2個の倍精度浮動小数点演算をまとめて処理できるほか、整数演算も8bit×16、16bit×8、32bit×4、64bit×2に拡張されている。

【参考】
□MMX
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980120/key14.htm#mmx
□SSE
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990225/key66.htm#SSE
□3DNow!
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980603/key32.htm#3DNow!
□Enhanced 3DNow!
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000224/key109.htm#e_3dnow
□浮動小数点
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990909/key90.htm#FP


■■Canon Expo 2000 @Tokyo会場レポート
  小型BJプリンタを内蔵したデジタルカメラを参考出品など
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20001121/canon.htm

Wi-Fi(WIreless FIdelity)
ワイファイ

 WECAが名付けた、IEEE 802.11b規格の無線LANのブランド名。

 「IEEE 802.11」は、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers ~米国電気電子技術者協会)が'97年に標準化した無線LANの規格である。この規格では、物理層に2.4GHz帯の無線と赤外線の2種類が採用されており、無線はさらに周波数ホッピング方式のスペクトラム拡散(FHSS~Frequency Hopping Spectrum Spread)と、直接拡散方式のスペクトラム拡散(DSSS~Direct Sequence Spectrum Spread)の2方式が規定されている。

 「IEEE 802.11b」は、この中のDSSSを用いる無線LANの拡張規格として、'99年にリリースされたもので、従来の1Mbpsと2Mbpsに加え、5.5Mbpsと11Mbpsの高速通信モードを追加。現在は、これに準拠した製品が主流となっている。

 このIEEE 802.11bの標準化に合わせ、'99年8月に3Com、Aironet、Intersil(旧HarrisSemiconductor)、Lucent Technologies、Nokia、Symbol Technologiesの6社が中心となって、無線LANの普及促進と相互接続性の検証を行なうための団体「WECA(Wireless Ethernet Compatibility Alliance)」を設立。翌9月に、同規格のコンシューマ向けブランド名として、「Wi-Fi」が発表された。

 WECAでは、ベンダー間の相互接続性を保証するための実装すべき基本仕様をまとめた「Wi-Fi System Interoperability Test Plan」をリリース。Silicon Valley Networking Laboratory (SVNL)と共同で互換性のテストを実施しており、このテストにパスした製品には、Wi-Fiロゴが付与される。

□WECA
http://www.wi-fi.org/
□Wi-Fi Interoperability Test Plan(英文PDF:149KB)
http://www.wi-fi.org/downloads/test_matrix.PDF
【参考】
□IEEE
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000519/key119.htm#IEEE
□IEEE 802.11
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991007/key93.htm#IEEE_802
□DSSS
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991125/key99.htm#DSSS
□WECA
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000519/key119.htm#WECA
□無線LANの基礎知識
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000725/wlankey.htm

[Text by 鈴木直美]


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